ゴッドイーター アンソロジーノベル~the memory of love~   作:鷹師

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シュガーソングとビターステップを聴きながら書いてます。
オサレな曲はインスピレーションが刺激されていい表現が思いつく予感がするのです(笑)


第八章 黒翼

毒と疲労からか劉がついに膝をつく、それだけじゃないかもしれない。私たちは死んでいたのかもしれなかった。それを助けてくれたのは間違いなく目の前にいる彼、それなのに。

口を開いても言葉が出てこない……

なんで?どうして?どうやって?どうなって?

疑問ばかりがぐるぐると頭の中で渦巻いていく。フォローしようにも思いつかない。

きっと私の顔は恐怖や困惑の表情を浮かべていたのだろう、しばらくやさしい表情で私を見つめていたタカシはフッ諦めたような顔で笑うとアイテールに向き直る。

大きくその場で一回翼を羽ばたかせると、タカシは弾丸のようにアイテールめがけて突っ込む。早すぎて防ぐ暇もなかったのだろう、アイテールはタカシの体当たりの直撃を受ける。

しかしそれだけでは終わらない、タカシはアイテールの腹部に神機を深々と突き立て、左手でアイテールとがっしりと掴むと推力を横から上へと変えていく。アイテールはもがくが力はまったく緩むことなくスピードは上がっていき天井にアイテールはその体をたたきつけられた。

アラガミ対アラガミという次元の違う戦いに腰が抜け、その場にへたり込む。

ただただ目の前で起こっていることが信じられなかった。

右、左、下、上壁という壁にアイテールはたたきつけられボロボロになっていく。もう抵抗する力も残っていないようで千切れそうな右腕が見ていて痛々しい。

土ぼこりが舞い、辺りを埋め尽くしていく。視界を覆う煙の中で、翼が空を切る音と衝撃音、そして苦しそうなアイテールの声だけが鳴り響く。

しかしその音も次第に減っていき、アイテールの声が聞こえなくなる……

そして凄まじい戦いの証拠であった土煙が舞台を最後まで見届けた観客のように引いていくと、残ったのは崩れた祭壇というステージに体を埋めて動かないアイテールとそのそばに立ち今まさに神機で捕食しようとするタカシの姿のみであった。

 

「大丈夫?お疲れ様」

「今日もうまくいってよかった」

「さぁ、帰ろうアリサ」

ミッションが終わるとタカシは必ず私にそのような言葉をかけてくれた。

しかしアイテールを倒し、外で待機していた輸送機に乗り込む今まで薄い笑顔を浮かべたままタカシは一言も言葉を発しなかった。無言で苦しそうな表情を浮かべる劉に肩を貸し、小さな体で副支部長を担ぎ上げると、私を一目見てもと来た道を戻りだす。慌ててついていったがかける言葉はやはり見つからなかった。

今は翼はない。階段を登る途中で引っ込むようにタカシの体へ吸い込まれていった。しかし、背中の一部が破けたシャツはそこに翼があったのだと語りかけてくるようで後ろからついていっていた私はその寂しい背中を見つめることしかできなかった。

「タカシ、あとで私の部屋へ……それからすまなかった。前線で指揮を執らなければならないはずの私が指揮をする余裕もなく力尽きてしまうとはな、そろそろ引退か」

「使うなといわれていたのに使ってしまいました……申し訳ありません副支部長……」

「よいのだ、それについては私の部屋で話そう。皆ご苦労だった、皆の働きに口だけではなく感謝している。たいした報酬もないがゆっくり休んでほしい。もうすでに休んでいる奴もいるがな」

副支部長の視線の先には椅子の背もたれに体を預け、上を向いたまま口をあけて寝ている劉の姿があった。

「ありがとうございます、副支部長」

輸送機で交わされた言葉はそれだけだった。

いつの間にか降り始めた雨が輸送機の窓をぬらし、そこに反射するタカシの顔と重なって涙のように見えた……




今回も読んでくださり感謝のきわみでございます。
ようやく機能に慣れてきたのですがふと見ると……お気に入りが二件!
ありがとうございます!うれしすぎて目からグボログボロです!

もう少し台詞を多用してもいいような気がしますが(このままではキャラの性格がいまいち伝わりにくい気がするので)
なかなか描写の説明とのタイミングというか挿入すべき台詞とかが見つからないのです

キャラのプロフィールみたいなのを別で挙げてもいいかなーとか思ったのですが、なんか嫌なんですよね~キャラクターについては皆さんに想像していただきたいというか、キャラクターを書いたりしたら漫画でおk?って言われてるような気がして(笑)
画力がないからSSなんだよって言うのは悔しいので映像化もしないことですしどうぞ皆さんの頭で好きに描いてもらえるとうれしいです。投げやりにしてるわけではなく皆さんの中にいるタカシや劉やイワンを大切にしてくださいといいたいだけなのです。皆さんの中で私が描いたキャラクターが生きていく、それが私の喜びですから。
さて、グダグダと長くなってしまいましたが気を取り直して!


お疲れ様でした!お気に入りしてくださったお二方や、時間を割いて呼んでくださった皆様、そして担当の……いないんですけど(笑)ありがとうございました!
ではでは次回も楽しみに待っていてください!

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