美月転生。~お兄様からは逃げられない~   作:カボチャ自動販売機

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生きてたよ!ぼく、生きてたよ!
というわけで、恥ずかしながら戻って参りました!お待たせしてごめんなさい!(気がつけばもうちょっとで一年……)
しばらく作品から離れてしまっていたので、慣らすためにも、今話以降、番外編を何話か投稿し、九校戦編へと入りたいと思ってます。


前回までのあらすじ
美月、USNAから狙われる→未亜確保→リーナ(シリウス)が未亜奪還に来るも真夜様がドヤ顔で撃退→リーナ、美月のガーディアンに←今ここ


第六十一話 復活の未亜

リーナが家にやって来て三日。

 

リーナが明るく、人懐っこい性格だったのが幸いし、リーナとはすっかり打ち解けることができた。リーナは日本語がペラペラだったから、ぼくの隠されし英会話能力が火を吹くことがなかったのは残念ではある。母が翻訳家で、昔から日本語以外の言語をいくつか勉強していたのだけど、グローバルな現代なのにあまり役に立つことがない。科学が進みすぎて小型の翻訳機なんてものが出るのが悪いのだ。

 

そんなどうでも良い文句を考えてしまうのは、頭が若干パニックになっているからなのかもしれない。

だって――

 

 

「未亜!あんた、急に学校休んだと思ったら全然学校来ないし、電話は出ないしで心配したじゃない!」

 

「うう、ごめんなさい!熱は出るし、携帯は無くすしで、散々だったんです……」

 

 

 

突然、未亜が学校に登校してきたのだから。

 

 

 

 

 

朝、達也・深雪と共に登校し、入口からして場所が違う、二科生の達也と別れようとしたところで、エリカと未亜はやってきた。

なんでも、校門でバッタリ会ったらしいのだ。

 

 

「ちょっと美月、あんたなんであたしの後ろに隠れているのよ」

 

「べ、別に?」

 

「ふーん……」

 

 

エリカが、すっとぼくの前から半歩移動する。ぼくは、慌てて、その後ろに隠れる。

するとすぐに、エリカがまた移動する。当然ぼくは、その後ろに移動する。

 

 

 

「ほら!やっぱり隠れてるじゃない!」

 

 

エリカの指摘に、ぼくはエリカの側を離れると今度は深雪の後ろに隠れる。どうせくっつくなら可愛い女の子の方がいい。

 

 

「深雪~っ!」

 

「大丈夫よ、私が守るわ。意地悪なエリカとは違って」

 

「ちょ、誰が意地悪よ、というか深雪、アンタまで何なの!?」

 

 

困惑気味のエリカと、ぼくの前に立ってガードしてくれている深雪。これってもしや、憧れの私のために争わないで状態なのでは?(違う)

 

 

「エリカさん、そろそろ行かないと遅刻してしまいますよ」

 

「えっ?あ、そうね」

 

 

威圧的な雰囲気でぼくの前に立つ深雪に、ダラダラと汗を流して、エリカを引っ張る未亜。

当然だけど、エリカはぼくらの間に何があったのかは知らない。困惑した様子で未亜に引っ張られていってしまった。

未亜の正体を知る前は、エリカが未亜を引っ張り回していたのに。

 

 

「で、達也。どういうことかな?」

 

「お兄様、何か弁明があれば仰ってください」

 

 

深雪のニッコリとした笑顔に流石の達也もたじろぐ。ぼくは、深雪の横から顔だけ出して、怒ってますよアピール。深雪シールドは笑顔で敵を威嚇するのだ。

 

 

「おい、何故二人して俺を責める」

 

「達也がまたぼくに隠れて、こそこそしてたの知ってるんだからね。それ絶対未亜関連でしょ」

 

「未亜さんがこうして学校に来ることをお兄様が知らなかったはずがありません。美月にガーディアンまでつけておいて、未亜さんのことを把握していなかった、なんてことはお兄様に限ってあり得ませんから」

 

 

そういえば、まだ深雪はリーナと会ったことがないんだよね。あの二人が並び立つとか、考えるだけで恐ろしい。最近忙しすぎて仕事以外の絵を描く時間がなかったから、今度二人をモデルにして絵を描こう。控えめに言って最高だね!

