Fate/eternal rising [another saga] 作:Gヘッド
ちなみに、ライダーさんは能力と宝具の名前は出ますが、真名は第2ルートで出ます。
で、どうしよっか。ライダーと雪方を相手にして、サーヴァントでない俺が戦うなんて無謀過ぎる。多分、正攻法で戦ったら確実に勝てない。雪方はさっきからまた魔力をスタンガンに注入してる。見たところ、あの技は連続では使えないらしい。
一旦、逃げようか。逃げて、アーチャーに会って助けを求めればいいのでは?……いや、彼が確実に助けてくれる保証はどこにもない。それに、セイバーを
正攻法で戦ってもダメ、逃げてもダメ。それに、雪方がマスターであったとセイギたちに教えたら、セイギたちは雪方を殺すだろう。よって、セイギたちに助けを求めるのもダメ。
なら、戦うしかない。もちろん、奇策で戦わなければならない。けど、今、ライダーと雪方を倒す策なんて思いつかないし、時間がほしい。かと言って、セイバーはまだ動けまい。
……最ッ悪の状況じゃねーか‼︎
けど、うだうだしてても何も始まらない。まずは、セイバーが動けるようになるまで時間を稼がないと。
敵の武器はめちゃくちゃ図太くて大きな木製のトンファーとスタンガン。全部かどうかはわからないけど、とりあえずはそんな感じ。セイバーの武器は三つ。
でも、俺はレイピアを選んだ。レイピアは細身であるが、それゆえに、よくしなる。ライダーの攻撃一つ一つは威力が高いし、連続で殴りにくるだろう。短剣は硬いからその攻撃を
今は勝つことよりも時間を稼ぐのが目的である。
俺は深呼吸した。鼻から空気をいっぱい吸って、口から吐く。横隔膜の動きがわかるくらい大きく深呼吸する。冷静であれ。クールであれ。焦りは禁物、怖気は禁物、下心は禁物……いや、考えよう。
よし、いっちょやってやりますか。
足に自分の魔力を溜める。俺はろくに魔術の修行をしてこなかったから、魔術を発動するには少し時間がかかる。今までの
ライダーはもちろんその
(このライダー、戦ったことないな)
日本武術の裏の総本山とまで
「血が湧くぜ!ゴラァッ‼︎」
レイピアだから突くという攻撃方法しかない。けれど、それでもいける。体の中から何かが
「体が熱くなるのは
その時、俺はゲームをしながら話を聞いていて、爺ちゃんがマジギレしてそのゲームを
「萎え萎えMAX‼︎」
レイピアでライダーのトンファーを受け流す。すごくしなる、いや、萎えてる!
やっぱりレイピアを選択したのは間違いではない。けど、やっぱりサーヴァントの攻撃を受け続けるのは並大抵のことではない。もう息がきれてきた。
その時、ライダーがボソッとこう呟いた。
「頃合いかな……」
ライダーは俺との間合いを空けた。俺はライダーと間合いを詰めようとした、そしたら横から雪方の声が聞こえた。振り返ると雪方がいかにもさっきの電撃を放ちそうな体勢である。
雪方はスタンガンのボタンを押した。その瞬間、また龍のような
「痛ッ!」
常人だったら死に至るかもしれない。少なくとも、体が痺れてろくに動けないのは当たり前。俺は体に電気を通してしまったのだから。
けど、動けた。おかしいのである。体が痺れないし、耐えることができる。なぜだろうか。別に電気を逃すような力は働いてはいないと思う。では、なぜ?
いや、今考えているのは時間の無駄である。とにかく今はこの事実を勝利へのピースとして受け取らなければならない。まぁ、まだピースのうちの一つである。あと何個集めればいいのやら。
それでも電気を通したのは事実である。手に痛みが伝わっても、体は痺れない。俺はふぅと息を吐いた。これは簡単に物事が済むってわけじゃなさそうだ。
俺が息を整えていると、冷たい感覚がした。腕に何かがついている。
「雨?」
空を見た。さっきまで雲なんて全然なかったのに、今は黒い雲が空を覆っている。それは俺の頭の中をさらにぐちゃぐちゃにした。まず、一言で言えば『ありえない』。その一言しか思い浮かばないのである。おかしい、そうとしか言えないのである。だってさっきまで疎らだが星も見えていた。なのに、数分でここまで黒い空に覆われるか?いや、そんなことはありえない。雨がこんなに突然振ってくるなんておかしい。それも霧雨や小雨などではない。段々とだが土砂降りの雨になってゆくのだ。
まぁ、別に所詮は雨である。そう誰もが思うだろう。けれど、今の俺の武器は金属である。そんなことしたら……。
まぁ、それは冗談。ただ、雨が降ると地面が濡れてろくに走れない。コケると痛そうだし走りたくはない。それに雨が降っている状態で戦ったら……。
靴下がグッチョグッチョになっちゃうだろ‼︎‼︎
それはマジで嫌だ。そんな状況で戦いたくなんかないし、足が気持ち悪すぎて嫌だ。足、臭くなりそう。
雨か……。
その時、ふと嫌な組み合わせを考えついてしまった。雨……電撃……。
まさかッ!
