Fate/eternal rising [another saga] 作:Gヘッド
四人席。俺とセイバーが隣になるように座る。セイギとアサシンは向かい側。まだ、朝の9時。制服を着た高校生二人と、ドイツの民族衣装のコスプレをした人が一人と色っぽいお姉さんが一人。
俺とセイギ、アサシンはテーブルの端にあるメニューを見ていた。が、セイバーはムスッとしたままである。何が気に食わないであろうか。特に問題はないと思うのだが……。
「なんで、このような場所で会議なのですか?人が多いです」
「今はちょうど人がいない時間だからいいの。それに、俺たち高校生にはファミレスはスゲェ神聖な地なんだから」
「神聖な地?神殿でもあるのですか?」
「いいや。お財布に優しいだけ」
セイバーは周りを警戒する。誰かが見ていないか。誰かが狙っていないかなど。何もそこまでしなくてもどうせ攻撃されたりはしないよ。
セイバーはメニューを全然見ようとしない。
「おい、飯は食わねぇのか?」
「別にいりません。私は霊体なんで食事は取らなくてもいいんです。それにもしお腹が空いたら木の実でも採って食べます」
「ふ〜ん。まぁ、いいけど」
俺はメニューをセイバーに見せつけるようにして見た。セイバーはごくんと
メニューを見てお腹を減らしていたセイバーに少し嫌がらせをするように俺はボソッと言った。
「あ〜、カルボナーラいいなぁ。すげぇ美味そう。でも、少し量多いんだよなぁ〜」
俺がそう言うとセイバーは反応した。俺の方をチラッ、チラッと見ながらこう俺に助言した。
「あ、ヨウが食べられないなら、私が食べましょうか?」
ヨシッ‼︎噛み付いてきた‼︎
「いやいや、大丈夫。ハーフサイズがあるから」
セイバーは悔しそうな顔をする。目をギュッと閉じて、唇を噛む。ギュルルとお腹が鳴る音が聞こえた。
「あれ?今、誰かお腹鳴った?」
俺は音源であるセイバーの方を振り向く。セイバーは顔を赤くしながらそっぽを向く。セイバーは反応がすごくわかりやすい。うん。いじくるのがすごく楽しい。
すると、アサシンも俺の遊びの面白さに共感したようである。アサシンもセイバーをいじくり始めた。
「ごめん。今、お腹鳴らしたのは私。このメニューが美味しそうで……」
「ああ、お前だったのか。お前は何食いたい?」
「私はカルボナーラかなぁ」
アサシンの意図ある発言にセイバーは気づかない。セイバーはよだれを垂らしながらアサシンを、俺を、メニューを見た。
が、俺は鬼畜である。まだまだ遊ぶとしよう。
「セイバーは食べなくてもいいんだよね?」
「えっ⁉︎え、ええ。は、はい……」
思わず泣きそうになってしまうセイバー。それを見て思わず不気味な笑みを浮かべてしまう俺とアサシン。
すると、セイギが俺とアサシンを威圧するように眼光を鋭くする。そしてメニューをセイバーへと渡す。
「早くメニューを選んで」
その言葉は他の言葉のようにも聞こえた。「早くメニューを選んで」が、「二人とも見苦しい」と聞こえたようなきがした。俺とアサシンの背筋がピンッと張る。
セイバーは涙目になりながらもセイギが渡したメニューを見る。そしてすぐにメニューに載せてある美味しそうな写真を見て目を輝かせる。
「こ、これ、このカルボナーラという物を食べたいです‼︎」
セイギは優しい目でセイバーに相槌を打つ。そして俺たちには何も言わない。何も言わないという行動が俺とアサシンに焦りをもたらす。セイバーは全然気づいてないが、今、この雰囲気はすごく重い。重力が通常の何倍かあるようである。
「ア、アサシン……。俺たちはド、ドリンクバーにしような……」
「え、ええ……」
目はキラキラと光り、カルボナーラを今か今かと待ちわびるセイバー。セイギがキレるとすごく怖い。そのゾーンに入ってしまった俺とアサシンは身も心もカチンコチン。
なんとかその場から脱退するために緊急避難用のドリンクバーという言葉を使い逃げようとする。
「あ、じゃぁ、お、俺はドリンクバーに……」
すると、アサシンも席を立った。アサシンもドリンクバーらしい。まぁ、さっき頼んでたし……。
が、しかしちょっと考えたらヤバくね?アサシンってサーヴァントでしょ?しかも暗殺者だから簡単に殺されそうなんだけど。
……えっ?まさか、セイギは俺を殺そうと……?
