投稿します!
遅くなって申し訳ありません(^-^;)
めちゃくちゃ忙しかったので、期間が空いてしまいました( ;∀;)
中途半端ではありますが、投稿致します。
追記として、今吉誠二の設定を変更します。
それではどうぞ!
準決勝前夜……。
花月高校…、旅館の一室にて、部員及び、監督、マネージャーが集合している。
「いいか、分かっていることだが、準決勝の相手、桐皇は手強い。全員、目ぇかっぽじって研究しろ」
『はい!!!』
マネージャーに姫川が、DVDをプレイヤーにセットし、再生する。
映像が切り替わると、そこには試合の映像…桐皇の試合が始まる。
――ザシュッ!!!
試合開始して、桐皇の7番のスリーポイントが決まる。
「リリースが速い…、けど、それだけじゃない。かなり打ち込んでる。レベルが高いシューターだね」
一連のプレーを見た生嶋が、ポツリと感想を呟く。
「桜井良。昨年時からSGに抜擢されているピュアシューター。ブロックしづらいクイックリリースから放たれるスリーポイントは、かなり脅威です。桐皇のオフェンスは、彼から始まることが多いです」
姫川が、持っている自身のノートを読み上げながら説明していく。
「確かに、あんだけリリースが速いと、止めんのは面倒そうだな」
テーブルに肩肘を付きながら鑑賞している空が、若干、眉を顰めながら言う。
「彼が決まりだすと、桐皇が流れに乗せてしまうことになります。…マッチアップする方は、気を引き締める必要がありますね」
姿勢正しく鑑賞している大地が、警戒の必要性を説いた。
「どっせぇい!!!」
背番号4番のユニフォームを着た選手がオフェンスリバウンドをもぎ取る。
「若松孝輔。今年の桐皇の主将であり、センターのポジションを任されています」
「フィジカルはかなりのものですね。スピードもある。…あと、うるさい」
真剣な面持ちで分析をする松永。
「高い身体能力に豊富な運動量が彼の特徴です。ディフェンスはもちろん、オフェンスでもチームを支えています」
「確かに…、フィジカルは、一昨日見た、誠凛の火神に匹敵するレベルだな…」
高いフィジカルに、馬場も唸り声を上げる。
「基本、相手をするのは、松永になるわけだけど、大丈夫か? あの手のタイプって、お前、苦手なんじゃないか?」
マッチアップすることになる松永に懸念を感じた空が、尋ねる。
昨年の全中、ベスト5に選出され、帝光中を相手に1人で奮闘した松永。
長身でありながら、優れたスピードとテクニック、並のエース以上の得点能力を兼ね備えたセンターである。
だが、フィジカルはまだ発展途上であり、パワー争いは不得手である。
桐皇の若松は、松永にとっては相性が良くない相手である。
「得意ではないのは確かだが、それでもやるだけだ。…相手にとって不足はない」
松永は目をギラつかせ、やる気を露わにする。
「次に、今年からポイントガードに抜擢された1年生、今吉誠二です」
ゆっくりドリブルでボールを進めながら、ゲームメイクを始める、10番のユニフォームを着た選手の説明が始まる。
「今吉? ……確か、去年の桐皇の主将の名前が確か、今吉でしたね?」
ふと、大地が思い出しながら尋ねる。
「はい。彼は、前主将、今吉翔一の従弟にあたるそうです」
「去年の主将は、どうにもやりづらいって言うか、弱点を突くのが上手い選手だったけど、こいつはそれとは違う選手みたいだな」
「スピードは結構あるな…、テクニックも、かなりのレベルだ。それにミスも少ない、基本に忠実なゲームメイクをするタイプか…」
「いわゆる、『オールドスクール型』の司令塔か…」
馬場、真崎を始めとする、上級生たちが、分析をしている。
「相手をするのは俺か…、けど、この手の正統派は得意だから、完封してやる」
ニヤリと笑みを浮かべながら背もたれに体重をかける空だった。
「次に、こちらも、今年からスモールフォワードに抜擢された、福山零」
――ダムッ!!!
キレとスピードのあるドライブで相手ディフェンスをかわし、ペイントエリア近くまで侵入すると、急停止し、そのままミドルシュートを決めた。
「っ…、今のドライブ、スピードもキレもかなりのレベルだったな…」
一連のプレーを見て、松永は顔色を変える。
「確かに…、全国でも、ここまでのレベルのプレイヤーはそういない…」
生嶋も、同意する。
――ザシュッ!!!
