ゴールデン*ラビットガールズ!   作:ルヴァンシュ

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 お待たせ致しました。組分け回です。

※注意事項※
・メイン23名以外の大雑把な説明は、登場人物紹介に書いてあります。興味があればどうぞ。
・1万文字以上です。
・2016/2/25:タイトル変更
・何かあればここに書きます。



組分けの儀 其ノ壹

【第22話】

 

 

組分けの儀 其ノ壹

 

 

[125]

 

 ――私は綺麗じゃないけれど

 人は見掛けによらぬもの

 私を凌ぐ賢い帽子

 あるなら私は身を引こう

 山高帽子は真っ黒だ

 シルクハットはすらりと高い

 

 ――私はホグワーツの組分け帽子

 彼らの上を行くこの私

 君の頭に隠れたものは

 組分け帽子はお見通し

 被れば君に教えよう

 君が行くべき寮の名を

 

 ――グリフィンドールに行くならば

 勇気ある者が住まう寮

 勇猛果敢な騎士道で

 他とは違うグリフィンドール

 

 ――ハッフルパフに行くならば

 君は正しく忠実で

 忍耐強く真実で

 苦労を苦労と思わない

 

 ――古き賢きレイブンクロー

 君に意欲があるならば

 機知と学びの友人を

 ここで必ず得るだろう

 

 ――スリザリンではもしかして

 君はまことの友を得る

 どんな手段を使っても

 目的遂げる狡猾さ

 

 ――被ってごらん 恐れずに

 興奮せずに お任せを

 私は手なんかないけれど

 君を私の手に委ね

 その運命を 知るといい

 だって私は 考える帽子

 

 

[126]

 

 帽子が歌を歌い終えると、全員が拍手をした。新入生も何人かは拍手。

 

「……やばい、歌う帽子に違和感感じなくなってきたぞ」

「染まってしまったか……この混沌の世界に」

 

 陽子と翼。

 

 マクゴナガルが長い羊皮紙の巻紙を手にして前に進み出た。

 

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子を被って椅子に座り、組分けを受けてください」

「えっ!? フレッドとジョージが言ってたことと違うよ!?」

「え、信じてたの?」

 

 萌子と小夢。

 

 組分けが開始された。

 

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「アボット、ハンナ!」

「ハッフルパフ!!」

 

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「ボーンズ、スーザン!」

「ハッフルパフ!!」

 

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「ブート、テリー!」

「レイブンクロー!!」

 

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「ブロックルハースト、マンディ!」

「レイブンクロー!!」

 

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「ブラウン、ラベンダー!」

「グリフィンドール!!」

 

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「ブルストロード、ミリセント!」

 

「ABC順ってことは……もうすぐアリスの番ですよ!」

 

 興奮したように言う忍。

 

「ど、どうしようシノ!」

 

 反対に、不安だらけのアリス。

 

「大丈夫です! リラックス、リラックスです! アリスの居る寮に、私は必ず行きますから!」

「シノ……!」

「アリス……!」

 

「スリザリン!!」

 

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「カータレット、アリス!」

 

「リラックス、リラックスですよ!」

「う、うんっ!」

 

 アリスは、緊張した面持ちで椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Alice》

「ふむ……これはこれは。どうやら君は向上心豊かな娘のようだね」

 

 ちょ、直接脳内に……!?

 

「そう、直接だとも。だから君は喋る必要はない、思うだけで良いのだ」

 

 お、思うだけ……。

 

「私の見立てでは、何かの為ならどんな努力をも厭わないような性格に見える――ハッフルパフ向きだ」

 

 …………。

 

「おや、違ったかな?」

 

 何かの為なら、じゃない、と思います。

 

「ほう?」

 

 私が今まで日本語を必死に勉強したのも、ここまで頑張ってきたのも、全部シノの為なんです。シノの為じゃなかったなら、ここまで頑張れてません。

 

「……ふむ。では、君はどうしたい?」

 

 え?

 

「君は、そのシノという子は、どの寮へ行くと思うね?」

 

 ……シノは、グリフィンドールに入ると思います。

 

「ほう? ……そう確信しておるのかね?」

 

 はい。

 

「そうか、ならばもう決まったね――」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

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「コーナー、マイケル!」

「レイブンクロー!!」

 

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「コーンフット、スティーブン!」

「レイブンクロー!!」

 

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「クラッブ、ビンセント!」

「スリザリン!!」

 

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「デイビス、トレイシー!」

 

「D……そろそろEね」

 

 悠里が呟く。

 

「E……私!?」

 

 焦ったように、胡桃。

 

「待て待て待て、えぇ!? 早くないか!?」

「早くないわよ」

「まだ覚悟ってもんが……」

「覚悟なんて、『汚れ仕事』に比べたら、なんてことないでしょ?」

「……はは、まあな」

 

「レイブンクロー!!」

 

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「エビスザワ、クルミ!」

 

「取り敢えず行ってくる」

「ええ、行ってらっしゃい」

「頑張ってー!」

「何をだよ!?」

 

 胡桃は慎重に椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Kurumi》

「おお……これは……なんという……」

 

 頭の中で声が!?

