Fate/eternal rising [another saga] 作:Gヘッド
私、一字下げの仕方をようやく知りましたよ。なので、一字下げを全ての話にしてみました。
セイギの声。その声を聞いた俺はホッとした。生きていた、死んでいなかったっていう事実を知ることができたから。けど、それと同時にマジかとも思った。セイギは聖杯戦争に参加している。その事実はのちに俺がセイギと闘わないといけないっていう決定的、絶対的な未来があるのだ。つまり、俺たちのどちらかが死なない限り戦わないといけない。
現実は俺を突き刺す。闘えと俺に言ってきた。闘わなければ死が訪れる。死にたくはない、けれども殺したくもない。
現実が俺に突き刺さると、俺は力を抜いてしまった。本気の抜刀をするにはタイミングが悪すぎた。そんなんじゃ、ただでさえ強いバーサーカーに攻撃しても跳ね返される。そして、その
ヤバイと気づいた時にはもう遅かった。左の腰側にそえていた剣はもう止めることはできなかったのだ。俺の腕はピンッと伸びていて、剣先は太陽に照らされて光りながら円の一部のような軌跡を描く。
俺の短剣とバーサーカーの超重そうな大剣が
「バーサーカー、僕を助けろ!」
すると、バーサーカーは俺の目の前からすっと消えたのである。俺は少年の方を振り向く。そこにはバーサーカーがいた。バーサーカーは獣耳をつけた女性と対峙している。その横にはセイギが立っていた。セイギの手にも令呪があるので、多分あの女性もサーヴァントなのだろう。確か、セイギはその女性をアサシンと呼んでいた。
アサシン。暗殺者であろう。多分、セイギはバーサーカーを俺たちの方に引き寄せた。そして、少年も
そんなことされた少年の生き残るための選択は一択しかなかった。令呪を使い、バーサーカーを自分のところに戻す。彼はこれを使ったんだ。だから、俺の目の前からバーサーカーは消えた。ギリギリ俺が殺される前に。
俺はセイバーの方を振り向く。セイバーは手こずっていた。別に一つ一つはそれほど強いわけではない。けれども、数が流石に多すぎる。
そこで俺は
「おい!セイバー、大丈夫か?」
「ええ、まぁ、怪我は特にしていません。ヨウは?」
「膝をすりむいたことと、背中を少し強く打ったことぐらい。別に大したことはない。……それより、なんでセイギが?」
俺はセイギの方を向く。
「ヨウ、あの男の人がセイギと言う人なのですか?マスターのようですが……」
「ああ、俺も今結構戸惑ってる。けど、あれはセイギだ」
セイギはアサシンのマスターであった。今、セイギは俺を守るために闘っている。本来、聖杯戦争では敵であるはずの俺に背中を見せているのだ。
セイギは手のひらを空に向けた。
「
セイギがそう唱えると、彼の周りに白い光のような球体が浮かんだ。俺が使える数少ない魔術の一つ、
少年はそれを見るとチッと舌打ちをし、バーサーカーの肩に乗った。
「バーサーカー、帰るよ」
その時、俺は少年が恐ろしく現状理解に
少年とバーサーカーが去ると急激に周りの気温が低くなり、冬の気温まで戻った。異常な暑さはバーサーカーのせいだったのだろうか?
