ストライク・ザ・ブラッド〜獅子王機関の舞剣士〜   作:倉崎あるちゅ

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大変申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!

本当に二ヶ月間更新せずにいなかったことをお詫びします。申し訳ありませんでした。

ガソリンスタンドのバイトを、更新した日の翌週にやり始めたものでして。
いやぁ、慣れないことで精神をすり減らしましてね。ガソリンスタンド舐めてました。アレ大変ですわ。ノルマもあるんでツライです。


とまぁ、結構愚痴(言い訳)をしましたが、言いたいことはただ一つです。
本当にすみませんでした。
そして、待ってくれていた皆様、ありがとうございます!

あれ、二つでしたねwwww


さて! 結構間が空いてしまったので書き方がほぼ雑です。申し訳ありません。
では、どうぞ!!


 Ⅹ

 α

 

 

 南宮さんがいる、建設中の増設人工島(サブフロート)の手前まで空間を繋げて、俺、紗矢華、暁は空間の裂け目を走っていた。

 何度も通った事がある紗矢華と違い、暁は物珍しそうに走りながら見回している。

 

「すげぇな、これ。どうなってんだ……?」

「空間の狭間よ。この中で過ごす事も出来るけど、少し時間がズレるわ。昔はよく私と翔矢と雪菜でここに大事な物とか隠してたわね」

「あったね、そんな事。今も探したらありそうだね。特に紗矢華のものが」

 

 昔の事を懐かしそうに紗矢華は暁に話をする。

 なんだかんだ、彼女は暁と話す分には大丈夫そうだ。

 俺はそう思いつつ、裂け目の出口を睨みつける。悪魔としての本能が、この先は危険があると、言っているような感覚が襲い掛かってくる。

 

「そろそろ着くよ。二人共、気を引き締めて」

「ええ、解ったわ」

「おう」

 

 そう言って、二人の顔に真剣味を帯びる。

 出口を睨み、俺達は空間の狭間から抜け出した。

 まず聴こえてきたのは幾つものの銃声と増設人工島(サブフロート)の何処かで起きている爆発音。そして視界に映ったのは、増設人工島(サブフロート)に渡るための連絡橋を特区警備隊(アイランドガード)が通行止めをしている姿だった。

 周りには墜落したヘリが、見るにも無惨な姿で焼けている。

 

「まるで戦争じゃねぇか……」

 

 暁が呆然と呟いた。

 紗矢華も眉を顰めて通行止めされている奥の方を見て、次に周囲を見回す。

 

「翔矢、どうする? 見たところここ以外通れる場所なんて無いわよ?」

 

 そう質問してくる彼女に、俺は絃神島本体と増設人工島(サブフロート)の間を指で指し示した。その間は約八メートル程の距離だろう。

 

「何も連絡橋だけが通路じゃないさ。あそこから飛び移る」

「……念のため訊くけど、方法は?」

「文字通り飛んで」

 

 真顔で言う俺に対し、紗矢華は口元を引くつかせた。

 

「私、人間よ? 霊力で強化しても足りないんだけど」

「大丈夫大丈夫、昔やったやり方ならいけるさ」

「昔……?」

 

 なんの事か解らない暁は首を傾げた。

 紗矢華は思い出したのか、少し頬を朱に染めている。

 赤くしているのも頷ける。何せあれはやる方もやられる方も恥ずかしい。よくもまぁ昔の俺はそれを平然とやってのけたものだ。今じゃ考えられない。

 昔の俺は無知だったもんね、仕方ないね……。

 しかし、いくら恥ずかしいとしても、今回はそうも言ってられない。

 擬似転移するにしても少なからず霊力だって使う。たかが七、八メートルくらいの距離なんて飛べば済むだけの話だ。

 よって、紗矢華には悪いが我慢してもらうしかない。

 

「暁、先に行っていいよ。もし俺が落ちそうになったら掴みあげて」

「ちょ……! 翔矢、待って心の準備が……!」

 

 俺はそう言って顔を真っ赤にして騒ぐ紗矢華の膝裏に腕を通し、そのまま彼女を抱き上げた。

 その際に紗矢華と俺の顔が息がかかる程近くなってしまう。

 久しぶりにやったけど、恥ずかしい……。

 

「っ!? っ……!!」

 

 抱き上げた紗矢華は何故か俺の目を見ようとしてくれなく、目を必死に逸らしている。口元も手で隠している。

 何故そのような事をしているのかわからず、俺は首を傾げた。

 それにしても紗矢華は相変わらず軽いな。俺は魔族だから筋力がおかしい事になってるけど、それでも軽いと思えるくらいだ。

 俺がそう思っていると、暁は呆れたような視線を紗矢華に向けていた。

 

「煌坂……」

「うっさいわね暁古城! こっち見ないで!」

「はいはい……。んじゃあ、先行ってるぞ」

「あ、うん」

 

