黒子のバスケ~次世代のキセキ~   作:bridge

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投稿します!

一瞬ではありますが、日間ランキングに載ってました。やったぜ…(^_^)v

それではどうぞ!



第134Q~ライバル~

 

 

 

審判によってボールが高く上げられ、試合が開始された。

 

「「っ!」」

 

高く上げられたボールにジャンパーである松永と五河が同時に飛び付く。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

身長で勝る五河が先にボールを叩いた。

 

「…くっ!」

 

ジャンプボールをものに出来ず、思わず悔しがる松永。五河が叩いたボールは赤司が確保した。

 

「…おらぁっ!」

 

すると、すかさず空がディフェンスに入り、激しくプレッシャーをかける。

 

『うぉっ!? スゲー当たり!』

 

身体がぶつかる程の激しい空のディフェンスを見て観客も思わず声を上げる。

 

「…」

 

ボールを奪おうとする空の手をかわしながらボールをキープする赤司。

 

「赤司!」

 

見かねた二宮が赤司に駆け寄り、直接ボールを受け取りに行く。駆け寄る二宮に赤司がボールを差し出す。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

すれ違う瞬間、差し出したボールを引っ込めた赤司が空の脇を抜けていく。

 

『上手い!』

 

「っ!?」

 

だが、その赤司に対し空が後方に倒れ込みながらボールを狙い打つ。

 

『マジか!? あの態勢であり得ねえ!』

 

 

――スッ…。

 

 

赤司は動じる事なくバックロールターンで反転。空のスティールをかわす。

 

「ちっ」

 

スティールをかわされて舌打ちをするも、空は身体を回転させて態勢を瞬時に立て直し、反転した赤司の前に右腕を伸ばして進路を塞いだ。

 

「…」

 

道を塞がれた赤司は足を止め、すぐさま頭上からオーバーヘッドパスでボールを中に入れた。すると、そこに三村のスクリーンで天野のマークを引き剥がした四条が走り込みボールを受け取った。

 

「あかん! マツ!」

 

「やらせん!」

 

リングに迫る四条に松永がヘルプに向かう。四条はボールを掴んでリングに向かって飛んだ。

 

「させるか!」

 

その四条に対してブロックに向かう松永。

 

 

――スッ…。

 

 

「っ!?」

 

松永がブロックに現れると、四条はボールを下げて松永のブロックをかわす。そのままリングを越えた所で再びボールを上げ、リングに背を向けた態勢でボールをリングに放った。

 

『絶妙のダブルクラッチ! 先制点は洛山だ!』

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「なに!?」

 

しかし、ボールを放られた瞬間、そこに現れた1つの影がボールを叩き、ブロックした。

 

『神城!?』

 

ブロックに現れたその影の正体は空。思わずボールを放った四条と観客が声を上げた。

 

「おぉっ!」

 

ブロックによってバックボードに跳ね返ったボールを先程スクリーンをした三村が瞬時に抑え、そこからすかさずシュート態勢に入った。

 

「させっかぁぁぁーーーっ!!!」

 

 

――チッ…。

 

 

先程四条のブロックをした空が着地と同時に三村のジャンプシュートにブロック。伸ばした指先にボールが触れた。

 

「よっしゃー! 今日の神城はいつもより気合い入ってるぜ!」

 

ベンチの菅野が立ち上がりながら叫ぶ。

 

「(さっき四条のブロックしたばかりだろ! 紫原かよ!)」

 

あまりの空のヘルプの速さに心中で驚く三村。

 

「リバウンド!」

 

「任しとき!」

 

 

――ガン!!!

 

 

シュートは外れ、リングに弾かれる。

 

「「…っ!」」

 

リバウンドボールにゴール下に立った天野、松永、四条、五河がボールに飛び付く。

 

「もろたで!!!」

 

このリバウンド争いを制したの四条をスクリーンアウトで抑え込んだ天野。

 

「天さん!」

 

天野がリバウンドを制すると予測していた空は既に速攻に駆けあがっていた。

 

「頼む!」

 

それを確認した天野は大きな縦パスを出した。

 

「っ!?」

 

ボールを受け取って前を向いた空が目を見開いた。

 

「ここは行かせないよ」

 

目の前に赤司が立ち塞がっていたからだ。

 

「…」

 

「…」

 

睨み合う両者。

 

「……っ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

意を決した空が一気に加速。自身の最速で赤司に仕掛けた。

 

「甘い」

 

これに赤司も対応。ピタリと並走しながら空を追いかける。

 

 

――キュキュッ!!!

