いやぁ~~やっとこっちのゴタゴタが片付きました。
………と言ってもまだ半分ですがね(´;ω;`)
さて、昨日投稿予定だったこの回も一日遅れてしまい
ましたので、もう一つの「仮面ライダー」の方も
投稿が一日ズレてしまうかもしれません……。
ともかく、久しぶりの東方紅緑譚をどうぞ!
_______________辿り着いた。
僕は今、真夜中の森の中を駆けていた。
何故こんな時間に、そんな場所にいるのか?
何の理由も無くこんな場所に来るほど、僕はバカじゃない。
僕が此処まで来た理由は、たった一つ。
『紅魔館』に行くためだ。
僕はそもそも、今夜は人里の慧音さんの家で一泊した翌朝、
里の人々にこの『幻想郷』の事について更なる情報を得る為、
聞き込みをしようと思っていたのだ。
慧音さんから、『あの話』を聞くまでは。
そこから僕の行動は早かった。
まず寝静まった慧音さんの家を音を立てずに抜け出し、通路を駆ける途中、
古書店だろうか?目的の場所の具体的な地図があるはずだと睨んで探ると、
案の定見つけたので、暫く拝借することにして店を出てすぐ、
里の出入り口で見張りをしている門番の隙を突いて、外に出た。
この程度の警備ならば、僕の『
そして、地図に従ってこの暗い森を常人の数倍の速度で駆けてきたのだ。
勿論息切れなんて起こしてはいない。僕はそんなヤワな身体には『造られて』いない。
「_________着いた」
森を進んだ先にポッカリと開けた空間に付き当たった。
目を凝らすと、僅かに霧を
この地図に記されていた『霧の湖』とやらに間違いないだろう。
そして、その中央付近にそびえ建つ『紅い館』
今は明かりが付いている為、その全容の一部しか見受けられないが、
そこが目的地だと僕にはハッキリと理解できた。
今が『
「………此処まで漂ってくるよ……。誤魔化す事の出来ない『血の匂い』が……」
__________此処に、彼女がいる。
僕がこの『幻想郷』に連れて来られる事になった原因。
僕が失った五年間、僕の捨てた『それ以前の時間』。
その答えが、この館に。
もう僕の中に迷いは無かった。
さぁ、行こう。
誰でもない、僕の為に。
今日が輝き、明日が色づくあの日々へ。
「待ってて、姉さん」
真夜中の霧の湖に架かる石橋を駆ける影。
音も無く、確実に忍び寄る。
霧で曇った視界が晴れ、館と同じ色合いの鉄門扉が見えてきた。
そして、
「…………………」
名も無き狩人は、
此処は橋の上。一切の死角が存在しない場所。
自分のような『暗殺者』が最も苦手とする戦いの場。
その数十メートル先に見える紅い鉄門扉。
そこに__________
「______待っていましたよ、『死兆星』さん」
____________
「………これはこれは、寝ずの番……ですか。ご苦労様です」
「いえいえ、
「そうですか、殊勝なお心掛けで……。ですが、色々と大変では?」
「ええ、本当に………。毎日毎日怒られてばかりでして……」
「立派にお仕事を為されているのに、ですか?」
「い、いやぁ……まぁ、何と言うか。そんなところです……」
何だか人の良さそうな門番だ。
だが決して油断できる相手では無い。
僅かに橋の上をそよぐ風になびく、赤い長髪。
両耳の辺りからは、髪を三つ編みにして深緑色のリボンでそれぞれ束ねている。
白い下地の上に若草色の中華風のドレスを身に纏っている。
脚部に入った大胆なソリットは魅惑的な雰囲気と共に、表面には見られない彼女の
鍛え抜かれた脚の筋肉がいつでも此方を狩り取れる、と主張しているようだった。
そして頭に被った中華帽に、輝く「龍」の文字が刻まれた星型のエンブレム。
彼女こそ、この紅魔館の『門番』。
「……と、世間話はこの辺りで…。私は『
「ご丁寧にどうも。しかし生憎、僕には名前の持ち合わせが無く、お返事はまた」
「いえ、要りませんよ。貴方の『名』も、貴方のもたらす『災厄』も」
「………何やら、別の方と間違われているようですね。どうしたものか………」
「シラを切っても無駄ですよ。言いましたよね?『死兆星』さん、と」
彼女の方から話をふっかけてきたくせに、此方の話は聞く耳持たず。
なんと横暴な人だろうか、到底許せそうにありませんね……。
なんて、茶番は置いておき、本題に入ろう。
「この際、僕が何者かはどうでもいい。それよりも大事な事が」
