東方紅緑譚   作:萃夢想天

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さて、この際ですのでハッキリと言わせていただきます。


ネタが尽きかけてきやがったぜ、へへへ(´;ω;`)


誰か助けてくれませんかね?
淡い期待を抱きながら、それでは、どうぞ!


第弐十六話「緑の道、さいきょーの試練」

 

 

妖怪の山の山頂での弾幕ごっこが終結し、もう暮れかけていた日が完全に没して

空一面に星々の明かりがちらほらと見え始める時間帯になり始めている。

山頂に居を構える守矢神社も、既に夜を照らす明かりが灯されていた。

夜の帳が降り始め、辺りからは風に木々が揺られて葉がざわめく音しか聞こえない。

そんな時間帯になってようやく、気を失っていた人物が目を覚ました。

 

 

「…………………ん、んん?」

 

弾幕ごっこで予想以上のダメージを負い、気を失っていたのは八坂 神奈子。

彼女はわずかに身体から発する痛みが、彼女の重く沈んでいた(まぶた)を開かせた。

目を開いて上を見た彼女は、眼前に広がっているのが自分の暮らしている神社の自室、

加えて自分の寝室である事を真っ先に把握し、同時に安堵のため息を漏らした。

右手で頭を押さえて軽く振る、こうして頭を無理矢理活性化させないと寝ぼけてしまう。

同じ神である諏訪子はもちろん、自分を慕っている早苗にもそんな姿は見せられはしない。

だからこそ神奈子は起きてすぐに自分を戒めるかのようにしないといけないと自覚していた。

 

「_________ようやく起きたか」

 

「…………………へ?」

 

 

だというのに。

 

 

「もう二時間も経つ。意外とグッスリ眠っていたのだな」

 

「…………………お前、どうして?」

 

 

神奈子は即座にうつ伏せになり、声の主のいる方へ向き直る。

 

 

「頼まれたのだ、洩矢 諏訪子に。それよりも八坂 神奈子、(よだれ)が垂れているぞ」

 

「ッ‼⁉」

 

 

声の主は自分の_________神奈子の枕元で正座していた。

だがその外見が非常に不気味極まりない、寝起きで見るには勇気がいるほどのものだった。

顔は大きく『縁』と達筆で書かれた布で覆われ、濁った草色の浴衣のような服を羽織っている。

そんな人物が自分を見下ろしている、あまりに心臓に悪い絵面だと神奈子は内心で思った。

しかし相手に涎が垂れていると注意されては、確認せずにはいられないだろう。

神奈子は眼前の相手を見据えながら左手をゆっくり口元へ運び、一気に拭い去った。

 

「……………それで、何の用だ?(見られた! 私の寝顔完璧に見られた‼)」

 

「用事という程の事は無い。洩矢 諏訪子にここまで運ぶよう頼まれただけだ」

 

「ならばもう用は済んだろう。さっさとここから立ち去れ!」

 

「そうもいかない」

 

「はぁ⁉」

 

「今度は東風谷 早苗に頼まれたのだ、伝言を」

 

「早苗が?」

 

「ああ」

 

 

そこまで言って目の前にいる男がゆっくりと立ち上がり、(ふすま)の前まで歩いた。

何がしたいのか理解出来ない神奈子は怪訝そうな視線を送るが、男には届いていないようだ。

襖の前に立った男がこちらに向き直り、そのまま右手を顔に、左手を腰に当てて言い放った。

 

 

「東風谷 早苗からの伝言だ。

『神奈子様、今日の異変解決を祝して何故か紅魔館でパーティーやるんですって!

