ゴールデン*ラビットガールズ!   作:ルヴァンシュ

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 いよいよ舞台はホグワーツへ。まずは組分けからどうぞ。

※告知事項※
・何かあれば書きます。


組分けの儀 其ノ貮

【第64話】

 

組分けの儀 其ノ貮

 

 

[039]

 

 ――ホグワーツ魔法魔術学校。

 世界一安全とされる古代魔法の牙城。校訓は『眠れるドラゴンをくすぐるべからず』。

 

 

[040] 組分けの儀 其ノ貮

 

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子を被って椅子に座り、組み分けを受けてください」

 

 心愛たち第二学年以上の生徒は登校を完了し、大広間へと集合した。第一学年――即ち新入生はその後に入場する。

 

 蝋燭が宙に浮かび、天井に外の景色が現れる大広間には四つのテーブルが配置されている。それぞれグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。

 

 グリフィンドール――ゴドリック・グリフィンドールの名を継ぐその寮は、無謀と勇気を受け入れる。

 ハッフルパフ――ヘルガ・ハッフルパフの名を継ぐその寮は、温和と忍耐を受け入れる。

 レイブンクロー――ロウェナ・レイブンクローの名を継ぐその寮は、博識と英才を受け入れる。

 スリザリン――サラザール・スリザリンの名を継ぐその寮は、打算と狡猾を受け入れる。

 

 組分けは、組分け帽子により行われる。組分け帽子とは、四人のホグワーツ創立者によって作成された魔法の帽子。四人の意思と性格を受け継いでいる。そして喋る。

 どうやら魔法界においても喋る帽子というのは稀有なものらしく、新入生がまず驚くのがこの帽子に対してであった。ホグワーツからの洗礼は、組分けの時点で既に始まっているのだ。

 

 第二学年から第七学年まで、全ての生徒が着席した。そして大広間への扉が開き、新入生の一団が入場してくる。

 

「チノちゃーーーん!! マヤちゃーーーん!! メグちゃーーーん!!」

「ルーナーーー!!」

「「モリィィいいいっ!!」」

「ミドルネームで呼ぶなクソ兄貴!!」

 

 一年生を呼ぶ声がニ方六方から聞こえる。特にその傾向はグリフィンドールテーブルからの比重が強い。主に心愛とか忍とか双子の所為で。

 

「ココアさん……恥ずかしいって言ってるのにあの人はぁ……!」

「でもさ、上級生ともう知り合いって分かったら、新入生の中でも大きい顔出来るんじゃね?」

「マヤちゃんちゃっかりしてるね〜」

 

 智乃、麻耶、恵が言う。

 

「あのマ……人は誰? 君たちの知り合いかい?」

 

 アフルディーナが言う。何を言いかけたのかは読者の想像にお任せする。

 

「そう! 知り合いだよー!」

「友達だね〜」

「同居人です」

「へえ、そうなんだ!」

 

 誰一人心愛のことを姉と紹介しなかったという事実を彼女が知ったらどう思うのであろうか。

 

「同居人で年上か。じゃあお姉さんって事だね!」「違います」

「わあ返答速い!」

 

 有無を言わさず速攻で否定する智乃。このことをあの自称姉が知ったらどう思うのであろうか。

 

「姉と言うには余りにも威厳が無さすぎます。あの人はお姉ちゃんじゃなくて困ったちゃんです」

「困ったちゃんかー! うんうん、分かるなその気持ち! よーく分かる! うちも出来損ないの姉が本当に困ったちゃんで、出来のいい妹であるところのこの私としては迷惑千万なのだよ! 私たち気が合いそうだね!」

「え? は、はあ。いや、別にあの人は姉じゃなくて自称姉ですし……」

「似たようなもんじゃん! 今後とも仲良くやろうよ君たち! きゃはは!」

「そ、そうですね」

 

 テンションの高さにたじたじな智乃。彼女としては比較的苦手なタイプだったのかもしれないが、押しに弱い彼女は押し切られてしまったのだった。ここでどうにか抵抗しておけば、今後の展開は多少良い方向へと進んだかもしれないが――。

 

 ――と、ここで冒頭の台詞。

 

 組分け帽子は設置され、被られるのを待つのみ。ホグワーツ副校長であるミネルバ・マクゴナガルは、続けて一人目の名前を読み上げた。

 

「カロー、フローラ!」

 

 青い目をしたブロンドの少女が一団の中から現れた。組分け帽子が被せられた。

 瞬間――

 

「スリザリン!!」

 

 かくして、此度の組分けは狡猾なる蛇の寮、スリザリン生からの幕開けとなったのである。

 