今度は、外からスリーを決めた。
「中に切り込むことも出来て、尚且つ、外もあるオールラウンダーですか…、しかし、これだけの実力者なら、昨年時もレギュラーに選ばれていてもおかしくないはずなのですが…」
素朴な疑問を大地が口に出す。
「それはおそらく、これが原因だと思います」
姫川が、早送りで映像を進める。すると、そこには、相手選手がボールを持ち、それをディフェンスするのは、福山。
だが、福山は、相手のフェイクに釣られ、あっさり抜かれてしまう。
「…今の、特別キレもスピードも感じられなかったけど……まさか」
ここで空が、気付く。
「ええ。この選手は、驚異的なオフェンス力とは裏腹に、ディフェンス面ではかなりの難があります」
追加で姫川が補足説明する。
「そういうことか。だから、去年はこいつではなく、諏佐が選ばれたわけか…。だが、この映像を見る限りでは、まだ、ディフェンスは克服出来てなさそうだ。オフェンスでは、こいつを狙うのも1つの手だな」
福山の位置が穴と見て、攻略の1つとして認定された。
「そして、最後が……」
――ガシャン!!!
無造作に投げられたボールが、リングを潜る。
「っ! 何度見ても驚かされるな…あんなシュートが何で入るんだ…」
フォームレスシュート(型のないシュート)。バスケットの基本のフォームから大きく外れたシュートは、見る者をあざ笑うかのようにリングを潜っていく。
そして、変幻自在、予測不能なプレー、圧倒的なスピードに加え、0からMAX、MAXから0の、驚異的な敏捷性(アジリティー)を駆使した平面のドリブル。
ディフェンス不可能の点取り屋(アンストッパブルスコアラー)の名のとおりの実力を披露し、相手を圧倒……蹂躙していく。
「…すげーな。改めて見ると、あの動き、全く読めないな…。やっぱり、キセキの世代のエースの名は伊達じゃない…」
「スピードも…、あの身長からは考えらない程速い。…もしかして、神城や綾瀬より速いんじゃないか?」
「…」
「…」
目の前の映像に映る青峰を、空と大地は真剣な表情で見つめる。
「いや、最高速なら、空や綾瀬の方が速い」
三杉が、解説をしていく。
「だが、青峰大輝は、加速力、減速力が尋常ではない。それに加えて、動きが読みづらいストリートのバスケが加われば、止めるのは困難だろう」
『…』
三杉の分析に、選手達は息をのむ。
映像は続き、青峰の見せるプレーに、花月の選手達は圧倒されていく。
そして、映像は切り替わるとそこには、今年のインターハイ予選の決勝リーグの誠凛対桐皇の試合が収録されており、そこで、青峰と火神が壮絶な1ON1を繰り広げている。
方や、高校最高の男…。
方や、高校最速の男…。
両者の激突は、試合を…、会場を飲み込んでいった。
「すげぇ…」
静まり返る室内に、ようやく吐き出された言葉がこの感嘆の言葉。
キレ、スピード、テクニック…。
高校最高クラスの両者が、一進一退の戦いを繰り広げている。
「ゾーンか…」
堀田がポツリと呟く。
「やはりそうですか…」
「…紫原の時もそうだったが、ゾーンに入ると、ここまでのバケモンになっちまうのか…」
冷や汗を流しながら、2人の戦いを見届けている空と大地。
『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』
結局、試合は、両チームのエースがゾーンに入ったものの、それ以前に付いた点差を縮めることが出来ず、桐皇が誠凛を降した。
「…凄まじいまでのオフェンス力だな」
「ディフェンスに優れた陽泉とは対照的の、超オフェンス型チーム」
「当たり前の話だけど、準決勝は激戦になる」
試合映像を見て、各々が覚悟を決める。
「…けど、次の試合には、堀田先輩は出られないんだよな…」
『…』
何気なく呟かれた言葉に、全員が黙り込む。
堀田は、今日の試合後に足の不調が見つかったため、次の準決勝…、桐皇戦は欠場が決まった。
それはつまり、最強の矛を持つ相手を前に、最硬の盾を失ったと同義。
花月高校は、痛手を被ることとなった。
「なーに暗くなってんスか?」
黙り込んだ室内に、空が口を開いた。
「堀田さんは出れない。ディフェンスに不安がある。…だったら、相手以上に点を獲るだけでしょ」
ニヤリと笑みを浮かべながら口にしていく。
「超オフェンス型チーム相手に点の取り合い……、考えただけでゾクゾクしてきたーっ!」
「……確かに、空の言う通りですね。我々は、ディフェンス頼りのチームでありません。ならば、1点でも多く、相手から奪うのみです」
大地も空の言葉に賛同するように続いた。
「空の言う通りだ。堅守なんざ、俺はそんな鍛えかたをしたつもりはない。…オフェンス主体のチームなんざ、力でねじ伏せてみせろ」
『…っ!』
上杉の言葉に、選手達は、目をギラつかせる。
その後、選手達は、消灯時間ギリギリまで、映像を見ながら対戦相手の研究を続けたのだった……。
※ ※ ※
一方、桐皇学園高校……。
こちらも、同時刻にスカウティングが行われていた。
「言うまでもありませんが、次の準決勝、相手は強いです。スタメンの方はもちろんですが、控えの方も、研究を怠らないでください」
監督の原澤がそう告げると、映像がスタートする。
流れるのは、インハイ2日目の花月対陽泉の試合。
――バキャァァァッ!!!