アサシンは変に疑心を抱いている俺の肩をポンポンと叩いた。
「大丈夫。別に君を攻撃したりはしない。セイギのお友達だし。それに君はあまり殺しても意味がないと思うし……」
殺しても意味がない?それはどういう意味なのだろうか。確かに俺は剣術なんて本気でやったことないし、戦いだって慣れちゃいない。この四人の中ではダントツでビリである。『剣神の申し子』なんて呼ばれたこともあるけど、俺はめんどいこと嫌いだから全然修行してない。
殺しても意味がないとは俺が弱いということなのだろうか?別に
俺はアサシンを見た。アサシンはすました顔で俺を見ている。一見ただの鎌を使う暗殺者。でも、少し、いやもっとヤバイって思った。
「ほら、ドリンク、取りに行きましょう」
「あ、ああ」
アサシンは俺の手を取る。その時、あることに気付いた。
「お前ッ‼︎」
「ん?どうしたの?」
アサシンは俺の方を振り向いた。その時、ペリッと顔の方で音がした。
その顔、死人である。確かにサーヴァントは死者も含む。でも、そういう意味じゃない。アサシンの顔の一部が剥がれていた。皮が剥がれ、その中は筋肉と金属と土。そこに人為的な魔術回路が刻まれていた。人とかそんな問題じゃない。
アサシンはすぐに自分の姿に気付いた。「あっ、剥がれちゃった」と言いながらセイギの顔に手を伸ばす。
そして、次の瞬間、アサシンはセイギの唇にキスをした。しかも数秒間。
チッッキッッショォォォォォォ‼︎セイギィィ‼︎女に飢えている俺の目の前でなにキスしとるんじゃぁぁ!
が、問題はそこではない。悔しいが、驚くべきところはそこではない。アサシンがセイギとキスをすると、アサシンの剥がれていた顔がみるみると復元していく。そしてさっきよりも若々しく、ツヤツヤの肌になっている。しかし、セイギは何かを
「お、おい。セイギ。大丈夫か?」
「うん。大丈夫……」
セイギはぐったりとしている。まるで精気を吸い取られたかのようである。
「な、なぁ、セイバー。サーヴァントであるお前もあんなことしないといけないのか?」
「え?いや、私たちサーヴァントはマスターの近くにいるだけで魔力供給が可能なはずです。というより、顔は剥がれないと思います……」
アサシンは自分の顔を触った。そして、少し悲しそうな顔をする。でも、すぐに元のアサシンに戻った。アサシンは笑いながらその場をごまかした。
「これ私の体質なの。特殊だから……」
でも俺には分かった。特殊とかなら比べることはできる。けれど、比べることもできやしない。だって、比べようにも人と彼女じゃ分類が違う。
俺はセイギを見た。セイギは元気がないのに無理して笑っていた。そしてドリンクバーを取ってくるように俺を
それは多分、セイギがアサシンの全てを知っているからなのだろう。俺はセイバーの事を知らない。けれど、普通、マスターはサーヴァントの事を知る。
サーヴァントの過去は時に辛く、地獄のようなものであろう。もし、俺がセイバーの過去を知った時、俺はその全てを受け入れてあげることはできるのだろうか?
アサシンは「ドリンクバーを取りにいこう」と言って俺の手を取る。やっぱり、その手は少し冷たいものであった。人肌の温度ではない。
今回はセイバーちゃんです。パラメーターは後々載せます。
セイバー
身長:161センチ
体重:47キロ
スリーサイズ:81・56・78(上から順に)
セイバーのサーヴァントで主人公に召喚された。しかし、召喚の際、何が触媒となっているかは謎。
黒髪で目は少し青い。戦闘服は鎧だが、いつもはドイツの民族衣装を着用。
義や誠を重んじるタイプの女性だが、どこか少し幼い一面も見せる。また人と打ち解けるのがあまり得意ではらしい。そのため、結構
聖杯で叶えたい望みは過去に戻って全てをやり直すこと。
宝具は5つもあり、アーチャーみたいだが、3つはランクC以下のカスみたいな宝具。短剣と、レイピアと、古びた剣と、黄金の鎧と、青銅の兜である。本人
本名は???。???の???に出てくる???。このサーヴァントはライダー、バーサーカーとしても召喚可能。
生前に殺した人数は一人。しかし、見方を変えれば二人。