お呼ばれされたんでアリスさん達も誘って行ってきま~す♪

縁さんに伝言を頼んでおきましたんで。あ、あと晩御飯はもう作ってあります。

ですが私は紅魔館で済ませてきますので、今日は諏訪子様とお二人で済ませてください。

あ~~早く噂のイケメン首謀者さんに会ってみたい! んじゃそゆことで~~‼』だそうだ」

 

「…………そ、そうか」

 

 

縁の伝言の内容は充分に伝わったのだが、あまりの衝撃にそれを忘れそうになった。

眼前の男は恐らく『伝言している時の早苗の姿勢』までも忠実に伝えようとしているのだろう。

不自然な重心の掛け方をした片足立ちと中指と薬指を追って残りの指を突き立てた右手が

それの何よりの証明だろう、はっきり言って似合わなさが留まるところを知らない。

早苗本人であれば顔の横に『キラッ☆』という擬音でも飛び出してきそうな恰好なのだが

顔をまるまる隠している縁がそれをやったところで、宴会芸にもなりはしない。

それでも寝起きの神奈子の緩んだ笑いのツボを刺激するには、充分過ぎるほどだった。

 

 

「ぷっ! く、っははははは‼ あっはっはっはっはっは‼

はーー! はーーーー‼ ふっ、くくく! くはははは、はは‼

まっ、待ってっ! 腹が、腹がっ! あーーーっはっはっは‼‼」

 

「…………?」

 

「し、死ぬっ! くっははははは! あーーー!

ふっはははは! くっ、ゴホッエホッ‼ んんッ‼

はー! はーー! はーーー! こ、こきゅ! 呼吸が‼」

 

「一体どうしたのだ、八坂 神奈子?」

 

 

容態が急変した神奈子を心配して声をかけるが、返ってくるのは悲鳴に似た嬌声。

腹の底から無限に溢れ出てくるのではないかと思うほど、終わりの見えない爆笑。

感情というものを持たない縁からすれば、突然笑い出した神奈子が異常に見えた。

しばらくしてようやく治まったのか、神奈子が涙が溢れている目で縁を見上げた。

 

「だ、駄目だ、笑うな……………こらえるんだ………」

 

「何なんだ、全く。二人して突然笑い出して(・・・・・・・・・・・)

 

「ん………くく、ん? 二人だと?」

 

「ああ、二人だ。八坂 神奈子、お前と……………彼女だ」

 

 

縁が勿体ぶるよう呟いた直後、体勢を戻しながら襖の戸を開けた。

涙目の神奈子がその先をぼやけた視界のまま捉え、そこにいる者の名を告げる。

 

 

「諏訪子、お前もか⁉」

 

「ケロ…………だってコイツが早苗の伝言聞いた直後に同じ体勢になって

『コレでいいのか?』とか真剣な口調で聞き返してさ、そしたら早苗が

調子に乗って指導し始めたから…………黙って見てたらたまらなくなってさ!」

 

「だからってなんで私の部屋になんて」

 

「その方が面白いに決まってるじゃん?

そ、それに…………くはっ! 駄目、腹筋壊れる‼」

 

「何が面白いのか私にはさっぱりだ。

神という者たちは皆が皆、このような変わり者なのか?」

 

 

間違いなくお前が原因だと二人揃って縁を睨むが、布越しに視線は届かない。

結局二人は追及を諦め、素直に早苗の用意した晩飯を食べることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、話とはなんだ」

 

 

八坂 神奈子と洩矢 諏訪子の二人が食事を終えて数分後。

帰ろうとしていた縁を諏訪子が呼び止めて奥の広間に連れてきたのだ。

早く自分の主人から与えられた命令を遂行しようとしていた縁はその申し出を

断ろうとしたのだが、有無を言わさず諏訪子が泡に閉じ込めて引きずって

無理矢理連れてきたため、結局神奈子の話を聞くことにしたのだった。

当の神奈子は上座に座って胡坐をかき、堂々とした態度をとっている。

つい三十分程前に涎を垂らし、涙を流して爆笑していた人物には到底見えはしない。

そんな事を考えながら、無言の笑みを浮かべる神奈子に縁は再度問いかけた。

 

 

「八坂 神奈子、話とはなんだ」

 

「…………まあそう焦るな。夜はまだまだこれから、そうだろ?」

 

「時間を無駄に過ごすのは愚者だ。そうだろう?」

 

「………これだから分からない。お前は本当に何者なんだ?」

 