セイギはこっちの方を見た。アサシンは手に鎌を、セイバーも剣を構える。その時、俺は足がすくんでしまった。また、闘うのか?と思うと俺の体が駄々をこねる。もう動きたくないと俺に反抗してしまう。
セイバーはもう一つの剣を取り出した。ほんの少し
両者の間に一定の沈黙ができる。もしかしたら、攻撃されるかもしれないという疑念が心に存在した。アサシンは鎖鎌を、セイバーは古びた剣を構え、出方を伺う。
しかし、闘うことはなかった。セイギは自分の周りで浮遊している魔力球を消したのである。それには俺とセイバーだけでなくアサシンも驚いていた。
「セイギ、なぜ消すの?あっちは全然闘えないみたいだけど」
「いや、闘えないのは僕も同じだよ。少なくとも僕はヨウと闘う理由がない……」
セイギはそう言うと俺たちに一人で近づいてきた。セイギは攻撃しようという気がないようにも思える。それでもセイバーは警戒を解かない。
セイバーは攻撃されないことを知っている。けど、今なら確実にセイギを殺せるというのも分かってしまう。セイバーにはどうしても叶えたい夢がある。そのために無抵抗なセイギを殺すのか殺さないのかで迷っているのだろう。
剣士は剣を持たぬ者を殺しても何の価値もない。剣士として一番やっちゃいけない事であり、剣士としての恥である。
自分の願いを優先させるか、剣士としての誇りを優先させるか。
セイギは一歩一歩近づいて来た。セイバーはセイギに剣先を向ける。けれどもその剣先がセイギを貫くことはなかった。結局、セイバーはセイギを殺さなかった。
俺は内心ヒヤヒヤしていた。いつ、セイバーがセイギのことを殺そうとしてもおかしくない状況である。もし、セイバーが剣を振り下ろそうとしていたら、俺はこの令呪を一回使っていた。
セイギは俺と話そうと言葉を探していた。けれども、言葉が出てこないように、彼は顔を俯ける。知られたくない事実を互いに知られてしまったのだ。気まずい雰囲気が二人の間にうまれる。
すると、アサシンがその気まずい雰囲気を壊した。
「まぁ、人生そういうこともあるもんよ。二人の友情を分かつ試練‼︎ああ!なんて悲劇的なのッ‼︎」
セイギはアサシンの腐った言動に頭を抱えた。
「ちょ、アサシン、今、黙ってて……」
「大丈夫。大丈夫。水を差すなんてことはしないから」
「いや、もう水差しまくってるから。それより本当に暗殺者なの?」
アサシンは右手でセイギにグーサインをした。セイギはそんなアサシンを見て悔しそうな顔をする。
俺はセイバーの方を見た。セイバーは警戒こそ解いたものの、今度は人を差別するかのような白い目で見ている。その姿を見ていた俺は召喚するのがセイバーであって良かったと心から思った。
セイバーはアサシンに声をかけた。
「アサシン」
「ん?なぁに?」
「あ、あなたは娼婦のサーヴァントか何かですか?」
それを聞いた俺とセイギは面白すぎて思わず吹き出してしまった。
「え?娼婦?私が?……あー、でもあながち間違いじゃないのかも」
それを聞いた俺はセイギを羨ましく思い、少しセイギを憎む。だって、俺のサーヴァントは……。
「んなっ⁉︎は、は、はしたない‼︎し、尻軽女ですっ!」
「あらあら、セイバーちゃんったら可愛い〜。お顔が赤いよ。そういうのはあまり得意じゃないのかな?」
セイバーは軽くアサシンにあしらわれた。セイバーは猫が爪を立てて引っ掻くようにアサシンに反抗するが、アサシンは上から頭を撫でているようである。
セイバーはアサシンと話していても
セイギはそれを見ると微笑んだ。
「良かった。信じてくれて。すごく怖かったんだけど、信じてほしかったからさ」
セイギが笑ったのを見て俺も心が落ち着いた。バーサーカーに狙われて絶対絶命の状況だったけど、なんとか生き延びたこと。そしてセイギはやっぱりセイギであることに。
「そのさ、セイギ。俺、そのお前に色々と聞きたいことがあるんだけどさ……」
「ああ、それヨウも?」
そりゃ、もちろん聞きたいことは山ほどある。
「(なぜセイギが聖杯戦争に参加しているのか。セイギと戦わねばならないのか?)」
「(なんでヨウが聖杯戦争に参加しているのか。ヨウと戦わないといけないのか?)」
その相手を心配する問いが二人の中に生じていた。
今回は親友のセイギくんで。
身長:165センチ
体重:55キロ
座右の銘:智こそ最大の力なり
主人公の数少ない友達であり、幼なじみ。また家も近所で腐れ縁的な存在。そして今回の聖杯戦争に参加しているアサシンのマスター。父、母と三人暮らし。
主人公と同じ学校に通っているが、クラスは違う。身体能力はそこまでよくないが、勉強面では主人公よりかは上。
穏やかな性格だが、基本的に争いごとはあまり好まない。主人公のめんどくさいのは嫌いみたいなタイプではなく、争い自体が嫌いなタイプ。
使える魔術は多数あるが、そのほとんどが独学。また、その中でもダントツで魔力放出系の魔術は得意のようで、作中で彼が使う魔術はほとんどそれだけ。
今回の聖杯戦争には、
最高の魔術師になるための知識などの魔術師としての叶えたい夢がある。
彼の家系は代々魔術師だったが、彼の親は魔術師になることを拒み、その結果ちゃんとした魔術教育を受けていない。小さい頃、赤日山の小屋によくいるある男に魔術を教えてもらっていた。ちなみに、その男、前回の聖杯戦争のアサシンのマスター。
アサシンを呼び出せた依り代は知りたいという知識欲。そして大量の暗器、そして魔術の師匠がアサシンのマスターであったという事実から。