――――――――――――――――――――――

 

「カロー、ヘスティア!」

 

 先程のフローラと瓜二つな少女が一団の中から進み出た。その顔には一切の表情はない。

 

「双子なのかな〜?」

「そうだね。あの二人は双子だ――しかしあいつらも同い年だったとは……面倒臭いな」

「アフルディーナ、知ってんの?」

「なんとなく知ってる。なんとなくね」

 

 ヘスティアに組分け帽子が被せられた瞬間――

 

「スリザリン!!」

 

 フローラとコンマ1秒さえも変わらない時間で判定が出た。まさかの二人連続スリザリンである。早くも波乱の予感に身を震わせる上級生たちであった。

 

――――――――――――――――――――――

 

「クリービー、コリン!」

 

 次に呼ばれたのは小柄な少年。手にはポラロイドカメラが握られている。魔法で改造したものではなく、マグル由来そのままのカメラである。

 

「……きゃっはっは」

 

 緊張した面持ちで椅子に座るコリンを見て、アフルディーナはケラケラと小さく笑った。

 

「グリフィンドール!!」

 

 スリザリン以外の全テーブルから拍手喝采が贈られた。それは連続スリザリンという負の連鎖が断ち切られたことへの安堵も含まれていたことは言うまでもなく。

 

――――――――――――――――――――――

※諸事情により何人かカットしております※

――――――――――――――――――――――

 

「グリース、アフルディーナ!」

 

「お、呼ばれたね。概ねどの寮に入れられるのか予想はついているけれど、そんじゃお三方、お先に失礼!」

「行ってらっしゃーい!」

「どの寮なんだろうね〜?」

「さあ……」

 

 意気揚々と一団から抜け出すアフルディーナ。それを見送るはチマメ隊。三人はホグワーツの寮について詳しい事は全く知らないのである。

 

「っ!!」

「あれ? 今グリースって言わなかったっすか?」

 

 一方こちらはスリザリンテーブルにて、黒川真魚とメルジーナ・グリース。

 意気揚々と椅子へと向かうアフルディーナを見て、真魚は目を丸くして言う。

 

「もしかしてジーナちゃんの妹とか? 何で教えてくれなかったんすか! 妹が居るって!」

「え、や、いや……それは、その」

 

 煮え切らないメルジーナ。

 

 左様、あのテンションの高いアフルディーナ・グリースは、何を隠そうこの対照的なメルジーナの妹である。何故メルジーナはアフルディーナの存在を隠し、アフルディーナはメルジーナを嫌うのか? それを語るのはもう少し先の話だろう。

 

「スリザリン!!」

 

 帽子が被せられたのと寮名が発せられたのはほぼ同時だった。かの悪虐なる帝王には及ばぬものの、この即断即決――その意味は言うまでもない。

 

 さも予定調和であるかの如く軽やかな足取りでスリザリンテーブルへとアフルディーナは向かう。スリザリン生の拍手喝采の中、アフルディーナはメルジーナの隣に座った。

 

「お待たせ――おねいちゃん」

 

 アフルディーナはケラケラと笑った。

 

――――――――――――――――――――――

※諸事情により何人かカットしております※

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「ジョウガ、マヤ!」

 

 名を呼ばれ、一瞬びくりとした麻耶。だがすぐに笑顔を取り戻した。

 

「私が一番乗りー! それじゃ、行ってくるよ、チノ、メグ!」

「行ってらっしゃ〜い!」

「幸運を祈ります!」

 

 各寮のことを知らないのだから、幸運も何も無いが。

 

 麻耶は笑顔のまま椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

 

《Turn Maya》

 

「ふうむ……」

 

 うわっ!? あ、頭の中に直接声が!? こいつ、脳内に直接……!

 

「私のことをこいつ呼ばわりとは何という恐れ知らず! これは――グリフィンドールかな?」

 

 グリフィンドール……ココアの居る寮だね!

 

「左様」

 

 じゃあそこで!

