Fate/eternal rising [another saga]   作:Gヘッド

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はい、Gヘッドです。

今回は作者のおふざけ回です。物語的に重要なことはラストらへんぐらいしか出てきません。暇つぶしにでもどうぞ。


お願いだから変なの吹き込まないでッ‼︎

「……おい、アサシン。お前、セイバーに何を教えた?」

 

「ん?特に変なこと教えてないわよ。それと、ヨウ、顔怖い☆」

 

 俺はセイバーを見る。セイバーは顔を真っ赤にして、全然俺の方を見ようとしない。耳の先まで赤いし、これは良くないことを吹き込んだに違いない。

 

「アサシン、お前、セイバーに何を教えた?」

 

「え?そりゃぁ、仲直りするのに一番手っ取り早い方法」

 

「それを説明してみよ」

 

「まぁ、まずは股を開くのよ」

 

 いきなりスゴい言葉が出てキタァァァァ‼︎一番最初に説明することが股を開く?痴女なのか?

 

「股を開いて、相手と密接にカラダとカラダを重ね合わせて、お互いを信用するのよ」

 

 もっともらしいことを言っているようだが、根本から違う!俺はそんなの望んでない!確かにセイバーは可愛いけどさ、そんな想いは一切持ってないから‼︎

 

「そして相手の身も心も染めちゃうのよ。そうすれば、二人とも気持ち良くなって、万事解決☆‼︎」

 

「解決してねぇよ‼︎むしろ悪化したわ‼︎つーか、この小説をR-18にすんな!」

 

「あら、いいじゃない。毎日毎日、セイバーちゃんと愛の育みの様子を書けば。楽じゃない?」

 

「楽じゃないから‼︎大変だから、毎回毎回、生々しい想像を連想させる言葉を考えるの大変だから‼︎ほら、セイギもなんか言ってくれよ」

 

 俺は話をセイギにふる。セイギは俺たちのくだらない言い争いを苦笑して見ている。で、セイギは返答に困ったので、セイバーにバトンタッチする。が、その行為は今一番やっちゃいけないことである。

 

 みんなの視線がセイバーに向けられてしまう。ただでさえ、頭が沸騰中でてんやわんやなのに、そんなの時に話をふられたら正常な返答が出来るはずがない。

 

「せ、セックス‼︎」

 

 一番言っちゃいけないこと言っちゃったよぉー‼︎この子やらかしちゃったよー‼︎アサシンに変な言葉を無理やり詰め込められたんだぁ!

 

「あら、セイバーが夫婦の営みをやりたいらしいよ。ほ、ヨウ。一発やって来なさい」

 

「一発屋みたいに言うなよ‼︎『一発ネタやってこい』みたいなノリで物凄いこと言うなよ‼︎」

 

「何?照れてるの?じゃぁ、お姉さんとヤル?」

 

「ケッコーでぇ〜す!」

 

「んもぅ、じゃぁ何が嫌なの?」

 

「お前の発想全てが嫌だ」

 

「何で?童貞捨てられるのよ」

 

「……ん?別にそれに関しては特に問題はない」

 

「何よ、その『僕、童貞じゃありませんよー』感は」

 

「え?だって俺、童貞じゃねぇもん」

 

「……え?」

 

「いや、俺童貞じゃねぇし」

 

「……⁉︎」

 

 俺のその一言がアサシンとセイギを一瞬にして固まらせた。その場に音という概念がなくなり、気温は氷河期ぐらいまで下がる。二人は口をぽかんと開け、目をずらすこともできない。あまりの驚きに二人の筋肉は硬直し、一種の金縛りにあう。

 

『まさか』その一言しか出てこない。だって、ヨウのその発言を予想していた人は誰一人としていない。降水確率マイナス100パーセントだったのに雨が降っているようなものである。

 

「いや、嘘つけよ」

 

 そう驚いた二人が移る次のステップは『疑う』である。人は人生を左右するような問題に突き当たった時、まず驚き、その次に疑う。何処かの学者が末期ガンの患者にガンの申告を受けた時の感情を聞いてみたら、多くの人は『疑う』という結果が出た。

 

 が、段々とヨウの顔がふざけた顔じゃないとわかり、真実として思い始める。これは本当なのか?と。

 

「え?ヨウ、童貞って知ってる?」

 

「いや、なめてんのか?知っとるわ。それに童貞じゃないから」

 

「あはは、冗談きついよー、(あご)外れるかと思ったわ」

 

「いや、冗談じゃないって……」

 

 ヨウの反応がガチだから、二人は段々と本当なのかもしれないと思いはじめる。思いたくもない現実、それが今、目の前にある。

 

 それは悲劇である。

 

「いやだぁぁぁぁぁ!こんなのヨウじゃない!」

 

「せ、セイギが、目の前の現実を受け入れるのが苦痛で、人格が崩壊したわッ‼︎」

 

「せ、セイギー‼︎」

 

「あああああああ‼︎」

 

 

 

 

 

 とまぁ、なるわけもなく、セイギとアサシンはただ驚いただけだった。……もう少し驚くと思ったんだがなぁ〜。

 

 二人は俺に対して特に興味はない。が、その問題に噛み付いてきたのは、もちろんあいつ。

 