「弾幕ごっこの前に言ったはずだ、八雲 縁だとな」

 

「あーうー、そうじゃなくってさ」

 

 

右手で頬杖をついている神奈子との会話に割り込んできた諏訪子を凝視する。

相も変わらずカエル座りだったが、彼女の口から出てきた言葉は縁を混乱に貶める。

 

 

「どうしてそんな情報をあっさり漏らすのか、ってこと」

 

「……………どういう事だ?」

 

「だーかーら! 早苗とバカみたいな事で盛り上がって笑わせたくせして

自分がスキマ妖怪の使いだって大事そうな事をなんであっさり話しちゃうのかね?

アンタがバカだからってのも説明がつかないしさ、だから改めて聞き直したの」

 

「つまりは、私を試しているのか」

 

「んん………ちょっと違うかな? まあ伝わってればいいか」

 

 

ため息をつきそうな表情のままダボダボの袖で麦わら帽子をかく諏訪子を横目に

上座に座っていた神奈子がようやく縁に対して本題を打ち明けた。

 

 

「なあ、八雲 縁よ。どうだ、私らの信仰に組み入らないか?」

 

「………何?」

 

「つまり、私らの仲間になって守矢神社に祀られないかって事ケロ」

 

神奈子の発言を補助するように諏訪子が続く。

彼女の被っている麦わら帽子にくっついている目玉が嬉しそうに跳ねている。

そんな帽子の様子を布越しに見つめる縁に対して、さらに神奈子が話を続ける。

 

 

「お前は中々に魅力的な逸材だ。判断力も、力量も、並を逸脱している。

だからこそ私はお前が気に入った、ゆえにお前を手元に置いておきたいんだよ」

 

「……………それで?」

 

「ほう、決断を急がない、か。優柔不断とも大器完実とも取れる態度だな。

私達山の神は人里の者達に信仰されていてな、信仰によって我らは成っている。

彼らは私達の神の力に加護を求め、我らは彼らに存在する為の信仰心を頂戴する。

だがやはり信仰というのは時代と共に、時間と共に人々の中から消えていくものだ。

我ら二人ではこれ以上の信仰は得られんと最近になって痛感し始めていたところでな。

そこで、お前という新たな信仰の拠り所を作ればどうか…………ということだ、理解したか?」

 

「理解した」

 

縁はそこまで聞いてようやく話の筋を理解することが出来た。

つまりは、自分達の仲間になって共に信仰を得よう、ということだ。

だがその申し出をしてきた事に関して、理解出来ない事が一つだけあった。

 

 

「だが、何故私が信仰を得ねばならない?」

 

「何?」

 

「私が信仰を得ねばならない理由が分からない。それを教えてくれ」

 

そう、信仰を得るという事だ。

縁は主人たる紫の手によって、彼女の為の道具として幻想郷にやって来た。

だというのに何故自分が神と同じように人間の信仰心を得ねばならないのか。

どうしてもその理由が分からない、だから縁は神奈子に聞いてみた。

 

 

「………………は?」

 

 

しかし、彼女から返ってきたのは間の抜けた返事だった。

 

 

「もう一度聞く。何故「いや聞こえてるから!」………そうか」

 

「あーうー………神奈子、どゆこと?」

「こっちが聞きたい」

 

 

頬杖にしていた右手を髪に持っていきぐしゃぐしゃと掻きむしる神奈子を

感情の見えてこない布越しの視線が捉え、じっと見つめて動かない。

少し呻いてすっきりしたのか、改まった面持ちで神奈子が縁に詰め寄る。

 

「だ・か・ら‼ 神は信仰が無ければ生きてはいけないんだって!

