ゴッドイーター アンソロジーノベル~the memory of love~   作:鷹師

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遅くなりましたが失踪はないものと思っています
お待たせしてすみませんでした


第十四章 転調

「状況はどうなっていますか?」

リズと道中で逃げ遅れた人を救出しシェルターまで無事にたどり着けたところでオペレーターに連絡を取る。

アラガミとそれを信奉するカルト教団の二つから同時に攻撃を受けている現状では情報の速さは対応までの早さにつながる重要な存在だ。

「居住区および門周辺のアラガミはシユウ科の新型アラガミによってほぼ掃討されました。アラガミ同士の共食いは珍しいことではありませんがここまで徹底的な光景は初めてだったと第一部隊からの報告です。信じられないことに新型は人間に対して敵意を持たないようですね・・・・・・そこでアリサさんとエリザベスさんには偏食フィールド発生装置の方へ向かってもらいます。先に向かった副支部長と連絡をとろうにもジャミングが酷くて連絡が取れません、激しい抵抗が予想されます。アリサさん、頼みます!」

偏食フィールド発生装置は敵側に落ちているだろう。

今ここはおいしいにおいが立ち込める肉をライオンの目の前で焼いている状態なのだ。

「わかりました。アリサ、リズの両名直ちに装置へと向かいます!」

 

 

 

フェンリルロシア支部本部の南側に装置のある研究棟は建設されていた。

かつてはオオグルマ博士によって非人道的な実験が数多く行われたそこは、支持者でもあった極東支部の旧支部長ヨハネス・フォン・シックザールの死によって研究機関は停止。

以後の研究はシックザールの後任であるサカキ博士と共に革新的とも呼べる研究に着手していた。

それが偏食フィールド発生装置である。

この装置を使えばアラガミの偏食傾向を自在に操りロシア支部周辺だけでなくすべての人々に安心で安全な生活の実現させる可能性を秘めていた。

先ほどの例で例えるならば、ライオンに対して捕食対称でない雑草に変身するといったようなところか。それを今回は逆に使用することでアラガミを引き寄せているのだ。

それを止めに行くべく研究棟と本部をつなぐ唯一の連絡橋を渡っているのだが・・・・・・

「酷い・・・・・・」

戦争。

その言葉がふさわしいともいえる惨状だった。

一緒に町を守ってきた門兵や後方支援部隊が銃をその手にピクリとも動かず血を流して倒れている。

そしてそれはアラガミ神教徒とも共通していた。

急がないと・・・・・・

走っていた足に更に力が入る。連絡橋を駆け抜け、死臭が漂うゲートをくぐり、研究施設の更に奥のその『装置』を目指す。

「・・・・・・・・・・・・!!」

奥の扉から聞き取れないが声が聞こえる!

扉を蹴破り入った部屋で私とリズの目の前に入ってきたもの

鮮血を吐き出す肩から腰への袈裟懸けの傷を刻まれ今まさに後ろへ倒れる副支部長。

その隣で返り血を浴びながらそれよりも大量の血がついている神機を手に持つ人物。

「なん・・・・・・で・・・・・・」

神機使いにしてアレクサンドル副支部長の息子イワンだった。

 


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