東方双雲録   作:天白雲

106 / 114
はいっ! おはこんばんにちわっ!
天白雲です。 ・・・またしても遅くなり申し訳ございません。。。

受験・・辛い・・忙しい。

とまぁ、そんなことは言いわけに出来ませんね。
とにもかくにも今回の話は結構作者にしては衝撃かと。。。
すこし、心の準備をしてくださいね?

それでは今回も!
「ゆっくりしていってね!」


第92話-終わりが始まる

「聞こえてないだろうが・・。 教えとく。

力の代償は何かを得させる代わりに何かを奪える技だ。 『腕力』『霊力』『妖力』等の『武力』をお前が得る代わりに『反射』『認知』の『速度』を奪った」

 

俺の触れる場所から、段々と消えていくソラにもう聞こえないだろう声をかける。

 

「ようやく決着を付けれるな。 俺がお前を消す。

俺の責任を果たしてやる・・・・」

 

・・・・おかしい。

 

乖離の力は確実に働いてる。 それは目の前のソラの力が薄れて消えていってるから間違いないはず。

 

「なのに・・・この。。 へばりつくような気味の悪い嫌な感じ・・

こいつだけが全然消えねぇっ・・・」

 

まるで、目の前に居るはずのコイツが。。。

ただの抜けがらに見えてくる。 これほどの力を持っているのだから本物だと、

思う反面なぜか嫌な予感が消えない。

 

 

「あはは! そりゃそうだろうね。

なぜってボクはこうして君の後ろに立って見せてるからさ。(どしゅっ!」

 

声が聞こえると同時に警戒し、自らを霊力の膜で覆う。

が・・・間に合わない。 すでに攻撃を終えていたらしい。

 

「かふっ・・ そう簡単にやらせちゃくれないってことか?

だが。。。 どうやって抜けた?」

 

俺に突きたてている剣ごと、奴の身体を吹き飛ばす。

纏っている霊力を四方に放出しただけの荒療治だがな。。

 

「君が。 ボクの全てを知っているキミがそれを言うのか?

この世界にボクを生み出さなかった理由、ボクを没にした理由。 それが答えだ。

ボクは君ですら扱いに困る人外。 それが売りでね。」

 

はぁ・・・はぁ・・。 まずいな、出血が少し多い。

なるか。 全力。

 

「はぁっ! ・・・なぁ。 一つだけいいか。

お前らを創りだした俺が言うのは、たぶん一番筋違いの愚かなことだ。

でも。。 俺はまだ死ぬわけにはいかない。 消えるのは怖い。

 

だから、今この場から俺を逃がしてくれ。」

 

創造神になってみたが・・・。 やっぱりコイツを消せる力を俺は持ってない。

なら、こいつとの戦闘を避けるべきだ。 此処をむやみに破壊するわけにはいかない。 俺じゃ勝てない。でも、俺に出来ることがなにも無いわけじゃない。

 

「あははは!!! ・・・そうか。 君は怖いんだね消えるのが。

ボクと同じように。 ボクの片割れと異なるように。 ・・・まぁいいさ。。

ほら、行きなよ。 ボクも思わぬ痛手を受けたからねもう少し休む。

 

まぁ・・すぐにでも此処を蹂躙するけどね?」

 

ちょうどいい・・。 無理にでも逃げるつもりだったが逃がしてくれるのか。

なら一刻も早く。。。 逃げる!

 

「・・・・・(ひゅんっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

・・・・<ソラサイド>・・・・

 

「うぉっ。。 おーい。。。

まぁ、聞こえてたらボクが不利になることだけどね・・・

さてさて。 ボクの『事実を忘れ、真実を思い出す程度の能力』を越えられる奴なんて、どう生み出すつもりだろうね?」

 

とはいえ。 封印から解き放たれたばかりのこの僅かな力じゃ。。

追ったところでさらに無駄に消耗するのが目に見えている。

 

「なら休ませてもらう以外に方法は無いだろう。

ボクの能力で傷は忘れられるにせよ、本調子じゃないなら完全無欠のボクを

思い出せるかはいささか不安が残るしね。」

 

おっと。 ボクは元々創られる存在じゃないからシロのメタ・・・とか言うのは、

気にする必要が無いのでこの場で読者の皆に紹介しようか。

 

ボクの能力は、簡単にざっくり説明するなら『過去改変の力』

 

「まぁ。実際は好きなように変えれるわけじゃないんだけど。

実際無限に近い選択肢から選びとってるんだし、似たようなものか。」

 

ボクの能力。 その本質は過去を改変すると言っても可能性が無ければ成立しない。

今までに起きた事実。その中でこうなっていればこうなった。 さっきの回避で言うとボクがアイツのしたことに気づいていて、冷静になっていたら。

 

あっさりと対処し、背後を取れる。 そういう理屈だ。

 

「あの時ボクは、シロの罠に嵌まった自分という事実を忘れ。

もういちど思い出したんだ僕自身を。 だからシロ・・・君は確かにボクを葬り去っている。 そのボクはすでにボクが忘れた物だが。。。 ね。」

 

ボクの能力において不可能なのは、物理的障害が起きている歴史の改変だ。

たとえば『本能寺の変』あの事件において織田信長を羽柴秀吉が救う。という物語にすることは不可能。 なぜなら当時秀吉は中国地方に居たのだから。

 

彼らの速度ではどうあっても物理的に間に合わない。 だから、無理なのだ。

 

「まぁ? 懐刀の森蘭丸・・・彼が偶然にも敵を壊滅させる。

という感じならそれに近いことはできるだろうけどね。 なにはともあれ存在するはずの無い過去に塗り替えることはできない。」

 

忘れるだけなら出来るけどねー? 文字通り、過去を冒涜しあくびを噛み殺すように

 

さぁ。。 どうなるかなー・・ あの小さな英雄たちは。

 

 

 

 

 

・・・・<双覇サイド>・・・・

 

「うっく・・・ あいつはっ!!!??(ばっっ!

