美月転生。~お兄様からは逃げられない~   作:カボチャ自動販売機

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夏コミに行ってきました。八月中旬に予定を詰め込み過ぎた中でのビックイベント。
やっと落ち着いた今日この頃、無茶したものだとだらけきっております(笑)


第十二話 進級と関係の変化

今日からぼくは三年生になる。

 

ぼくが本格的に絵を描くようになってもうすぐ一年が過ぎようとしているわけだけど、環境にも大きな変化があった。

 

なんだかぼくには絵の才能があったらしく、何とかって賞を獲得。ぼくの描いた絵は数十万、高いときには数百万で売れることもあった。ぼくは基本的に描きたいものを描きたい時に描くため、そのほとんどが深雪の絵になってしまうから絵を売ることはそれほど多くは無かったが。深雪の絵を売るなんてとてもできない。この美しさを皆に伝えたいと思う反面、独り占めしたいという自分もいるのだ。だからぼくが売るのはふとした時に描いた風景画だったり、空想の世界の絵だったりする。

 

 

 

「ワンダーランド?」

 

「うん、そこの新アトラクションのキャラクターをぼくが任されてね、今度そのアトラクションの御披露目があるから出席しないといけないんだよ」

 

 

実はぼくの絵が母の翻訳した小説の日本語版の表紙になったのだが、これが中々に好評だったらしく、それを見たワンダーランドの偉い人が新アトラクションのイメージをまず、ぼくに依頼した。で、そのイメージを描いたぼくが、こんなキャラクター可愛いっすよねーっと見せてみたら正式採用。つまりワンダーランドの新アトラクションはぼくの妄想を再現したものと言っても過言ではないのだ。

 

そこまでは良い。

正直いってめちゃくちゃ上手くいってる。

けどさー、今のぼくは柴田美月という名前ではなく月柴 美(つきしば はる)って筆名の方が有名になっているのだ。というのも、ぼくのところにくる仕事のほとんどがイラストレーターとしての仕事だからである。ワンダーランドのキャラクターを担当してからというものの、徐々にそういう仕事が増えはじめ、ラノベの表紙、挿し絵からアニメのキャラデザ、『絵画も描けるイラストレーター』月柴 美として有名になっていた。うん、別にぼくは好きな絵を描ければ、つまり深雪さんの絵を描ければいいのだけど、それはなんか違うと思う!なんでぼくは締め切りに追われながらロリキャラ描いてるのかな!友達と話ながらも手は絵を描き続ける技術を修得しちゃってるのかな!

 

 

「み、美月、貴女はさっきから何を描いているの?」

 

「ぼくが三巻から絵師を担当することになったラノベの挿し絵を描いてるんだ。

難しいんだよ?ただ絵を描くだけじゃなくて文章の内容を考えながら描かないといけないんだから」

 

「それはどういう内容の話なのかしら!?年端もいかない少女が裸で顔を赤らめるような内容なの!?」

 

「魔法少女系ラブコメ風ファンタジーだからね」

 

「何を言っているのかほとんど分からないのだけど!?」

 

 

深雪にはそのままでいて欲しいので分からないことは良いことだ。達也には無理矢理ラノベ読ませたり、漫画読ませたりしてるけどね!ただ、ラノベと漫画の内容を科学的に検証してぼくに聞かせるのは止めてほしい。リアルラノベの主人公みたいなくせに。

 

 

「安心して、ぼくが好きなのは深雪だから」

 

 

キリッとした表情を意識してそう言ってみた。ぼくは可愛い女の子は皆好きだけど、二次元の女の子も好きだけど、やっぱり一番は深雪なのである。

 

 

「べ、別に安心する要素なんてないわっ!」

 

 

顔を赤らめてそっぽを向く深雪。

 

とりあえず抱き締めておいた。

 

 

 

 

 

放課後、旧校舎の教室で美月、薫、司波兄妹で集まることが二年の後半から増え始めていた。それぞれの思惑があってのことだが、今はそれが当たり前になっており、ちゃっかりそこに佐藤も加わっていた。

 

 

「なーんかあの二人仲良すぎないか?」

 

「……あーそうだな」

 

 

顔を赤くした深雪が美月に抱き締められている様子を見て、若干冷や汗を流しながら引いたようにそんなことを言う薫に達也は上の空な様子で適当な返事をした。恐らく、薫の話などほとんど頭に入っていないだろう。

 

 

「なんだお前、妹の一大事にそんなボケッとして。シスコンならシスコンらしく妹を守れよ」

 

 

薫は拗ねたようにそう言うと今度は佐藤に絡み始めた。薫は蔑ろにされると寂しくなってしまうらしい。

 

 

「お前もさ、ここ数ヵ月美月に何のアピールも出来てないんだぞ?いいのか、このまま美月が深雪にとられても」

 

「え?……うん、そうだね頑張るよ」

 

「なんだよ、お前もそんなんかよ、達也といい、お前といい、ボケーっとして、おじいちゃんですかー」

 

 

誰にも相手にされないと思ったのか薫はブツブツと文句を言いながら部屋の隅でふてくされ始めた。

 

 

 

「ねぇ達也くん。ちょっと提案があるんだけど、良いかな」

 

「なんだ?」

 

 

 

 

佐藤と達也はこうして一緒にいる機会も増え、男同士ということもあり、友人となるまでそう長い時間はかからなかった。

とはいえ、佐藤から達也へ相談ともなると、初めてのことである。

空き教室だけは沢山ある旧校舎だ、二人は場所を移すことにした。

 

 

「どうやら僕は桐生さんが好きになっちゃったみたいなんだけど……どうするべきかな?」

 

 

 

教室に入って席につくとすぐ、佐藤はそう告白した。

 

正直、達也には専門外だった。




(;´Д`) 美月「男二人で教室を抜け出した……!?これはもしかしてっ!始まるのか!始まっちゃうのか!」

(;・ω・) 深雪 「お、お兄様に限ってそんなことあるわけがありません!」

♪~(・ε・ ) 薫 「だな、達也は妹萌えの変態シスコン野郎だからな」

(〃ノωノ)ポッ 深雪「///」

(・∀・)ニヤニヤ 薫「まあ、佐藤はホモだけどな」ボソッ

!Σ( ̄□ ̄;)深雪 「お兄様ーっ!」






(((( ;゚Д゚)))ガクブル 美月「薫の仕返しえげつない」





次話から新章開始なので今回は少し短め。登場人物も増え盛り上がっていく予定です。お楽しみに!

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