Fate/eternal rising [another saga]   作:Gヘッド

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新年明けましておめでとうございます!

そして、ごめんなさい!やっぱりこの小説、2016年では終わりませんでした!

まぁ、心機一転、気持ちを引き締め、頑張りたいと思います。

ということで新年早々、いきなり核心に迫る?重要な回。

遊び心出しました。すいません。

m(_ _)m


聖杯の中に

 縁側に座る二人の男。一人は死したはずの人間であり、自らを神に認められし王と名乗る。彼は自身の信念に沿ってそこにいた。そして、もう一人の男は神である。ツクヨミと呼ばれる月の神。暦の神、時の神とも呼ばれ、この聖杯戦争を作り出した張本人でもあった。彼は人間に擬態し、周りの人間の記憶をいじり月城陽香の祖父を演じていた。

 

 彼らがここにいる理由、それはともに一つの存在が二人を引き寄せた。その存在とは聖杯戦争とか目の前にある理由などではなく、もっとその奥にある神々しか知らぬ(ことわり)である。

 

「というわけで、聖杯戦争が行われているのじゃ」

 

 アーチャーに一通り話をしたツクヨミは苦笑いをする。それは文字の通り、苦し紛れの笑みだった。

 

「それをツクヨミ殿は拒絶しなかったのですか?」

 

「拒絶か。そうじゃな。確かにそれも出来た。だが、したくなかった。実際、儂もよくそんな気持ちに駆られることはある。だから分かるのじゃ。お主ら人間には分からぬじゃろうが、この感覚は苦痛というより絶望じゃよ」

 

 絶望、と神は言った。それは神が言ってはいけない言葉だろう。しかし、それでも目の前にいる神たちは苦しんでいるのをアーチャーは理解せざるを得ない。

 

「幻滅……しましたぞ」

 

「幻滅か。まぁ、儂ら神なんかどうせそんなもんじゃ。崇められなければ死ぬ神もいれば儂らのような神もいて、そもそも存在があやふやな儂ら以上に期待されている存在とは何がいようか」

 

 縁側に腰をかけていたツクヨミはゆっくりと立ち上がった。

 

「存在が曖昧な儂らだからこそ、人は期待をする。そして、その期待には答えられようとも、それはあくまで力という範囲でじゃ。お主らが思っている以上に、儂らは弱い存在じゃよ」

 

 彼がそう言ったあと、彼の頭上を青い一筋の閃光が通り過ぎていった。それはアサシンから魔力を補給したセイギが暴走したグラムに向かって撃った魔白の砕星砲(ホウリィ・エンド)。敵の希望も、絶望も全てを魔術の絶対的な力でねじ伏せる。力あるものだけが生きられるというとてもシンプルな聖杯戦争においてその閃光はあまりにも眩い。夜の闇を照らす魔術とは果たして道を照らす光なのか、それとも奈落へと誘う船なのか。

 

「おうおう、やっておるやっておる。聖杯戦争はもうそろそろ終わりかのう」

 

 ツクヨミはその光を嬉しそうに見つめる。本当に心の底から聖杯戦争の終わりを喜んでいた。

 

「—————あなたは聖杯戦争の終わりを望みますか?」

 

 アーチャーはそうツクヨミに尋ねる。

 

「望むも何も、儂がやりたくてやっておるのじゃない。早くこの殺し合いは終わってほしいものよ。いつ見ても心苦しい。神である儂らがこのようなことを人間に強いるのは」

 

 だが、ツクヨミは力強く杖を握った。手の皺が一層深くなる。

 

「もう、この聖杯戦争は見たくはない。それは儂も同じ気持ちなのじゃよ」

 

「何度、見ておりますか?」

 

「さぁ、数えても数えきれぬ。少なくとも人が数えられるような数ではないのは確かじゃ」

 

 アーチャーは顔に陰りを見せた。

 

「今回も目的は達成できずじまいですか?」

 