 

「左様、君は思うだけで良い。語りかけるのは私だけだ」

 

 は、はあ……。

 

「しかし……随分と修羅の道を潜り抜けてきたのだね、君は」

 

 なっ……!? まさか、私の記憶を覗いて……!?

 

「組分けの為だ、許してくれ――君は随分勇敢に戦ったのだね。まさに勇猛果敢な騎士だ――これ以上言うまでもないだろう」

 

 ……グリフィンドールか。

 

「そう。良いかね?」

 

 ああ、別に文句は無い。……それに、何にも知らない奴に文句なんて言われたくないだろ?

 

「ほっほっほ……」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

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「エントウィッスル、ケビン!」

「ハッフルパフ!!」

 

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「フィンチ-フレッチリー、ジャスティン!」

「ハッフルパフ!!」

 

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「フィネガン、シェーマス!」

「グリフィンドール!!」

 

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「グリース、メルジーナ!」

 

「お、メルジーナっす」

 

「スリザリン!!」

 

「早っ!!」

 

 秒速であった。

 

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「ゴールドスタイン、アンソニー」

「レイブンクロー!!」

 

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「ゴイル、グレゴリー!」

「スリザリン!!」

 

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「グリーングラス、ダフネ!」

 

「あれ? 何気に私もうすぐ?」

 

 香奈が言う。

 

「いよいよだね、香奈ちゃん!」

 

 穂乃花が言う。

 

「いよいよだねって……言われても、正直別にどこでもいいなー、なんて」

 

「スリザリン!!」

 

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「ヒグラシ、カナ!」

 

「えっ、決まるの早っ」

「香奈ちゃんファイトー!」

「えぇ……」

 

 香奈は緊張しつつも椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Kana》

「これは、ハッフルパフで良いかな」

 

 ちょっ、早っ!? もうちょっと何かないの!?

 

「君はどこの寮でも良いのだろう? その姿勢はまさにハッフルパフ向きだ」

 

 あっ、はい。

 

「何かあるかね?」

 

 別に無いですね、はい。

 

「よろしい、では――」

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

「えっ!? 香奈ちゃん早っ!?」

 

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「ホプキンズ、ウェイン!」

 

「おっと、Hが来たね!? これはいよいよ私の番かな」

 

 ココアが言う。

 

「随分と楽しそうだな」

 

 リゼが呆れたように言う。

 

「だって組分けだよ!? ドキドキだね! ふっふっふ、このココアお姉ちゃん、間違いなくグリフィンドールに入るであろー!」

「いっつも思うが、どこからそんな自信が湧いてきてるんだよ」

「『姉』に、不可能はない!」

「モカさんもか?」

 

 保登モカ。ココアの姉である。

 

「お、お姉ちゃんは……ス、スコーンの味が絶望的……不可能あったよ〜!」

 

「グリフィンドール!」

 

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「ホト、ココア!」

 

「お、お姉ちゃん不可能ナッシング理論は破られたけど、それでも私はグリフィンドール!」

「頑張れー」

 

 自信がありありと溢れているオーラを出しながら椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Kokoa》

「スリザr」

 

 ちょ、ちょっとぉぉぉ!!? うえぇぇ!? ス、スリザリン!? どこにそんな要素がぁ!?

 

「冗談だよ」

 

 お、脅かさないでよ〜!

 

「ほっほっほ……では真面目な話、ミス・ホト。君は何故グリフィンドールに入りたいと思うのだね?」

 

 何故って……そりゃあ、他とは違うグリフィンドールだからだよ!

 

「何故他と違うのが良いんだい?」

 

 他とは違う……風格が漂う……それは即ち、お姉ちゃん!!

 

「訳わからん」

 

 私、一番年下だから、お姉ちゃんに憧れてて……でもみんなお姉ちゃんってあんまり呼んでくれないの。

 

「そりゃあなあ」

 

 だから! 私はみんなとは違うぞー! みんなに頼りにされてるんだぞー! っていう、なんかそういうアレがあれば、きっとみんなお姉ちゃんって呼んでくれる筈なんだよ!!

