投稿します!
非常事態が起きた…(゚Д゚;)
それではどうぞ!
第3Q、残り8分15秒
花月 42
洛山 48
その後も1本ずつ、花月は大地が、洛山は今やお家芸とも言える赤司の号令によるナンバーコールからナンバープレーによるボール回しでフリーの選手を作り出し決めた。
「19番だ!」
――ピッ!!!
号令と同時に赤司がハイポストに立った四条にパスを出す。
『…っ』
目まぐるしく動くボールと人。花月の選手達の表情が苦悶のものとなる。
――バス!!!
シュートクロックが残り5秒となった所で示し合わせたかのようにゴール下でフリーとなった五河にボールが渡り、得点を決めた。
花月 42
洛山 50
『うおぉぉぉっ! 鮮やか!!!』
『こんなのどうやって止めんだよ!?』
興奮する観客と頭を抱える観客。
「1…4…2…3――」
何かを考えながらぶつぶつと呟く空。
「空坊、まだかいな!」
そんな空に天野が焦りの表情で話しかける。
「後少し、後少しで目途が立ちそうなんです。それまで粘って下さい」
天野を落ち着かせるように空が返事をする。
「(何を考えている…)」
そんな空を、赤司が怪訝そうな表情で視線を向けていた。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「1本!」
攻守が切り替わり、空が人差し指を立てながらボールを運ぶ。
「…」
そんな空の前に赤司が立ち塞がる。
「「…」」
大地の前にはダブルチームでマークする三村と四条。
「…」
右45度付近のスリーポイントラインの外側に立っていた大地。
「「っ!?」」
ダブルチームを引き剥がすように更に外へと駆け出し、展開。
――スッ…。
その動きに呼応するかのように空がボールを掴み、後方に倒れ込むかのように上体を寝かせ、背中がコートに付くスレスレで右手でボールを構えた。
「…させん」
「残念♪」
赤司がパスコースに割り込んだのと同時に空はボールを頭上で両手でガッチリ掴みなおし、中へとボールを高く放った。
『なっ!?』
するとそこには、大地が飛び込んでいた。大地は外に展開してマークを引き剥がした直後、すぐさま中へと猛ダッシュし、ジャンプ。そこへタイミング良く空からのパスが飛んで来たのだ。
――バチィッ!!!
飛び込んだ大地の右手に収まるボール。大地はそのままボールを振り下ろした。そこには…。
『っ!?』
既に走り込んでいた空が。赤司の手をかわすように中へと高くボールを放った直後、空は両足を滑らせるように後ろへとスライドさせて体勢を立て直すとすぐさま中へと猛ダッシュ。大地の手から振り下ろされたボールを掴んだ。
「っしゃぁっ!」
ボールを掴むのと同時に空がリングに向かって飛んだ。
「おぉっ!」
そんな空に対し、五河がブロックに飛び、空とリングの間に割り込む。
――スッ…。
「っ!?」
空は1度ボールを下げて五河のブロックを掻い潜る。
――バス!!!
直後に再度ボールを掲げて放る。ボールはバックボードに当たりながらリングを潜り抜けた。
花月 44
洛山 50
『何だ今のリターンパス!?』
『洛山もスゲーけどこっちもスゲー!』
洛山の高速のボール交換とは違う、2人の連携に舌を巻く観客達。
「…」
やや、不機嫌気味な表情で空に視線を向ける赤司。
もっとも、それは驚異的な反射速度を持つ空だからこそ出来る芸当ではあるが…。
「パスだけでなくて、連携まで仕掛けてくるか…」
「桐皇戦に見せたあいつらのシンクロによるパスか。実際、味わうとマジで面倒だな」
思わず愚痴が零れる二宮と三村。
ナンバープレーのような決められた動きをするのと違い、今のは完全にその場のアドリブによるパス交換。それを事前の打ち合わせも無しでこなしてしまう空と大地。
「狼狽える必要はない。それよりもオフェンスだ。確実に決めていけば追い付かれる事もないのだからな」
赤司が選手達を落ち着かせる。
「分かってる。次もきっちり決めて行こうぜ」
『おう!!!』
二宮の言葉に他の選手達が応えたのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「50番だ!」
赤司の号令から始まる洛山のボール回し。
『…っ』
必死にボールと相手選手を追って対応に努める花月の選手達。
「…」
ボールと洛山の選手達が目まぐるしく動く中、空が右隅に向かっている二宮の後を追う。
「33番!」
ここで赤司がコールナンバーを変更する。
「(となれば…)」
ナンバーの変更を聞いて二宮から視線を外し、他の選手達の動きに注視する。
――ピッ!!!