堀田が、紫原を吹き飛ばし、ボースハンドダンクを叩き込んだ。
「…あの紫原をパワーで吹き飛ばしやがった」
背筋を凍らせながら顔を引き攣らせる若松。
「堀田健。花月高校の姉妹校である、アメリカの高校からやってきた選手で、中学、高校では、日本での記録はほとんどありません」
マネージャーの桃井が、自身のノートを開きながら説明していく。
「1番の特徴は、他者を圧倒する尋常ではないパワーとスピードを兼ね備えた身体能力。そして、キセキの世代に引けを取らないテクニックです」
『…』
「そのパワーは、遺伝子レベルで敵わないとまで言われるアメリカ人を相手にしても健在で、アメリカでも、彼とパワー勝負をして勝てる者はほとんどいません」
『…っ!』
次々と明かされる情報に、桐皇の選手達は表情が曇っていく。
「ですが、彼のことに関しては、気にする必要はありません」
「? どういうことだ?」
主将の若松が、桃井の言葉に疑問を覚え、尋ねる。
「堀田健は、次の試合には欠場するそうです」
「欠場? …どこか、怪我でもしたんかのう?」
1年生、今吉誠二が、自身の推測を口にする。
「はい。怪我による欠場です。原因は考えることもなく…」
「陽泉戦…、紫原とのマッチアップが原因か…」
「怪我が治らないまま続く、3回戦、準々決勝を出場してしまったため、準決勝は欠場ということでしょう」
原澤が、ボソリと言う。
「ということは、明日はそれだけ点が取りやすくなるってことだな」
最硬の盾がない。それだけ、最強の矛が通りやすくなる。
「続いて、10番、神城空」
切れ味のあるドライブで、相手ディフェンスを抜きさる。そのままインサイドに切り込んでいくと、ヘルプが2人やってきて、空の進路を塞ぐ。
すると、空は立ち止まり、その場でクロスオーバー、レッグスルーで揺さぶりをし、ボールを背中から手首のスナップを利かせると、2人の頭の上を越えながら背後にボールを落とす。そのボールを味方が拾って得点を決める。
「去年の全中大会で、当時、無名校であった星南中学を優勝に導き、MVPを獲得したポイントガード。クイックネスに長け、相手をあざ笑うかのようなトリックプレーを好む選手。調子の波が激しい選手ではありますが、花月高校において、もっとも次のプレーの予測が難しい選手です」
相手の次のプレーはおろか、その選手がどう成長するかまで調べ上げる桃井においても読みづらいと言う。
「バスケスタイルは、青峰に似てるか?」
「…いや、通常のプレーにストリートのテクニックを取り入れている程度だから、青峰とは違うな」
「マッチアップは、…言うまでもなくワシか。…全中はワシも見とったが、それからまた成長しとるのう」
げんなりしながら、溜息を付く今吉。
「まあしかし、単純そうな性格してそうじゃし、この手のタイプ得意やから、全力で抑えるかのう」
表情を特に変えず、目だけ光らせ、気合いを露わにする今吉だった。
「次に、11番、綾瀬大地」
高速の切り返しで、相手ディフェンスを抜き去る。その後、当然、ヘルプがやってくるのだが…、大地は、クロスオーバーでかわしにかかる。当然、相手はそれに付いてくるのだが…。
大地は、相手ディフェンスが自身に並走した瞬間、バックステップで急バックする。
相手は、突然、大地が下がったことに驚愕し、慌てて追走しようとするが、間に合わず、大地は、そのままジャンプショットを決めた。
「彼も、全中大会優勝のもう1人の立役者。先ほどの神城空と同等の身体能力を誇り、そのスピードを生かしてガンガン切り込んでくるスラッシャータイプの選手です」
「速いな…」
「それ以上に、あのフルドライブからの高速バックステップ。あれ、やばくないか?」
大地の、1番驚異に感じたのがフルドライブからのバックステップだ。
実際、左右の揺さぶりには対応出来ても、前後の揺さぶりは対応しづらい。
「厳密に言うと、あれは全力のドライブではありません。せいぜい、8割と言ったところです。全速のドライブから急停止ならともかく、バックステップとなると、足腰がもちません。それは、大ちゃ…青峰君でも不可能です」
通常であれば、全速から急停止を行おうとすれば、足腰の負担は尋常ではなく、行ってしまえば、痛めることは必至。バックステップとなればそれ以上。
