アーク・ファイブ・ディーズ   作:YASUT

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スターターデッキ2016で登場する《EM》を使わせたかっただけです。
過去最速の執筆速度だった気がする……。

※注意、完全オリカあり↓

《RUM-リベリオン・フォース》
通常魔法
「RUM-リベリオン・フォース」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを特殊召喚できない。
(1).自分の墓地の一番ランクが高いXモンスター一体を対象として発動できる。そのモンスターをX召喚扱いとして特殊召喚し、そのモンスターのランクと同じ数値のレベルのモンスターを自分フィールドから2体以上選び、対象のXモンスターの下に重ねてX素材とする。
(2).(1)の効果でXモンスターを召喚した時発動する。(1)の効果で特殊召喚したモンスターと同じ種族・属性でランクが3つ高いモンスター一体を対象モンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

……はいそうです。手軽に覇王黒竜を出させるためのご都合カードです。



牙を剥く覇王黒竜

 気が付くと榊遊矢は、巨大都市の中心にいた。

 舞網市ともネオ童実野シティとも違う異質な場所。丸みを帯びた建物と多くのスポットライト。中心には都市のシンボルといえる巨大なタワー。

 この世界に遊矢は見覚えがあった。シンクロ次元に来る前に赤馬零児と戦ったアクション・フィールド。

 

 ――未来都市“ハートランド”。それがこの街の名前である。

 

「どうしてハートランドに……」

「俺が呼んだんだ」

「え――?」

 

 どこからともなく声が聞こえ、遊矢は振り返る。

 紫髪の少年。髪型こそ違えど、顔の造形は遊矢と殆ど同じ。何も知らない人が見れば、ドッペルゲンガーの類だと勘違いするだろう。

 

「ユート……?」

「ああ。こうしてお前と話すのは初めてだな」

「どうしてお前がここに……? いや、そもそも、ここは何処なんだ?」

「遊矢は見覚えがあるだろう? ここは未来都市ハートランド。お前が赤馬零児とデュエルした場所。そして……俺と隼の故郷だ」

「故郷……? あっ――」

 

 瞬間、世界は暗転する。光に満ちていた未来都市は、廃墟へと姿を変えた。

 

「……これって」

「これが今のハートランド……エクシーズ次元だ」

 

 ぐるり、と遊矢は周囲を見渡した。

 ついさっきまで確認できた生活の跡は最早ない。空は雲で覆われ、太陽の明かりさえも届かない。

 

「――非道い」

「ああ。全ては融合次元……オベリスク・フォースが来てからだった。

 この街で平和に暮らしていた俺達は、突如奴等に襲われた。大人も子供も関係ない。融合次元は徒党を組み、遊びのように俺達を狩り続けた。

 だから俺達は、エクシーズ次元の強い決闘者(デュエリスト)を集めてレジスタンスを組み……きっと、こうしている今も奴等と戦い続けている」

「今も? けど、あいつらは一度スタンダード次元に来たはずだろ?」

「融合次元の組織力はあんなものじゃない。その気になればエクシーズ次元とスタンダード次元、両方に攻め込めるだけの人員がいる」

「そんなに沢山……!?」

「一対一の決闘(デュエル)なら勝機はあった。エクシーズ次元も、ここまで一方的にはやられなかっただろう。

 だがこれは、決闘(デュエル)ではなく戦争だ。一騎当千の英雄よりも、千人の兵士の方がよほど価値がある。俺達は数の暴力によって、一度敗北したんだ」

 

 悔しさのあまり、ユートは拳を握った。

 込められた感情は――無念。大切なものを守れなかった後悔の塊。

 そして同様に、炎のように燃え盛る怒りがあった。

 

「……戦争、か」

「遊矢。バトル・シティでお前は、オベリスク・フォースのデュエルを見たはずだ」

「ああ。遊星さんが戦ってたな」

 

 遊矢は既に見ていた。柚子と共に。ユートと共に。

 バトル・シティの参加者であのデュエルを知らない者はいないだろう。

 優勝候補NO.1のDホイーラー、不動遊星。彼のエースモンスター《スターダスト・ドラゴン》が初めて召喚された試合だったからだ。

 

「きっと隼もあのデュエルを見ていたはずだ。だから、俺はもう一度隼に会う。

 遊矢、一度だけでいい。俺に身体を貸してくれ」

「身体を?」

「ああ。姿まで変えることはできないが、隼なら俺だと分かってくれるはずだ」

「……黒咲と会って、どうするつもりなんだ」

「決まっている。これから始まる戦争に備えて、準備を整える」

「準備を整えて、それでどうするんだ」

「……遊矢?」

 