 

 

スリーポイントライン目前で急停止。視線をリングに向け、ボールを掴んで頭上へと掲げる。

 

「むっ?」

 

これを見て赤司が右腕を上げる。

 

 

――スッ…。

 

 

空はポンプフェイクを入れ、そこからビハインドバックパスでボールを左へと放る。すると、そこへ大地が走り込んでおり、大地がボールを受け取る。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

「「っ!?」」

 

しかし、ボールが大地の手に渡る瞬間、赤司がそのボールを弾いた。

 

「君のスリーには打ち気がなかった。何より、ボールを掴む直前、綾瀬のポジションを確認していた。詰めが甘いな」

 

シュートフェイクからのパスを見破った赤司がパスカットしたのだ。

 

「赤司!」

 

ターンオーバー直後、ターンオーバーで返した赤司。ボールを要求する二宮に赤司がパスを出す。

 

「させない!」

 

ボールを受けた二宮の前に生嶋が立ち塞がる。

 

「お前では俺は止められないよ」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

「っ!?」

 

ポンプフェイクを入れてスリーを意識させた後、一気に中に切り込んだ。

 

「(ここで行かせたら先取点を取られる。それだけは!)」

 

 

――ドン!!!

 

 

抜かせまいと生嶋が強引に右手を伸ばし、二宮のドリブルを止めた。

 

 

『ピピーーーーーーーーー!!!』

 

 

『イリーガル! 赤5番(生嶋)!』

 

審判がファールをコールした。

 

「…ちっ」

 

得点チャンスを潰された二宮は思わず舌打ちをした。

 

「今のは仕方ねえ。次だ」

 

「うん」

 

生嶋の肩を叩きながら空が労った。

 

「今のファール、全く迷いがなかったな」

 

「あぁ」

 

何としても突破させない為にファールで止めた生嶋。その思い切りの良さに三村と四条が目を見張った。

 

「ディフェンス! 止めるぞ!」

 

『おう!!!』

 

空の掛け声に応える花月の選手達。

 

『ディーフェンス!!! ディーフェンス…!!!』

 

花月ベンチに選手達も声を張り上げて応援をしている。

 

 

――ピッ!!!

 

 

赤司にボールが渡され、試合再開。赤司が二宮にパス。ボールを受けた二宮が即座にパス。そこから矢のようなボール回しを始める洛山の選手達。

 

『うぉっ!? スゲーボール回し!』

 

ボールが飛び交うコート上。チャンスを作るべく、洛山の選手達がボールを回す。

 

『あっ!?』

 

観客が声を上げる。エンドライン沿い、ペイントエリア手前の位置でフリーで四条にボールが渡ったからだ。

 

「よし!」

 

シュートチャンスと見た四条がジャンプショットを放った。

 

「させるかい!」

 

 

――チッ…。

 

 

「くそっ!」

 

即座に反応して距離を詰めた天野が懸命に手を伸ばす。辛うじてボールが指に触れた。

 

 

――ガン!!!

 

 

賢明なブロックが功を奏し、ボールはリングに弾かれた。

 

「よし!」

 

「ちぃっ」

 

リバウンド争い。松永をスクリーンアウトで抑え込んだ五河だったが、ボールが遠くに跳ねて飛んだ為、五河の手を越え、松永がリバウンドボールを確保した。

 

「こっちだ!」

 

「頼む!」

 

ボールを要求した空に松永がパスを出す。

 

「速攻!」

 

『おう!!!』

 

空の掛け声と共に花月の選手達が走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

その後も双方、得点を狙いに行くも、花月、洛山共に先取点を奪えなかった。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

大地が三村のチェンジオブペースからのドライブ、急停止からのジャンプショットを読み切り、ブロック。

 

 

――バシィィィッ!!!

