Fate/eternal rising [another saga] 作:Gヘッド
初めての二次創作投稿です。
1話2話は主人公と周りの日常を書くつもりです。バトルは3話以降からの予定です。
(オリジナル聖杯戦争です。最初の方は結構グダグダで、バトルなんて全然ありません。後半になったらそこそこありますけど……。公式のサーヴァントと被っていたとしても別物として捉えてください。っていうか、今のところ一匹被ってます。作者は夜中に睡魔と闘いながら執筆している時もあります。崩壊しているかもしれません。字の間違い等を見つけた場合はご指摘をいただけると嬉しいです)
追記(3/29):この物語において、神とは絶対の存在であり、人間はおろかサーヴァントは絶対に勝てません。それ相応のことがない限り、絶対に勝つことなど不可能です。
また、魔力=生命力という解釈のもと話を進めます。そして、人それぞれ魔力が違います。血みたいなものです。その人なりの遺伝子が流れているみたいに、その人にはその人の魔力がございます。
今までの日常
—————聖杯戦争。人々の願いを何でも叶えることができる万能の器。その聖杯を巡り、マスターと呼ばれる魔術師たちが殺し合いをした冬木市の聖杯戦争—————
—————それはある一つの世界の話で起きた聖杯戦争である。しかし、その他の世界にも聖杯戦争は行われていた。これはそんな
「おとぉさん!おかぁさん‼︎」
そう言いながら泣きじゃくったのを覚えている。
幼い自分の小さな腕が母の足にへばりついた。母は俺の姿を目に焼き付けるようにじっと見つめ、目頭に涙を浮かべている。泣きながら抱き締め、歯を食いしばりながら俺の手を引き離した。父は後ろめたそうにして地を見ている。腰に携えた日本刀を手に母を待っていた。
そして、二人は家に背を向けた。俺が二人のところへ行こうとしたけど爺ちゃんに止められてしまう。腕を伸ばしても、幼い頃の俺の小さな腕と手では二人に触れることもままならない。
俺はただ泣きながら二人を見ていた。幼い子供の声が夜の街に響く。二人が俺の目の前から消えていくまでを何も出来ずに。その時の俺は無力であった。
無力とは実に
—————もう、何も出来ないのは嫌なんだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
朝、俺はテーブルに座りながらテレビに流れてくるニュースを見ていた。天気予報を見ると降水確率は高いらしい。っていうか、もう降ってるし、雨。
「速報です。
やだなぁ。世の中めっちゃ物騒になってるじゃん。放火なのかな。放火なら、俺の家だけは標的にしてほしくないわ。木造住宅住宅だし、簡単に燃えてしまいそう。まぁ、どうせ標的なんてされないでしょ。
傘を持って学校に行きたくないなぁ〜、なんて思っていたら家のインターホンが鳴った。木張りの床の廊下にインターホンの音が響いている。
「ヨウ、今来たよ!」
俺は時計を見た。7時15分。もう、そんな時間か。学校に行かないと。……憂鬱でしかないわ。
俺はテーブルの上に置いてあったジイちゃん特製おにぎりを二個手に取って無理にカバンに詰め込んだ。そして、おにぎりの入った鞄を手に持って玄関の方に行き、
「ごめん。待たせた?」
「ううん。今来たばっかだから」
そう言うと彼は首を横に振った。
この男は
ちなみに、ジャスティスって呼んだら、彼の本気の飛び蹴りが鳩尾にやってくるから、俺はあんまりそう呼ばないけれど。
家から学校までいつもは自転車で十五分くらいなんだけど、今日は生憎の雨。三十分くらいかけて学校に行く。
俺とセイギは傘をさしながら学校への長い道のりをトボトボと歩いた。毎日の風景がいつもより遅く変わりゆく。視界には上から下に落ちる雨が数え切れないくらい映っていた。音は雨の音と車の音だけ。空から落ちてきた雨水が地面に当たって跳ねて、ズボンの裾が濡れてしまう。裾はペタンと俺の肌にくっつき、嫌な感覚である。
セイギは不機嫌そうな俺の顔を見た。俺もセイギの顔を見た。セイギは俺とは違って嬉しそうな顔をしている。あんまり幼馴染の俺が見ないような満面の笑み。不機嫌な俺とは正反対と言えるほどにまで。
