Fate/eternal rising [another saga]   作:Gヘッド

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はい!Gヘッドです!
いやぁ、アサシンはわかりにくいですかね?
まぁ、アサシンは作中のサーヴァントの中で一番わからないはずであると私も思っています。多分、キャスターは簡単にわかります。あと、セイバーとアーチャーはわかる人ならわかるかもしれません。
アサシンとランサーは絶対にわかりませんよ。



マスターとして

 店の奥から男の店員が出てきてこっちに向かってくる。右手にはセイバーが頼んだカルボナーラがある。セイバーは店員の手にあるカルボナーラを見ると、子供がおもちゃを買ってもらったような目をした。

 

「カルボナーラです」

 

 店員がカルボナーラをセイバーの目の前に置く。全ての注文が届いたので店員は伝票を机の端に置く。

 

 ドリンクバー2つとカルボナーラで1000円以下で済む。やっぱりファミレスは学生の聖地だね。

 

 セイバーは待ちに待ったカルボナーラにフォークを入れる。そして、フォークの間にパスタを挟み、皿に対して垂直に立てる。そしてフォークをクルクルクルと数回転してから持ち上げる。すると、パスタは見事にフォークに巻きついてまとまりができる。

 

 セイバーは星でも見るようにカルボナーラを眺める。

 

「わぁっ。カルボナーラという食べものはとても美しい料理ですね。麺が輝いています」

 

 昔の人が見るとそう思うのであろうか?俺はアサシンのほうを向く。アサシンは全力で腕を振り否定する。

 

 セイバーは大きく口を開けて巻いたカルボナーラを口の中へと入れる。そして舌にカルボナーラを置き、口を閉じる。ベーコンと生クリームの風味が口全体に広がる。そこに胡椒(こしょう)の辛味が効いてそれはまぁ絶品だろう。

 

「おいひぃれすぅ。ほっぺたが落ちちゃいますぅ」

 

 なんとエロい言葉なのだろうか。セイバーはほっぺたに手を置き満面の笑みである。唇にはクリームが少し付いている。それがまたエロい。

 

 あぁ、なんで俺、セイバーごときで興奮すんだろ。興奮するならアサシンみたいなエロティシズムなボディじゃないとな!

 

 セイギはセイバーを見る俺をジィッと見る。

 

「なんだよ」

 

「いや、仲がいいなって思っただけだよ」

 

「会ってからまだ半日も経ってないんだけど」

 

「半日⁉︎じゃぁ、今日の夜中とかに召喚したの?」

 

「いや、召喚っていうか……」

 

 俺がしたくて召喚したわけじゃない。ただ、アーチャーとあそこで出くわしてしまったばかりに俺は今、ここにいる。もし、俺があそこでアーチャーと合わなかったら俺は今頃学校にいるだろう。

 

 セイギにはアーチャーのことを話した方がいいのだろうか?確かに、セイギに話せばアーチャーの情報を知る。けれど、アーチャーは人質を所有している。それは『俺の情報』である。マスターである俺の顔を覚えられてしまったことだ。俺はアーチャーのマスターが誰だか知らないから不意打ちで殺されることもありうる。それだけじゃない。住所だってそうだ。もし、また俺の家に攻めてきたら関係のない爺ちゃんまで巻き添いを食らう。

 

 話せば得もあるけど損もある。

 

「ヨウ?どうしたの?」

 

「ん?ああ、いや、なんでもない。そ、それよりさ、お前はいつ召喚したんだ?」

 

 俺は結局話さなかった。話の流れを変えて、セイギには教えなかった。セイギに教えておけばよかったのかもしれない。けど、俺一人で物事を決めるのは苦手だから。

 

「僕は一週間前くらいかな。僕の師匠に言われたんだ。もうすぐ聖杯戦争が始まるからサーヴァントを召喚しろって」

 

「師匠って何の?」

 

「魔術のだよ。なんかね、前の聖杯戦争の時にいきなり僕の目の前から消えた人なんだ。だけど、その時、いきなり僕の目の前にふらっと現れたんだ。そして、僕がアサシンを召喚すると、師匠はまたどこかへ消えて行ったんだ」

 

 セイギはその師匠のことを笑いながら言っていた。でも、笑えることじゃない。だって前の聖杯戦争は数年前。その時にいきなり消えて、最近になっていきなり現れた?そしてまた消えた?どう考えたっておかしい話である。けど、セイギが嘘を言っているようには思えない。

 

「なぁ、セイギ。その師匠って前回の聖杯戦争で、マスターだったのか?」

 

「うん。そうだよ」

 

 俺の問いにセイギはサラッと答えた。その時、少しわだかまりのようなものが俺の心に生じたのを感じた。もしかしたら俺の父さんと母さんはセイギの師匠に殺されたかもしれない。確率も低いし、そうでないという可能性の方が断然高い。けれど、『そうかもしれない』っていう可能性があるのもまた確か。

 

 すると、アサシンはセイバーに話しかけた。

 

「ねぇ、もうすぐ食べ終わる?」

 

「ええ、それがどうしたのですか?」

 

「私と買い物にでも行かない?」

 

 そのアサシンの提案は俺だけでなく、マスターであるセイギも驚かせた。

 

「だって、服とか買っておいた方がよくない?今の服装なんかで街中歩いてたら目立っちゃうよ。そしたら、他のマスターにばれちゃうかもしれないし」

 

「じゃぁ、服なら俺がいけばいいだろ?俺はセイバーのマスターだ」

 

「それじゃダメよ。だってあなたは男なの。服とかは女の子が大事にしたいものなの。ある意味デリケートゾーン。ねっ?」

 

 アサシンはセイバーにそう応答を求めた。セイバーは「え、ええ。わかりました」とアサシンの案に乗った。

 

「じゃぁ、俺たちは?」

 

「あなたたち二人はここでお話でもしてなさいな。セイバーちゃんのマスターくんはまだ魔術師としては半人前以下だしね」

 

 え?俺はふと疑問に思った。俺は魔術をアサシンに見せたわけでもない。なのに、なぜアサシンは俺が半人前以下のマスターであると気づいたのであろうか。

 

 しかし、セイバーとアサシンを外に野放しにしたらどうなるかわからない。だから、俺たちは令呪を使うことにした。

 

「令呪を以って命ず。セイバー、正当防衛以外での戦闘は俺が許可しない限り禁止」

 

「令呪を以って命ず。アサシン、正当防衛以外での戦闘は僕が許可しない限り禁止」

 

 一応の措置である。もし、運悪く他のサーヴァントとの戦闘になった場合に備えて、正当防衛は有りにしている。また、俺たちとサーヴァントはそこまで離れることはできない。せいぜい200メートルぐらいであろう。だから、ちょうど近くにあるユニ○ロに服を買いに行くらしい。

 

 金は少しセイギから借りた。これでセイバーの服は買えるだろう。アサシンはセイバーと一緒に店外まで出た。

 

 セイギは二人が出て行ったのを確認し、俺の方を向いた。

 

「じゃぁ、ここからは親友としてではなく、マスターとして話をしよう。アサシンのマスターである僕と、セイバーのマスターであるヨウとして」

 

 その雰囲気は俺の知っているセイギではなかった。怖い感じとかはしなかったけど、少し寂しく思えた。


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