つまり私らは全員人間の信仰が必要なの! 二人より三人の方が効率は良い!」

 

「その通りだな。それで、何故私が?」

 

「だぁぁーーーーーーもぉーーーーーーーーーー‼‼」

 

「ねえ神奈子、コイツもしかしてさ………」

 

 

先程と全く変わらない問答に我慢の限界を超えた神奈子が絶叫する。

すると縁の態度から何かを見出した諏訪子が神奈子に近付き耳打ちした。

諏訪子の言葉を聞いた神奈子が絶句したような表情で縁を見つめ、言葉を漏らす。

 

 

「なあ、おい…………お前はもしや、『付喪神(つくもがみ)』なのか?」

 

「何?」

 

「…………もしかしてお前さ、自分でも気付いてないの?」

 

 

諏訪子と神奈子の辿り着いた結論、それは________付喪神。

 

 

付喪神とは、古来より日本に伝わる八百万(やおよろず)の神々の中でも異質の存在。

人間の手によってこの世に生み出され、不要になって捨てられた道具達に宿った低俗の神々。

人間への怨念が積もり積もって九十九年(つくもとせ)、道具には人を憎む魂が宿る。

だがそれらのほとんどは、平安時代の終わりと共に消えた陰陽師(おんみょうじ)の活躍により

次の時代まで存在することは許されることはなかった。

それこそが付喪神、それこそが彼女らの行き着いた回答だった。

 

 

「お前さ、自分が付喪神になってるって気付いてないんじゃない?」

 

「付喪神、だと」

 

「それなら合点がいくが……………だとしてもあの強さだぞ?」

 

「んー…………そうなんだよね、そこがおかしいんだよね」

 

 

二人は困惑している(ように見える)縁そっちのけで語りだす。

しかし縁は二人の会話についていけないのではなかった、ただ困惑していた。

自分の主人たる八雲 紫が言っていた言葉との食い違いに困惑していたのだ。

 

(どういう事だ、紫様は私の事を能力を持った人間だとおっしゃっていたのに)

 

分からない、理解出来ない、真偽を確かめる術が無い。

縁は深い思考の海に突き落とされたような気分になっていたが、

とにかく神奈子の申し出である勧誘の返答をせねばと思考を切り替え、(おもむろ)に言葉を紡いだ。

 

「八坂 神奈子、並びに洩矢 諏訪子よ。私は守矢神社の枠組みには加わらない」

 

 

立ち上がりながらに呟いた縁は、神奈子の「何故だ」という問いかけにも

耳を貸さずに右手で空間を薙いで別の空間と(つな)ぎ、その場を後にした。

引き留める暇すら無いままに獲物に逃げられたと自覚した二人の神は互いを罵り合う。

 

 

「お前のせいでヤツが逃げただろうが!」

 

「私のせいじゃないやい! 神奈子がノロノロしてるから‼」

 

「誰がニョロニョロしてるって⁉」

 

「誰もそんな事言ってないって‼」

 

 

夜も更けてきた山頂に、二人の女性の品の無い叫びが木霊した。

 

 

 

 

日も没した真夜中であっても妖怪達の跋扈(ばっこ)する山の奥。

夜の闇はただでさえ黒く、数m先ですら見通すことの出来ない完全な暗黒の世界。

月と星々の仄かな明かりに照らされて、山の中にいる者達の姿が露わになる。

山の中腹辺りの哨戒をしていた白狼天狗が三人、血塗れで地面に転がっている。

一人は肩口から足の付け根辺りまでバッサリと斬り裂かれ、血溜まりを作っている。

もう一人は顔と身体以外のあらゆる部位をズタズタにされ、掠れた声で助けを求める。

最後の一人は両足の腱を切断され、その場を動けないようにされてしまっていた。

顔だけを上げて自分達を襲った相手を確認しようとしたが、それは無意味に終わった。

光源を背にするように立っているため、逆光になってしまい顔が認識出来なかった。

それでも最後の力を振り絞って、敵の存在を知らせようとして這うように動き出す。

 

 

「行か………なきゃ………みん、な…………」

 

『………………………………………』

 

 

芋虫のような無様な姿である事を自覚しながらも、ゆっくりと進みだす。

それをゆらゆらと揺らめきながら、三人を襲った犯人がじっと見つめる。

そして手を伸ばして天狗の足を掴み、自分の元へと力強く引き寄せる。

天狗の抵抗も空しく、逆さ吊りにされて犯人にガッチリと捕縛された。

 