 

「うーむ……」

 

 ねえ、お願い!! グリフィンドールに入れて!!

 

「……それで、本当に良いね? グリフィンドールに入れば、君には恐ろしい試練が待ち構えている――それでも良いかね?」

 

 恐ろしい試練!? 結構だよ! ならその試練を超えて、よりお姉ちゃんの高みに昇るだけ!!

 

「よかろう、では――」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

「……っ! ありがとう、帽子さん!」

「マジで入ったのか……凄い強運だ」

 

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「イノクマ、ヨーコ!」

 

「あれ、何気に次私!?」

「行ってらっしゃい、陽子。陽子は確実に間違いなく絶対的にグリフィンドールよ」

「その自信はどこから!?」

 

 焦りながらも椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Yoko》

「さて、君の友人はああ言っているが――君はどこがいい?」

 

 ああ、やっぱり頭の中に話しかけてくる感じなんだ……いや、それはそれとして――どこがいい、っていうか、私に合うところを選んでくれたら、それでいいよ。

 

「ふむ……君はどうやら友達からは、半分はツッコミ、半分は優しさで出来ていると評されているようだね」

 

 そこまで記憶読むのかよ!?

 

「ほっほっほ……だって私は考える帽子!」

 

 だから何だよ!? 何だ、ツッコミ狙いか!? 乗ってやらないからなー!

 

「乗ってるじゃないか」

 

 なっ! うっ……。っていうか、こんな下らないことに時間割くなー! 他の子に迷惑だろうがー!

 

「……その君の姿勢は、グリフィンドールでもあり、またハッフルパフでもある。……あとは君の選択次第だ、ミス・イノクマ」

 

 えぇ!? 結局決めんの私かよ!?

 

「そうだ」

 

 うーん……綾はああ言ったけど、私は別に勇気がある訳でもないし、かと言って、カレンとかが言うように、優しさで出来てる訳でもないんだけど――まあ、でも、勇気とかそういうのより、優しさの方が、あって損は無いよな。

 

「……その答えで、十分」

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

「嘘でしょ!? ハッフルパフ!?」

「そんな驚くことかよ!?」

 

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「イロカワ、ルキ!」

 

「わ、私なの!? 次私!?」

「琉姫さん、き、きき緊張せず、い、いい行ってらっしゃいませせ!!」

「かおすちゃんの方がなんか緊張してるんだけど!?」

 

 ツッコミつつ椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Ruki》

「ほほう、これはこれは、いやらしい」

 

 いきなりいやらしいとか言うの止めてくれません!? 何で!? 何で私いっつもこんなこと言われないと駄目なの!? なんで!? ねえなんでよ!! 私のどこがいやらしいっていうのよ!? 言いなさい!! 言いなさいよ!!

 

「それはそれとして」

 

 あっさり流された!?

 

「君はどこに行きたい? 特に無ければハッフルパフ行きだが」

 

 ハッフルパフが留置所みたいな言い方止めてくれません!? ……まあ、別に無いですけれど。

 

「よし、ハッフルパフな」

 

 凄い投げやりなんですけど!?

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

「本当に投げやりなまま終わったわ!?」

 

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「ジョーンズ、ミーガン!」

 

「あっ……」

 

 小夢が何かに気付いたように呟いた。

 

「どうした?」

 

 と、翼。

 

「こっから先もしかして、翼ちゃん、シャロちゃん、若葉ちゃん、私、あややちゃん、カレンちゃん、まおちゃんが連続して組分けされるんじゃ!?」

「凄い偶然だな」

「K率の高さ……」

 

「レイブンクロー!!」

 

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「カツキ、ツバサ!」

 

「翼ちゃん、翼ちゃんならグリフィンドールですよ!」

「ふっ、獅子か――どうだろうね」

 

 翼は自然体で椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Tsubasa》

「もうグリフィンドールでいいじゃろ」

 

 ああ、私もそれでいい――参考までに、なんでそう思ったのか聞きたいな。

 

「君には一度決めたことを成し遂げる精神力がある。それは正にグリフィンドールが求めんとする騎士道に相応しい要素だ」

 

 ふむ。

 

「筋トレも随分長く続いてるらしいしね」

 

 あれは筋トレではない、キャラとのシンクロで……。

 

「ほっほっほ、皆まで言うな、考えるのは面倒だ」

 

 考える帽子の癖に考えないのか……。

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

「流石翼ちゃーん!!」

「ウィング・Vー!!」

 

 小夢と真魚が歓声を上げた。

 

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「キリマ、シャロ!」

 

「なんとなーく、結果見えてるけどね」

 

 シャロが言う。

 

「始まる前から決まってる結果なんてないのよ、シャロちゃん」

 

 千夜は窘めた。

 

「それが、あるのよねえ」

 

 自嘲の笑みを浮かべて椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Sharo》

「……ふむ」

 

 ……考えるフリとかしなくていいわよ、帽子さん。分かってるんだから。

 

「……ふむむ……」

 

 ハッフルパフは劣等生が入る寮とも言われているらしいわね。だったら、劣等感に溢れたこの私が入るには、御誂え向きの寮じゃないかしら?

