黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

久しぶりに結構空いてしまいました…(;^ω^)

それではどうぞ!



第207Q~負けず嫌い~

 

 

 

花月と誠凛、共に1歩も退かずにぶつかり合う。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

天野と接触しながらも得点を決め、フリースローをもぎ取った火神が落ち着いてフリースローを決める。

 

 

第2Q、残り7分49秒

 

 

花月 34

誠凛 34

 

 

『3点プレーを成功させた!』

 

『遂に追い付いたぞ!』

 

 

「火神、かなり鍛え込んだみたいだな」

 

決してフィジカルは弱くはない天野と空中で接触しながらも即座にバランスを立て直し、得点を決めた火神を評価する緑間。

 

「フィジカルもそうだが、特に体幹の強さが依然とは段違いだ。恐らく、今の火神は、紫原とぶつかり合っても当たり負けしないだろう」

 

キセキの世代において、1番のフィジカルの持ち主であろう紫原を引き合いに出した赤司。

 

「…」

 

僅かに赤司に一瞥をくれた紫原だったが、反論はしなかった。

 

「誠凛は、かがみん任せじゃなくて、チーム全員で点を取りにいってるね」

 

トライアングルオフェンスでボールを回し、得点を散らしている誠凛。

 

「火神1人におんぶに抱っこのチームだったら、決勝までこれてねえだろうし、夏も優勝出来なかっただろうよ」

 

桃井の指摘に、青峰がそう返したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

「よし!」

 

ベンチに座るリコが拳を握りながら喜びを露にする。

 

「一昨年のウィンターカップ終了後に鉄平が抜けて、去年の冬には日向君達、2年生が抜けた」

 

誠凛は、火神や黒子が注目されがちだが、チームを支え、一昨年のウィンターカップを制する事が出来たのは、1学年上の先輩達の活躍を大きい。

 

「日向君の世代が抜ければ、唯一のスタメンで、キセキの世代と同格の火神君頼りになるのは明白。だけど、それでは、全国どころか、東京都大会さえ、勝ち抜く事すら困難」

 

東京都には、キセキの世代を擁する秀徳や桐皇を始め、かつては東京の三大王者と呼ばれていた正邦や泉真館など、他にも全国レベルのチームが多く存在する。

 

「火神君を孤立させない為に用意したのがこのトライアングルオフェンスよ。今年を想定して去年の内から準備していたんだから、付け焼き刃じゃないわよ」

 

フフンと笑みを浮かべるリコ。

 

「日向君や鉄平のような強力な武器はなくとも、不得意分野のない2年生達に、脇を固められる3年生達もいる。簡単には行かせないわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

花月のオフェンス、空がボールを運ぶ。

 

「…」

 

フロントコートまでボールを運んだ空。

 

「キャプテン!」

 

左ウィングの位置に立つ竜崎がボールを要求。すかさず空が竜崎にパスを出す。

 

「…っし!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ボールを掴むのと同時に中に切り込む竜崎。

 

「っ!?」

 

追いかけようとした朝日奈だったが、天野のスクリーンに阻まれる。

 

「打たせない!」

 

田仲がヘルプに飛び出す。ボールを掴んだ竜崎がそのまま飛ぶ。

 

 

――スッ…。

 

 

「…っ!?」

 

リングから離れた位置でボールを掴んで飛んだ竜崎は、レイアップの体勢で田仲のブロックの上を越えるようにボールを放った。

 

「(よし!)」

 

竜崎の十八番のスクープショット。高さもコースも完璧に決まり、胸中で決まるのを確信する竜崎。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「…えっ?」

 

その時、田仲の後ろから1本の手が現れ、ボールが叩かれた。

 

「決めさせねえぞ!」

 

ブロックしたのは火神だった。

 

「(あのボールを!? 何て高さだ!)」

 

190㎝を超える田仲のブロックの上に放ったボール。そのボールを悠々とブロックしてしまった火神に驚きを隠せない竜崎。

 

「オーライ!」

 

火神がブロックしたボールはバックボードに当たり、池永のいる方向へと飛んでいった。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「…あっ!? …野郎!」

 