 彼は、不動遊星とオベリスク・フォースのデュエルを思い出していた。

 印象的な仮面と融合召喚。挑発的な態度。確かにあの男は、スタンダード次元にやってきたオベリスク・フォース達と似ていた。

 ――だが同時に、遊矢は違和感も感じていた。

 あの試合でのオベリスク・フォースは、デュエルを“狩り”ではなく“強者との戦い”として楽しんでいたのではないのか――と。

 

「……ユート。お前には遊星さんと戦っていた男が……オベリスク・フォースが敵に見えたのか?」

「当然だ。オベリスク・フォースはエクシーズ次元を滅ぼした俺達の敵だ。

 あの悲劇を二度と繰り返させるわけにはいかない。レジスタンスの仲間はいないが、今はランサーズがいる。今度は準備を整えて、奴等を――オベリスク・フォース、を――」

「ユート……?」

 

 ドクン、と禍々しい鼓動。

 それはユートを中心に空間全体を震わせ、身体を共有している遊矢も感じ取れた。

 

「っ――!?」

 

 ユートは胸――心臓を押さえ、苦しみだす。

 鼓動はより早く。廃墟と化したハートランドは、蜃気楼のように揺らぎ始めた。

 

「なんだこれ……ユート、大丈夫か!?」

 

 あからさまな異常を感じ、遊矢がユートの元へ駆け寄った、その時。

 

『――オベリスク・フォースを、殲滅する』

「え?」

 

 ユートの瞳が鈍く光る。さながら刃の如く。

 その眼力に、遊矢は思わず足を止めた。

 ――覚えている。スタンダード次元でユートとユーゴがデュエルをした、あの時の目。我を失い、暴走し、ユートと同化するきっかけとなった姿。

 

「寄越せ。その身体を」

「ユート……?」

「寄越せと言っている!」

 

 ユートが地面を踏みしめた瞬間、黒い衝撃波が遊矢を弾き飛ばした。

 虚ろだったユートの瞳に、禍々しい光が灯る。

 破壊を楽しむ覇王の眼。オベリスク・フォースなどより、よほど凶悪で危険な力。

 

「っ……ユー、ト?」

「デュエルだ、遊矢。俺が勝てばその身体を貰う」

「デュエルだって……!? おい、どうしたんだユート!」

「どうもしていない。じき、シンクロ次元にもオベリスク・フォースが襲来する。奴等を俺に殲滅させろと言っているんだ」

「殲滅……!? 何を言ってるんだ! どうしてお前がそんなこと――」

「心配しなくていい。俺の敵は融合次元だけだ。柊柚子にも、不動遊星にも手は出さない。それは約束する」

「そういうことを言ってるんじゃない! 本当にどうしたんだよユート……急に殲滅なんて、お前らしくないじゃないか!」

「これが俺の本性だ。融合次元に故郷を壊され、仲間はカードにされ……そして、瑠璃を攫われた。俺の心の中は、無念と憎しみで溢れかえっている」

「無念と、憎しみ……?」

「これが最後だ。遊矢、その身体を貸せ。断るのなら、力ずくで奪い取る」

 

 その問答を最後に、ユートはデュエルディスクを展開した。

 彼の瞳からは、普段は感じられない荒々しい狂気が感じられた。

 全てを破壊するまで、その勢いは止まらない。オベリスク・フォースを殲滅しても、次の獲物を求めて彷徨うだけだろう。

 

「くっ――!」

 

 遊矢もまた、決死の覚悟でディスクを構える。

 彼とてみすみすユートに身体を渡す気はない。何より、今のユートの在り方は気に入らない。

 

「遊矢……何故拒む。お前達に危害を加えるつもりはない」

「決まってるだろ。

 ユート。お前がどれほど融合次元を憎んでいるかは知らない。それでも、確実に言えることが一つだけある。

 怒り。憎しみ。そんな力は間違ってる! ましてや殲滅なんて、考えるまでもない!」

「――いいだろう。ならば押し通るまで。行くぞ!」

 

 

「「決闘(デュエル)――!!」」

 

 

 ◆

 

 

 ユート

 LP:4000

 

 遊矢

 LP:4000

 

「先行は貰う! 俺は《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダスティローブ》を召喚!」

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダスティローブ》

 星3/闇属性/戦士族/攻 800/守1000

 