故に、大地も、ドライブからのバックステップを行う際は、ある程度、速度を落としている。
「バックステップを行う際の癖もありますので、そちらも後に説明します」
そう告げて、ノートのページを進める。
「次に、8番、天野幸次」
隙のないディフェンスで、マッチアップ相手を封殺していく。
「彼は、リバウンドも強く、ディフェンス、リバウンドなら、全国でも指折りのプレイヤーと言えます」
『…』
「オフェンスでは、スクリーンやポストプレーなど、味方のサポートに徹するロールプレイヤーです」
今まさに、切り込もうとしている味方に合図を出す天野。それに呼応して、ドライブで切り込む。相手ディフェンスは、追いかけようとするが、天野スクリーンに阻まれてしまう。
「上手いな…。抜群のタイミングだ」
「ディフェンスも、得意とするだけあって上手い。キセキの世代でも、抜くのは至難の業じゃないのか?」
スクリーンのタイミング、ディフェンスも、その高いレベルに、思わず唸り声を上げる。
「相手をするのは多分、福山だぞ。行けるか?」
若松が、首だけ後ろに向きながら福山に活を入れる。
「ディフェンスのスペシャリストだぁ? ハッ! ぶち抜きまくってやんよ」
指の骨をコキコキ鳴らしながら意気込みを露わにする福山。
「頼んまっせ? いっつも抜かれまくるんですから、せめて点取ってもらわんと」
「うっせ! 生意気だぞ、1年坊!」
野次を飛ばした今吉の髪の毛を笑いながらグシャグシャする福山。
「…続けます。次に、堀田健の代わりに出場するであろう選手の説明をします。まずは、松永透」
映像は、県予選の決勝リーグの試合に変わる。
「元照栄中学校の主将。彼が1年時には、木吉さんが守備を、松永君が攻撃の2枚看板のチームでした」
「確かに、センターのくせに、1ON1スキルが高いな」
「照栄中学入学時は、身長173㎝で、任されていたポジションはフォワードでした。ですが、木吉さんが抜け、それから急激な身長の増加と、チーム事情によって、センターを任されることになりました」
「なるほど…」
「ということは、明日出てくりゃ、相手すんのは俺なわけだな」
若松が、不敵に笑いながら気合いを入れる。
「そうなります。若松キャプテンなら、問題なく相手に出来ますので、よろしくお願いします」
「おっしゃぁっ! 任せろ!!!」
若松の気合いがこもった怒声が室内に響き渡った。
「若松君。気合い充分なのは結構ですが、他の方の迷惑になりますから、声のボリュームは抑えてくださいね」
「す、すいません…」
原澤にそっと戒められ、シュンっと落ち込む若松だった。
「続いて、もう1人の出場する可能性のある選手、生嶋奏」
映像は、生嶋が放ったスリーが綺麗にリングの中央を潜る場面に変わる。
「…(ピクッ)」
それを見て、桜井の身体が反応する。
「元城ヶ崎中出身のシューターであり、身体能力こそ、高くありませんが、テクニックも優れており、1番の武器は、アウトサイドシュート」
「どうよ? 桜井」
同じシューターである桜井に意見を求める。
「…すごいです。打った瞬間、鳥肌が立ちました。特に、試合終盤スタミナが切れ、リズムもフォームが崩れているのにも関わらず、外す気配がありません」
「彼が出場した場合、マークは厳重にお願いします。最強のシューター、緑間君のような射程距離があるわけではありませんが、こと、精度に関していえば、緑間君を上回るほどの選手ですので」
「…確かに、外したシュートは1本もなかったな」
ピュアシューターの桜井でさえ、1試合を通してのスリーの成功率は百発百中とはいかない。だが、生嶋は、ボールに触れられなかったものに関しては全て決めている。
「桜井。もしこいつが出てきたら、頼むぞ」
「撃たせませんよ。彼より多く決めてみせます」
静かに気合いを入れる桜井だった。
「では、最後に…」
映像が切り替わると、そこには三杉誠也のプレーが流れる。
「テクニック、身体能力、全てが高校最高水準だな…」
「…あの氷室を、ああもあしらうとは…」
流れる映像を見て、溜息をもらす選手達。
「基本プレーを極限にまで体得した、青峰君とは対照的な超正統派の選手。それは、陽泉の氷室さんをも上回るレベルです」
『…』
「堀田さんと同じく、アメリカで活躍するプレイヤーであり、彼の1番の武器は、相手の心を理解し、支配するところにあります」
