12月は仕事が忙しく投稿、いや文を考える暇がありませんでした
では17話どうぞ
「とうちゃ~~く」
「ありがとなハッピー」
ハッピーに掴まれ、ホテルの部屋に戻ってきた夏は運んでくれたハッピーに礼を言う
「おいらと夏は相棒なんだよ。これぐらい当然だよ。それに落ちたのはおいらの責任でもあるから」
「取りあえず、グレイフィア達が帰って来る前に、汚れた服を取り換え・・」
「何処に行ってたんですか夏様、ハッピー?」
戦闘で汚れた服を取り換えようとしたところで後ろから声をかけられた夏とハッピーは体を震わせ、油の切れたロボットのように後ろを向くと
「私は部屋で留守番していてくださいと言いましたよね?」
誰がどう見ても怒ってるのが解るぐらいのオーラを漂わせているグレイフィアが立っていた
「えっと、その」
「こ、これにはじ、事情が」
「ここが夏とハッピーの泊まっているホテルの一室ですか。広い上に豪勢ですね」
「私達の部屋の何倍あるんだろう?」
そんな所に夏が助けたシュテルとフェイトが入ってきた
「夏様?あの二人はどなたですか?心なしか親しい関係に思われるのですが?」
シュテルとフェイトを見てさらにグレイフィアの怒気が上がった
「「ひぃ!?」」
夏とハッピーは抱きつき身体を震わせる
「な、夏~~!!どうやらおいらたちの最後みたいだよ~~」
「諦めるなハッピー。諦めなければ道は開けてくるはずだ」
「お二人とも、取りあえずあちらの部屋で話しましょう。黒歌達はお客様のお相手をしていてください」
夏達と同じように部屋の隅で震えていた黒歌達はグレイフィアの言葉に何度も頷いた
「それでは行きましょう」
「「いや~~~!?」」
グレイフィアに引きずられ、夏とハッピーは隣の部屋に連行された。そして数秒後、二人の悲鳴が鳴り響いた
「それではお二人は危ない所を夏様に助けて貰ったと言う事ですね?」
「は、はい」
「その通りです」
夏とハッピーとの話を終えたグレイフィアはフェイトとシュテルから一通りの事情を聴いた
「あ、あの」
「如何しました?」
「夏とハッピーは大丈夫なんですか?」
フェイトがベッドからピクリとも動かない夏とハッピーを見て尋ねる。幻影か二人の尻から湯気のようなものがうっすらと見える
「大丈夫です。夏様の身体は頑丈ですし、ハッピーも見た目によらず丈夫ですから」
「は、はぁ」
「しかし、悪魔に妖怪がこの北欧に来るとは」
「あなた方の上司には魔王を通じて話を通しています。何か問題が?」
シュテルの探るような目に警戒をするグレイフィア
「珍しい組み合わせだと思いましので。気に障ったのなら謝ります」
「・・・一つ聞いても宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「貴方達は夏様をどうするつもりですか?上に報告して勇者候補として夏様をヴァルハラに連れて行くつもりですか?」
グレイフィアの発言に話を聞いていた黒歌達は驚く
「・・・・もしそうだとしたら?」
「勿論、夏様のメイドとして何より家族として阻止させてもらいます」
黒歌、白音、束、紫も敵を顕にし、一触触発の状態に入った
「え、えっと」
そんな中、フェイトはどうしたらいいか解らずにオロオロする
「安心してください。彼の事を上に報告するつもりはありません。確かに彼には勇者の資質はあると思えます。ですが候補生の私達の言葉を上は信じると思えませんので」
その言葉にグレイフィア達はほっとする。だが次の一言で別の意味で驚くこととなった
「ですので、私とフェイトは貴方達と共に暮らします」
「・・・え?えぇええええ!?」
その言葉にフェイトも驚きの声を上げた
「どういうつもりですか?」
「私とフェイトはもうすぐ学校を飛び級で卒業します。そのまま何処かの部署に配属されるでしょうが、それよりも勢力の友好をもした留学と言う形で貴方達の所に行きたいと思っています」
「で、でもシュテル、そんな事上が許してくれるとは」
「許そう」
すると、部屋のドアが開き一人の老人が入ってきた
「貴方は!?」
「オーディン様!?」
入ってきた人物にグレイフィア、シュテル、フェイトの3人は驚きを示す
「話はすべて聞かせて貰った。悪魔側からも同盟を組んでくれと度々お願いされてきたが、悪魔側の事情も知らんうちは同盟を組めることも出来んので困っておったのじゃが、お主ら二人を特使として送り、悪魔側の内情を知り、同盟を組む判断も出来る」
「では」
「「うむ。お主の案を採用しよう」
「あ、ありがとうございます」
シュテルは自分の出した案が採用されたことに礼を言う
「それにしても変わった小僧よな。龍のように口から炎を吐くとわの~~。儂のこの眼でもどんな魔法なのか見当もつかんわい」
「当たり前だ、滅竜魔法を使えるのは俺だけだからな」
「滅竜魔法とな?実に興味深いの~~」
オーディンは長く伸ばした自慢の髭を梳きながら興味深そうに夏を見る
「オーディン様、これを」
「これは酒か?」
「はい。私達悪魔・・・・正確にはここにいる夏様が管理している森で手に入れたワインでございます」
「その言い方じゃと、お主は悪魔でありながら悪魔に付いておらんように聞こえるが?」
「私が仕えるのは夏様、ただ一人です。友好の証としてお受け取りください」
「受け取る前に一口味見させてもらうぞ」
「どうぞ」
オーディンは貰ったワインをグラスに注ぐ
「エメラルド色したワインとは珍しいの~~して味は・・・・・なんじゃこのワインは!?儂が飲んだ物の中で一番うまい!」
一口味見するだけだったはずが気がつけば一瓶飲み干してしまったオーディン
「もうワインはないのか?」
「持ってきたのはその1本でございます。もしよろしければ手に入れた際、お売りいたしますが」
「勿論買わせてもらう」
「では、こちらに署名を」
「北欧に来てまで商売をするなんて・・・凄いにゃ」
黒歌の言葉に夏達は頷く事しかできなかった