 

「……余り自嘲的になってはいけない――闇に魅入られるぞ」

 

 うふふ、闇、ね――闇だって、こんな奴あっちから願い下げでしょうよ。

 

「本当に、いいんだね」

 

 別に良いわ。スリザリンとか論外だし、レイブンクローって程も知識を重視してない――グリフィンドールは絶対やってけないしね。

 

「……君が、そう思うのなら」

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

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「コハシ、ワカバ!」

 

「は、はい!」

 

 若葉は高らかに返事した。

 

「気合入ってるな」

 

 直が茶化す。

 

「うふふ……」

 

 照れ笑いを浮かべて椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Wakaba》

「信念を持つ者は、グリフィンドールに入る資格を持つ」

 

 ……はい? 何を仰るのです? 申し訳ありませんが、私には意図がちょっと……。

 

「これは失敬。つまり、君は信念を持っているかね、ということだよ。ミス・コハシ」

 

 信念……一流のギャルになりたいとか、そういったことでしょうか? でしたらありますわ! そう、私ギャルになりたいのです!

 

「それは、どれくらいの信念だね」

 

 ……どれくらい、ですか。そうですね……アイススリームDカップくらいの大きさの信念です!!

 

「小さいのか大きいのか……」

 

 大きいですわ!! アイススリームのDカップを嘗めてはいけませんですわよ!!

 

「……ふむ、まあ、熱意は伝わった。よかろう」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

「…………」

 

 無言で、シャロは若葉を見つめた。

 

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「コイヅカ、コユメ!」

 

「私の番だよー!」

 

 小夢は謎のガッツポーズ。

 

「わ、私、陰ながらグリフィンドール行きを願っております!」

 

 薫子が言う。

 

「えー、私ハッフルパフが良いー」

「あっはい、じゃあハッフルパフ行きを願っております!」

「ありがとうかおすちゃん!」

 

 小夢は笑みを浮かべて椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Koyume》

「自分からハッフルパフを志願する娘もまた珍しい」

 

 だって、噂によるとハッフルパフって厨房の近くにあるんでしょ? つまり! ハッフルパフ寮に入れば、お菓子食べ放題という寸法なのだー!

 

「未だ嘗てこれほど下らん理由でハッフルパフを志願した子は居なかったよ」

 

 下らない!?

 

「いや、下る下る。分かった、ハッフルパフだね」

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

「なんか最後面倒臭くなったよね!?」

 

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「コミチ、アヤ!」

 

「リラックス……そう、リラックスよ、落ち着くのよ綾……」

 

 心を落ち着かせようとする綾。

 

「アヤヤー!! Fightデース!!」

 

 意図せず心を乱すカレン。

 

「もう、何なのよ! カレンのバカー!」

 

 赤くなりながら椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Aya》

 よろしくお願いします!

 

「はい、君ハッフルパフね」

 

 早っ!?

 

「ミス・イノクマと一緒の寮が良いんだろう? レイブンクローの適性もあるが、レイブンクローかハッフルパフか、どちらと言われれば、どちらかね?」

 

 なんで陽子が出てくるのよ!! ……まあ、ハッフルパフで良いわよ。ええ、別に? 異論ないわよ。こ、これは陽子が居るからとか、そういうのじゃないんだから! 勘違いしないでよね!!

 

「テンプレ乙」

 

 あなたいつ産まれたのよ!?

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

「お、綾もこっちか! おーい!」

 

 陽子が手を振る。

 

「ちょっ、な、な、な――こ、この、陽子のバカー!!」

「何で!?」

 

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「クジョウ、カレン!」

 

「Oh !! 次は私デース!」

 

 何故か腕まくりをするカレン。

 

「カレンちゃんならてっぺんとれるよー!」

「Yes !! Thank you デス! ホノカ!」

 

 何がイエスなのか分からないし、何のてっぺんなのかも分からないが、兎に角カレンは椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Karen》

「じゃあ、グリフィンドールでいいかね」

 

 適当デース!? もっと興味持ってー! 食いついてー!