中から外、また更に中へとボールが大きく動く。
「よし!」
ボールは左アウトサイド、ややコーナーよりの場所に移動していた四条の手に渡る。
「あっ!?」
1番近い位置にいた生嶋が慌ててチェックに向かうが…。
――ザシュッ!!!
それよりも速く四条が放ったスリーがリングを潜り抜けた。
花月 44
洛山 53
『ここでスリー!』
『点差が開いた! 流れが変わるか!?』
「よし、よし!」
スリーを決めた四条は喜びを露にする。
「しまった、中に釣り出された…!」
外に展開していた四条に気付かず、思惑通り、中に動かされてしまった生嶋が悔しがる。
「…生嶋」
「ごめん。次は絶対外は打たせないから」
生嶋に話しかけた空。生嶋は申し訳なさそうに謝る。
「いやいい。それより、もう十分だ」
ニヤリとしながら空が言う。
「おっ? 遂に行けるんか?」
「次から行けそうです。…それじゃ、反撃開始と行きましょうか」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
――ダムッ…ダムッ…。
ゆっくりと空がボールを運ぶ。
「…」
首は動かさず、周囲を目を配りながらゲームメイクをする。
「…」
赤司のディフェンスの射程内に入ると、空は足を止め、赤司に集中する。
「「…」」
大地をマークする三村と四条は今度こそボールを持たせまいと大地の一挙手一投足に注視する。
「……ふぅ」
空は一息吐くと…。
――ダムッ!!!
今回はパスを出さず、クロスオーバーで切り込んだ。
――バシィィィッ!!!
「っ!?」
しかし、右から左へと切り返した直後のタイミングで赤司がボールをカットした。
『抜けない!』
『流れは洛山か!?』
観客が頭を抱える。
「甘い」
空の後方へと弾かれたボールに赤司が手を伸ばす。
「…ちぇっ、さすがに何度も突破させてくれないか」
赤司がボールを抑えるより速く空がコートに背を向けた体制で飛んだ状態で右手を伸ばし、ボールを抑えた。
――ピッ!!!
ボールを抑えると同時に体制を立て直し、そのまま右手を振り、パスを出す。
「よし!」
ボールはゴール下に移動した松永に手に渡る。
「打たすか!」
すぐさま五河がディフェンスに入る。
――ボムッ!!!
松永は1度シュートフェイクを入れて五河をブロックに飛ばしてから外にボールを捌く。
「ナイスパス、まっつん」
ボールは外に展開していた生嶋に。
「…くっ」
生嶋をマークしていた二宮は天野のスクリーンに捕まっていた。フリーとなった生嶋がシュート体勢に入る。
「…ちっ!」
仕方なく1番近くにいた三村がヘルプに走り、ブロックに飛んだ。
「っ!?」
ブロックに飛んだ三村。タイミングもギリギリ間に合っていた。しかし、生嶋は斜めに飛びながら三村のブロックをかわすようにリリースした。
――ザシュッ!!!
ボールはリングを潜り抜けた。
花月 47
洛山 53
『花月もスリーキター!!!』
「…くそっ」
「
要警戒の生嶋のスリー。みすみす決められてしまい、悔しがる二宮と三村。
「気にすんな。すぐに取り返せばいいんだよ!」
そんな2人を四条が励ます。
「オフェンスだ。秀平、彰人。後悔している暇があるなら次のオフェンスに切り替えろ」
「ああ!」
「分かってる!」
赤司の檄に2人は気持ちを切り替えながら返事をした。
ボールを受け取った赤司フロントコートまでボールを運ぶ。
「…」
フロントコートに到達と同時に洛山の選手達が所定の位置に立ち、赤司のコール指示を待つ。花月もこれまで通り、2-3ゾーンディフェンスを敷く。
「…」
赤司の目の前には不敵に笑う空の姿が…。
「(…このオフェンスで何かを仕掛けてくるか)」
第3Qが始まってから、空が洛山のボール回しを観察し、何か機を計っている事に赤司は気付いていた。空の表情でここで何か仕掛けて来る事を理解した。
「(何か突破口見つけたか…、いいだろう、何を企んでいるか、見せてもらう…)…89番だ!」
――ピッ!!!