痛っ・・・・」

 

ぐっ・・・・ ここは・・

 

「博麗神社か。。。 俺と祥磨のフュージョンでも遊び相手にしかならないなんて

あれも・・これまで闘ってきた奴以上の化け物ってことか。。」

 

って言うか・・・・ この気配。

そういえばあの化け物はアイツと・・・

 

「まぁ、そのあいつ。 俺も敵わなくてこうして逃げてきたんだけどな。

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」

 

聞こえた声の方を見ると、シロが何かを創っているところだった。

 

「おまえっ! ・・・なんでこんなに怒りが涌くのか。

自分でもよくわかんねぇけど・・! とにかく、あのソラって奴は何者なんだ!?

お前の関係者だろ。」

 

えらく集中している様子のシロは俺の方を見向きもせず、俺に話しかける。

その様子が無性に気に入らなくて・・でも、邪魔をするのは悪いし。。

 

「あいつは・・。 創りだした俺が言うのも酷い話だが・・・

この世界のバグさ。。 それも、とびっきり手の出しようのない。 な。」

 

良く見れば、あいつが創りだしているものにあいつの霊力や神力は

どんどん注ぎ込まれ・・・ 目に解る勢いで体力をすり減らしている。。

 

「・・・お前、それいつから創ってんだ?

昨日、今日じゃないのはお前の衰弱具合で察するが・・というかそもそも

それ何だ?」

 

純黒に包まれた、箱形の空間。

視認するだけで肌にビリビリくる威圧感。 本能的に感じる恐怖。

 

「・・・こいつは、お前らがやってた修行用の空間の俺版だ。。。

昔、俺が自分を鍛えるためにとある神話の知識から妄想し具現化した物。

今の俺でも・・この中で一日自我を保てるか解らない。。」

 

神話・・・ 箱状の空間。 これまでの物とは異質の恐怖。

 

「まさか、コイツは。。。」

 

俺のつぶやきに反応するかのように、ソレを創造し終えた

シロがこちらに振り向き・・・ぶっ倒れた。 ・・・・って。。。

 

おいっ・・・

 

「はぁっ・・・! はぁっ・・・! 双覇。 

お前が俺を憎んでいるのは解る。 だが、緊急事態だ・・・・選べ!

幻想郷が滅び、愛する者たちが消え去るのを見守る覚悟で俺を殺すか。

 

幻想郷を・・愛する者たちを守り抜くために、自分すらも見失う

あの・・・絶望に染まりきった修練場。 『パンドラの箱』に入り修行するかっ!」

 

やっぱり・・・ 神代の昔に伝わる決して触れてはならない領域。

『パンドラの箱』 ・・・・くっ。。。

 

「お前の話に乗ること、力を借りることは癪だけど。。。

お前の実力は信用している・・お前がそうなってまで用意したってんなら。

やってやる。。 お前以上に強くなって。。。 ソラを止める!」

 

きっと・・・ やみくもに鍛えたって遠く及ばない。

祥磨も疲労しきってるはず。。 俺が・・・やるしかない!

 

「・・今のパンドラの箱は一度入ったら出られない。

出られるのは、中に入った奴が完全に絶望に染まりきるか・・・」

 

 

「・・・何にも変えられない『希望』を見つけ出した時。

そうだろ? ・・見つけてやる。。 俺の希望を絶対に・・・

文や皆のこと。 頼むな? ・・・氷柱。 お前は文を守っていてくれ。

 

俺は絶対に帰ってくる。」

 

シロに、幻想郷の皆のこと・・・ そして雹桜を手渡して

漆黒の箱の中へと俺は歩を進めた。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・うっ。。 入った瞬間気持ちが悪りい・・。

それに重力もだいぶ違う。 

 

「ん・・ この匂い。。。 血・・・?」

 

なんで急に。 いや、それよりもどこから・・・

ん・・・? 奥になにかある。

 

 

「・・・なんだ? 人の・・首?

いや、ちょっとまて。。 この髪型・・・耳の形。。 まさか・・」

 

俺は、気付いた。 毎日一緒に居たからこそ・・・

誰よりも愛していたからこそ・・・ どんなものよりも鮮明に記憶していた。

・・・・思い出さなければ良かった。 そして目を鼻を封じれば良かった。

 

次の瞬間。 風も吹いてなければ振動も無かったのにその首はごろんっと。。。

こちらに転がり、足元で止まり、目が合った。

 

この世界で最も愛した女の子。 今もなお、誰よりも会いたいひと・・・

 

「あ・・ あ・・・ あ・・や・・・?(違う、文じゃない・・違う違う違う違う

で・・も・・・ この・・顔・・ あ・・・あぁ・・ああああああああああ”!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

俺の妻。 白雲文は・・・温かい血を流し続け。。。

変わり果てた姿で・・ こちらを見上げていた。

 




はい。。。 これが『パンドラの箱』の第一の絶望。
愛するもの、大切なものの消失です。  うちの主人公君『白雲双覇』は・・
一瞬で狂ってしまいました。。

これを読んで下さった読者のあなたならどうですか?
突然、愛するものの無残な死に様を見せられたら・・ 突然大切なものが
修復できないほどに壊されたら・・・・

あなたはあなたで居られますか?


とはいえ、パンドラの箱は原典では詰まっていたそのほぼ全てが絶望。
小さな小さな希望を見つけることが重要なのです。

つまり、まだまだ双覇にはパンドラの箱の絶望が襲います。
これから双覇がどうなるかは次回をお待ちください!

それでは! 次回の投稿も、
「ゆっくり待っていてねっ!!!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。