「・・・・ん?」
「あ!起きた☆」
「・・・セラフォルーさん?」
目を覚ました夏が最初に目にしたのはここに居るはずのないセラフォルーの顔だった
「もう、レヴィアたん☆で良いって言ったよね?」
「呼べませんよ」
愛称で呼んでくれなかったのか頬を膨らませるセラフォルーに夏は苦笑いする
「てか何でセラフォルーさんがここに居るんです?」
「入れていた予定がなくなったから遊びに来たんだよ。そしたらグレイフィアちゃんが面白いことをしようとしてたから一緒に来たの☆」
「・・・何か妙な視線を感じると思ったら、二人だったわけか」
「もしかして気づいてたの?」
「何となくですけど」
「(グレイフィアちゃんが夏君は五感が鋭いって言ってたのを聞いて半信半疑だったけど、どうやら本当みたいだね)」
セラフォルーが夏の五感に内心おどろいていると
「セラフォルー様ただ今戻りました。夏様は?」
「お帰りグレイフィアちゃん。夏君ならついさっき起きた所だよ☆」
「そうですか。夏様、何処か痛むところはありますか?」
「いんや大丈夫だ。少し寝たことで体力も魔力も回復したからな。でもしいて言うなら腹が減ったかな?」
から笑いすると夏の腹が盛大に鳴った
「すっご~~い音」
「捕って来ておいて正解でしたね」
グレイフィアは薬草を持っている反対側に手に握っているロープを引っ張ると
「おぉ!蟹ブタ!!」
仕留められ、ロープで縛られた一頭の豚が森から出てきた
「夏様、どのように食べますか?」
「やっぱ丸焼きだろう」
「では火をお願いします」
「あいよ『火竜の咆哮』」
いつの間にか捕ってきた蟹ブタを太い木の枝で逆さまに吊り上げ、約準備を整えていたグレイフィアの言われ、夏は軽いブレスで火を焚きつけ、焼き始めた
「早く焼けねぇかな」
夏はかぶりつきたい衝動を抑えて蟹ブタが焼き上がるのを待っていると
「夏様、焼き上がるまで少々かかりますので修業で出来た傷を手当てするので見せてください」
「唾でも付けとけば直るって」
「駄目です。言う事を聞いてください、でないと蟹ブタはお預けですよ」
「っぐ・・・解ったよ」
いい匂いがしてきてさらに腹の音が高鳴った状態でお預けはきついと思った夏は、グレイフィアの言うとおり傷の手当手をしてもらうために彼女に近寄って傷を見せた
「それでは失礼します」
グレイフィアは森で捕ってきた薬草をすり鉢ですっており、それを夏の傷跡に塗っていく
「染みますか?」
「大丈夫」
「グレイフィアちゃん、私にもやらせて」
「いいですけど、優しくですよセラフォルー様」
グレイフィアはセラフォルーに薬を渡し、蟹ブタの焼き加減を見に行った
「如何、夏君?」
「大丈夫ですよ。痛みも引けてきましたしね」
「夏様、セラフォルー様、蟹ブタが焼きあがりました」
「待ちわびたぜ!」
グレイフィアの言葉に夏は過剰に反応にし、涎を垂らす
「いただきま~~~す、ハグ!」
焼き上がり、切り分けられた蟹ブタ(半分は夏の所)をむしゃばるように食べる始める夏。その食べ方からかなり腹が減っていたことがうかがえる。夏に比べグレイフィアとセラフォルーは上品な仕草で食べる
「う~~んやっぱりこの森で捕れる食材は美味しいね☆見た目は豚なのに最上級の蟹をたべてるみたい☆」
「一体この森にはどれだけの食材があるのでしょうね」
「・・・・・・ん?」
蟹ブタを食べていた夏の口が止まり、辺りを見回す
「どうしました夏様?」
「いや?何か羽の羽ばたきが聞こえた気がしたんだが」
「羽の羽ばたき?私は聞いてないけどよ?」
「私も聞いていません。気のせいではないでしょうか?」
「・・・いや、やっぱ聞こえる。だんだん近づいてきてる?」
二人には聞こえないが夏にははっきりと羽ばたきが聞こえる。すると、
『ガァアアアアアア!!』
この森で今まで聞いたことのない雄叫びが聞こえてきた
「な、何、この声!?」
突然聞こえてきた雄叫びにセラフォルーは空を見上げると
「ド、ドラゴン!?」
空から一頭の赤い竜が夏達の入る場所に降りたった
「ドラゴンってやっぱいたんだ」
「夏様、感心している場合ではありません!」
感動している夏をグレイフィアが叱る
「別に感心してる訳じゃないぞ?やっともっとも俺の魔法が効く相手に会えて嬉しいんだよ」
グレイフィアにそう言うと、夏は一歩前に出る
「さてやろうぜ、トカゲ!!」
夏は今出せる最大の威圧を竜へと放つ。竜はその威圧に気づいたのか喉を鳴らして威圧し返す。緊迫した空気が場を満たす。両者ともに動かずにらみ合いが続いていたが、竜が先制の炎のブレスを夏へと吐く
「「夏様/夏君!?」」
放たれたブレスを避ける気など毛頭ないのか、炎に飲み込まれた。炎に飲み込まれた夏を見て悲痛な声を上げるグレイフィアとセラフォルー