 

「随分と早合点だね」

 

 え? んー……じゃあ理由教えて。

 

「君は忍耐強くないし機知を求めていない。よってハッフルパフとレイブンクローは早々に除外」

 

 ふむふむ。

 

「となればスリザリンかグリフィンドールだが、スリザリンに適性があるのであれば、いきなりこの私を こ い つ 呼ばわりするという軽はずみな行動に出なかったであろう」

 

 なるほど。

 

「というか、そんなことするのはグリフィンドールだ――よって、グリフィンドール」

 

 ほえー。

 

「……聞いているのかね?」

 

 え? あ、うん。多分。

 

「……やれやれ」

 

《Turn End》

 

 

「グリフィンドール!!」

 

「とったあああああ!! マヤちゃんとったあああああ!!!」

「おお、マヤもこっちか! ……更に騒がしくなりそうだな」

 

 椅子から立ち上がり拳を振り上げ狂喜乱舞する自称姉と、それを呆れた目で見つめる理世。

 

 麻耶は帽子を脱ぎ捨てると、グリフィンドールテーブルへダッシュ。心愛の隣に座った。

 

「へへ……それじゃ、よろしくね! ココア先輩!」

「せ、先輩!? う、嬉しいけど……お姉ちゃんって呼んでくれるかな!?」

「あはは」

「その笑いは何っ!!?」

 

――――――――――――――――――――――

 

「カフウ、チノ!」

 

「わっ!? も、もう私ですか」

 

 麻耶の次に呼ばれたのは、香風智乃。もう少し間が空くと思っていたのだろうが、生憎今年度はJoとKaの間に誰もいない。

 

「グリフィンドールに入れると良いね〜」

「……はい。そうですね」

 

 では、行ってきます。

 

 智乃は薄く笑みを浮かべたが、すぐに表情を硬くした。別に前に出て何をするという訳でもないが、彼女は皆に注目されるのが苦手なのだ。

 

 智乃は明らかに緊張した面持ちで椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

 

《Turn Chino》

 

「ほうほう」

「!?」

 

 あっ、思わず声がっ……び、ビックリしました。頭の中に直接声を掛けてくるなんて……便利ですね。流石魔法です。

 

「君は……マグル、なのかね?」

 

 はい?

 

「いや、厳密には君ではないのか――ほほう、あの娘にそんな素質があったとは」

 

 あの娘? ……誰のことですか?

 

「おっと、すまない。組分けとは無関係な話だ、忘れてくれ」

 

 は、はあ。

 

「では……君は、ハッフルパフかな」

 

 え!? あ、あの……我儘かも知れませんが、グリフィンドールに入れては――

 

「グリフィンドールで君がやっていけるかどうかは、微妙なところなのだよ。ミス・カフウ――グリフィンドールに入るには、君は勇気を知らなすぎる」

 

 ゆ、勇気を……?

 

「左様。仮に入ったとしても、いずれはコンプレックスに押し潰されてしまうであろう運命だ。コンプレックスを無視できるほど、君は厚顔無恥ではない」

 

 ……そ、そうですか。

 

「レイブンクローという案もあるのだが――どうだね?」

 

 ……いえ、ハッフルパフでお願いします。我儘言って、すみませんでした。

 

「……ふむう――」

 

《Turn End》

 

 

「ハッフルパフ!!」

 

「マジで!?」

「チノが来なかっただと!? ……こ、ココア――」

「…………ヱ? チ、チノチャンコナイノ? ヴェッ? ナ、ナンデ?」

「…………」

 

 グリフィンドールテーブルの面々。ハッフルパフテーブルへと向かう智乃を見て、心愛は混乱した。

 

「チ、チチチチチノちゃん!? なんでこっち来ちゃったの!?」

「まあ! うちの子になってくれるのね♪」

 

 一方こちらはハッフルパフテーブル。紗路は取り乱し、千夜はにこりと微笑んだ。チノは千夜の隣に座った。

 

「ふ、不束者ですが、よろしくお願いします」

「全然おっけーよ! 歓迎しちゃう――ココアちゃーん! チノちゃんは頂いたわよー!」

「ヴェアアアアア!! チノちゃん取られたあああぁぁぁぁ!!!」

「挑発するのやめなさいよ!?」

 

 挑発的に手を振る千夜、そして絶叫する心愛。それを見て複雑そうな表情をする智乃。

 

「――ここで大人しく引き下がらなかったのなら、グリフィンドールという選択肢はまだあったのだがね」

 

 その脳裏に、組分け帽子の言葉がこだました。

 

――――――――――――――――――――――

 

「ラブグッド、ルーナ!」

 

「〜〜〜♪」

 

 ルーナ・ラブグッドの名が呼ばれたのは、これまた香風智乃の直後。鼻歌を歌いながら、一団の中から進み出た。

 

「どうかルーナが来ますようにどうかルーナが来ますようにどうかルーナが来ますようにどうかルーナが来ますように……!」

「どうかルーナちゃんが来ますようにどうかルーナちゃんが来ますようにどうかルーナちゃんが来ますようにどうかルーナちゃんが来ますように……!」

 