コールと同時にハイポストに立つ四条にパスを出す。同時に洛山の選手達が動き出す。
『来た! 洛山のナンバープレーが!』
絶えず足とボールを動かし、花月のゾーンディフェンスをかき乱していく。
『…っ』
花月の選手達はフリーの選手を作らせまいと必死に対応を続ける。が、徐々にゾーンディフェンスを乱されていく。シュートクロックが残り5秒となった所でマークを振り切った二宮が右隅へと向かい、ボールを保持していた三村がパスモーションに入る。
「天さん!
「任せぇ!」
すかさず天野が二宮の下へ向かう。
「(残念だったな。本命はこっちなんだよ!)」
三村はパスモーションを中断。左アウトサイド45度付近のスリーポイントラインの外側に移動した四条へとパスを出した。
「(これでまた9点差だ!)」
四条がボールをキャッチする。
――バシィィィッ!!!
「っ!?」
ボールが四条の手に収まる瞬間、それよりも速く、突如現れた手にボールをカットされた。
「ドンピシャだ」
したり顔でニヤリと笑う空。
『っ!?』
これに洛山の選手達は一様に目を見開いた。
――バス!!!
ボールを奪った空がそのままワンマン速攻をし、レイアップで得点を決めた。
花月 49
洛山 53
『と、止めたぁぁぁぁぁぁー--っ!!!』
ボールを奪ってからレイアップを決めるまで静寂に包まれた会場。レイアップが決まるのと同時に会場は割れんばかりの歓声に包まれた。
「よーやった空坊!」
「うす!」
ディフェンスに戻る空を天野が頭を叩きながら労う。
「あ、赤司…!」
この一連のプレーに僅かに動揺を見せた三村が赤司に声を掛ける。
「…」
赤司は暫し考える素振りを見せ…。
「もう1回仕掛ける。それで見定める」
そう指示を出し、スローワーとなった五河からボールを受け取った。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
ボールを運んだ赤司からコールナンバーが発せられ、再びお家芸の高速のボール回しが行われる。
『…っ』
これまで通り、足とボールを高速で動かして花月のディフェンスを翻弄する。
――ピッ!!!
十数秒ボール回しでディフェンスをかき乱した所で本命の三村へとパスが出される。
――バシィィィッ!!!
「無駄だぜ!」
しかしこれも、空によってカットされた。
「(またカットされた!?)」
「(偶然ではない!?)」
先程と同様、再びボールを奪われ、洛山の中で動揺が走る。
「っしゃぁっ!」
ボールを奪った空が再びワンマン速攻に走る。
「っと」
しかしその直後、空が足を止める。
「2度も行かせん」
引き気味にポジション取りをしていた赤司がいち早くディフェンスに戻っていたのだ。
「さっすが赤司、対応が早い」
対応の早さに空は素直に感心する。
「ナイス赤司!」
速攻を防いだ赤司。空が足を止めた間に洛山の選手達がディフェンスに戻る。
「2度も速攻決めさせてくれる程、甘くはないか。…まあいい、お得意のナンバープレーにはもう慣れた。じっくり逆転させてもらうぜ」
速攻のチャンスを潰された空だったが、気落ちはなく、悠々とゲームメイクを始めたのだった…。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「凄い、洛山のナンバープレーを止めちゃった」
観客席の桃井が口元に手を当てながら驚いていた。
「…」
隣に座る青峰は特に表情を変える事無く試合を観戦している。
「けど、100近くもある洛山のデザインプレーのパスコースを神城君はどうやって…」
「花宮っていただろ?」
「去年まで霧崎第一高校にいた、無冠の五将の?」
桃井の疑問に青峰が答え始める。
「やってる事はあいつがやった事と変わらねえ」
「けどあれって、あらゆる試合のデータを基にパスコースを割り出してたんだよね? 神城君にそんな事…」
無冠の五将の1人、悪童、花宮の得意技の1つでもある、相手のパスコースを読み切ってスティールをする、通称、蜘蛛の糸。
「あの如何にも頭の悪そうな単細胞にそんな真似出来る訳がねえ」
鼻を鳴らしながら酷評する青峰。
「なら、どうやって…」
「まあ、慣れと、後は勘だろ」
「慣れと勘って、そんなので出来るの!?」
