Fate/eternal rising [another saga] 作:Gヘッド
今回は幽霊が出てきますね。サーヴァントじゃない幽霊が……。
あと、今回からセイバーちゃんを柔らかいキャラに変えていきたいと思います。
幽霊と幽霊
正午、セイギたちと別れた俺とセイバーは街を歩いていた。といってもセイバーは霊体の状態である。
まだ秋である。けれども、もう冬は目の前。外は少し肌寒い。
平日の昼に制服姿の少年が一人、街の中を歩いていたらまず不自然である。しかも、俺がセイバーと話していても周りの人は、俺が独り言を言っているように見える。そうなると周りの人は俺を見てくるし、その視線が心に刺さる。
普通、家に帰って大人しくしているのが得策なのだが、もし家に帰って爺ちゃんがいたら……。考えるだけでも恐ろしいことになる。だから、俺は行く場所なくフラフラしているだけだった。
他にも行く場所には
俺が勤めてるバイト先は飲食店だから、この時間は行ったら
後は……
織丘市の南側には広く地平線まで続く海があり、赤日山は南東の部分、海の近くにある。そして、神零山は北東にそびえ立ち、西側は
今、俺は東側にいるから、川の方まで行くのはダルい。とすると、やはり神零山しかないのだろうか。
神零山。この織丘市にあるもう一つの山。赤日山と比べ、神零山はとても高く標高く237メートルの山。ここは一応ここの市のものであり、誰でも登ることはできるが登ろうと思う者は滅多にいない。
この市に住む者は皆、神零山には立ち寄らない。小さい頃から神零山は恐ろしいと教わり続けて、その教えが何代も何代もされていて今でもその教えは続いている。また、この頃は怪奇現象の目撃者もいるらしく、教えの
といっても、別にそれは間違いではない。その山には本当に住み着いている。
幽霊が。
「ゆ、ゆ、幽霊ッ⁉︎そ、そ、そんな所に今から行くのですか⁉︎」
「おい、セイバー。少し黙れ。うるさい!」
「よ、ヨウ⁉︎そんな所に行く意味なんてあるんですか?」
「あるよ。理由は一つ。そこにいると意外とおもろい」
「幽霊が面白い⁉︎ど、どこが?」
いやいや、セイバー。お前も今、霊体だからな。幽霊だからな。幽霊にビビる前にお前にビビりたいわ。
…………。
……ビビる?
「セイバー。お前、怖いのか?」
俺がそう聞くと、セイバーは慌てふためく。そんなセイバーが面白いのでもう少しいじることにしてみた。
「えっ⁉︎英霊であるはずなのに?幽霊なんか恐れてんの?」
「お、恐れてませんよ……。べ、別に、ゆ、幽霊なんてねぇ……、い、いませんよ」
いや、あなたがいる時点で幽霊はいます。あなたは一応幽霊ですから。
セイバーの声が震えている。やっぱり怖いのだろうか?まぁ、確かに、初めて神零山で出てくる幽霊を見たときは本気でビビった。けど、慣れてしまえばさほど怖くはない。
それよりも、俺はもっと恐ろしいことを聞いている気がする。
「ゆ、幽霊が出てきてしまえば、こ、この剣で突き刺してこ、殺してしまいましょう。そ、そうです。それがいい」
セイバーの気が狂い始めて段々おかしな方向に向かってしまいそうなので、からかうのは止めて神零山に向かうことにした。
自転車を漕いで神零山まで向かう。神零山に着くと、ふもとのところに自転車を止める。看板には『夜は近づかない』、『どんなことが起きても市は一切責任を取りません』なんで書いてある。そんなことを看板に載せれば近寄る人はさらに減っていく。
誰一人として近づかないこの土地。周りには家はなく、荒れ果てた畑しかない。
人
少し歩けば、もう外からは見えない。俺はセイバーに実体化の許可をする。しかし、セイバーは実体化しようとはしない。
「なんだ?まだ
「だ、だって、もし実体化したら幽霊に呪われてしまう……」
「お前も幽霊だろ。もう死んでるから。それに、もうお前の後ろには……」
セイバーは「きゃぁぁぁっ!」と悲鳴をあげる。もちろん、後ろには誰もいない。
「嘘だよ、嘘。いるわけないだろ?」
「そ、そうですよね……。ゆ、幽霊なんていませんよね……」