 

「てっぺん取りたいんだろう? だったらグリフィンドールだ」

 

 ま、まあ、それはそうデスが……。

 

「それじゃあ、g」

 

 マジで適当デスね!? もしかしてここまで全部こんなかんじだったんデスか!?

 

「君はどんな幻想を思い描いていたのだね」

 

 もっとこう、ババーンってかんじで、ドカーンってかんじのイメージデシタ。

 

「何故このビジュアルからそんな発想が……」

 

 あ、もう言ってくれて良いデスよー。早く言って下サーイ。

 

「スリザ」

 

 ごめんなさい! ごめんなさいデース!!

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

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「クロカワ、マオ!」

 

「次はまおの出番っすね!? イエー……」

「どうしたの?」

 

 萌子が聞く。

 

「いや、何かいやな記憶が頭をよぎって……」

「いやな記憶?」

「……まあ、流石に無いっすよね! じゃ、行ってくるっすー!」

 

 期待と不安を胸に抱きながら真魚は椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Mao》

 スリザリンが良いっす!

 

「……君は、本当にその選択肢を選ぶのかい?」

 

 だって、スリザリンって他の寮から敵みたいに扱われてるんでしょ? まお、敵キャラ大好きなんすよねー。

 

「事はそんな単純ではない」

 

 え?

 

「君はスリザリンに入れば、もう後戻りは出来ない道を歩む事になる――困難な道だ。それでも、君はスリザリンに入るのかね?」

 

 …………。

 

「スリザリンには、君の味方は居ないと思うがね――」

 

 ……いいや、それは違うっすね。

 

「ほう?」

 

 味方が居ない? はっはっは、冗談も良いところっすよ……メルジーナが居るじゃないっすか! もうメルちゃんは友達だからね!

 

「ふむ」

 

 寮の中だけで世界が完結する訳ないんすから――他の寮には、私の味方――友達が、間違いなく居る。それだけで、いいじゃないっすか?

 

「…………」

 

 それに、知りたいんすよね――私が最初に使ったあの魔法。緑の閃光――あれがなんなのか、スリザリンに行けばきっと解ると思うんす。ほら、スリザリンのイメージカラーって緑色でしょ? だから、なんか手掛かりが掴めるかなー、って。

 

「……君が、心からそれを望むと言うのなら――あとから後悔しても、寮を変える事は出来ないよ」

 

 望むところっすねー。

 

「全校生徒を敵に回すかもしれないよ」

 

 いや、流石にそんなに嫌われてないでしょスリザリン……。

 

「……よかろう。君がそれを望むなら、最早私は、何も言うまい」

《Turn END》

 

「スリザリン!!」

 

「ええええええ!!?」

「ま、真魚おま、ええええ!?」

「真魚ちゃんー!!?」

 

 驚愕の萌子、直、若葉。真魚はスリザリンのテーブルに向かう――その足取りは軽やかながら、これから来る困難に立ち向かうには、まだ些か頼りない足取りであった。

 

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「リー、スー!」

「スリザリン!!」

 

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「ロングボトム、ネビル!」

「グリフィンドール!!」

 

「なんだかんだ入れたじゃない」

 

 安心したように琉姫が言った。

 

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「マクドゥガル、モラグ!」

「レイブンクロー!」

 

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「マクミラン、アーニー!」

「ハッフルパフ!」

 

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「マルフォイ、ドラコ!」

「スリザリン!」

 

「早いですね……流石金髪少年」

 

 と、忍。帽子が髪に付くか付かないかといったところで判決が出た。

 

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「マローン、ロジャー!」

 

「柴さん、もうすぐだね、多分」

 

 萌子が言う。

 

「ああ……ちょっとだけ緊張するかな」

 

 と、直。

 

「ハッフルパフ!」

 

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「マシバ、ナオ!」

 

「よし、じゃあ、行くぞ!」

 

 勇猛な言葉とは裏腹に動きはぎこちなく、ガチガチに緊張している。椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Nao》

「ふむ……」

 

 …………。

 

「これは……ハッフルパフかな?」

 

 まあ、私別に勇敢でもないし、狡猾でもないし、博識でもないしな。

 

「ハッフルパフでいいね?」

 

 ああ、良いぜ。

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

「柴さん早いね!?」

 

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「マツバラ、ホノカ!」

 

「き、来ちゃったよ〜! わ、私来ちゃったよ〜!」

 

 狼狽える穂乃花。

 

「ファイトです穂乃花ちゃん! 金髪同盟として、私は穂乃花ちゃんを心から応援しています!」

 

 忍が励ます。

 

「忍ちゃんっ……! うん、分かった! 行ってくる!」

「リラックスですよ!」

 

 緊張している、が、覚悟を決めたような面持ちで椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Honoka》

「ほっほっほ――どうやら君は2つの寮に対する適性があるようだ」

 

 2つの寮? ハッフルパフとグリフィンドールかな?

