親戚の女の子も同じようなタイプだし。サボとエースとルフィの三角関係とか妄想してるし。
てか、バンドの名前やアーティストさんの名前を書けないのがつらい…
4 男子バンドは最初から難航する
「はろはろ~」
バンドのメンバーで集まることにしたサイゼリヤ。俺と戸塚が入るとすでに他の面々は着席していた。葉山に、材木座に、海老名…?
「おい葉山説明しろ。なぜ海老名がいる」
実は海老名は男だった、みたいな戸塚チックなことはないよな。もしそうなら、海老名の趣味は性癖に転じてしまう。ぐ腐腐。つーか戸塚はちゃんと男の子だ。決して男の娘ではない。
「い、いやあ、比企谷たちと文化祭で有志バンドやるって言ったら観たいって…」
ナニを見たいんだよナニを。言って御覧なさい、この腐女子め。
「いいじゃんいいじゃん。練習なんでしょ? 結衣達には言わないからさ」
諦めの溜息をひとつ。
「いいけど、まだ曲も決まってないぞ」
そう。今日はどんな曲をやるか、つまり演目を決める為の集まりだ。
各自が持ち寄った曲は
葉山 「会心の一撃」、「Cry Out」
戸塚 「Walk This Way」、「悲しみの果て」
材木座 「ユキトキ」、「春擬き」
俺は… 「ずっと好きだった」、「歌うたいのバラッド」
さて、各自の曲が提出されたところで、気になるところをイジっていこう、のコーナー。
葉山は、なんと言うか、やっぱり葉山だな。青春を謳歌してる若者が知っていそうな曲だ。言い換えれば、チャラい。RADなんとかなんてバンド、知らなかったし。
戸塚は…すごく意外だ。男が好みそうな、男らしい曲を選んできたのは驚いた。
こないだベースラインを弾いたから1曲目は判る。てか、どんだけ自分の女性的な容姿にコンプレックス抱いてんだよ。どんだけ骨太に憧れてるんだ。抱き締めるぞ。
さて材木座よ。
おまえ根本的に違うぞ。それ女性ボーカルじゃねえかよ。
ま、一時期毎週のように聴いていた覚えがあるから曲自体は好きだけどな。
そして俺は、親父のCDコレクションの中の2曲だ。「ずっと好きだった」はCMで気に入って、「歌うたいの~」は、単純に昔アコギを持ってた頃練習したから。「歌うたい」って、なんかカッコいいし。
あと海老名さんよ。
持ち寄った曲のリストと俺らの顔を交互に見て妄想を膨らませて、よだれを垂らすのは止めておけ。ここにはいつも鼻血フォローをしてくれるオカン三浦もいないのだから。
「…すごいね。これだけバラバラになるとは」
葉山が困っている。それを見るのはちょっと楽しい。リア充の苦悩はぼっちの幸せ。
「そうだね、どうしようか。はちまん」
今回毛色が違うのは、戸塚だ。もちろん材木座は無視。
多数決で言ってしまえば日本のロックをやるのが妥当なのだが、あいにく俺は少数派を切り捨てる多数決が嫌いだ。なによりこのバンドは戸塚のバンドだと認識している。戸塚の好きな曲をやらせてあげたい。その笑顔を守りたい。
端で材木将軍なんとか座が喚き出した。
「ぐぬぬ、何故我の案だけ記載して貰えぬのだ。アニメの主題歌にもなっておる名曲ではないか」
哀れみの表情を浮かべながら説明する。しまった、途中から嘲笑になってた。
「材木座、ボーカルは葉山だぞ。葉山が女性ボーカルの曲を歌ったシーンを想像してみろ。」
やなぎなぎは、透明感のある声と詞の描写に特徴を持つアーティストだ。戸塚ならともかく、葉山が歌っても気持ち悪いだけだ。戸塚ならともかく。
「は、葉山くんが女装して可愛い声でヒキタニくんと…ぐふ」
誰だ腐女子を運んできたヤツは。それに此処にはヒキタニ君はいませんが何か?
しかし、これではいつまで経っても決まらない。
早く帰りたいし、助け舟を出そうか。
「今度集まるときまでに各自もう1曲選んで、今日のを合わせた計3曲を持ち寄って実際聴いてみようぜ。あ、材木座の2曲は却下な。女の曲だし。」
「そうだね、じゃあそういうことにしよう。次回はぼくの家にしよう。曲を聴きながら話し合うならそのほうがいい。」
「つ、ついに葉山くんがヒキタニ君を家に招待…キマシタワ~!」
おまえ、もう男子の前でもその腐った性癖隠さないのな。ある意味潔いな。腐潔だな。
そういえば、女子達の曲目は決まっただろうか。
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お読みいただきありがとうございます。
さて第4話、いかがでしたでしょうか。
もう主旨ブレまくりで、由比ヶ浜たちのバンドがどっかいっちゃいました。
まあ、そのうち出てきますよ。きっと。