ゴッドイーター アンソロジーノベル~the memory of love~ 作:鷹師
「カルト教団ですか……」
ミッションの内容を聞いたとき耳を疑った。今回のミッションはアラガミを神として信仰するカルト教団のアジトへ潜入し、あまりの力により接触することも禁忌とされている第二種接触禁忌アラガミ「アイテール」を倒せというものだ。
「そうだ、ターゲットはカルト教団の最深部にて崇められている」
いつになく真剣な眼差しの副支部長が話を続ける。私たちクルイローは副支部長室にて説明を受けているが今回のミッションは秘密裏に行われる極秘ミッション。人目につくところでこの話はできない。
死地へ赴く恐怖や責任が肺を握りつぶし呼吸すら満足にできない。握り締めた手のひらはじっとりと汗ばんでいる。
それほどの緊張感が部屋を埋め尽くしている。
「なぜそれほどのアラガミが教団の最深部でおとなしくしているんですか?」
口を開いたのはタカシ。確かに私も気になった理由だがおそらく……
「信じがたい話だが……教団は捕食されることを『救済』だと思っているのだ。今回確認できた彼らの拠点は世界でも三本の指にはいる規模で人数もおよそ一つの国として成り立つほどだ……一日数人が捕食されている」
わかっていた答えであっても奥歯を食いしばる。怒り、悲しみ、様々な感情が拳を振るわせる。
「彼らが望もうと望むまいとアラガミは人類の敵。我々は倒さねばならん。教団を食い尽くしたアイテールは必ずや餌を求め世界を食い尽くす。そのようなことは断じてさせん!表で別働隊が教団をひきつけ、その間にターゲットを仕留める。この任務には私も参加する」
そうだ、私たちはやらねばならない。神機使いに、ゴッドイーターになったのはアラガミを掃討するため。
「了……」
「くだらん、俺は下ろさせてもらおう」
解という言葉はイワンにかき消されその場にいる全員が息を呑む
「な、なにをバカな……」
「失礼する」
静止しようとしたタカシを遮り、イワンは踵を返して退室していった。あまりにも突然なその出来事に部屋に沈黙が流れる。
「あいつの処分は後々下す……もともと討伐隊はクルイローと私という予定だったのだ、今までのようにやればいい。任務開始まで十二時間……諸君らは自室で待機」
副支部長は椅子を回転させ私たちに背を向けると呟く様に口にした。私にはその姿が副支部長としてではなく父親として移って見えた。
「……了解です」
部隊長として動けなかった私はようやくその言葉だけを告げ部屋を後にした。
今夜は新月……今は空高く輝く太陽も、任務の時間になれば黒一色で塗りつぶされる。闇にまぎれて任務をこなす――私のせいで傷つけてしまったあの人もこの不安や恐怖に耐えていたのだろうか、どんなに辛くても笑顔で励ましてくれたあの人は……
「リンドウさん……」
一陣の風が吹き小さな花びらが空に舞い上がった。
遅くなる詐欺は保険です(笑)
大まかな流れやラストは頭にあるのでそれをアウトプットするだけですね。
そしてそれが一番難しい作業だと思っています私のイメージが正確に描写できて読んでくださる皆様が少しでもそれによって楽しめたり共感してもらえればうれしい限りです。
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さて、長くなりましたがここまでの購読ありがとうございました。
次回でまたお会いしましょう。