俺は上へと登ろうと足を一歩踏み出した時、背中をポンポンと叩かれた。背中側が少し冷たい。
俺は後ろを振り返る。すると、後ろにいたのは怖い顔をした髪の長い女性。角が突き出て、目は鬼のようにつり上がり、歯は牙のように尖っている。
「おばけはいるぞぉ」
いきなりのことだったので驚いた。が、俺よりももっと驚いた奴もいた。
「きゃぁぁぁぁぁっ!お、オバケッ‼︎オバケ!オバケェ‼︎」
「おい、セイバー、少し黙れ」
「お、お、オバケですよ!正真正銘のオバケッ!」
「お前も正真正銘のオバケだからっ‼︎」
セイバーは歯をガタガタと鳴らしている。自分も同じ存在なのになぜそこまで怖がるのだろうか?それに、彼女も一応英雄である。そんな彼女が霊ごときで怖がるのは幻滅である。最初会った時は凛々しい姿でかっこいいと思った俺がバカみたいに思えてきた。
俺はため息をつきながら背後に現れた幽霊の顔を掴む。
「毎度毎度驚かせんな。
鈴鹿は般若面をつけていた。俺はその般若面を取る。その中は白い肌、さらりとした綺麗な髪、くっきりとした目鼻、上品なオーラを出すおしとやかな女性であった。
その美しさにセイバーは何も言えなくなった。固唾を飲むほどの美しさである。そのあまりの美しさにセイバーは思わず「綺麗な人」と感嘆した。
「でも、それは外見だけだ。セイバー、騙されるなよ。この女は見た目ヤマトナデシコ、中身はうるさい女だ。見た目詐欺だよ」
鈴鹿、初めて会った時、彼女は俺にそう名乗った。だから、俺は彼女をそう呼んでいる。セイギにも俺に言えない秘密を持っている。けれど、俺にも言えない秘密がある。それが、鈴鹿の事である。
俺の剣術は『月城流』とは少し違う。理由は簡単である。俺は爺ちゃんからではなく、鈴鹿から剣術を教わっている。鈴鹿は幽霊ではあるものの、生前は剣士であった。といっても、俺は鈴鹿の事はこれぐらいしか知らない。
鈴鹿はじいっと俺の方を見た。
「女?ヨウ、女の幽霊に取り憑かれてるぞ?」
やはり霊はサーヴァントが霊体化しても見えるのだろうか?鈴鹿は背中に背負っている剣を引き抜く。
「安心しろっ!今からその幽霊倒してやる!」
鈴鹿は人の話を聞かず、セイバーに刃を向けた。セイバーは怖がりながらも剣を持つ。
「おい、鈴鹿待て。そいつは悪い奴じゃない」
「嘘だ、信用できるか。だってヨウが幽霊を連れてきたことなんて一度でもあったか?」
「いや、理由があるんだよ。今回は」
「理由?結婚するのか?この幽霊とか?私という存在がいながら、まだ幽霊が恋しいか?」
「いや、違うから。つーか、お前ら一旦剣を納めろ!」
俺が二人に言うが二人とも剣を納めてくれそうにない。鈴鹿はセイバーが剣を納めたら自分も納めると言う。だから、俺はセイバーに納めろと言うが、セイバーは何かをぶつぶつ言いながら、俺の言葉を聞いていない。
「相手は幽霊、相手は幽霊、相手は幽霊、相手は幽霊」
セイバーの頭がショートしてしまったので、少し脅す。
「おい、セイバー。令呪使っちまうぞ‼︎」
俺がそう言うとセイバーは我へとかえる。そして、セイバーは剣を納めた。
「おい、鈴鹿。納めろ、剣を」
俺が強く言うと鈴鹿は渋々剣を納める。
ほぼ放心状態に近いセイバーと、そのセイバーの首を狙う鈴鹿。……はぁ、こりゃ疲れそうだわ。
アサシン
年齢:24歳
体重:未詳
身長:171センチ
セイギに召喚された暗殺者のサーヴァント。
本来は冷静沈着で状況判断能力に長けているが、そんな自分自身を嫌い、自分を仮の姿で覆っている女性。
お姉さんみたいな性格になろうと努力しているものの、たまにその性格のせいでからぶってしまう。
彼女は自らを『屍』であると言う。セイギは召喚の際、彼女を召喚しようとしてしたのではなく、暗殺者のクラスのサーヴァントを召喚しようとしたため、召喚するまでは誰だか知らなかった。
聖杯で叶えたい望みは『自らが完全な人になること』
真の名は???。
宝具:
「
「
能力は???
生前に殺した人数は沢山。もう数え切れないくらい。