ボールを確保しようとした池永だったが、思わず声を上げる。

 

「いただくぜ」

 

池永より先に、空がボールを掴み取ったのだ。

 

「おら!」

 

ボールを掴み取った空はそのままリングに向かって飛んだ。

 

「させっかよ!」

 

先程ブロックした火神が着地と同時に再度ブロックに飛び、空とリングの間に割り込む。

 

 

『もうブロックに!?』

 

即座に反応し、空のシュートコースを塞いだ火神に驚きの声を上げる観客達。

 

 

――スッ…。

 

 

しかし、空は動じる事無くボールを下げ、ボールを持った手を回すようにして火神の背中越しにパスを出した。

 

「ナイスパス!」

 

 

――バス!!!

 

 

ボールは松永の手に渡り、落ち着いてゴール下から得点を決めた。

 

 

花月 36

誠凛 34

 

 

「…ちっ」

 

ブロックには間に合ったものの、パスに切り替えられ、舌打ちをする火神。

 

「わりーな、こっちは紫原さんや黄瀬さんとやり合ってんだ。今更その程度じゃ驚かねえぜ」

 

ドヤ顔で空が火神に向けて告げる。

 

「…新海、次も俺にボールくれ」

 

ディフェンスに戻る空の背を見つめながら火神が新海に要求した。

 

 

新海がボールを運ぶと、要求通り、火神にボールを渡す。

 

「…」

 

「…」

 

ボールを持った火神と対峙するのは大地。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ジャブステップを踏み、ボールを小刻みに動かしながら牽制した後、火神が仕掛ける。仕掛けた火神を追いかける大地だったが…。

 

「…っ」

 

スクリーンをかけた田仲がおり、即座に反応してスクリーンをかわすが、その隙に火神に引き離されてしまう。

 

「させん!」

 

リングへと突っ込む火神に対し、松永がヘルプに飛び出す。

 

 

――ドン!!!

 

 

「ぐっ!」

 

空中で火神と松永が接触し、松永が吹き飛ばされる。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

 

同時に審判が笛を吹く。

 

 

――バス!!!

 

 

火神はレイアップでボールをバックボードに当てながらボールをリングに潜らせる。

 

『ディフェンス、プッシング松永(赤8番)、バスケットカウントワンスロー!』

 

笛を口から放した審判がそうコールした。

 

 

『うおー! またバスカンだ!!!』

 

先程に続いて、ボーナススローを獲得し、歓声が上がる。

 

 

「…くっ」

 

思わず苦悶の声を上げる松永。

 

今のはファールは覚悟で身体で止めに行った松永。だが、止める所か吹き飛ばされ、フリースローを与えてしまった。

 

 

「すげ…、あいつ、あんな当たり強かったか?」

 

今のプレーを見て驚きの声を上げる福井。

 

「ワシらがやり合った時は火神(あ奴)はまだ1年。素質はあってもまだ成長し切ってなかった」

 

「…」

 

「あれから2年も経ったんじゃ。成長期も相まって身体も充分に出来上がった。今の火神相手では、そこらのインサイドプレーヤーとのぶつかり合いでは負ける事はないじゃろう」

 

岡村がそう分析した。

 

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

火神はフリースローを決め、再び3点プレーを完成させる。

 

 

花月 36

誠凛 37

 

 

「アカンのう、火神のフィジカルは半端ないわ。迂闊にブロック行ったらみすみすバスカンプレゼントするようなもんやで」

 

松永同様、先程火神を止めようとしてフリースローを与えてしまった天野が顔を顰める。

 

「紫原さんとやり合った時にも思ったが、シンプルに圧倒的なフィジカル押してくる相手ってのは、面倒極まりねえな」

 

大地の下へ歩み寄った空が話しかける。

 

「…」

 

対して大地は返事をせず、火神の方へ視線を向けている。

 

「…大地」

 

そんな大地に空は肩に手を乗せながら呼びかける。

 

「…あっ、えっ、空?」

 

ここで初めて大地は空に話しかけられた事に気付く。

 

「ボールを回す。任せるぜ」

 

そう告げ、肩から手を放し、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…空坊」

 

ゆっくりボールを運ぶ空に、天野が声を掛ける。

 