「達成できたのなら今頃ここにはおらぬ。儂も、あの人も、ヨウもな」

 

 ツクヨミはその言葉のあと大きなため息をついた。神らしくない落胆である。そして彼は神零山の方角を向く。

 

「と、思ってたんじゃがな。どうも今回はわけが違うらしい」

 

 アーチャーはツクヨミにつられて同じ方向を向く。そして、彼らの目に映る現状にアーチャーは顔をしかめざるを得ない。

 

「ヌッ?あれは何ですかな?黒黄金色の竜巻が渦を巻いておりますが……」

 

 その竜巻はゆっくりと天空を回すように渦を巻く。ぐるぐると薄暗い夜に散らばる星を塗りつぶすように回りながら大きくなってゆく。やがて竜巻が上空一帯に広がり、この市全体を覆うようになった。

 

「これは剣?」

 

 アーチャーは目を凝らして見る。上空に浮かぶのは幾億もの無数の剣だった。剣は鋒を大地、もとい織丘に向けた。その地を、その地に住む命を根絶させようという気なのが見てわかる。

 

「これは聖杯の暴走ですかな?」

 

「まぁ、そんなところじゃろ。あのグラムとかいう娘が持っている聖杯が彼女の死にたくないという強い願いに過剰に反応してしまっておる」

 

「そうなのですか?ふむ、私にはその娘は見えませぬな」

 

「そりゃそうじゃ。お主はアーチャーだが千里眼の類を一つも持っておらんからの」

 

「あいにくながら余の伝承には目がいいとかそのようなものはなかったので」

 

 アーチャーは頭をぽりぽりと掻く。弓兵なので少しは目が良いが、その弓兵の中ではあまり優れていないのでどうしたものかとため息をつく。

 

「これはどうすればよろしいですかな?余がここから狙撃すればそのグラムとかいう娘は爆発とかそこらへんで殺せると思いますが。というか、余に名誉挽回のチャンスを与えてください」

 

「いやいや、何勝手に殺そうとしているのじゃ。それこそ無用というものよ。勝手に介入されてはせっかくここまでいった運命の歯車がズレるかもしれぬ」

 

 ツクヨミの顔が慎重な面持ちになる。さっきまでの笑み混じりの顔が変わった。

 

「かといってこのままというわけにもいかぬのも、それまた事実」

 

 そして彼はまた上空を見上げる。今なおさらに増え続ける無数の剣は全市民の身体に風穴を開けようとしている。

 

 それは神である彼が許さない。彼はこの市の神零山に祀られている神。そして、誰よりも、どの神よりも人を一番愛している神だ。

 

「儂は神じゃぞ?その儂の地に剣を突き刺そうとして許すと思うか?」

 

 ツクヨミは手に持っている杖を地面にコツンと軽くつついた。

 

「まぁ、こんなことを引き起こしたのは儂らが原因なのじゃが……」

 

 土がぐっと押し詰められる音がした。するとその瞬間、上空に浮かぶ幾億もの無限大に広がっていた剣の群が一瞬にして割れさったのだ。まるで薄っぺらい飴細工でできた板が少し手が触れただけでバラバラに崩壊してしまうように、空を覆う剣が瞬く間に壊れてゆく。そして、それはグラムを取り巻く渦の如き剣も例外ではなかった。ツクヨミの僅かな一挙一動によってグラムの暴走が止まった。

 

 ヒラヒラと舞い落ちるグラムの儚き夢の形。剣という形を得た彼女の生きたいという願い。空に舞う脆い金属片は星々の光を浴びながら、小さな光の粒へと変わり果ててゆく。地に落ちることとなく、グラムの怨みと生欲を帯びながら風に流された。

 

 アーチャーはグラムの暴走を止めたツクヨミにこう尋ねた。

 

「よろしいのですか?聖杯戦争には基本的に無干渉なのでは?」

 

 ツクヨミはその問いを愚問と称し、そして嘲笑った。

 