 誇りを被った漆黒のローブに、怨念の魂が宿る。

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)》は、何度倒されても立ち上がる不屈の戦士。しかし今回ばかりは、相手を滅ぼすまで何度も蘇る死体(グール)に見えた。

 

「自分フィールドに《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)》が存在する時、《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)サイレントブーツ》は特殊召喚できる!」

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)サイレントブーツ》

 星3/闇属性/戦士族/攻 200/守1200

 

 ボロボロになったブーツに霊魂が宿り、意思を持って動き出す。

 ――レベル3モンスターが二体。ユートのデッキは、同レベルモンスターが複数揃った状況でこそ真価を発揮する。

 

「俺は、レベル3のダスティローブと、サイレントブーツでオーバーレイ!

 戦場に倒れし騎士たちの魂よ。今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ!

 ――エクシーズ召喚! 現れろ、ランク3! 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ブレイクソード》!」

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ブレイクソード》

 ランク3/闇属性/戦士族/攻2000/守1000

 

 切っ先が欠けた大剣を黒い鎧のケンタウロスが背負う。

 肉体は既にない。成仏できない霊が、欠けた武具に取り憑いているかのようだ。

 

「カードを二枚伏せて、ターンエンド」

「俺のターン! 俺はスケール1の《星読みの魔術師》と、スケール8の《時読みの魔術師》で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

 遊矢の両サイドに二体の《魔術師》が並び、天空へ浮上する。

 暗闇がかった空に、ペンデュラムの光が灯った。

 ユートがエクシーズならば、遊矢はペンデュラム。各々、自分の得意とする召喚法を武器に立ち向かおうとする。

 

「甘い」

「何……?」

 

 ――けれど、今回ばかりはユートが一枚上。

 

「速攻魔法《ツインツイスター》! 手札を一枚墓地に送り、魔法(マジック)(トラップ)カードを二枚破壊する! これにより《星読みの魔術師》、《時読みの魔術師》を破壊!」

 

 二つの竜巻が二体の魔術師を葬る。空に描かれた光は消え、再びハートランドは雲に覆われた。

 

「ペンデュラム召喚。二体以上の上級モンスターを同時に呼べる召喚法。だがその弱点は、召喚の際に必要なスケールが無防備になること。

 遊矢、お前の戦術は誰よりも俺が知っている。お前に俺は倒せない」

「っ……そんなのは、やってみなきゃ分からない! 俺は《EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル》を召喚!」

 

 《EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル》

 星4/地属性/獣族/攻1600/守1200

 

 遊矢の場に小型の牛モンスターが召喚される。

 ロングホーンとロングフォン。尻尾はコンセントとなっており、頭よりも大きな受話器が角替わりとなっている。

 

「そして、《EM(エンタメイト)》と名のつくモンスターの召喚に成功した時、《EM(エンタメイト)ヘルプリンセス》は手札から特殊召喚できる!」

 

 《EM(エンタメイト)ヘルプリンセス》

 星4/闇属性/戦士族/攻1200/守1200

 

 続いて召喚されたのは、受話器と杖を持ったプリンセス。

 これで遊矢のフィールドには、レベル4モンスターが二体。下準備は整ったといえるだろう。

 ……もしこれが、普段の彼のデュエルだったなら。

 

「レベル4のモンスターが二体。ダーク・リベリオンを召喚するつもりか」

「そうだ、ユート。お前のドラゴンの力で、目を覚まさせてやる!」

「残念だが、それは叶わないな」

「何!?」

「エクストラデッキをよく見ろ」

「え……?」

 

 ユートに言われるがまま、遊矢は自身のエクストラデッキを確認した。

 先ほど破壊された《星読みの魔術師》と《時読みの魔術師》。数体の融合、シンクロモンスター。

 ――それだけだった。その中には、ダーク・リベリオンが入っていない。

 

「ダーク・リベリオンが――ない?」

「忘れたのか。ダーク・リベリオンは元々俺のドラゴンだ。お前には使いこなせない」

「っ……!」

 

 遊矢は勘違いしていた。何度も使う内にダーク・リベリオン、ひいてはユートのことを、新しい相棒だと思っていたのだ。

 ――この程度の怒りすら、共感できないのに。

 

「……俺は、カードを一枚伏せてターンエンド」

「俺のターン! それほど会いたいのなら会わせてやる。お前が望むドラゴンに。

 (トラップ)発動! 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)シェード・ブリガンダイン》! このカードは発動後モンスターカードとなり、自分フィールドに特殊召喚される!」

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)シェード・ブリガンダイン》

 星4/闇属性/戦士族/攻 0/守 300

 

「そして、《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)フラジャイルアーマー》を召喚!」

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)フラジャイルアーマー》

 星4/闇属性/戦士族/攻1000/守2000

 

 二種類の鎧が出現し、亡霊が宿る。

 これらは素材。次なる一手、竜のための贄だ。

 

「行くぞ遊矢! レベル4のシェード・ブリガンダインと、フラジャイルアーマーでオーバーレイ!

 漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今降臨せよ!

 ――エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

 

 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》

 ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

 

 鋼の翼、顎には逆鱗の牙。ユートのエースモンスターたる漆黒の竜が降臨した。

 鈍い眼光が遊矢を捉える。仲間だった時はあれほど頼もしかったはずなのに――今の遊矢には、とても恐ろしく見えた。

 

「ダーク・リベリオンのモンスター効果発動! オーバーレイ・ユニットを二つ使い、相手モンスター一体の攻撃力を半分にし、その攻撃力をダーク・リベリオンに加える! “トリーズン・ディスチャージ”!」

 

 竜の翼から雷撃が発せられ、ロングフォーン・ブルは絶叫する。

 攻撃と吸収。弱者から力を搾取し、反逆の牙は更なる力を得る。

 

 《EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル》

 攻1600 → 攻800

 

 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》

 攻2500 → 攻3300

 

「ロングフォーン・ブル……!」

「バトルだ! まずはブレイクソードで、ヘルプリンセスを攻撃!」

 

 一刀両断。欠けているにも関わらず、ブレイクソードの大剣はヘルプリンセスを切り裂いた。

 遊矢のライフが削られる。そして――

 

 遊矢

 LP:4000 → LP:3200

 

 ――まだ、本命が残っている。

 

「くっ――!!」

「行け、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》! 《EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル》を攻撃! “反逆のライトニングディスオベイ”!」

 

 紫電を纏った竜のアギトがロングフォーン・ブルを貫く。

 その勢いを殺しきれず、遊矢は玩具のように吹き飛ばされた。

 

 遊矢

 LP:3200 → LP:700

 

「ぐ――がは……!」

 

 地面に背中を打ち付け、肺に溜まった空気が吐き出される。

 だが――身体に激痛を受けながらも、遊矢の頭はひどく冷静だった。

 この牙はユートの魂そのもの。一見冷静に見えるその裏側には、オベリスク・フォースに対する怒りで溢れている。

 

「これで分かっただろう、遊矢。お前では俺には勝てない。用が終われば体は返す。これ以上お前を傷つけるのは、俺の本意ではない」

「……そうやって、俺を揺さぶって……っ、身体を、乗っ取ろうって考えてるんだろ? オベリスク・フォースを殲滅するために」

「襲われたから反逆する。それの何が悪い」

「悪いに決まってるだろ! そんなことしてたら、いつまで経っても終わらない!

 憎しみは更なる憎しみを呼ぶ。どちらかが完全に滅ぶまで、争いは決して止まらないんだ!」

「戦いとは、戦争とはそういうものだ。俺達レジスタンスはいつか融合次元を侵略し、殲滅する。そして必ず、この手に瑠璃を連れ戻す!」

「どうしてそこまで殲滅にこだわるんだ! 瑠璃を連れ戻すなら、それだけで十分だろう!」

「それだけでは意味がない。何故ならお前の言ったとおり、いつまで経っても終わらないからだ。一度奪い返したところで、奴等はまた襲ってくる。瑠璃を攫うために。だから、完膚なきまでに滅ぼさなければならない」

「……なんだよ、それ。そんなの、ユートらしくない。

 お前はそのドラゴンを俺に託した時、言ってくれただろう? “デュエルで皆に笑顔を”って。あの時のお前は何処に行ったんだよ!」

「あれは俺が忘れた夢だ。オベリスク・フォースに襲われる前、ハートランドで目指していた俺のデュエル。

 ……そうだ。俺もまた、ある意味でのエンタメを目指していたんだ。俺のデュエルで、誰かを笑顔にできたらと。

 だが、それは不可能だった。オベリスク・フォースの存在が何よりの証明! いつだってこの世の何処かには、滅ぼすべき悪が存在する! 奴等を倒さない限り、エクシーズ次元に笑顔は訪れない!」

「――そうか。分かったよ、ユート」

 

 ユートの言は正しいように見える。いや実際、世間一般的には正しいのかもしれない。人間の悪性はどうあってもなくなることはない。それこそ、人類がまるごと滅ばない限りは。

 “やられたらやり返す”。どちらかが折れるまで連鎖は終わらない。これを断ち切るには、全く無関係の第三者が止めに入るしかない。

 第三者――ああ、それならここにいる。遊矢は覚悟を新たに、ユートの前に立ち塞がった。

 

「だったら、俺が思い出させてやる。デュエルに秘められた可能性ってやつを!」

「……結局はこうなるか。

 デュエルを続行する。俺はこれでターンエンド」

「俺のターン!