『グルルル』
夏を倒した今度は二人を標的に選び、足を進めていく竜。だが
「さすがドラゴンが吐く炎、うめぇ―――!!」
夏は炎に飲み込まれたと言うのに体の何処にも火傷を負わず無傷で平然と炎の中に降り、あろうことかドラゴンの炎を食べていた
「っ!?」
「えぇ!?炎を食べてる!?」
夏が炎を食べている光景を見てグレイフィアとセラフォルーは驚く
「ふぅ~~ご馳走様。旨い炎だったぜ」
包み込んでいた炎を全て平らげた夏はドラゴンに一礼する
「さてうまい炎を食わせてくれた礼に今度は俺の炎をくれてやるよ火竜の・・・咆哮!!」
礼とばかりに今度は夏がドラゴンにブレスを吐いた。普通の炎であるならドラゴンには大したダメージにはならないだろう。だが、夏のブレスは竜を倒すために編み出された魔法、滅竜魔法、竜に対し最大限のダメージを与える魔法
『ガァアアアアア!?』
炎をまともに喰らったドラゴンは余りの威力に吹き飛ばされた
「おぉ・・・ドラゴンの炎を食べただけでここまで威力が上がるなんて」
いくらドラゴンの炎を食べて放ったブレスの威力に夏は驚く
「炎を食べてこれならドラゴンフォースを発動出来たらどこまで上がるんだろう?」
今だ習得できてない滅竜魔法の最終形態『ドラゴンフォース』を使ったらどうなるのかを考えていると、怒ったドラゴンが尻尾を夏に振り下ろす
「あぶな!?今は戦闘に集中だな!」
夏は振り回される尻尾を躱しながらドラゴンに近づいて行く
「夏様、前!?」
「うぉ!?」
尻尾ばかりに集中していたせいか他の場所への注意が疎かになっており、咬みつかれそうになったがグレイフィアの声によってギリギリのところで飛び上がり回避することが出来た
「(初のドラゴン狩りで注意が散漫になってた見たいだな。後でグレイフィアにお礼と好きな一品を作ろう)」
夏はそのままドラゴンの背中まで飛ぶと
「火竜の煌炎!」
背中に巨大な火球を叩き込んだ
「っと、火竜の双拳!」
そして追撃とばかりに炎を纏わせた両拳を叩き込んだ。追撃を受けたドラゴンはダメージを受けてなお翼で夏を薙ぎ払った。咄嗟に両腕をクロスして防御した夏だが、吹き飛ばされ、木々を突き破り、岩に激突した
「やりやがったなこの野郎!!」
こうして、夏とドラゴンの死闘は3時間に及んで行われ、勝ったのは
「W、Win」
夏だった。夏はドラゴンに寄り掛かってVサインをする
「夏様!?」
「夏君、大丈夫!?」
夏とドラゴンの戦いが終わると、戦いを見ていたグレイフィアとセラフォルーが夏に駆け寄る
「ははは、何とか」
「立てますか?」
「無理」
グレイフィアの問いに夏は即答えた。どうしようかとグレイフィアが悩んでいると
「グルルル」
ドラゴンが頭だけ動かして夏に近づく。夏の近くまで頭を動かすと、ドラゴンは夏の顔を舐めはじめた
「くすぐったいっての」
そして、舐めるのを止めるとまるで犬のように夏に頬刷りする
「痛い、痛いっての」
痛がるそぶりをするものの、夏は笑ってその行為を受け入れた。そして、それは夏が動けるまでずっと続いた
「さて、そんじゃあ帰るか」
動けるまでに回復した夏はグレイフィアとセラフォルーと共に家に戻ろうと歩き出すと、ドラゴンが後ろからついて来た
「・・・何でついて来るんだあいつは?」
夏が止まってドラゴンを見ると、ドラゴンも止まるじっと夏の事を見る
「もしかして、夏様と一緒に居たいのではないでしょうか?」
「え!?」
グレイフィアの推測に夏を驚く
「ついて来たいって。俺達は互いを喰おうとしたんだぞ?何でそうなるんだ?」
「あれじゃないかな夏君と本気で戦って、負けて、夏君の力を認めたとか」
「そんなマンガじゃあるまいし」
ドラゴンを見てどうしたもんかと悩む夏だが
「・・・お前、一緒に来たいのか?」
ドラゴンに歩み寄って『来たいのか』と尋ねると。ドラゴンはゆっくりと頷いた
「そうか・・・じゃあ一緒に帰るか、レウス」
夏はドラゴンにレウスと言う名前を付けて呼んだ
「ガァアアアア!!」
その名が気に入ったのかドラゴン、レウスは咆哮を上げた
「ははは、また一段と賑やかになりそうだな。ん?」
レウスが喜んでいるのを見て笑っていると、夏は森の中で何かが目に入り、森に入って行く。そして
「卵?」
大きな卵を見つけた
「何でこんな所に卵なんかあるんだ?」
疑問を感じていると
「夏様」
「今行く」
グレイフィアに呼ばれ、夏は卵を持って二人の所に戻り、レウスに乗って家へと戻った。帰った際、レウスを見た黒歌と白音が驚き悲鳴を上げたが、グレイフィアの説明を受け、新しい家族が出来たことに喜び、宴会へと突入した
ドラゴンの姿はパズドラに出てくるメテオボルケーノドラゴンです