 

「左様、その通り」

 

 じゃあ、カレンちゃんと同じで、グリフィンドール!

 

「いいのかね? そんな安直に決めて良いのかね? グリフィンドールに入れば、君は近いうちに困難に襲われることになるだろう――私には分かる」

 

 こ、困難? 何、それ――?

 

「そこまでは分からない。私は全能じゃないんだ――だが、これは、間違いなく起こることだ」

 

 っ……。

 

「それでもいいかね? 君は自ら修羅の道を行くか? 修羅の道を歩むくらいなら、多少楽が出来る方へ――」

 

 グリフィンドール!

 

「――ほう」

 

 だって、私は1人じゃないもん! アリスちゃんも、忍ちゃんも、香奈ちゃんもいるもん! それに、カレンちゃんだって!!

 

「……君がミス・クジョウに抱いているのはただの服従心ではないのかね――」

 

 いつの話をしているの? 私とカレンちゃんの間には、もう身分なんて関係ないの。今私たちは、共にお茶会を楽しむ仲なんだから!

 

「――ほう」

 

 困難なんて知らない――私には、金髪少女が居る……カレンちゃんが居るんだから!!

 

「……良かろう。そこまで言うならば」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

「…………っ!!」

「ホノカ! ホノカもグリフィンドールデース! Yeah!!」

「カレンちゃん……ずっと、一緒だよ!!」

 

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「モエタ、カオルコ!」

 

「あ、あわわ、あわわわ――」

「誰か分からないけど、頑張れー! やれる! やれるよーっ!」

 

 薫子を鼓舞するのは由紀。互いに名前も知らない者同士であったが、しかしその鼓舞は、薫子の心に強く響いた。

 

「――は、はい!!」

 

 意を決し、薫子は椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Chaos》

「うーむ……これはまた難しい……」

 

 む、難しい……? 私、ハッフルパフじゃないんですか?

 

「君はハッフルパフに行きたいのかね?」

 

 だ、だって、私なんかがグリフィンドールとかスリザリンとかレイブンクローとかに行ったところで、迷惑にしかならないですし……。

 

「……私は、君はグリフィンドール向きの人材だと思うのだがね」

 

 は、はい!!?

 

「今の君は、まだ蕾なのだ。きっと君は誰にも負けないほどの勇気をその胸の中に秘めている。そしてその勇気を覚醒させるなら、グリフィンドールほど打ってつけの寮は無い」

 

 そ、そんな……わ、私なんかが……。

 

「君は、何故ミスター・ロングボトムがグリフィンドールに組分けされたと思うね?」

 

 …………。

 

「ミスター・ロングボトムは君と似ている。自身に自信を持てていない――だが、一皮剥けばそこには極上の才能を秘めている」

 

 ……才能。

 

「ミス・モエタ。結局のところ、そこなのだよ。今ではなく、未来なのだ。君が今を重視するならばハッフルパフが良いかもしれないが、しかしもし、私の言葉を一片でも信じ、未来に想いを馳せるのならば――断言しよう、グリフィンドールに行くべきだ」

 

 …………。

 

「尤も、決めるのは君自信だ――君がどこに行きたいか。私は指針を、示すだけ――」

 

 …………グリフィンドール。

 

「む?」

 

 グ、グリフィンドール。私如きに何が出来るのかは分かりませんが、本当に、私がみんなの役に立てるような、才能を持っているというなら、開花させたいです。……足を引っ張っているだけの人生から、さよならしたい、です。

 

「……その言葉が聞きたかった」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

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「ナオキ、ミキ!」

 

「ほ、本当にやるんだ」

 

 驚愕を隠せず美紀が言う。

 

「みーくん! リラックス、リラックスして! リラックスは大事だよ〜?」

 

 笑顔で由紀が言う。

 

「わ、分かってます! あと、みーくんって呼ぶの止めて下さいっ!」

 

 少しリラックスしたような表情だった。美紀は椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Miki》

「……君達には一体なにがあったんだね? ミス・クルミザワもそうだが、君もまた中々――」

 

 その話、組分けに関係あるんですか?