「確かに無干渉を貫くつもりじゃ。じゃが、この聖杯戦争は儂らが作り上げたもの。なら、それによって起こる災厄は自らが尻拭いするまでよ」

 

「ですが今回の月城陽香には用はないのですよね?なら、殺しても良かったのでは?」

 

「それは……、まぁ、そうじゃな。じゃが、それでも儂は嫌なのじゃ。理由とかそんなこと関係なしに、嫌なのじゃ」

 

 ツクヨミは哀愁帯びた顔をする。

 

「なぁ、(アマテラス)よ、いつになったら聖杯戦争は終わるのじゃ—————?」

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

「ここはどこだ?」

 

 目を開けたら私は花畑にいた。いつの間にか花に囲まれながら寝ていたようだった。

 

 私は立ち上がり辺り一面を見渡す。

 

 何処までも果てしなく続く花畑が目の前に広がっていた。赤、青、黄色、紫と色とりどりの花弁が茶色い大地を見せまいと目一杯に大きく見せている。風が吹く。ふわりとした風になびく花々の匂いが私の鼻を撫でた。暖かいそよ風は耳に花々が擦れる音を届ける。空はほんのりと赤みのある色だった。しかし、そこには太陽がない。だが、光が降り注いでいる。光源となるものは何処にもないのに、辺り一面が明るくポカポカとしていた。おかしな所である。

 

 柔らかな太陽のない日差しが私を照らしてくる。その光は私の心の中に巣食う邪悪な泥のような闇を少しだけ消してくれたような気がした。

 

 私はふと笑う。

 

 でも、また私の心の闇が私を喰い殺す。

 

「—————私は、許せない。どうしても世界が許せない」

 

 開いた手をぐっと力強く握る。その手の中にある大切なものを握りしめるように。

 

 そしてまた眼前に広がる美しく可愛らしい世界を見渡す。

 

「ここは何処だ?死後の世界(ヘルヘイム)なのか?私は死んだのか?」

 

 誰もいないのに質問をした。もちろんそこにいる自分は分かるわけもなく、答えてくれたのは風の音と花のざわめきだけ。

 

 空虚な場所だと思い、私は花園を歩き始めた。その最中、死んだのかもしれない、とずっとそのことを考えていた。それは否めなかった。世界の修正力によって私という存在が潰されたのかもしれない。またはヨウとあの小娘(セイバー)によって殺されたのかもしれない。どちらも可能性はある。洞窟の中で私は強く願った。死にたくないと。そう思ってから記憶がないのだ。もしかしたら、その時に私の願いもむなしく死んでしまったのだろうと考えれば何処もおかしいところはない。

 

 自分は死んでしまったのだ。そう考えるしか今の私にはなかった。誰もいないのだ。誰も教えてくれないのだから、そう考えるしかできない。

 

 まぁ、別に死んでもいいと言ってしまえば、それも本当である。

 

 確かに生きたかった。もちろん私はそうも思っている。私はもう人を殺さぬ存在として生きたかった。それこそ剣としての命を捨てて、人間としての人生を歩むというのはあながち悪くないかもしれない。人を殺さぬ可能性はゼロではないが、人を殺すために存在する剣であるよりはよっぽどよかった。だから、あの姿で、人として生きたかった。

 

 だが、それでも私には贖いきれぬ咎がある。多くの人を剣の体で殺した。それは人の姿となっても変わらない。私の体は隅から隅まで血で塗りたくられている。私の色は鋼色でもなければ肌色でもない。血色一色なのだ。逆に私にはそれだけしかない。人を殺すことしかできぬのだ。剣とはそのためだけにしか存在しないのだ。たとえ人となり血潮が私の身体を巡ろうとその身体には罪というおもりがついている。私はどうせどう生きても人殺しの魔剣であることに変わりはないのだから。

 

 なら、死んでしまっても構わない。どうせ私などが死んでも誰かが悲しむわけがないのだ。絶対に万人にしてみればハッピーなものであるに決まっている。

 