「綾瀬で行くんか?」

 

「当然」

 

天野の問いに、空は即答する。

 

「大丈夫なんか? さっきも最後の方、危なかったやんけ」

 

大地にボールを回すと言う事は、当然、火神とのエース対決をする事となる。第1Qでもぶつかった両者だが、その時は火神に均衡が傾く前に空が介入した事でうやむやになったが…。

 

「大丈夫。ようやくスイッチが入ったみたいだし」

 

ニヤリと笑う空。

 

「あいつは俺と同じくらい負けず嫌いですからね。ある程度やられないとスイッチが入らないんですよ。…ようやくスイッチも入ったようだし、ここからの大地は見物ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ボールを運んだ空。

 

「行け!」

 

すぐさま大地にパスを出した。

 

「そう来なくちゃな。第2Rと行こうぜ」

 

大地の前に立ち塞がった火神がニヤリと笑みを浮かべる。

 

「…」

 

ボールを掴んだ大地は表情を変えず、ジャブステップを踏み、ボールを大きく動かしながら隙を窺う。

 

「(3年前のあの日、私は空と共にキセキの世代を倒す誓いをした…)」

 

3年前の全中大会、空と大地は始めてキセキの世代のプレーを目の当たりにした。キセキの世代の才能に圧倒されながらも、2人は彼らの打倒を誓い、高校でそれを果たした。

 

「(空は真っ向からキセキの世代に立ち向かい、あの赤司さんに勝った。では、私はどうだっただろうか…)」

 

基本的に、キセキの世代とは大地がマッチアップする事が多かった。空同様、真っ向から戦って見せた。去年の冬に青峰を擁する桐皇に、今年の夏には赤司を擁する洛山に負けたが、去年の冬には緑間擁する秀徳を、今年の夏には紫原を擁する陽泉、黄瀬を擁する海常に勝ち、今大会で、桐皇と洛山にリベンジを果たした。

 

「(ですが私は、キセキの世代(彼ら)には勝てなかった…!)」

 

チームでは勝利を飾ったが、個人では負けたと断ずる大地。

 

「(空はチームの司令塔として、主将として花月を率い、戦い勝った。ですが私は、花月のエースを託されたはずの私は、その任を全う出来なかった…!)」

 

敗北とは断言出来ずとも、決して勝てたとは言えない大地とキセキの世代の対決。ここ1番で空の助けがあり、それで何とか勝てた。だが、自分1人では試合にもキセキの世代にも勝てなかった。その事が、大地を苦しめていた。

 

「(だから今日は…、今日こそは…! チームのエースとして、キセキの世代を破った火神さんを倒します!)」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

大地がドライブを仕掛け、カットイン。

 

「…っ!」

 

これに火神も反応、ピタリと遅れずに大地を追いかける。

 

 

――ダムッ…。

 

 

直後に重心を落とした大地はビハインドバックで切り返し…。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

再度、ビハインドバックで逆に切り返した。

 

 

「ダブルビハインド・ザ・バック…いや、シェイク&ベイクか!?」

 

観客席の元秀徳、宮地清志が声を上げる。

 

 

「野郎…!」

 

一瞬、不意を突かれるも、火神は即座に対応する。

 

 

――スッ…。

 

 

シェイク&ベイクと同時に大地はボールを掴み、ステップバックで斜め後方へとステップし、ステップした足でそのまま後方へと飛びながらシュート体勢に入った。

 

「…っ!」

 

即座にブロックに飛んだ火神。しかし、大地がボールをリリースしたのが僅かに速く、間に合わず。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールはそのままリングを潜り抜けた。

 

 

花月 38

誠凛 37

 

 

『何だ今の!?』

 

『スゲー速さで切り返しながら決めやがった!!!』

 

大地のプレーに観客が大興奮のあまり、一部立ち上がる。

 

 

「(こいつ、さっきよりスピードとキレが増しやがった!)」

 

第1Qでのぶつかり合いで、常軌を逸した緩急に苦しみながらも徐々に対応していった火神。しかし、大地のプレーはここに来てさっきより増していた。

 

 