 

「大いにある。君にはグリフィンドールかレイブンクローの選択肢がある。どちらを取るね?」

 

 ……私は勇敢ではありません。

 

「ほう?」

 

 記憶を見たなら分かるでしょう。……友人を見捨てた――けいを救えなかった私に、勇気なんてありません。けいを止めなかった私は、狡猾以外の何者でも無かったんです。

 

「……スリザリンを所望かね」

 

 そうですね、私がやったことを考えれば、スリザリンが一番当てはまるのでしょうが――でも、貴方は選択肢の一つに数えなかった。

 

「君の行動は狡猾なものではない。断言しよう。スリザリンは、君には向いていない」

 

 ならレイブンクロー。……同じく私も断言しましょう。グリフィンドールは、私には向いていません。

 

「……良いのかね? グリフィンドールに入ることの出来る権利を、君は放棄することになるのだよ?」

 

 良いんです。

 

「……生き延びたのが狡猾というなら、当然、その後に何かいいことがあったのだろう?」

 

 良いこと…………まあ、無いと言ったら嘘になりますが――ゆき先輩たちと会えて、良かったというのはありますね。これからもずっと一緒に居たいと思えるような人たちと会えたのは、幸運以外の何者でもありませんでした。……それが何か?

 

「……尊敬できる友を得る事に喜びを感じる」

 

 はい?

 

「それは、グリフィンドール生に見られる特徴の一つだ。レイブンクローには無い。スリザリンでは無い。ハッフルパフでも無い」

 

 ……なっ、まさか、ちょ!?

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

「なっ――!! か、考え直して下さい! 考え直せ!」

 

 帽子を揺さぶる――だが、帽子は何も喋らなかった。ただ、古惚けた帽子として、そこにあるだけ。

 

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「ノット、セオドール!」

「スリザリン!!」

 

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「オオミヤ、シノブ!」

 

「では、行って参ります!」

「リラックスよ、しのちゃん」

 

 忍に千夜が言う。

 

 一切の緊張を感じさせぬ足取りで忍は椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Shinobu》

 アリス、カレン、穂乃花ちゃんと一緒の寮にして下さいね。

 

「……では、自己アピールを」

 

 私がどれくらい金髪に対して情熱を注いでいるかですか? そんなのアピールするまでもありませんし、そして、あらゆる人類が心の底では分かっていることなのです。

 

 いいですか? 金髪というのは――

【10分経過】

 ――ということです。私の情熱が、分かりましたか?

 

「金髪は素晴らしいものなのだね! うむ、十分に分かった! 最早言うこともあるまい!」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

 組分け帽子は、汚染された。

 

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「パーキンソン、パンジー!」

「スリザリン!!」

 

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「パチル、パドマ!」

「レイブンクロー!!」

 

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「パチル、パーバティ!」

「グリフィンドール!!」

 

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「パークス、サリー-アン!」

「レイブンクロー!!」

 

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「リバーズ、オリバー!」

「ハッフルパフ!!」

 

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「ローパー、ソフィー!」

「スリザリン!!」

 

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「スミス、ザカリアス!」

 

「そろそろ組分けも終盤だな」

 

 リゼが言う。

 

「もうすぐ私たち! 楽しみだね〜!」

 

 由紀が笑顔で言う。

 

「いやだからなんでそんな馴れ馴れしいんだよ」

 

「ハッフルパフ!!」

 

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「タケヤ、ユキ!」

 

「それじゃ、行ってくるねー!」

「行ってらっしゃい」

 

 由紀に悠里が言う。

 

「らじゃ!」

 

 笑顔で椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Yuki》

「…………」

 

 どうしたの? ははーん、めぐねえの美貌に酔いしれてるね?

 

「……今は君と私だけだ」

 

 え?

 

「今は、笑顔を必要としていない――本当の君で話してくれないかい?」

 

 …………。

 

「…………」

 

 ……今のこれが本当の私だよ。

 

「だが、もう君の眼には、ある程度現実が映っているのではないのかね?」

 

 ……まだ、ちょっとよく分かんない。

 

「……君なら、恐らく大丈夫だろう。直に、その精神が解放される時が来る――幻を、守護霊と為すことが出来る日が来る」

 

 ……めぐねえは、今だって私を見てくれてるよ。

 

「そう、いつだって、君を見ている――それを真に認識出来るようになるには、この道が一番良いだろう。さらなる勇気が芽生えんことを」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

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「テデザ、リゼ!」

 

「よし、私だな」

「リラックスよ、リゼちゃん」

 

 千夜が言う。

 

「ああ、分かってるさ」

 

 リゼは椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Rize》

「聞くまでもない」

《Turn END》

 

「グリフィンドール!!」

 

「早っ!?」

 

 髪に触れるか触れないかのところだった。一瞬で決定した。

 

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「トーマス、ディーン!」

「グリフィンドール!!」

 

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「トキタ、モエコ!」

 

「萌子ちゃん、リラックスよ」

 

 すかさず千夜が言う。

 

「うん……そのアドバイスもいい加減意味無さげだよね」

 

 少し突っ込みつつ萌子は椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Moeko》

「これはハッフルパフだね」

 

 えっ? 早いですね……何でですか?