 

 

ゴール下の松永が外の生嶋にパスを出したが、四条に読まれ、パスカットされてしまう。

 

試合開始されて既に1分が経過したが、未だに両チームに得点が決める事が出来ないでいた。

 

『試合開始してもう1分…。未だ点が入らねえ…』

 

『これは先に先取点を決めた方に流れが傾くぞ…!』

 

双方固いディフェンスを敷いて失点を阻止している展開。見ていた観客も先取点の重要性を理解していた。

 

「もらった!」

 

生嶋のマークを振り切った二宮がシュート態勢に入った。

 

「(ファールは出来ない。だったら!)」

 

シュート態勢に入った状態でファールをしてしまえばフリースローを与えてしまい、先取点を奪われてしまう。ここで生嶋が奇策に打って出る。

 

「っ!?」

 

突如、視界が塞がり、目を見開く二宮。生嶋はブロックに飛んだのだが、ボールを叩くのではなく、手を伸ばして顔の前に手を翳し、二宮の視界を奪ったのだ。

 

 

――ガン!!!

 

 

突如、目標であるリングが見えづらくなった二宮は動揺して力が入り過ぎてジャンプショットを外してしまう。

 

「らぁっ!」

 

リバウンドボールを天野が気合いで抑えた。

 

『うぉっ!? また点が入らねえ!』

 

「今度こそ頼むで!」

 

「任せろ!」

 

抑えたボールを空にパスし、そのままドリブルを始める空。

 

「先取点は、取らせん!」

 

やはり赤司が立ち塞がり、空の進攻を阻みに現れる。

 

「ここは意地でも行かせてもらうぜ!」

 

赤司が現れるも、空は強引に突き進む。

 

「…ちっ」

 

体格で劣る赤司。それでも身体を張って空に密着しながら進攻を阻む。

 

「…っ」

 

スリーポイントラインを越えた所で赤司が隙を見つけ、ボールに手を伸ばした。

 

 

――ボムッ!!!

 

 

赤司が手を伸ばしたのと同時に空がボールを背後に弾ませた。すると、そこに大地が走り込んでいた。

 

「よし!」

 

ボールを受け取った大地はすぐさまシュート態勢に入った。

 

「打たせるか!」

 

そこへ、背後から三村がブロックに飛んだ。

 

 

――スッ…。

 

 

すると、大地はシュートを中断。ボールをフワリと浮かせるように目の前の赤司の頭上を越えるように放った。

 

「ナイスパス!」

 

そこには先程後ろへパスを出した空がそのまま走り込んでいた。空はそこから飛んでボールを掴み、右手で構えた。

 

「打たせるかぁっ!!!」

 

同時に、四条がそこへ走り込み、空とリングの間に飛び込み、シュートコースを塞ぐようにブロックに現れた。

 

『うわぁっ! これじゃ打てねえ!』

 

絶妙なタイミングで現れた四条を見て観客が悲鳴を上げる。

 

「(ここで仕切り直しても点が取れる保証はねえ。イチかバチか!)…おらぁっ!」

 

このチャンスをものにしたい空は身体を捩じって態勢を変え、ボールを持った右腕を強引に外に伸ばしてボールをフックシュート気味に放って四条の伸ばした手の上を越えるように放った。

 

「っ!?」

 

ボールは四条の手の上を越え、リングへと向かっていった。

 

 

――ガガン!!!

 

 

リングを数度跳ね、リングの周りをクルクルとボールが回り始めた。

 

「決まりやがれ!」

 

『入ってくれー!!!』

 

回るボールに向かって空が叫ぶと、ベンチの選手達も立ち上がりながら願いを込める。

 

『…っ!』

 

コート上の選手及びベンチに座る選手達。そして、会場でこの試合を見ている者全てがこのシュートの結末に注目する。

 

ボールはゆっくり回転するスピードが弱まり、そして…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

リングを潜り抜けた。

 

『おぉぉぉぉぉーーーーっ!!!』

 

ボールがリングを潜るのと同時に観客が沸き上がった。

 

 