「ヨウ‼︎あなた、私という存在がいながら、他の人といかがわしい行為をッ‼︎」

 

「おい、セイバー。お前、いつ俺の伴侶になった?俺が許したか?それに、その時お前いねぇし」

 

 セイギはまたミカンを勝手に食べてながら、俺に聞いてきた。

 

「誰とヤったの?」

 

「え?……言っていいのかな?」

 

「え?言わないの?ここまで言って、もう言わないとか生き殺しだよ?」

 

 いや、言っちゃったらその女の子がかわいそうでしょ。一応、プライバシーの権利を行使しよう。

 

「ほら、ヨウ。言わないと、伴侶さんが狂っちゃうよ」

 

 セイギはセイバーを指さす。セイバーはどうやら、アーチャー以上の狂人になってしまったようだ。

 

「私はヨウの愛人……愛人となって仲直り……ウフフッ‼︎」

 

 で、そのセイバーの耳元で何かをずっと囁いていたアサシンに飛び蹴りをする。アサシンは「あぁん!」というまるであの行為を彷彿(ほうふつ)させるような声を出す。

 

「セイバーに変なことを吹き込むな‼︎ただでさえ純粋なセイバーに、変なことを吹き込んではいけません!」

 

「あら?私の(あえ)ぎ声については何も触れないのね?」

 

「ああ、それはもう諦めた。できればお家に帰ってセイギと二人きりで濃厚な夜を過ごしてもらえると助かる」

 

 俺がそう言うとアサシンはそのことに関してガチでじっくり考え始めた。セイギはガタガタと震えている。恩を(あだ)でかえす。それが俺流である。

 

「それもいいかもね」

 

 アサシンは妙案を思いついたようで、いきなりセイギの首根っこをつかんで玄関へと向かう。セイギは「やめて〜、助けて〜」と叫んでいるが、俺の鼓膜はその声をキャッチできなかった。都合のいい鼓膜である。

 

 俺は玄関まで二人を送りに行く。というよりアサシンがただ帰りたくなったから帰るのである。理由は、まぁ、あれである。……うん。

 

「セイギ……お疲れ……」

 

「その目だけはやめてよ。(むな)しくなる」

 

「泣きたかったら、隣の彼女の胸に飛び込め」

 

「そうよ、セイギ。いつでも私の胸に飛び込んでいいわよ。あっ、下の方も準備万端だから」

 

「アサシン、その情報いらないから。そんなくだらないことに令呪使いたくないの」

 

「くだらなくないわよ!エロは人の生理欲求なの!くだらないことなんかじゃない!人が一番に考えなければならない命の問題なの!エロは世界を変える!私はそう信じている!」

 

 やべぇめちゃくちゃアサシンの真名が知りたい。そんなエロに人生を捧げた英雄が誰なのか知りたい。ヤバイヤバイ。腹がよじ切れそう。

 

「セイギ、よかったな。お前のサーヴァント、多分娼婦の英雄だ」

 

「うん。多分、暗殺者じゃないと思うんだ。僕もよく思うよ」

 

 セイギの顔は実に虚空の物であった。いや、もうこの先、どんなことになるかがわかるから、笑ってあげるしかない。

 

「セイギ、グットラック!」

 

「うん。絶対いつか痛い目見せてやる」

 

 アサシンがセイギを連行する。まぁ、多分、この後めちゃくちゃにされるんだろうなぁ。……明日、学校に来れるかなぁ、あいつ。

 

 俺が手を振っていたら、セイギが「そういえば忘れてたっ!」って言いながら走ってきた。

 

「ん?どうした?」

 

「そういえばさ、聞くの忘れてたんだけどさ、今日、ルーナさんいた?」

 

「え?ルーナって、俺のクラスのルーナ・フィンガル?」

 

「そう」

 

 その時のセイギの顔が少しだけいつもの笑みとは違った笑顔だった。でも、その時、俺は疑問に思うことが一つもなかった。

 

「いや、なんか今日は休みだったぞ。どうも、貧血で倒れたらしい。まぁ、噂によれば、夜中にあいつこの街を徘徊(はいかい)してるらしいから」

 

「へぇ、そうなんだぁ」

 

「ってからなんでこんなこと聞くの?……あっ、もしかしてお前、ルーナ狙い?」

 

 俺がそう言うと、セイギは愛想笑いぎみた笑い方をする。少し変だなって思った。

 

「いやぁ、実はそうなんだよ。あははは」

 

 セイギが話していると、後ろからアサシンが来る。アサシンはセイギをヘッドロックして、今度こそ強制的に家に連れて行こうとする。

 

 その時、ふと感じた。アサシンの後ろ姿がルーナに似ているように感じた。

 

「ルーナ?」

 

 思わずである。口に出してしまった。アサシンは俺の方を振り向いた。やっぱりルーナではない。アサシンである。知っていた。知っていたけど、何処か体がそうしてしまった。

 

「気の……せいだ。ありえん」

 

 そう心の中で念じて自らを律した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあと、アサシンの催眠にかかってしまったセイバーを一日がかりで治した。まじで、もうすぐレイプされるところだった。

 

 危なかったァ〜。

 


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