まさかの解説に桃井も驚きを隠せなかった。
「夏にもあのパス回しは経験してるからな。形は違えど大仁田のパス回しにも対応してたみてーだからな」
過去の経験故に出来ると断ずる青峰。
「けど、コート上にいる洛山の選手達って、皆、中からでも外からでも決められるんだよ? いくらパスコースが読めても神城君1人で対応出来る訳…、ましてや、指揮してるのは赤司君なのに…」
苦手プレーのない、万能な選手達で構成されている洛山の5人。それ故にオフェンスパターンも豊富である為、いくら空がパスコースを読み切れても全てのパスに対応出来る訳がないと桃井が疑問を持つ。
「言っただろ。やってる事は花宮と一緒だって。あいつの蜘蛛の巣のカラクリをよく思い出せ」
面倒くさそうに言い放つ青峰。
「えっと、確か……っ!? そうだ、確か、蜘蛛の糸はパスコースを限定するサポート役がいるんだった」
ここで桃井は蜘蛛の糸の仕組みを思い出す。花宮だけではパスコースは読めてもスティール出来ないパスがどうしてもある。そのパスコースを塞ぎ、パスコースを限定する役割を持った選手がいた事に…。
「その役割を果たしてんのが、綾瀬だ」
そう言われ、桃井がコートに視線を移すと、大地が空が対応出来ない選手のパスコースを塞ぐようにディフェンスをしていた。
「あいつは神城の考えをある程度、理解出来るみてーだからな。得意のシンクロで連動で動いて神城のサポートをしている」
空が対応出来ない選手にはすぐさま対応出来るよう動いている為、大地がいる近辺にはパスが出せず、仮にパスが通ってもすぐさま大地によって対応され、とてもではないがシュートまで持って行けない。
「後、花宮のとちげーのは、あくまでもボールをスティールするのは花宮の役割だったが、あいつらは――」
――バシィィィッ!!!
二宮から四条に出されたパスを大地がスティールした。
「綾瀬がサポートだけじゃなくてスティールにも回る点だ」
状況に応じて、スティール役とサポート役を入れ替え、ボール奪取する役を変更している所が本家の蜘蛛の糸と違う所だと解説する。
「スティール役とサポート役を随時変更する事で、精度を上げてる。後は、神城と綾瀬の運動量、スピード、反射速度は花宮とは比較にならねえ。これがナンバープレーに対応出来ている理由だ」
「なるほど…」
青峰の解説に聞き、驚きながらも納得する桃井。
「(さて、このままじゃジリ貧だ。どうすんだ赤司?)」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
――バス!!!
ローポストの松永にパスが通り、松永が強引にゴール下に押し込み、得点を決めた。
第3Q、残り5分7秒
花月 57
洛山 57
『追い付いたぁっ!!!』
「よーし!」
「ええでマツ! よー決めた!」
拳を握る松永。そんな松永の背中を叩きながら労う天野。
『…っ』
遂に背中を捉えられた洛山。選手達の表情が曇る。
「…」
赤司だけは、表情を変える事無くディフェンスに戻る空に視線を向けていた。
「14番だ!」
赤司のナンバーコールから洛山の高速のボール回しが始まる。
「(しょーこりもなくナンバープレーかよ。芸がないぜ!)」
空がボール回しに合わせて動き出す。その動きに合わせて大地も動く。
「(奴らの動きとボールの動きから、最後、打ってくるのは……、お前だ!)」
20秒と、長い時間、ボール回しをした洛山。その動きからパスコースを割り出し、空が動く。
「(そこですね)」
大地が他の選手のパスコースに割り込み、パスコースの限定に動く。
――ピッ!!!
トップのポジションでボールを掴んだ三村が左アウトサイドの深めのポジションに立つ二宮にパスを出した。
「(今度もドンピシャ。これで逆転だ!)」
読み通り、空が二宮のパスコースに手を伸ばして割り込んだ。
――バシィィィッ!!!
「なっ!?」
ボールは空が伸ばした手に弾かれる…、はずだった。それよりも速く、また新たに現れた手によってカットされた。
「赤司!?」
現れた手の正体は赤司。空がスティールするより先に赤司がそのボールをカットしたのだ。
『っ!?』
これには洛山の選手達も驚いていた。
――ピッ!!!