 私は生きたいと願っても死んでしまう運命にあり、そしてその死を望まれているのだ。人になれば何か変わるかもしれないと思っていたが、何も変わらなかった。その時からずっとそう思っていた。

 

 存在意義はない。私はそういう存在だ。

 

 ずっと歩いていた。かれこれ二十分ほどずっとだ。だが、誰一人として私の視界には人が映らない。景色も一面の花畑のみである。木も、鳥も、雲も何一つとしてない。私と花以外、その世界には何一つとして存在していないのだ。

 

「やっぱりこの世界は死後の世界なのだろうか?」

 

 ふと疑問が口から溢れた。

 

「あら?そんなことないわよ。ほら、私がここにいるじゃない」

 

「ああ、そうだな」

 

 背後からのなにげない返答に私は素っ気ない返事をする。

 

「……ん?」

 

 振り向き、突如聞こえた声の主を探す。

 

 するとそこにいた。私のすぐ目の前に女性がいた。私より少し高いくらいの背丈の、可愛らしい女性がいたのだ。ふわふわとした茶色い腰まで伸びた長い髪が印象的な女性は笑顔で私を見ていた。まるで太陽のように明るいその笑顔は知っているような、知らないような気がした。

 

 にんまりと無邪気な笑顔をするその女性は驚きを隠せない私の顔を覗き込んできた。

 

「どうしてそんなにお口があんぐりと開いているのかしら?」

 

「なっ⁉︎の、覗き込むなッ!」

 

 何の躊躇いもなく自然と私の顔にその女は顔を近づけてきた。知らぬ人にそんなに見つめられたことはなかったので私はつい恥ずかしがってしまった。

 

「あらら?恥ずかしいの?可愛い〜。お姉さん萌死んじゃう〜」

 

「うるさいッ!何なんだ、私の顔を覗き込んで」

 

「いやぁ、可愛いなぁって思ったから、つい。私、可愛いのが大好きだから」

 

「か、か、か、可愛いっ⁉︎な、なにを急に言い出すんだ!」

 

 初対面の私にいきなり可愛いを連呼してくる。私の耳元で可愛いという単語を十回ほど言うと、またにんまりと無邪気な、いやゲスい笑顔を浮かべる。

 

「チョロいわ」

 

「チョロくなんかない!」

 

「白い肌の顔が可愛い、小さい背丈が可愛い、黒い髪が可愛い、目鼻立ちが可愛い、いちいち仕草が可愛い、発言が可愛い、怒り方が可愛い。他にも色々とあるわよ」

 

「ダァ〜、もう!何なんだ、お前は!」

 

「あら、また可愛らしい」

 

「話を聞け!」

 

 私が叱ると、女は頰を膨らましてあからさまに拗ねている表現をした。しかし、彼女が話を振ってきたのだ。怒られても仕方がない。

 

「はい、とりあえずそこに座れ!そして、私の質問に答えろ!」

 

「はーい。分かりました〜。お姉さん、可愛い子ちゃんのために質問に答えちゃいま〜す」

 

「茶化すな!」

 

「茶化してないわ。本心よ」

 

「その本心を隠せ!」

 

「嫌よ!私は私よ、可愛いと思ったら可愛いの!」

 

 ああ、これはダメだ。そう悟ってしまった。この女は無駄なことに確固たる信念を持っているため、どうもそこだけは譲れないようである。

 

「もういい。それより質問だ。とりあえず一番に訊こう。死後の世界ではないとお前は言ったが、それは本当なのか?ここは何処なんだ?」

 

 私が彼女に尋ねると、彼女は不敵な笑みをする。腕を大きく広げて、何かを待っている。

 

「何だ?それは」

 

「何ってハグよ、ハグ」

 

「ハ、ハグゥ〜⁉︎」

 

「そうよ。ほら、私がただで教えてあげるとでも思ってたの?だから、私にハグをしてくれたら教えてあげる」

 