「前に花月の試合見とった時にも思うたが、大地(あいつ)、桜井によう似とるな」

 

「えぇっ!?」

 

薄く笑みを浮かべながら今吉(翔)が言うと、それを聞いていた桜井が驚きの声を上げる。

 

「…言われて見れば、去年にやり合った時と違って、桜井と同じ、クイックリリースのスリーを良く打つようにはなったな」

 

若松が今吉(翔)の言葉に頷く。

 

「ちゃうちゃう。そっちやない」

 

今吉(翔)が手をヒラヒラさせる。

 

「負けず嫌いの方や」

 

改めてそう言い直した。

 

桐皇の特攻隊長と目された桜井良の特徴は、クイックリリースで放つスリーと、相手が強ければ強い程、スリーの精度が上がっていく事。

 

 

「ようやく調子出て来たな」

 

大地の得点を見て満足そうに頷く空。

 

「普段、練習であいつと1ON1すると、最初は結構勝たせてくれっけど、あいつの負けが込むと、途端に勝てなくなるんだよな」

 

花月では、もはや日常風景の1つなっている空と大地の1ON1。序盤は空が優勢。中盤に差し掛かると大地が盛り返す。終盤は空に火が付く為、結果はいつも引き分け、あるいはどちらかが僅差で勝って終わる。

 

「こうなった大地(あいつ)は、キセキの世代でも止めんのはキツイぜ。どうする火神さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

誠凛のオフェンス…。

 

「頼みます!」

 

ボールを運んだ新海はすかさず火神にパスを出した。

 

「驚いたぜ、ようやくエンジン全開って所か?」

 

ボールを掴んだ火神が目の前の大地に話しかける。

 

「お前と言い、神城と言い、スゲー奴ってのは次から次へと出てくるもんだな」

 

「恐れ入ります」

 

「ハハッ! 俄然やる気が出て来たぜ。やっぱり、バスケはこうでなくちゃな!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

不敵な笑みを浮かべた火神が一気に仕掛ける。

 

「…っ!」

 

火神が仕掛けたのと同時に大地も動く。バック走行で一定の距離を保ちながら火神を追いかける。

 

「(っ!? 俺と対峙したままでドライブに付いて来るのか!?)」

 

最速で仕掛けた火神のドライブ。常に自分と向き合った状態で対峙し続ける大地に驚く火神。

 

「(…やべっ、中途半端な位置でボールを止めちまった…!)」

 

大地を振り切れていない状態で、フリースローライン付近でボールを掴んでしまった火神。

 

「ちっ!」

 

仕方なく、火神は即座にフェイダウェイで後ろに飛びながらシュート体勢に入る。

 

「…っ」

 

これを見て、大地がすぐさまブロックに飛ぶ。しかし、大地が届くよりも速く火神がボールをリリース。

 

「(リズムもバランスも悪い、これは…!)」

 

ブロックには間に合わなかったものの、手応えは感じた大地がリングに振り返る。

 

 

――ガン!!!

 

 

予測通り、ボールはリングに弾かれる。だが…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

何度かリングを跳ねた後、ボールはリングを潜り抜けた。

 

 

花月 38

誠凛 39

 

 

「…ふぅ」

 

シュートが決まり、ホッと一息吐く火神。

 

「…」

 

「ハッハッハッ! そう悔しがるな。ありゃ半分マグレだぜ」

 

表情には出さないが、大地の心情を感じ取った空が声を掛ける。

 

「ガンガン行け。仮にダメでも俺が後で取り返すからよ」

 

そう言って大地の肩を叩く空。

 

「…ありがたい申し出ですが、あなたの手は煩わせませんよ」

 

空の言葉に苦笑する大地。その後、表情を改めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――キュッキュッ!!!

