滅竜魔法と妖精3大魔法を貰って人外世界へ   作:白の牙

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第09話

 

 

 

 

 

 「火竜の鉄拳!」

 

 像熊を黒歌の力を借りたと言うに仕留めきれなかったことがかなりショックだったのか、夏は暇さえあると鉱石を壊していた

 

 「だめだこの鉱石は硬すぎて今の俺の技じゃ壊せねぇ」

 

 ブレス、炎の拳、牙、爪、角、槍そのどれを放っても目の前にある鉱石を壊せないことに夏は項垂れる

 

 「新しい技を考えた方が良いかな?」

 

 夏は地面に座り、考え始めるがいいアイディアが思いうかばなかった

 

 「そうだ!生前読んで本のをまねればいんだ!確か本ではこうやって片手を後ろに構えて、炎を出して、もう片方の手から溜めた炎を撃ちだす!」

 

 夏は本で見た通りに構え、チャージした炎を鉱石に向け放つ。放たれた炎は鉱石の半分を溶解させた

 

 「げほ!げほ!反動でここまで吹き飛ばされるなんて」

 

 夏はせき込みながら川から這い出る。どうやら技を放った際に前方に放射した炎の勢いが強すぎたため、川まで吹き飛ばされたようだ

 

 「こりゃあ、物にするのに相当時間が掛かるな」

 

 

 

 

 

 

 「た、ただいま」

 

 「お帰りなさいませ夏さ・・ま?」

 

 グレイフィアは帰ってきた夏を見て自分の目を疑った

 

 「ど、どうしたのですかその傷は!?ボロボロじゃないですか!?」

 

 至る所に傷を負った夏を見てグレイフィアが慌てる

 

 「はは、グレイフィアが慌てる所は初めて見たな」

 

 「傷の手当てをするのでそこで待っていてください!」

 

 「このぐらいなら飯を喰えばなるから大丈夫だって」

 

 「ですが」

 

 「じゃあ俺、風呂に入って来るから」

 

 夏は傷の手当てをすることなく風呂に入り、飯をたらふく食べると、言った通り出来ていた筈の傷の殆どが感知していた

 

 

 

 

 

 

 

 「(あきらかにおかしい)」

 

 グレイフィアは悩んでいた。悩んでいる内容は勿論、夏の事だ。グレイフィアは夏の力をまじかで見たのでよく知っている。だと言うのにここ最近、夏はボロボロになって帰ってくる

 

 「(黒歌様、白音様の話では最初の頃は今と同じように状態で帰ってきた。・・・一体何をやっているのでしょうか?)」

 

 「グレイフィアちゃん、何やってるの?」

 

 「っ!?セ、セラフォルー様!?」

 

 こっそりと夏の後を追いかけ、何をやっているのか確かめようと思ったグレイファイは念入りな準備を行い、行動を起こそうとした時、声をかけられ振り返ると、セラフォルーがいた

 

 「やっほー!遊びに来たよ」

 

 「遊びに来たって魔王の職務はどうしたのですか?」

 

 「勿論やってきたよ。本当なら今日は愛しのソーナちゃんと一緒に遊ぶ予定だったんだけど、リアスちゃんと何処かに行っちゃたんだ。それで、遊び兼この間のお肉のお礼も兼ねてきたんだよ。それでグレイフィアちゃんを何やってるの?」

 

 「実は・・」

 

 興味津々な顔のセラフォルーを見て、何を言っても無駄だと悟ったのかグレイフィアは事情を説明した

 

 「ふ~~んそれは確かにおかしいね」

 

 「はい、ですのでこっそり付いて行って確かめよと思っているのです」

 

 「成程成程、だったら私も付いて行っていい?なんか面白そうだし☆」

 

 「でしたらこれを」

 

 セラフォルーの返答を予想していたのかグレイフィアは一枚の布を渡した

 

 「何これ?」

 

 「夏様は嗅覚に優れているんです。黒歌様曰く、人間界にいる警察犬以上の良さだとか。ですので途中でばれないようにこれで匂いを誤魔化すんです」

 

 「むぅ~~こんなボロボロの羽織りたくないけどしょうがないか」

 

 グレイフィアに言われ、セラフォルーは渋々布を羽織る

 

 「では行きます」

 

 「う~んちょっとワクワクしてきた☆」

 

 夏が出かけると二人はこっそりと後を追う。追う事十分、川の上流へと辿りついた

 

 「よし、始めるか」

 

 軽いストレッチをした夏は、上着を脱ぎ捨てた

 

 「(何で脱ぐのです!?)」

 

 「(うわ~~凄い、あの歳であそこまで鍛えてる子なんて初めて見たよ)」

 

 「今日こそは絶対に物にしてみせる!」

 

 その決意のもと、夏は片手を後ろで構え、炎を放出、そしてもう片手を前に構え、炎を出したが、前の炎の勢いが強い過ぎたため、岩にぶつかった

 

 「いててて、もう一度!」

 

 体を強打したのにもかかわらず、夏は同じ動作を何度も続ける。そのたびに岩にぶつかったり、大木にぶつかったりする

 

 「はぁ、はぁ、も、もう、一度、だ」

 

 何度もぶつかり体力、更には魔力を消費し立つのさえやっとの夏。だが瞳の奥にある闘志は赤々と燃えあがっていた

 

 「夏様・・」

 

 「夏君」

 

 何度失敗しても諦めない夏の姿勢に何かを感じ取った

 

 「おぉおおお!!」

 

 何度目かの挑戦、だがその挑戦も失敗に終わり、夏は再び吹き飛ばされる。だが、一つ違ったのは来るはずの痛みが無く、代わりに何か柔らかく暖かいものに抱きとめられた感触だった

 

 「(やべ、意識が・・)」

 

 その感触を確かめることなく、夏は気を失った

 

 

 

 

 

 「・・・どうやら気を失ってしまったみたいですね」

 

 「そうみたいだね。まぁ、当然と言えば当然だね」

 

 セラフォルーはグレイフィアの膝の上に寝息を立てている夏を見て言う

 

 「この寝顔はソーナちゃんの寝顔に匹敵するね。いいな~グレイフィアちゃんはこんなかわいい寝顔を毎日見れるんだから☆」

 

 「私も見るのは初めてです」

 

 「それにしてもすごい打撲痕と傷だね。いつもこんなになって帰ってきたの?」

 

 「はい。その理由が解りました、あの技を完成させようと頑張っていたのですね」

 

 グレイフィアはボロボロの夏の身体を見て呟く

 

 「セラフォルー様、私は森に入って薬草を見つけて戻って来る間、夏様の事をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

 「いいわよ☆グレイフィアちゃんが戻って来るまでの間、たっぷりと夏君の寝顔を堪能させてもらうわ☆」

 

 何処か活き活きとしているセラフォルーに苦笑いしながら、グレイフィアは薬草を探しに森に入って行った

 


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