「おや、意外と素直ですね。分かりますよ、『今のは本当』ですね」
「…………僕は確かめたい事があって、此処まで来ました」
「そうですか。ですが、それなら本来は館の所有者____『お嬢様』に了承を
得てから来ていただくのですが?有りませんよね?こんな時間に来る時点で」
「ええ、了承なら大丈夫です。直接行って貰ってきますよ、今からね」
「話通じてませんね。分かりやすく『帰れ』と言わなきゃダメですかね?」
言葉の端々に怒気を滲ませながら、拳を構える美鈴。
やれやれ……と悪態をつくかのような素振りで、僕は彼女に向き直る。
その態度が更に彼女の機嫌を悪くしてしまったのだろうか。
足を開いて、拳だけでなく体全体で美鈴は『構えた』。
「いいですよ、言葉がダメなら『こっち』で語りましょう」
「……せっかちな人ですねぇ。そういうの、『死に急ぐ』って言うんでしたっけ?」
「ご安心を。ちゃんと歩いて帰れる程度には加減出来ますから」
今まさに僕に掴みかからんとする勢いの美鈴。
僕はそれをさらに煽って、間合いを詰めようとする彼女の意識を、
僕の『手』から言葉を発する口へと移す。
「大した自信ですね。
「………今からお見せします_________よっ‼」
ほんの僅かな重心の移動。
ほんの少しの歩幅の進行。
ほんの小さな、彼の油断。
たったそれだけが、その音速の打突を生み出した。
いわゆる、『甲勁突』という一つの技。
しかし、鍛え抜かれて無駄の無くなったこの一撃はもはや、
『
勝負はほんの一瞬で終わった。
美鈴のスラリと伸びる長い脚での蹴り。それを避けたまでは良かった。
しかし、その蹴りが『右足』なのに対し、彼女の『右側』に避けたのが
最悪の選択だった。それだけだったのだ。
「____⁉」
自分の喉元に向けて蹴りを放ち、そして避けたはずの右足が、無い。
一瞬前までそこにあったはずのものの消失に戸惑う______時間すら与えず。
「
「ごッッ__________」
喉を狙って放った右足を瞬間的に地面へ蹴り降ろし、
身体の重心を、前方へと曲げた右足へと移す。
そして自身の右側『だった位置』にいる彼の方向へ、
左足を小さな弧を描くようにずらし、 止める。
後は上半身をネジのように、左足の向いた方向へ。
右手を握り締めた左拳に添えて、押し込む。
左肘を、振り向き様、彼の腹部へと。
全身の筋力+回転の斥力+人体急所への正確な打突
手応えはあった。
これで片付いた。
美鈴はゆっくりと息を吐き、姿勢を元に戻す。
背後を振り返れば、腹部の鈍痛に崩れ落ちる少年の姿が_______
「_______いない⁉」
勝負はほんの一瞬で終わった。
だが、終わったのはあくまで『勝負』。
ここから始まったのは、ただの____
「ここですよ」
___________『殺し合い』だった。
左肩を掴まれ、いつの間にか背後にいた少年の左足の薙ぎで
膝を曲げられる。カクン、とブレた上半身に合わせて歪む重心。
左後方に倒れる身体を、肩を引っ張られて不自然な体勢になる。
彼の左手で、自分の左肩を、掴まれている。
そして彼の『右手』は今、肩を掴んでいる左手に向けて急速に進んでいる。
つまり_________
「喝ッッ‼‼」
急に後ろへ倒され、受け身を取れない体勢にされ、
そのうえで真逆の方向に打突をくらったのだ。
美鈴の左肩は当然、ゴキッ、と嫌な音を立てて砕ける。
「うぐッ‼‼」
肩を砕かれながら、身体をねじりそこから飛び退く。
美鈴は困惑していた。理解が出来なかった。
背後を取られたからではない。
似たような勁による攻撃をくらったからでもない。
手応えはあった。だが、彼は沈んでいない。
「さて、ウォームアップはここまでだ」
「………手加減してたのは、お互い様ですか……」
「全力を出さないと、墓石の下で後悔することになるぞ?」
「そのようですね……。さぁ、かかって来なさい‼」
両者、譲れぬものの為。
命の駆け引きが、再び始まる。
紅魔の門番、ここにあり!って感じですかね?
さぁ、いよいよ第一章が佳境に差し掛かりました。
次の回を書くのが今からもう楽しみです‼‼
そして、第壱話から先にかなりの誤字脱字があったので
幾つか修正をしましたので、ご了承ください。
遅れましたが、感想をお待ちしております‼
次回、東方紅緑譚
第七話「華人小娘、今私は此処にいる」