俺は雪方の方を向く。雪方はまたすぐにスタンガンに魔力を注いでいる。雨が降ってる中でそんな電撃を出されたらさらにヤバいんじゃないの?
雪方を倒さなければならない。せめてそのスタンガンを壊さないと、これはヤバい。
「すまん!雪方‼︎」
俺は雪方にレイピアを振った。刃のないレイピアだから切ることはない。その雪方の手からスタンガンを離す、それだけでいいのだ。また足に魔力を注いで雪方まで全力ダッシュである。
「そうはさせないよ」
ライダーが俺を阻止する。雪方の前に立ち塞がって、俺と対立する。俺はライダーに剣を向け、素早くに剣を突き刺した。
その時である。ライダーは目にも見えぬ速さで俺の前から姿を消した。俺が剣で突き刺す瞬間に。また、訳がわからないことが起きた。さっきまで目で追えたのに、いきなりスピードが段違いに早くなっているのである。突き刺した感覚もない。空を突き刺したということだけが分かった。
「遅い‼︎」
後ろから声がする。俺はとっさに後ろを振り返る。でも、もう遅かった。ライダーはトンファーを俺の顔面めがけて殴ってくる。なんとかその攻撃を剣で受け流す。それでも、吹き飛ばされた。力もさっきとは段違いにアップしている。
しかし、それで終わりではなかった。ライダーは吹き飛ばされた俺を戦闘不能にしようと攻撃してきた。もちろん、俺の目では追うことのできないくらいの速さで。
ライダーのトンファーが俺の左腕に当たった。そのまま、左腕を通して衝動波は俺をまた吹き飛ばす。
理解した。瞬間的に理解した。ライダーの本気であると、サーヴァントの本気であると。サーヴァントの本気がここまで強く恐ろしいと思い知らされた。力も、速さも、全てが俺より何段階も上である。さっきまでのライダーは本気を出していなかったのだ。
勝てる。そう思った自分が浅ましい。
口から血が出た。マジかよ。ここまで強いのかよ。勝てんのかよ。このままじゃ、死んじまうじゃん。
ライダーは俺の脳天に打撃を直接打ち込もうとする。
あっ、ヤバい。これ、死んだかも。
そう悟った。
で、目をつぶった。
ドシャァァ……。
その音が聞こえた。頭に痛みがなかった。死ぬってこんな感じなんだ。痛みってないんだ。そう思いながら目を開けた。
そこにはセイバーが立っていた。セイバーは短剣を手にしていた。よく見ると、彼女の足元には
「よく見ればただの木じゃないですか。それなら簡単です。切ればいいんです。森の中で十数年生きていた者を舐めないでください。木なんて屑にすることは簡単ですよ」
俺はセイバーを見た。セイバーはもう痺れが切れたようである。よかった。九死に一生である。
そして……。
「何それ、ダッサ。木を切れるサーヴァントとか需要なさすぎだろ」
「よ、ヨウは静かにしていてください!い、いいでしょう。あなたを助けたのだから」
「うん。感謝してる。死ぬかと思った」
「それはお互い様のようですね。私も時間稼ぎしてもらわないと死んでましたから」
痛ててて……。さっきのライダーの衝撃波は結構体にキテる。でも、もう一人じゃない。何となく、今ならやれそう。
武器を一つ失ったライダーは連続攻撃ができなくなる。これは言ってしまえば形勢逆転なのではないのかな?それに、もう一個の方で攻撃しても、またセイバーに木屑にされてしまう。
ライダーは俺たちを見て、少しだけ本気の顔になった。
「いや、思ったより、君たち強いね。あははは、やっぱり僕も本気出さないといけないのかな?」
ライダーは黒き雨雲広がる空に手を伸ばした。すると、空から落ちてくる雨水が、コンクリートの地面を覆う水が彼の体の周りに集まり、彼を取り巻き始めた。また、ある水は彼の失ったトンファーの形になる。ライダーはそのトンファーの形をした水の塊を手で掴む。
またである。ありえないことが俺の目の前で起きているのである。しかも、これは偶然なんかでは説明できない。水が彼の周りに集まっていくのである。
彼の手には木製のトンファーと水で作ったトンファーの二つが握られている。彼はこう呟いた。
「
また、土砂降りの雨が降って来た。雨滴りて、心を少しづつ