第1Q、残り8分47秒。

 

 

花月 2

洛山 0

 

 

「っしゃおらぁっ!!!」

 

次にこのショットを決めた空がガッツポーズを取りながら天に向かって叫び、喜びを露にした。

 

『よっしゃー!!!』

 

ベンチの選手達も決勝点を決めたかの如く喜び、叫んだ。

 

念願の先取点。主導権を洛山に取らせない為にも何としてでも取りたかった1本。主導権を賭けた最初の1本を、花月が手に入れた。

 

『…っ』

 

先取点を奪ってペースを掴み、突き放したかった洛山の選手達は軽く表情を歪めた。花月は勢いのあるチーム。1度波に乗せてしまうととことん勢い付く相手。出鼻を挫く意味でもこの先手を取りたかった。

 

「狼狽えるな」

 

『っ!』

 

そんな中、洛山の中で唯一動じていなかった赤司が選手達を静かに一喝した。

 

「仮にも帝光から洛山へと渡り歩いた者達がこの程度の事で動揺してどうする。卒業していったあの先輩達ならばこの程度の事で動じたりはしなかったぞ」

 

昨年まで洛山の主力だった無冠の五将の3人を引き合いに出す赤司。

 

「俺達のやる事は変わらない。さっさと切り替えてオフェンスだ」

 

それだけ告げ、赤司は両手を前に出してボールを要求した。

 

「あぁ、すまん」

 

ボールを拾った五河がスローワーとなり、赤司にパスをし、リスタートしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「1本! ここも止めるぞ!」

 

『おう!!!』

 

空が檄を飛ばし、選手達が応える。

 

先取点を奪った直後のディフェンス。ここを止めて本当の意味でも主導権を握りたい花月はこれまで同様、気合いを入れてディフェンスに臨む。

 

「…」

 

ゆっくりとボールを運ぶ赤司。目の前には空が立ってディフェンスをしている。

 

「マークしっかり確認しろ! 絶対フリーの選手を作るな!」

 

空が味方にディフェンスの指示を出す。

 

抜群のチームワークからくるパスワークは破壊力が凄まじい。今までは何とか失点を防げたが、ここからも上手くは行かない。赤司は序盤から積極的に仕掛ける選手ではない。僅かでもフリーになった選手に的確にボールを供給してくるだろう。

 

だが、この目論見はこの後すぐに外れる事になる。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

僅かな隙を突いて赤司が空の横を一気に駆け抜けた。

 

「っ!?」

 

空が振り返ると、赤司はそのままリングに向かって突き進んでいく。フリースローライン付近で赤司はボールを掴んで飛んだ。

 

「くそっ、決めさせるか!」

 

ヘルプに飛び出した松永が赤司とリングの間に現れ、ブロックに飛んだ。

 

 

――スッ…。

 

 

右手でボールを構えた赤司はフワリと浮かせるように放り、松永の伸ばした手の上を越えていく。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ボールは弧を描くようにブロックを越え、リングの中心を潜り抜けた。

 

『うおぉぉぉーーーっ!!! あっさり返した!!!』

 

主導権を掴んだと思われた直後、赤司が単独で得点を奪い返し、主導権を取り返した。

 

かつて、昨年のインターハイ決勝にて、三杉誠也が奪われた主導権を無冠の五将の3人を抜きさって決め、力技で主導権を奪い返した。この赤司のプレーはまさにそれを彷彿させるものであった。

 

「ティアドロップ…」

 

技ありのティアドロップであっさり得点を奪った赤司。思わず声が出てしまう空。

 

「何だその顔は? 俺がボールを回して確実に点を取りにくる。…とでも思ったか?」

 

呆ける空に向かって赤司がすれ違い様に足を止めて話しかける。

 

「その気になれば点なんていくらでも取れる」

 

そう告げると、赤司は自陣へと戻っていった。

 

「上等だ…!」

 

この赤司の言葉に空の闘志がさらに燃え上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ボールをフロントコートまで運ぶ空。

 

「…」

 

目の前には赤司がディフェンスをしている。

 

『…』

 

その他の選手もそれぞれマークする選手のパスコースをしっかり塞ぐようにマークしている。

 

「…」

 

赤司が現れると空は足を止め、チャンスを窺う空。

 

「(赤司を抜く事なんて出来るわけない。きっちりパスコースを塞いでれば神城は手詰まりになる!)」

 

絶対的な信頼を置く赤司。自ら仕掛けてペースを握るのが空のプレースタイル。ドリブルもパスも出来なければ何も出来ないと断ずる四条。

 

しかし、その考えはすぐさま改める事となった。

 

 

――ダムッ!!!

