インフィニット・ストラトス ~神に抗った少年と少女の物語~ 作:ぬっく~
「な、何が起きたんだ!!?」
一夏はいきなりのことにパニックを起こす。
ラウラを救った瞬間、目の前にあった……いや、この世界その物が全て一瞬にして消えたのだ。
あるのは、真っ白な世界が広がっていた。
「 」
「!? ッ!」
それは、一瞬のことだった。
一夏は背後に一瞬だが、誰かが近付いてきたことに反応した。それと同時に無意識だが、雪片弐型でガードする。
その反応は正解だった。
「は、春名!?」
「あれ? 何で反応出来たのかしら?」
一夏の首元の近くには、春名の《エイヴィヒカイト》の主力武器である名のない剣があったのだ。
「どうしたんだ!? なんで―――」
「物わかりの悪い男ねぇ~」
明らかにその笑みは、春名のものとは違うとしか言えない程にそいつはそこにいた。
今までに見せた事のない笑み、その笑みは殺人鬼がするような笑みとしか言えない。
「お前は誰だ!!」
「うん? それを素直に答えるとでも思う?」
そいつは、再び一夏に襲いかかる。
一夏はラウラとの試合での蓄積ダメージが残っており、白式のシールドエネルギーもシャルルからもらった分しか残っていなかった。その為、腕の部分展開しか出来ていない。
いくら一夏と言えど、タダでは済まないことぐらい理解できる。
「ちょこまかと、うざいわね」
そいつは、ISの操縦になれていないのか。単純な攻撃しか出来ていない、そのため一夏は何とか凌ぐことができる。
「あぁ! うざったいわね」
だが、一夏と言えど時間が経つに連れて限界に近づいていた。
ISのシールドエネルギーの自然回復を待ってくれるような相手ではなが、今なら多少だが完全展開ができる。
だが、そいつは―――
「
そいつの姿が一瞬にして消え、一夏は腹にそいつの剣をまとも受けてしまった。
「ガッ!?」
三度、一夏はバウンスし、ボロ雑巾のように打ちのめされる。
速度を極限まで高める能力だが、それ以外のステータスが極限まで下がるとデメリットのおかげで一夏は助かったが、生身での一撃は相当効いてしまった。
「ちっ! まだ生きているのかよ―――」
そいつは再び攻撃態勢に入ると、一夏は白式を起動させる。
完全展開なった白式でそいつの一撃を防ぐが、二撃、三撃と防ぐことは出来ない。
「いい加減に終われよ!!」
「くっ!」
一夏はそいつの攻撃を僅かにずらし、腕を捕まえる。
「うおおおおおお!!」
一瞬でいい。それが一夏の考えた作戦だった。
目では追うことは出来ない。けれど、そいつが消えた訳ではない。
必ず実体ある。なら、捕まえればいい。だから、一夏は捨て身に出た。
そして、その勝機が訪れる。
「な!?」
一閃。
一夏の一太刀がそいつに当たる。
「――――――――――――!」
だが、一撃で倒せなかったことが、一夏の一番痛手だった。
この能力にはまだ、隠された力があったからだ。
そして、それを呼び出してしまった。
「
そいつは白く変色し、言葉にならない叫びがその場を支配した。