 

「い、嫌…………やめて、嫌‼」

 

『………………………………………』

 

 

ほっそりとした外見からは想像もつかない膂力で捕縛された天狗が泣き叫ぶ。

ジタバタともがくが、それすらも無意味に終わり絶望がより一層濃く滲む。

血なのか涙なのか区別がつかないほどぐちゃぐちゃになった顔が恐怖で歪んだ。

眼前に迫る絶対的な『死』、初めて味わった抗えないレベルの『差』。

 

「助………け、て……………」

 

『………………………………………』

 

 

本来ならば誇り高い白狼天狗は決して敵に屈したりはしない。

だが彼女は天狗の中では幼く、また強大な敵に立ち向かう勇気も未熟だった。

逆さ吊りの状態のまま、しばらく動かなくなった敵を涙目で見つめる。

すると突然彼女の身体が重力に従って地面に落下し、美しい顔に泥を付着させた。

痛みに意を介する気などなく、白狼天狗は自分を落とした敵を恐る恐る見上げる。

しかし敵は既に自分になど興味は無く、どこか別の方向をじっと睨んでいるように見えた。

やがて本当に興味を無くしたように敵は山を下り始め、その姿が夜の闇に溶けて消えた。

その場に残されたのは、傷だらけになった三人の哀れな、縮んで震えている子犬だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縁が守矢神社を(半強制的に)訪れた翌日、既に朝日が昇り始めた頃。

幻想郷中の者達が一部を除いて活気に満ち溢れるより少し前の時間帯。

妖怪の山と人の住む里を挟んで反対側に建てられている、荘厳な寺社の参道。

守矢神社とは違い、『妖怪と人間の架け橋』となるべく建立された寺社が

目前となっている参道の中央、人通りの少ないその場所に佇む人影が二つ。

 

「……………後悔をしても無駄だぞ、氷精」

 

「ふん! お前もアタイを甘く見てるな? こーかいするのはそっちだぞ‼」

 

「その言葉を忘れるな。お前には後悔する時間をも、与えない」

 

 

春風がまだ早朝の時間帯の空気の中を素早く駆け抜けていく。

だがその場に立つ二人はまるで意を介さず、眼前に立つ相手を見据える。

片割れに触れた春風が、より一層肌寒くなって縁の僅かに露出した肌に突き刺さる。

しかし縁の、彼の前に立つ相手の目にも宿っているのは紛う事ない『闘志』だった。

縁の前に立つ小さな人影が、縁に向けて人差し指を突き立てて言い放つ。

 

 

「アタイはこーかいなんてしない! だってアタイはさいきょーだから‼」

「勝者は私だ、依然変わりなく。数分後の貴様は私の前に(ひざまず)く事になる」

 

「うるさいうるさい! いーから勝負だ‼ お前なんてイチコロなんだぞ‼」

 

「………いいだろう、かかってこい。ただし二度と朝日は拝めないと思え」

 

 

縁は震える右手を腰に帯刀しているボロボロの刀の柄にかける。

そのまま刀を抜き放ち、おびただしい殺気を宿した刀身を相手に向けた。

切先を向けられた相手はそれに怯える事なく、寧ろ怒りを剥き出しにして暴れだす。

暴れだした敵を前に、縁は底冷えするような声色で呟いた。

 

 

「_________お前は私を、八雲 縁を本気で怒らせた‼‼」

 

 

『心優しき無心兵器(オートマトン)』 八雲 縁

vs

『氷の妖精』 チルノ

 

 




いかがだったでしょうか。
紅夜のパートの補完をしたいのですが、こちらも書きたい。
まさしく『ハリネズミのジレンマ』ってヤツなんでしょうかね。

………………アレ? 『ヤマアラシのジレンマ』だったっけ?


どちらにせよ、早いとこ続きを書き上げたいです。
徐々に明らかになっていく縁の謎、その果てにある真相とは?

ご意見ご感想は、随時受け付けております。


それでは次回、東方紅緑譚


第弐十六話「緑の道、氷細工の友情」

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