「嬉しそうだな」
俺がそう言うとセイギは自分の顔を叩いた。それでも顔がニヤついている。
「金曜の夜にいいことがあったんだ」
「へぇ、どんなの?」
「秘密だよ!言うわけないじゃん!」
「女?」
「あ〜、うん。結構近い」
「は⁉︎マジかよ」
いつものたわいない会話が
それから二十分ほど。俺たちが通っている学校に着いた。
織丘市は海が近くにあり、かつ山も近くにある。またこの頃は交通機関もちゃんと通っているため市中央部の方は結構人気がある。しかし、俺たちの住んでいるところは市の外れ。
「ヨウが歩くって言ったから歩いてるんだよ。大変すぎる」
「いや、電車を利用したくねーんだよ」
「何で?楽じゃん」
「いや、そうだけどさ……。色々あるんだよ。俺にも」
理由を教えたくなどない。だから、セイギが俺に理由を教えろとせがんできたが、俺は「秘密」と言い返してやった。
俺たちは上履きに履き替えて自分の教室へと向かう。俺とセイギは違うクラスであり、階も違う。俺はセイギと別れて自分の教室に行った。
クラスにはまだ誰もいない。静かな教室。またそれがいいんだ。何をしてもいいし、何も言われない。好きなことを好きな分だけやれる。誰かが来ない限り。
まぁ、俺は特にしたい事とかはないから寝るだけなんだけどね。宿題とかする気も無いし。
俺は机の上に突っ伏して目を閉じた。腕と腕、そして机に密閉された空間に顔を埋めた。少しだけ光が腕の隙間から差し込み、俺の眠りを阻害してくる。そして、密閉された空間は息苦しい。
…………。
…………。
…………。
あああああっ‼︎誰も来ないから暇じゃねぇかッ‼︎俺はあれを待ってたんだよ‼︎クラスメートの誰かが教室に入ってきて「月城くん朝来るの早いねっ」って言う言葉をさぁ‼︎
なんか、ただ寝て待っているのはつまらないので一発ギャグとかしてみた。
右手を頭の上に左手を尻に置いて、窓に向かってこう言うのだ。
「—————ユゥッフォ(UFO)☆‼︎」
俺がそう言った時教室の扉が開いた。クラスメートの
「あっ、見、見てた?」
「う、うん……。あ、朝起きるのは、早いね……」
「え?あ、ああ。まぁね……」
いやいや、気まず過ぎるからッ‼︎俺、こんな雰囲気全然望んでないからね!早朝から学校に来て、やっていることが一発芸とか洒落にならないから!
全然嬉しくない褒め言葉を貰った俺はとりあえず寝たふりをする。トマトのように赤くなった俺の顔を見られたくなかったから。
俺と雪方が二人っきりで教室にいた時間がすごく長く感じられた。スズメの鳴き声を何回聞いただろうか。雪方は宿題をしていた。今日提出の英語の宿題。時々俺を見てくる時の視線がすごく痛い。
次に教室に入ってきたのはルーナ・フィンガルである。イギリスから留学してきた女の子。彼女の血の四分の一の血が日本人の血である。いわゆるクウォーターってやつ。
ルーナは教室に入ってくると鞄の中からあるものを取り出す。彼女の指に嵌められた金色の指輪が美しく光を反射させている。彼女は俺にこんな事を訊いてきた。
「あのっ、
ルーナは取り出したものを俺の前に出してきた。つーか、陽香って呼ぶなよ。女の子っぽいじゃねぇか。
鞄の中から取り出したのはさきいかである。彼女はさきいかを美味しそうに噛んでいる。
「これは美味しいです!噛めば噛むほどUMAMIが出てきます!いつまでも噛んでいられます。で、何なんですか?これは」
「ああ、それはイカの乾燥したやつだよ」
俺はルーナに教えたから一本さきいかを貰った。噛めば噛むほど味が出る。酒を飲んだことがない未成年が酒のつまみを理解しようとするときに、まず一番最初に食べるのはさきいかだろ。噛み過ぎると味は
その後、教室に人がゾロゾロと入ってきた。そして、朝のホームルームの時間にはほぼ全ての人が集まった。
「は〜い。起立〜!」
つまらない日常、それが本当に素晴らしいと気づく日の朝であった。恙無い日々はもう俺の目の前から去りゆくことなどを俺はまだ知らない。
主人公は
人物紹介は3話以降にします。