「か・・・はっ!」
「何だと!?」
「あのヘラクレスが殴り飛ばされた!?」
夏の拳を喰らい、壁に衝突したヘラクレスを見て曹操とゲオルグに二人は驚きを顕にする
「火竜の鉤爪!」
驚いている二人を余所に夏はダッシュでヘラクレスの懐に潜り込んで、炎を纏わせた蹴りで宙に蹴り上げると、それを追うように跳び上がる
「右手の炎と左手の炎、二つの炎を合わせて!火竜の煌炎!」
そして組んだ両手と火球のコンボを喰らわせた
「・・・・」
「ヘラクレス!」
夏のコンボを喰らったヘラクレスは地面に激突し意識を無くした
「まさか、ヘラクレスを倒すとわな」
「あぁ。僕と同じ魔法を使うようだが、彼は本当に魔法使いか?いや、それよりあんな魔法見たことがない」
「ゲオルグも知らない魔法か。少し興味が湧いて来たな」
夏に興味を抱いた曹操は一振りの槍を何処からともなく取り出し構えた
「次はお前が相手か。何なら二人同時にきてもいいんだぜ?」
「そう言ってるがどうする曹操?」
「・・・1人で充分だ」
夏の挑発ともいえる言葉に曹操は乗らず冷静に対処した
「行くぞ!」
曹操の踏込と同時に鋭い突きを夏に放つが、夏は体を少しずらして突きを躱す
「っ!?はぁあああ!!」
まさか避けられると思っていなかった曹操は一瞬同様したが、直ぐに気を取り直し連続突きを放つ
「よ、は、ほ」
それを夏はステップをするような足取りで避けると、突き出された槍を掴んだ
「なははは、捕まえたぜ~。おら!」
本当に子供か!?と思えるほどの膂力で槍ごと曹操を持ち上げ、勢いよく地面に降り下ろす
「がは!?」
「まだまだ―!」
夏はまだやるのかと言うほど何度も曹操を地面に叩き付ける
「これでラスト―!」
そして、片手で持っていた槍を両手に持ち替え、力一杯振り下ろした
「がぁ、あ」
「ふぅ~~すっきりした―」
夏の表情は今までにないぐらいすっきりしていた
「まだ、だ」
何度も地面に打ち付けられた曹操は傷だらけの体に鞭をうって立ち上がる
「まだやるのか?」
「当たり前だ」
「曹操、その傷では無理だ!彼女達に事は諦めてここは引くべきだ」
「うぉおおおお!!」
「曹操!!」
ゲオルグの言葉も聞かず、曹操は夏に槍を振り下ろす。夏は黙ったまま、素手で穂先を掴み取った。掴んだ手からは血が流れる。掴まれたとはいえ、一撃を入れれたことに満足した曹操はそのまま気を失った
「思いのこもったいい一撃だったぜ」
倒れる曹操を受け止めた夏はそう口にすると、ゲオルグに曹操を渡す
「こいつの一撃に免じてこれ以上攻撃しないでやる。俺の気が変わらないうちにあの巨漢の男を連れてここからいなくなれ」
「・・・・この借りはいつか必ず返す」
そう言うと、ゲオルグは転移魔法で気絶している曹操とヘラクレスと共にこの場からいなくなった。3人がいなくなると、場を覆っていた霧が晴れ、ホテルの傍にある路地裏となった
「夏―!大丈夫!?」
「おう、ピンピンしてるぜ」
「良かった・・・って、血が出てるよ!?早く手当てしないとっていうか早く部屋に戻らないと。グレイフィア達が戻って来てるかもしれないよ」
「だな、じゃあハッピー、よろしく」
「あい」
ハッピーは夏の服を掴んで飛ぼうとした時、
「待ってください」
夏が助けた(偶然)、少女の一人が声をかけてきた
「ん?どうした?」
「助けていただいたお礼がまだでしたので。助けていただきありがとうございます」
「ありがとうございます」
もう一人も少女も共に夏に礼を述べる
「あ~~気にしなくていいぜ。ほとんど偶然だったからな」
「そうですか。お礼・・と言うには物足りませんが怪我の治療を私達が行います。ですが、人がいつ来るか解りません」
「だったら俺達の泊まってる部屋がいいな。二人とも飛べるか?」
「少しの時間でしたら大丈夫です」
「なら俺達についてきてくれ」
そう言うと、夏は助けた二人を連れてホテルの部屋まで飛びたった。戻った時に落雷が落ちてくるのを知らずに