 雪霞狼が入ったギターケースを背負い直し、暁は少し助走をつけて増設人工島(サブフロート)に飛び移った。

 続いて俺も助走をつけて、増設人工島(サブフロート)に飛び移り、紗矢華を降ろす。しかし、

 

「おおっ!?」

 

 どうやらギリギリだったらしく、紗矢華を降ろした事によりバランスが崩れ、俺は海に落ちそうになる。

 

「翔矢っ!」

「黒崎!?」

 

 重力に引き摺られ、俺はそのまま海に落ちる寸前のところで紗矢華と暁が俺の手を掴み、引っ張ってくれた。

 危なかった……危うく落ちて濡れ鼠になるところだった。俺ってあまり泳げないから辛いんだよね……。

 

「大丈夫? 翔矢?」

「まったく、気を付けろよ黒崎」

「うん、ありがとう紗矢華、暁」

 

 心配そうな紗矢華と苦笑を浮かべる暁に、俺はあはは、と笑ってお礼を言った。

 俺はすぐに体勢を立て直し、増設人工島(サブフロート)内で起こっている戦場に向けて俺達は駆け出した。

 

 

 β

 

 

 銃声や爆音が鳴り響く戦場で、黒のレースをあしらった日傘を差し、同じく黒色のドレスを見に纏い、長く艶やかな黒髪を靡かせる少女──南宮那月は建物の上に立ち、何かを考えるように顎に手を当てていた。

 

(あまりにも楽に事が進んでいる……。何か裏でもあるのか……?)

 

 那月がそう考えていると、複数の足音が聴こえてきた。足音の間隔的に走っているようだ。

 その足音は次第に彼女がいる方へ近づいてくる。

 那月は下の方を向いて走ってくる人物を確認しようと、目を凝らした。すると、物陰から出てきたのは見慣れた狼の体毛に似た髪の毛を持つ少年と、銀色の長剣を持つ色素の薄い長い髪をひとまとめにした少女。そして、黒く輝く片手剣を持つ漆黒の長めの髪をした少女のような少年だった。

 

(暁古城に舞剣士? それに……あれは獅子王機関の小娘か? 何故ここにいる?)

 

 那月は目を細めて疑問に思った。

 黒死皇派の件は古城と雪菜から頼まれ、その上に翔矢からも式神経由だが頼まれた。にも関わらず古城と翔矢がいる事に疑問を持つ。

 考えていても仕方がない、そう思った彼女は己が得意とする空間制御の魔法で三人の目の前まで転移した。

 

「那月ちゃん!?」

「南宮さん?」

「"空隙の魔女"!?」

 

 いきなり目の前に現れた那月を見て、翔矢達三人は三者三様の反応を見せた。

 しかし、約二名の反応が悪かったようで、那月はつかつかとその二名に歩み寄る。

 そして、

 

「いで!?」

「あたっ……」

 

 那月ちゃん、と担任をそう呼ぶ古城と一番反応が薄かった翔矢の頭を頭蓋骨が陥没するくらいの勢いでレースが付いた扇子で殴った。

 当然二人は頭を押さえ、苦悶の声を上げる。

 

「何すんだよ、那月ちゃん!」

「全くですよ……痛いじゃないですか」

「担任教師をちゃん付けで呼ぶな! それと舞剣士、お前はもう少し驚け!」

「「理不尽だ!?」」

 

 古城が叩かれる理由は解るが、翔矢の理由だけがやたら理不尽だった。

 翔矢と紗矢華は目を見開いて叫んだ。

 

「ふん、知った事か。それより、お前達は何故ここにいる?」

 

 鼻を鳴らして顔を背ける那月は、横目で三人を見ながら問い質す。

 

「それが、姫柊と浅葱、それに凪沙がガルドシュの奴らに拐われたんだよ」

「何?」

 

 古城がそう答えると、那月は目を鋭くした。すると古城に続き、翔矢が補足する。

 

「それに加え、今の雪菜は雪霞狼を持っていない。そんな状況で藍羽さんや凪沙さんを守りながら戦闘なんて出来やしない」

「……なるほどな。それでここに来たというわけか」

 

 翔矢の話を聞き、那月はそう言ったっきり黙った。

 何か思案する彼女に翔矢は情報の共有をしようと、アスタルテの事も言おうとしたその時、彼は銃撃の音が途絶えた事に気づいた。

 ゾワッ、と翔矢と古城の背中が粟立った直後、

 ゴオオオオオォォォォォン──

 爆撃にも似た轟音が周囲にいた者達の耳をつんざいた。それに次いで地震にも似る大きな揺れ。

 

「なんだ!? 今のは!?」

 

 いち早く反応したのは古城だった。

 何か、嫌な気配がしたと思った途端に轟音が鳴り響いたため、彼は動揺している。古城と同じく、翔矢も嫌な気配がしたが、彼は動揺はしてはいなかった。しかし、顔は少し青くし、その頬には冷や汗が垂れていた。