 こちらグリフィンドールテーブル。手を合わせ、必死に念を送るのは大宮忍と松原穂乃花。ともに非公式組織(というか最早宗教団体)金髪同盟の首領である。忍が大司教で穂乃花はナンバーツー。

 それを引き気味で見つめるのはアリスとカレン。彼女らもまた金髪同盟の一員である。

 

 ルーナに帽子が被せられた。

 

「どうかルーナが来ますように――!」

「どうかルーナちゃんが来ますように――!」

「どうかルーナちゃんが来て下さいますように――!」

 

 増えた三人目は、またまた同じく金髪同盟員である小橋若葉。好奇心の旺盛さが仇となり、入団してしまったのだ。

 念を送る三人。しかしその願いは虚しく、

 

「レイブンクロー!!」

 

 と、比較的早期に決定した。

 

「〜〜〜♪」

 

 鼻歌混じりにレイブンクローテーブルへ向かうルーナ。それを見て、若葉は残念そうに顔を曇らせ、穂乃花は絶望して項垂れ、忍はこの世の終わりが如き顔で硬直した。

 

「これは……とんでもない子が来た……かも」

 

 レイブンクローテーブルにて。サリー-アン・パークスが言った。誰なのか分からない方は登場人物紹介を見てみよう。Part.1本編では出てきてないような気がするが、紹介にはちゃんと居る。

 

「とんでもない子? あんた以外にとんでもない奴なんて居ると思えないけど――」

 

 飴を舐めながらマンディ・ブロックルハーストが言う。メロン味。

 

 ルーナは空いている座席に座った。そして座るなり、

 

「計り知れぬ英知こそ、我らが最大の宝なり――ってね」

 

 と、マンディに微笑みかけた。

 

「…………」

「…………」

 

 マンディとサリーはそれにどう返せばいいのか分からなかったので、曖昧な笑みを返した。

 

――――――――――――――――――――――

※諸事情により何人かカットしております※

――――――――――――――――――――――

 

「ナツ、メグミ!」

 

「ひゃ、ひゃいっ!?」

 

 思わず驚いたような声を上げた恵。何人かの視線を感じ、顔を赤く染めた。

 

「う、うぅ〜……」

 

 逃げるように新入生の一団から抜け出す恵。そして椅子に座ろうと振り返った。

 

「っ――――!」

 

 恵の顔が緊張で固まった。無理もあるまい、これだけ大勢の生徒に注目される経験など、一度たりともなかったのだから。

 

「メグの奴、緊張でガチガチだな……」

「メグー!! 掌に人って書いて飲み込めー!!」

「それで何とかなるのか!? この多さだぞ!?」

「メグちゃーん!! 姉って書いて飲み込んでー!!」

「それを飲み込んだからって何になるんだ!?」

 

 グリフィンドールテーブルから激励の声が届く。恵は緊張のあまり、それを思わず実践した。そしてそれに気付いて更に顔を赤くし、倒れ込むように椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

 

《Turn Megumi》

 

 うぅ〜……! もう恥ずかしすぎてお嫁に行けないよ〜!

 

「心中察するよ、ミス・ナツ」

 

 ひゃあ!? 帽子が!? 直接脳内に!?

 

「そんなような事を言ったのは君が三人目だ――ミス・ジョウガ、ミス・カフウに続いてだが」

 

 そ、そうなんだ〜……。

 

「さて、ではどうするね?」

 

 え?

 

「私としてはハッフルパフが最も適していると思うのだがね」

 

 そうなの? あ、いや、そうなんですか?

 

「無理して敬語を使わなくていい。私のことをこいつ呼ばわりしない限りは、タメ口でもいいよ」

 

 は、はい――じゃあ、ハッフルパフで〜。

 

「良いのかね?」

 

 え、えっ?

 

「ハッフルパフにはミス・カフウが居るが――グリフィンドールにはミス・ジョウガが居るんだよ」

 

 う、うん…………っ――――!

 

「……君は、どちらを選ぶんだね?」

 

 えっ――ででっ、でも――ハ、ハッフルパフが、適してるって――

 

「君が心から望むのであれば、無理を承知で進むというのであれば、グリフィンドールにもできる」

 

 っ…………!!

 

「どうするね?」

 

 っ〜〜〜〜〜!! な、なんで、そんなこと……っ

 

「意地悪だと思うかね? だがどちらかを選ばなくてはならない時というのはいつやって来るか分からない。その時の予行演習――と思うのは……」

 

 よ、予行演習って……で、でもでもでもでも――!

 

「君に足りないのは、つまりそれだ。ミス・ナツ」

 

 わ、私に足りないもの……?