 

 

一気に加速し、クロスオーバーを仕掛ける空。空のアジリティと最大スピードも相まって切れ味鋭いドライブであった。

 

「…」

 

だが、赤司もこれを読み切り、すぐさま対応する。

 

「無駄だ。いくら速くても赤司から逃れられない」

 

この勝負の結果を確信する三村。

 

「…らぁっ!」

 

 

――ダムッ!!!

 

 

直後、すぐさま逆にクロスオーバーで左から右へと切り返し、赤司を抜きさる。

 

「っ!?」

 

さすがにこれには赤司も驚いたのか、僅かに両目が見開いた。

 

『出た! 神城のキラークロスオーバー!』

 

昨日の試合から空の代名詞の1つになった空のダブルクロスオーバー…、通称キラークロスオーバーが披露され、観客が沸き上がる。

 

そのまま空は突き進み、ゴール下目前でボールを右手で掴んでリングに向かって飛んだ。

 

「調子に乗るな!」

 

ここで五河がヘルプに現れ、ブロックに向かう。

 

「おらぁっ!」

 

 

――バキャァァァッ!!!

 

 

「っ!?」

 

五河の上からボールをリングに叩きつけた。

 

『何だそりゃぁっ!!!』

 

『2メートルを超えた奴の上から叩き込みやがったぁっ!!!』

 

20㎝の身長を物ともせず、その上からダンクを決めた事に観客は大興奮。瞬発力のある空は瞬時に最高到達点に達した為、五河のブロックが間に合わなかったのだ。

 

「くそっ…!」

 

身長が大幅に下回る空に上からダンクを叩き込まれるという屈辱を受けて五河が思わず空を睨み付ける。

 

「…ふぅ」

 

リングから手を放し、床に着地する空。そのまま自陣へと戻っていく。その途中…。

 

「俺ならいつでも止められると思ったか?」

 

赤司とすれ違い様に足を止めた空。

 

「ご覧の通り、この程度の事、やろうと思えばいつでも出来るぜ」

 

したり顔でそう告げると、空は自陣へと戻っていった。

 

「…フフッ」

 

それを聞いた赤司から思わず笑い声が出た。

 

「(これまで理解は出来ても共感する事は出来なかったが、黄瀬や火神と戦っている時の青峰はこんな気持ちだったのか…)」

 

強者を求め、白熱する勝負を求める青峰。その相手が目の前に現れた時の青峰も気持ちを漠然と理解した赤司。これまで、自身を脅かす敵はいたが、自身と同じ土俵で対等に戦える相手がいなかった赤司。今、目の前に自身のライバルになるかもしれない相手が現れた。

 

「この胸に燻るこの気持ちは悔しさではない。そうかこれが……、面白い」

 

振り返り、自陣に戻る空の背中に視線を向けた赤司の口から、そんな言葉が飛び出した。その表情には笑みが浮かんでいたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

試合が始まると早々、先取点を巡った白熱した主導権争いが繰り広げられた。

 

先取点を奪ったのは花月。花月が試合の主導権を握った……かに見えたが、赤司がすぐさま単独で主導権を奪い返した。

 

しかし、空も負けじと単独で得点を奪い返した。

 

ナンバーワンポイントガードとなるべく奮闘する空。その空をライバルと認め、始めて自分と同じ土俵で対等に戦える相手が現れ、喜ぶ赤司。

 

試合開始僅か2分。激闘は始まったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





日間ランキング入りしてテンション上がって何とか投稿に漕ぎつけました…(;^ω^)

ただこれで完全にネタのストックが尽きましたOrz

どうしよ…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!

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