 女は目をつむり、私がハグするのを今か今かと待っている。

 

 この女、私を散々コケにしようという気らしい。いいだろう。それならば私がこの女を脅してみせようではないか。

 

「ふっ、こっちを見ろ。お前、すぐさま私の質問に答えないとこの量の剣を浴びせてやろうか」

 

 私はいつものように手をかざした。得意げな顔をして、異世界から剣を呼び出す。

 

 女は目を開いた。すると、女はその目を輝かせたのだ。

 

「キャー、可愛いー」

 

 そう言うと女は私に抱きついてきた。

 

「お前、抱きつくな!こ、殺すぞ!」

 

「殺す?どうやって?」

 

「どうやってだと?見てわかるだろう!」

 

「分からないわ」

 

 その時彼女は余程馬鹿なのだと思ってしまった。だって、剣を向けられても怯えずにいるのだから、それは傷つくのが怖くない余程馬鹿なのだと。

 

「この剣で刺し殺してやるぞ!」

 

「剣?どの剣かしら?剣なんて何処にもないわよ」

 

「は?」

 

 私は振り向く。すると、いつもならあるはずの剣が何処にも見当たらないのだ。

 

「んなっ⁉︎無い……」

 

「キャーン、もう間違えてるぅ〜。可愛い〜」

 

 その後、私はこの女に頰を散々とすりすりされた。

 

 それから十分後、私はさっきの場所から少しでも離れようと、急ぎ足で歩いていた。

 

 しかし、別にあの地点が嫌なのでは無い。嫌なのは—————

 

「ねぇ、ちょっと待ってよー」

 

 この女である。

 

「付いてくるな!もう、お前に構っていられない!」

 

 私が一喝すると、女はしょげる。しかし、それで私がまた話しかけると女は調子に乗るので特に話しかけず、放っておいた。

 

 すると、女は構ってくれないことが嫌なのか、こんなことを言い出した。

 

「まぁ、私と話をしてくれるのならここが何処とか教えてあげるけど……」

 

「何⁉︎それを先に言え!」

 

「えへへへへ。まぁ、さっきハグもできたことだし。教えてあげる」

 

 にたにたと笑う女。不思議だった。初対面のわたしに妙に馴れ馴れしい。

 

 私はその馴れ馴れしい女を睨みながら質問した。

 

「ここは何処なんだ?」

 

 彼女は笑う。その笑顔はその世界のどの花よりも美しく、大きく、そして温かいものを持っていた。

 

「ここはね、聖杯の中よ—————」

 

 私は彼女の言葉を疑う。聖杯の中と彼女は言ったからだ。私はその言葉に偽りはないかと糾したが、彼女の言う言葉は一貫していた。

 

「確証はあるのか?」

 

「確証?う〜ん、それはないわね。あるとしたら私がここにいるということくらいかな?」

 

「それは証拠にはなっていないぞ」

 

「あはは、そうね。十分な信憑性はないわね。でも、私がここにいる。それだけで、ここは聖杯の中なのよ」

 

 彼女の言っていることがよく分からなかった。だから、もう一つ質問をしてみた。

 

「お前は誰なんだ?」

 

 核心を突く質問。それを受けた彼女はその質問を待っていましたと言わんばかりに喜ぶ。その感情が顔に出ていた。

 

「私は(なつめ)日和(ひより)、結婚してからは苗字が変わってね、月城っていうの」

 

「月城⁉︎それって……」

 

「ええ、そうよ。私は」

 

 ふわりと風が吹いた。その風は花々を揺らす。ざわざわと葉と花が擦れる音が響く。そして、彼女のふわふわとした髪もなびいた。目を細くして、また笑顔を作る。その温もりは私には感じたことのない、不思議なものだった。

 

「—————ヨウの母親です☆」





え?マジ?まさかのここでママ登場?

そうなんです。彼女、ヨウくんのママなんです。

え?なんで聖杯の中にいるのかって?

それはそれは……( ◠‿◠ )

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