すると映像が、氷室を抜き去るシーンに切り替わる。
氷室は、目を見開いたまま、身動きが出来ないまま抜き去られていく。
「このシーン、僕も見てましたけど、何がなんだか…」
「氷室は、どうして動けなかったんだ?」
実際に目の当たりにしても、映像を見ても、このからくりを理解出来ない選手達。
「三杉さんのフェイクは、実物と見間違うほどの精度です。それを巧みに見せつけ、本物とフェイクの判別を付かなくさせ、最後には、どちらも選択出来なくなり、動けなくなります」
『…』
「ですが、陽泉戦での三杉さんは、まだ手の内の全てを見せておりません。まだ、切り札が残っていると断言できます」
『っ!?』
桃井が、そう告げると、再び室内にどよめきが走る。
「三杉さんは、バスケ選手以外でも、メンタリストとしての一面や、心理学者として、研究結果を発表したりなど、あらゆる一面を持っている方でもあります」
「? …それがいったい何の…」
いまいち理解出来ない選手達に、桃井が分かりやすい説明を始める。
「簡単に説明しますと、三杉さんは、今吉前キャプテンのように人の心を読むのに長け、無冠の五将の花宮さんのような頭脳を持ち、……私と同じデータを持ち合わせた選手です」
『っ!?』
この砕いた説明でようやく理解する。
サトリとまで称されるほど心理を読むことに長けた今吉誠二の従弟、今吉翔一。
優れた頭脳で、パスコースを選定し、スティールを連発する花宮真。
そして、1番の動揺となったのが、驚異的な情報収集能力から、相手の未来の成長傾向まで見抜いてしまうほどの桃井と同等のデータを持ち合わせていることだった。
桃井のデータは、桐皇の要の1つとも言えるものであり、相手の次の行動を予測し、並の相手なら封殺出来てしまう。
「マジ…かよ…」
この事実に、桐皇の選手達の動揺を隠せない。何せ、自分達のこれまでの強みが、次の試合では自分達に返ってくるからだ。
「…堀田がいないとは言え、次の試合も激戦になるな…」
ボソリと、身震いしながら言葉を発する選手達。
「氷室でも抑えられなかった以上、三杉のマークを出来るのは…」
当然、桐皇のエースであり、キセキの世代に数えられる青峰大輝。だが…。
「その三杉を止める鍵となる青峰はどこに行ったんだ…!」
この場に、青峰大輝がいないことに、今更怒りを露わにする若松。
「すいません…。来るように言ったんですけど、必要ないと言って、何処かに行っちゃいまして…」
桃井が自分のことのように申し訳なさげに頭を上げる。
「ふむ、秀徳戦では珍しくデータを受け取ってくれましたが…困ったものですね…」
原澤も軽く溜息をつく。
いない者は仕方がないと、選手達は再び研究を続けていった……。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
その頃、青峰はと言うと…。
桐皇学園高校の選手達が宿泊するホテルの近くの公園に来ていた。
そこには、簡易ながらリングもあり、そこにボールを持ち寄っていた。
「…」
青峰は器用に人差し指でボールを回し、それをリングに放る。
――ガン!!!
ボールはリングに弾かれる
それと同時に青峰は駆け出し、跳躍。
――バキャァァァッ!!!
そのボールをリングに押し込む。
「……くくくっ、あははははっ!」
そして、おもむろに笑い出す。
「待ちきれねぇ…。早く明日になりゃいいのによぉ…!」
明日の花月戦。相手には、自分と同等クラスの選手が2人も存在する。
強者との戦いに何よりも渇望する青峰にとって、それは楽しみ以外の何物でもない。
青峰は、その抑えられない興奮を、発散するかのように、身体を動かしていったのだった……。
※ ※ ※
準決勝前夜…。
各々の選手達が、決勝へと駒を進めるため、夜遅くまで研究を続けていった。
そして夜が明け、激闘が……始まる……。
続く
新年を迎えれば、時間が出来るかと思いましたが、意外と時間が出来ず…(^-^;)
それと、私事でありますが、携帯が壊れました…orz
ついにガラケーからスマホに進化しました!
一生ガラケーを誓った過去の自分よ……すまん…m(_ _)m
スマホすっげー便利だわ…(^-^)/
感想、アドバイスお待ちしています。
それではまた!