ボールをカットした赤司はすぐさまローポストの五河にパスを出した。
「打て!」
「おぉっ!」
――バス!!!
ボールを掴んだ五河はそこからリングの方へ反転、シュートを決めた。
花月 57
洛山 59
「…っ!」
思わず空が赤司の方へ振り返る。
「それで出し抜いたつもりなら、考えが甘い。洛山を…僕達を舐めるな」
挑発するように赤司が空に告げ、ディフェンスに戻っていった。
「…ハハッ! やっぱ、一筋縄じゃいかねえな。…そうこなくちゃな」
その言葉に、空は不敵に笑ったのだった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「ハッ! そう来るかよ」
一連のプレーを見ていた青峰が思わず笑う。
「大ちゃん、今のって…」
「ああ。花宮を相手にした時にテツがやったのと同じだ」
一昨年のウィンターカップ県予選の霧崎第一の試合の折、花宮真の蜘蛛の巣の餌食になった誠凛。その突破口を開いたのが黒子が独断でパスコースを変更させた事にあった。
「これをやられると神城でも早々スティールは出来ねえ。1度は花月に流れは行きかけたが、これでまた試合は荒れんだろうよ」
愉快そうに笑いながら解説する青峰。
「これでまた元通りだ。…どうすんだ神城」
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
試合は再び膠着状態に入った。1度はオフェンスの決め手を失いかけた洛山だったが、赤司の奇策によって復活。
一方、流れを掴みかけた花月だったが、これで再びディフェンスでの決め手に暗雲が込み上げた。
第3Q、残り15秒
花月 65
洛山 65
試合は拮抗し、両者共に決め手を失い、スコアは均衡を保っていた。
――ピッ!!!
洛山のオフェンス。これまで通り、ナンバープレーによるデザインプレーで花月のディフェンスを攻め立てている。
――ピッ!!!
三村へと出されるパス。
「…っ」
すかさず大地がパスコースを塞ぎにかかる。しかし、それよりも速く、赤司がパスコースに割り込む。割り込んだ赤司が最後のパスコースを変更する。
――バシィィィッ!!!
「っ!?」
その時、赤司が目を見開いた。
「だったら、更に割り込むまでだ」
ニヤリと笑う空。何と、空は、パスコースに割り込んだ赤司より更に早く割り込み、ボールをスティールしたのだ。
『っ!?』
これに、他の洛山の選手達も驚いていた。
「と、止めろ!」
ボールの奪取と共に速攻に走る空。三村が慌てて声を出し、空を追いかける。…だが、先頭を走る空に追い付く事は出来ず…。
「らぁっ!!!」
――バキャァァァッ!!!
そのまま空は右手で掴んだボールをリングに叩きつけた。
花月 67
洛山 65
『おぉぉぉぉー--っ!!!』
同時に会場が歓声に包まれる。
「遂に逆転だぁ!!!」
ベンチの菅野が両腕を張り上げながら絶叫する。
『ビーーーーーーーーーーーーーー!!!』
ここで第3Q終了のブザーが鳴った。
第3Q終了
花月 67
洛山 65
遂に逆転に成功した花月は、意気揚々とベンチに戻っていく。
「…」
「…」
その際、視線が絡み合う空と赤司。
「…フッ」
勝ち誇った表情を空は赤司に向けた。
「…」
赤司は何か返すでなく、ベンチへと戻っていったのだった…。
※ ※ ※
試合の4分の3が終わり、遂に花月が逆転に成功する。
洛山のナンバープレーの攻略に成功した花月。
試合は、最後の10分、クライマックスへと進んで行くのだった……。
続く
1ヶ月半振りの投稿…、久しく間隔を空けてしまった…(>_<)
自分は執筆した話をUSBメモリーに記録しているのですが、過去に投稿した話の確認しようと過去の話を開いたら、まさかの文字化けしていたorz
最初、呪われたのかと思って思わず後ずさりしてしまいました…(;^ω^)
おかげで、ここ2年分のデータが見事にダメになりました。幸い、最新2話くらいと、更に以前の話は無事だったので良かったですが、…まぁ、かれこれ10年以上使用しているUSBだったから、もう寿命かなぁ…、パソコンが寿命だったらガチで泣くかな…(ノД`)・゜・。
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!