という訳で、来週までかなり忙しくなる為、
この投稿で暫くはストップします。
楽しみにしてくださる方々には申し訳ないです……。
必ず帰ってきますので、どうかお待ちを!
それでは、どうぞ!
_________『名も無き狩人』を人里まで案内した後
『八雲
そこは、『幻想郷』の何処にも存在しない場所と言われている、
まさに魔境と呼べるような、そんな場所にいたのだった。
何故そんな場所に縁はいるのか?
その理由は単純且つ、明瞭なものだった。
「…………あら、お帰りなさい縁。早かったのね」
「……只今戻りました、『紫様』」
そこには、彼の仕えるべき主人がいるからだ。
名は、『八雲 紫』
出生や生い立ちは一切不明とされる『スキマ妖怪』 という種族で、
『境界を操る程度の能力』を持っている。
分かりやすく言ってしまえば、ほとんど何でもありのチート能力である。
物事や事象の境界線を
現実世界への様々な干渉が可能になったりするのだ。
現に、彼女達の住まうこの場所もその能力によって
空間と次元の『境界』を弄った結果生まれた隠れ家なのだ。
その場所には本来、彼女の能力による『スキマ』という
出入り口のような裂け目を通らなければ入れない場所なのだが、
縁は自らの『全てを
この場所までやってきたのだった。
「ご命令通り『十六夜 咲夜』の弟_______『十六夜
「ご苦労様。調子はどうだったかしら?」
「ハイ、特に問題は無いかと思われます」
主人の命令通りに事を進め、報告をする縁。
その報告に満足げに微笑み、扇子を広げ仰いだ。
「いいわ、充分よ。下がりなさい」
「……………失礼します」
一礼してから部屋を出ていく縁。
その後ろ姿を、未だ絶やさぬ笑顔で見つめる紫。
そこに、一つの影が生じる。
「……………また覗き見?随分良い趣味を持ったわね、『藍』?」
「…………………申し訳ありません、紫様」
影が、ゆっくりとその姿を現す。
金色に輝き、艶までも感じさせる九本の尾。
頭部に被った黄色い呪符を張り付けた特徴的な頭巾。
青色よりも濃い『藍色』の不思議な雰囲気の服装をした女性が
紫の背後から音も無く現れたのだった。
「またあの男にやらせたのですか、紫様」
「ええ、いけないかしら?お気に入りの
「そう言う訳では………。ですが、あんな素性も知れぬ者を____」
「貴女は知らなくても、私が知っているから問題は無いわ」
「………………………」
藍と呼ばれた女性は、眉間にしわを寄せて
縁の出て行った襖の方を忌々しそうに睨んだ。
そして、紫に失礼しますと一言だけ言い残して
現れた時のように音も無く去っていった。
「_________知らなくていいわ、私以外は誰も………」
「_____おい、貴様」
縁が八雲家の縁側の廊下を歩いていると、背後から凄まじい
殺気を帯びた声で呼び止められた。
「………何か、用か?」
「貴様自身に興味は無い。一度だけ聞く、紫様に何をした」
「__________どういう意味だ?」
突然呼び止められたと思った矢先、自分の主への何かしらの
敵意を意味させるような疑問を投げかけられた。
縁は全く身に覚えが無いため、即座に否定した。
「私は紫様にお使いいただく為に存在している『道具』…。反抗など___」
「黙れ
「………それを私のせいと?」
「そう考えるほか、あるまい」
敵意を剥き出しにして食って掛かる藍。
その様子を廊下の角には、彼女の式神である『
二人の成り行きを見ようとしていた。
「少なくとも、私は存じません……『藍様』」
「ッッ‼‼」
自らが愛情を以って育てた式神の橙と同じ呼び方をされ、
元々頭に上っていた血が、更に頭に流れていった。
「貴様如きに呼ばれる筋合いは______」
「やめなさい、藍。そこまでよ」
「紫様⁉」
そこに件の紫がやって来た。
先程まで浮かべていた笑みは既に消えており、
代わりにそれこそ『鬼』のような形相をしていた。
つまり、怒っているのだ。『
「いい加減になさい。縁、顔を上げなさい」
「………紫さグゥッ‼‼」
「‼⁉」
藍に向かって頭を下げていた縁に顔を上げさせた紫だったが、
縁が言われた通りにした直後、『スキマ』を使ってその顔を踏みつけた。
「………縁、貴方は一体誰の所有物か、理解しているわね?」
「り、理解しております……紫様………」
「なら、何故今藍に頭を下げていたの?」
「それは…………」
主人に対する忠義を疑われていた、などと今の紫に口走れば
収集が付かなくなるかもしれないと藍は思い、橙は怯えていた。
しかし、縁は黙っていた。
「いい?貴方は私の物なのよ、軽々しく私以外に頭を下げないでほしいわ」
「申し訳、ありませ、ん………紫様」
「それと、様付けもダメよ。貴方が敬うべき相手も私だけ……いい?」
「承知いたし、ました…………」
「分かればいいわ……。藍、貴女も良いわね?」
「ハ、ハイ!承知致しました……」
藍の返事にようやく怒りが収まったのか、紫は『スキマ』をしまい
悠然と元来た道を戻っていこうとした。
しかし、ふと歩みを止めて振り向き、縁に告げた。
「丁度いいわ……縁、あの少年が『目的地』に辿り着いたら、貴方は
『
「付き添い、ですか……?」
「あら、不満?」
「い、いえ……かしこまりました」
「ご命令とあらば、何処へでも」
「良い返事よ、縁。藍に場所を聞いてから一緒に行きなさい」
「「ハイ」」
藍は、顔を隠し続けるこの少年に嫌悪を
縁は、特に感情も無く命令通りの行動を
それぞれ胸の内に秘めながら、移動した。
『_______へぇ~。それじゃ、やっと見つけたのね紫』
「ええ……本当に長かったわ。今でも信じられないもの」
『信じ続けてきた相手が信じられないの?随分荒んだのね~紫も』
「違うわよ。ただ………彼とまた過ごせるなんて、その……夢みたいで…」
『可愛いわよ紫。それよりも、その彼に早く会わせてよ~』
「明日、そっちへ向かわせるから大丈夫よ」
『ウフフ、楽しみねぇ~。妖夢に赤飯炊かせとこうかしら?』
「恥ずかしいから止めてちょうだい」
『あら残念……。そうだ、ねぇ紫?』
「何かしら?」
『その子、強いのよね?確か剣も使えるとか……』
「……妖夢と張り合わせる気?」
『だって、きになるじゃなぁ~い』
『_________紫が1300年以上も探し続けた人だもの』
( :罪:)<ゆっかりーーん!!!!
という訳で、八雲一家勢揃い(?)です。
藍様が酷いことになってますが、僕は大好きですww
次回は再び狩人のターンです!
…………もう名前出ちゃいましたが。
次回、東方紅緑譚
第六話「紅き夜、やがて来る嵐の足音」