 

「何でだって? ほっほっほ、君だって自分でがハッフルパフ向きだと思うだろう?」

 

 別にどこに向いてるとは思わないですけど……。

 

「その控えめな思考がもう既にハッフルパフめいているのだよ」

 

 ……なんか、取り敢えずハッフルパフに入れといたらいいとか思ってません?

 

「ハッフルパフは全てを受け入れるのだ」

 

 ハッフルパフ一番寮生多そうだなあ……。

 

「厨房も近いから、いつでもお菓子が作れるぞ」

 

 えっ!?

 

「食いついたな」

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

「ちょ、食いついたなって何!?」

 

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「ターピン、リサ!」

「レイブンクロー!!」

 

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「ウジマツ、チヤ!」

 

「……リラックス、リラックスよ」

 

 自分に言い聞かせながら、千夜は椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Chiya》

 私はハッフルパフにして下さいね。

 

「言われずとも、そうするつもりだよ」

 

 ……あら? なんで?

 

「君は友を思う気持ちが強い――強すぎる。最早依存と言っても過言ではない」

 

 …………。

 

「黙っているということは、分かっているということとして受け取るが」

 

 ええ、別に。いいわよ、それで。

 

「うむ」

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

「本当に来た……」

 

 シャロが呟いた。

 

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「ワカサ、ユウリ!」

 

「……緊張なんてもうしなくていいのよ」

 

 自分に言い聞かせながら、悠里は椅子に座った。そして――組分け帽子が被せられた。

 

《Turn Yuri》

「……君も、か」

 

 どうしたんですか?

 

「いや、何でもない――君は、ハッフルパフが良いかもしれないね」

 

 あら、何で?

 

「君には確かに勇気がある――あの状況を生き抜いたのだから。あと少し脱出が遅かったら精神的に危険だったかもしれないが……」

 

 じゃあ、ゆきと同じ、グリフィンドールね。

 

「……君は、ミス・タケヤに依存し過ぎている――」

「はい?」

「……喋る必要は無いのだよ」

 

 ……依存してる?

 …………。

 私が?

 

「そう、君がだ。ミス・タケヤもそうだが、しかし彼女が君の庇護から離れることが出来るようになるのも、きっと時間の問題だ。依存はもはや片方だけとなるだろう」

 

 貴方ねぇ……っ!!

 

「君が成長するには、いつまでも依存していてはいけない。独立せねば――」

 

 独立してるわよ!! ふざけないで……私が居なかったら、ゆきが……

 

「それが依存だと言っているのだ!」

 

「貴方なんかに何が分かるのよ!!!」

 

「ミス・ワカサ! 静粛に!」

「…………っ」

 

 ……なんでっ……!

 なんでよ……!

 じゃあ、私は誰に、だれを、頼られ、たよれ、すれば――

 

「……君が成長するためには、グリフィンドールは向いていない。こればかりは、私の一存で決めさせていただく」

 

 ……、…。

《Turn END》

 

「ハッフルパフ!!」

 

「…………」

 

 髪で隠れて悠里の表情は見えない。それを見つめる千夜の表情もまた、見えなかった。

 

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「ザビ二、ブレーズ!」

「スリザリン!!」

 

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 マクゴナガルはくるくると巻紙を仕舞い、帽子を片付けた。

 

 組分けは、これにて終了した。

 

 

[127]

 

 この組分けは彼女たちの運命を決定付けるもの。苦難を予告された者もいたが、それが果たしてどんなものなのか――それはまだ、誰も知らない。




 予告通り、次の日にやれました!(当然の事を偉そうに)

 それはそれとして、如何でしたでしょうか。予想通りの組分けになった者もいれば、予想外の組分けになった者も居るのではないのでしょうか?
 メイン23名以外かつ、寮が明確にされていない方達については、独断で決めさせて頂きました。公式設定ではないので、ご了承下さい。

 歓迎会篇は、最初の夜含めて残り2話です。そこからは授業篇の予定です。
 ……なかなか進みませんね。

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