 

「決断力が足らないのだよ。君にはね」

 

 決断力――

 

「選ぶのだ、ミス・ナツ。グリフィンドールか、ハッフルパフかを」

 

 グ……グリフィンドールか、ハ……ハッフルパフ……

 う、うぅ……

 ど、どっちか、なんて――――

 

《Turn End》

 

 

「ハッフルパフ!!」

 

「う、うぅ〜……!」

 

 今にも泣き出しそうな顔で恵は帽子を置き、ハッフルパフテーブルへと向かった。

 

「マジかよ!? メグまで!?」

「メグも来なかったのか――はっ! コ、ココア――」

「ヴェアアアアアアァァァァァァ!!? メグチャンマデトラレタアアアァァァァ!!?」

「…………」

「…………」

 

 言うまでもなくグリフィンドールテーブル。心愛は絶叫した。

 

「メグさん! ハッフルパフに来たんですね」

「う、うん」

 

 智乃の隣に恵は座った。

 

「メグちゃんどうしたの? 何だか浮かない顔だけど――そんな顔じゃあ、ココアちゃんに自慢できないわ」

「自慢しようとするなっての」

「う、ううん。なんでもないよ〜……」

 

 そう言いながら恵は顔の前で手を振った。

 だが想起するのは先程の組分けの事。この選択で本当に良かったのか――恵は心の中で頭を抱えた。

 

――――――――――――――――――――――

※諸事情により何人かカットしております※

――――――――――――――――――――――

 

「ウィーズリー、ジネブラ・モリー!」

 

「ジネブラって呼ばれるの、何故か新鮮ね……」

 

 新入生は誰も居なくなった。最後を飾るはW、ジネブラ・モリー・ウィーズリー。ウィーズリー家六女であり、末っ子の赤毛少女。

 既に一人だった故にプレッシャーも何もない。プレッシャーというなら、一つ前の子が呼ばれて一人残された瞬間が一番堪えた。

 

「ジニーちゃあああぁぁぁぁん!!! どうか、どうかグリフィンドールにいいいぃぃぃ!!!」

「ヒュー! ジネブラー!!」

「ヒュー! モリー!!」

「〜〜〜〜〜っ!!!」

 

 グリフィンドールテーブルから声が聞こえる。言い返したかったが、ここで言い返すのはただでさえ目立っているのに更に目立って仕方がない。ジニーは怒りと羞恥で顔を赤くしながら椅子に座った。そして――帽子が被せられた。

 

 ――ウィーズリー家。

 そのルーツはある偉大なる魔法使いから始まったとされている。その偉大なる魔法使いは西の荒野からやって来たとされ、大いなるゴブリン製の剣を振るった。

 燃えるような赤毛を持つその魔法使いは、己の所有していた帽子に魔法をかけた。一つは三人の仲間と共にかけた魔法。そしてもう一つは――。

 

「グリフィンドール!!」

 

「よし!! よくやったジニー!!」

「いいぞ!! よくやったジニー!!」

「わあい!! ジニーちゃああぁぁん!!!」

 

「ははははは――うるっっっっっっっさい!!!!」

 

 ――尤も、先ほど述べたことは全て推測に過ぎない。真実は最早誰にも分からない。しかし、ウィーズリー家は代々グリフィンドール寮に必ず入寮していたということを、一応唯一の事実として記述しておこう。

 

 ジニーは帽子をかなぐり捨てるとズカズカとグリフィンドールテーブルへ歩いて行き、囃し立てるウィーズリーブラザーズを右フックでぶん殴った――と思いきや、そこは流石のウィーズリーブラザーズ。ジニーがこの行動に出るのは分かっていたようで、予め(パーシー)を用意していた。結果、攻撃は(パーシー)にガードされ、双子は事なきを得た。因みに、ジニーを抱き締めようとした自称姉はアッパーカットを食らった。

 

 以上を以て1992年度ホグワーツ新入生、組分けの儀は幕を閉じた。彼ら彼女らが組分けられた寮内でどのような冒険を繰り広げ、そして成長していくのかは、神のみぞ知る。

 




 はい、下旬投稿完了です! ノルマ達成!(殴

 それはそれとして、組分け篇でした。今回は人数が少なかったですけれど、あくまでも※諸事情によりカット※した生徒が多いのであって、別に今年度の生徒数が少なかったとかそういうのでは断じてありません。今回未登場かつ今後登場する新入生とかもちゃんと居ます。性格はほぼ完全なるオリジナルですが……。

 次回は予告通り【第二学年最初の宴】。今回と次回を合わせると文字数が酷いことになりそうだったので急遽分離致しました。お許し下さい。

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