 

 

「っ!?」

 

花月のオフェンス。早々に大地にパスを出した空。大地がボールを掴むと、火神が距離を詰め、べったり張り付くようにディフェンスを始めた。

 

 

『スゲーディフェンス!』

 

『プレッシャー半端ねえ!?』

 

火神から放たれる圧力や気迫が見ている観客に伝わる。

 

 

「…っ」

 

バチバチとぶつかり合わんとばかりの火神のディフェンスに、大地の表情が歪む。

 

「(こいつはなまじ距離を取ると、スリーやバックステップでやりたい放題やられちまう。だったら、何もさせないつもりでフェイスガードで止める!)」

 

尚もべったりと張り付いてディフェンスをする火神。

 

 

「なるほど…」

 

「これも綾瀬を止めるには有効な選択肢の1つだ」

 

青峰、緑間が火神の選択に頷く。

 

 

「(アカンか…!)」

 

苦戦する大地を見かねて、天野がフォローに動こうとする。

 

「っ!?」

 

しかし、1歩踏み出した所で天野が足を止める。空が天野に向けて手で制したからだ。

 

「(まだ点差が付いた訳じゃないし、野暮な真似はやめましょう)」

 

「(どうなっても知らんで!)」

 

空の表情から何を言いたいかを悟った天野は胸中で悪態を吐きながら従った。

 

「…」

 

激しくプレッシャーをかける火神に対し、ボールをキープする大地。

 

 

『もうすぐ5秒だぞ!』

 

『ダメか!?』

 

 

「…っ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

ボールをキープしていた大地。一瞬の隙を突いて火神の背後へと抜けた。

 

 

「抜いた!?」

 

「…いや」

 

声を上げた桃井。しかし、青峰が否定する。

 

 

「(想定済みだ!)」

 

背後に抜けた大地を追う火神。

 

「(下手に並走すれば、バックステップで振り切られるだけだ。だったら、シュート体勢に入った瞬間に、大地(こいつ)の背後からボールを引っ叩く!)」

 

大地のバックステップに対抗するより、スリーを封じ、すぐ後ろを追いかける事でバックステップも封じ、背後からのブロックを狙う選択をした火神。

 

「(さあ、来てみろ!)」

 

ブロックをするべく、大地がシュート体勢に入るのを待ち構える火神。

 

 

――キュッキュッ!!!

 

 

「(…なっ!?)」

 

しかし、大地はシュートを打たず、フリースローラインを越えた所で急ブレーキをかけた。接触を避けるべく、火神も急ブレーキをかける。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

その後、大地は急ブレーキをかけた火神と自身が触れた瞬間、再発進した。

 

「ちぃっ!」

 

ブロックのタイミングをずらされ、思わず舌打ちをする火神。

 

 

――バス!!!

 

 

火神を振り切った大地はそのままレイアップを決めた。

 

 

花月 40

誠凛 39

 

 

「上手い。アメリカだと、抜いてもシュートを打つ頃にはブロックされる。こんな事はざらだ。ただリングに突っ込むのではなく、緩急を付けてブロックのタイミングをズラすのが正解だ」

 

大地のプレーに称賛の言葉を贈る三杉。

 

「再びリードです」

 

「…そうでなくちゃな!」

 

大地の言葉に、火神は笑ったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





ネタ探しの中、原作を読み返したりアニメを見返している中で、1つ疑問に思ったのが、全中3年目の決勝で、赤司が黒子と1度は交わした、本気で戦うと言う約束を何で反故にしたか。赤司は、他の試合では何も言わなかったのに、自分の友達がいる相手の時だけそれを言うのは筋が通らない的な事を言ってましたが、少し首を傾げるんですよね。例えばこれが、明洸が可哀想だから手加減してやってくれって事なら分かるんですが、黒子の願いはあくまでも真面目に試合してくれって事ですから、別にいい加減な頼みではないですからね。赤司がその気になれば当時のキセキの世代達に、力の差があり過ぎるから本気は無理でも、真面目に試合させる事は難しくありません。緑間は言われなくても真面目にやるし、紫原は赤司の言う事には逆らわないし、青峰は、黒子の頼みだと言えばまあ、ある程度真面目に試合はやるでしょう。唯一、黄瀬が怪しいですが、他の4人が表面上、真面目に試合してるのに1人足並みを乱す事も多分しないでしょう。では、何で赤司は黒子の約束を反故にしたか、自分には2つの仮説があるのですが、この後書きで書くと、メチャメチャ長くなるので、近いうちに活動報告に書くと思うので、もしよろしければお立ち寄りください…m(_ _)m

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!

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