 

 

「深雪、叔母上がどういう手段を用いたのかは知らないが、USNAと直接交渉してシリウスを奪ったのは知っているな」

 

「はい、本当にどうやったのか、スターズの最高戦力を意図も簡単に……」

 

「叔母上は何故かUSNAの内情に詳しかった。USNAの上層部にとって余程不利になる情報を持っていたのだろう。元々、あちらの強行手段によって交渉は叔母上が有利な状態ではあったが、それにしても普通の対価ではない。シリウスに九島の血が流れていることを利用したらしいが、具体的には聞かされていないんだ。

交渉の内容が気になるところではあるが、今はそれは良い」

 

「ねえねえ、達也さんぼく全然話についていけてない」

 

「安心しろ、お前が知らなくても、俺が知っていれば問題ない」

 

「確かに」

 

 

難しい話は達也に丸投げというのがぼくのスタイルなのだ。実際、今言っていることの八割は分からない。確かスターズっていうのが、USNAで有名なアイドルユニットか何かで、シリウスっていうのが、そのセンターなんだっけ?うん、たぶん違うね。

 

 

「シリウスを引き込んだ叔母上だったが、拘束した未亜の扱いに困ったらしくてな」

 

「スターズの総隊長よりは遥かに扱いやすいと思うのですが」

 

 

ぼくが下らないことを考えているうちに話は、未亜のことに戻ったらしい。確か未亜ってUSNAのスパイとして日本に来てたんだけど、ぼくの捕獲任務を与えられて実行した、ということだったと思う。

ぼくと達也で拘束した後、すっかり忘れていたのが急に学校にいたものだから、びっくりした。

 

 

「未亜が魔法科高校に入学していることが問題だったらしい。USNAのスパイが魔法教育の重要機関に潜入していた、という事実は、明確なスキャンダルだろう。そうなれば、第一高校には大規模な調査が入るかもしれない。叔母上が内密に処理した様だがブランシュの件もあるからな」

 

「あ……調査……そうなると私達のことが……」

 

「ああ、『四葉』のことは発覚してしまう可能性がある、だから叔母上は未亜のことをまだ報告していない」

 

「つまり、未亜はまだUSNAのスパイであることが四葉の関係者にしかバレていない?」

 

「そうだ、そしてもしそのことが明るみになれば、俺たちのこともバレる可能性がある。現状、俺たちは未亜のことがバレては困る、というわけだ」

 

 

四葉のことがバレるかもしれないから、未亜のことは誰にも知られるわけにはいかない。だから、急に退学にしたりはしないで、学校生活を送らせるってことなのかな?

 

 

「では、一週間ほど学校に来なかったのは?」

 

「今回の事態を受けて、師族会議があったからな、叔母上が手を離すことが出来ず未亜のことが後回しになっていた様だ。まあ、その間未亜はホテルに缶詰になっていただけで、何かしたわけではないらしいが」

 

 

「ねえ、達也、深雪、話終わった?ぼくもう飽きた」

 

 

 

全然話についていけないし、意味も分からないから、暇すぎる。これでも我慢した方だと思う。何の意味も分からない会話を、目の前で延々、かなり長い間話し込まれたら、ぼくじゃなくても、呆れると思う。

 

 

「ん?というか、もしかして――」

 

 

ぼくが疑問に思った瞬間、一世紀前から変わることのない、鐘の音が校内に鳴り響いた。

 

 

 

「遅刻なんじゃない?」

 

 

結局、余裕で遅刻したぼくらだったけど、怒られたのはぼくだけだったらしい。

 

今回はぼくあまり悪くないと思うんだけど!

 




。゚(゚´Д`゚)゚。 深雪「久しぶりの登場!久しぶりのセリフ!なんて感動!」

∑ヾ( ̄0 ̄;ノ 美月「なんか深雪が可哀想な娘に!?」

(つд;*) 深雪「本編では名前だけでセリフはなく、果ては唯一の居場所だったおまけですら水波ちゃんや叔母上に侵食され、さらには何やらUSNAから美少女がやって来たとか……私はもういらない娘なのかと」

( *´д)/ヨシヨシ 美月「かつてない程のネガティブ!
そんなことないよ、やっぱり深雪という美少女がいてこそ物語は動き出すんだよ(意味不明)」

|||(-_-;) 深雪「いよいよ美月にまで励まされるなんて……もう駄目だわ」

∑(゚□゚;)ガーン 美月「それは普通にぼくが傷ついたよ!えっ、深雪の中でぼくってどんな扱い!?」


(゜-゜) 深雪「頭の足りない娘」

(つ﹏<。) 美月「泣きたい!」


一応、勉強は出来るはずの美月さんであった。





完全説明会なので、少し短めでした。
リーナについては九校戦編になったらもっと詳しくやろうと思っているので、この辺で。け、決して何も考えていないわけではありません。

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