 

「なに……この気配……!?」

「この禍々しい気配……なんだ、これは」

 

 揺れによって翔矢にしがみついていた紗矢華は音がした方向──銃撃戦が行われていた増設人工島(サブフロート)の、炎に包まれた監視塔のすぐ下を凝視した。

 禍々しい異様な気配が徐々に地上に上がってくるのが、翔矢達には解った。

 すると、徐々に瓦礫が盛り上がっていき、何か前脚のようなモノが出現する。先程の爆撃のような音の原因はこいつのせいなのだと全員が察した。

 

「──ふゥん、よく解らないけどサ、これはマズイんじゃないかなァ? 翔矢、古城?」

 

 突然、軽薄な声が上から聴こえた。

 翔矢達は建物の上に目をやると、出現したモノを眺めるように、サングラスをかけた純白のスリーピースを着た金髪の青年──ディミトリエ・ヴァトラーがそこに立っていた。

 

「ヴァトラー!? なんでお前が!?」

「どうして貴方がここに!?」

 

 いるはずがないと思っていた古城と紗矢華は同時に呻く。

 一方、翔矢だけは冷たい目でヴァトラーを睨み付けていた。

 

「ヴァトラー……()()…………!」

 

 一瞬、ほんの一瞬彼の瞳が金色に変色した。

 普段の優しい雰囲気など消え失せ、ただ、ただ炎のように揺らめく瞳に、ヴァトラーは射竦められた。

 ニヤニヤとした笑いは消え、彼は冷や汗を流す。古城は翔矢の豹変ぶりに動揺する。

 紗矢華は少し泣きそうになりながら、彼の手を握った。

 

「やめてくれよ翔矢、ボクは何もしてないサ。それより、特区警備隊(アイランドガード)を撤退させた方がいいんじゃないかなァ?」

 

 肩を竦めて、ヴァトラーは出現したモノに目を移した。

 

「ここにガルドシュはいないヨ。残っているのは囮ダヨ」

「囮だと? 特区警備隊(アイランドガード)を集めてなんの得になる?」

 

 ヴァトラーから告げられる言葉に、那月は紗矢華に手を握られている翔矢に向けていた視線を彼に向けた。その表情は不機嫌そうに眉が寄せられている。

 

「南宮さん、答えなんて解りきってる……。アレだよ」

 

 はぁ、と息を付いた翔矢が、やっとヴァトラーから視線を外して大量の瓦礫の中から出てきた巨大な影を睨み付けた。

 ソレを見た古城は、生徒会室で見たとある画像を思い出した。

 

「ナラクヴェーラ──っ!?」

 

 目を見開いて、古城は叫んだ。吸血鬼の真祖すら殺すと言われる神々の兵器の名を。

 

 

 γ

 

 

「はぁ……」

 

 蒼い髪を揺らし、一人の女性がつまらなさそうに溜息を吐いた。

 乗っていた船はテロリスト共に乗っ取られ、友人であるディミトリエ・ヴァトラーは何処かに消えていってしまった。

 だいたいの居場所は特定しているが、出ていけば出ていくで翔矢からの()()()を向けられてしまう。

 あれはもう向けられたくないと、女性──セリア・オルートは苦虫を噛み潰したような表情を作った。

 

「まったく、わたくしも戦闘狂(バトルマニア)でございますが、ディマ程でもありませんもの。わざわざ死にに行くような真似、したくありませんわ」

 

 首を振って彼女は、遠くから真紅の閃光を放つ神々の兵器──ナラクヴェーラを見つめた。

 閃光を浴びた装甲車が、バターのように切り裂かれ、勢い良く炎を吹き上げて爆発四散した。

 

「あれがナラクヴェーラの"火を噴く槍"でございますか……。なるほど、神々の兵器と言うだけはありますわね」

 

 けれど、と続けて、セリアは微笑んだ。

 

「どれだけ()()して対策したとしても、第一真祖(おじいさま)や他の真祖達……ましてや"大罪(デブリー)()君主(モナーク)"である翔矢さんを殺す事など出来ませんわね」

 

 ふふふ、と笑って、ヴァトラーの下へ行こうと自身の身体を火の粉へと変化させた。

 翔矢に何か言われれば何も知らないと偽り、全部ヴァトラーに罪を被せようと、そう腹黒い事を考えて。




読んでいただいてありがとうございます。

今回から、地の文と鉤括弧の部分を別ける文体にしました。実はこれ、クオリディア・コードの作品でこの文体を取っているのですが、活動報告でアンケートを取ったところクオリディア・コードの形の方が良いという事でこうなりました。

読みづらかったら言ってください。工夫しますので!

感想お待ちしております。それでは失礼致します!!

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