 魔法(マジック)カード《死者蘇生》を発動! 墓地からモンスターを一体特殊召喚する! 甦れ、ロングフォーン・ブル!」

 

 《EM(エンタメイト)ロングフォーン・ブル》

 星4/地属性/獣族/攻1600/守1200

 

「この瞬間、ロングフォーン・ブルの効果発動! 特殊召喚に成功した時、デッキからペンデュラムモンスター以外の《EM(エンタメイト)》を一体、手札に加える!」

「ペンデュラム以外だと?」

「そうだ! これにより、《EM(エンタメイト)スライハンド・マジシャン》を手札に加える!」

 

 ユートは眉を潜める。彼のデッキがエクシーズならば、遊矢のデッキはペンデュラム。仮にエクシーズが使えなくなったとしても、軸となる部分は変わらないはずなのだ。

 

「“何をする気か分からない”……そう言いたそうだな、ユート」

「……そうだな。俺にはお前が何を考えているのか、全く分からない」

 

 ――何故俺を遮るのか。それがユートの疑問だった。

 遊矢とユートは同化している。ユートの中の憎しみなど、わざわざ口にしなくても分かっているはずなのだ。

 大切なものを奪われる苦しさと虚しさ。胸にぽっかり空いた穴の空虚さ。そこから湧き上がる憎しみ。そして、それをぶつけていい相手がいる。

 そこまで理解した上でなお、遊矢はユートの前に立っている――。

 

「スライハンド・マジシャンは、ペンデュラムモンスター以外の《EM(エンタメイト)》をリリースすることで、手札から特殊召喚できる!

 ロングフォーン・ブルをリリース! 現れろ、《EM(エンタメイト)スライハンド・マジシャン》!」

 

 遊矢のフィールドに人間大のクリスタルが現れ、赤い衣装がそれを包み込む。

 ただの結晶に過ぎなかったそれは、みるみるうちに人間を象っていく。

 ――結晶の下半身と、手品師の上半身。スライハンド・マジシャンは杖を構え、黒竜・黒騎士と相対する。

 

 《EM(エンタメイト)スライハンド・マジシャン》

 星7/光属性/魔法使い族/攻2500/守2000

 

「攻撃力2500。それで倒せるのはブレイクソードまでだ。ダーク・リベリオンには届かない」

「いーや、お楽しみはこれからさ。ここで、スライハンド・マジシャンの効果発動! 一ターンに一度、手札を一枚捨てることで、表側表示のカードを一枚破壊する!

 これにより、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を破壊する!」

「何っ……!」

 

 スライハンド・マジシャンが指を鳴らした瞬間、竜の全身が赤い布に包まれた。

 竜は抵抗するが、布は破れない。最後に手品師が杖を振ると、竜は布ごと粒子となって砕け散った。

 

「ダーク・リベリオンが破壊されただと……!」

「まだ俺のターンは終わっていない! 行け、スライハンド・マジシャン! ブレイクソードを攻撃!」

 

 手品師の杖から光弾が放たれ、黒騎士が破壊される。

 最後の一体がやられ、ユートのエクシーズモンスターは全滅。ライフこそ差はあれど、遊矢はこの一ターンで戦況をひっくり返したのだ。

 

 ユート

 LP:4000 → LP:3500

 

「くっ……この瞬間、ブレイクソードの効果発動! エクシーズ召喚されたこのモンスターが破壊された時、墓地から同レベルの《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)》二体を特殊召喚できる!

 ダスティローブ、サイレントブーツを特殊召喚!」

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダスティローブ》

 星3/闇属性/戦士族/攻 800/守1000

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)サイレントブーツ》

 星3/闇属性/戦士族/攻 200/守1200

 

「ブレイクソードの効果で特殊召喚された二体は、レベルが一つ上がる!」

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ダスティローブ》

 星3 → 星4

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)サイレントブーツ》

 星3 → 星4

 

 《幻影騎士団(ファントム・ナイツ)》達のレベル上昇。普段のユートならば、ここからダーク・リベリオンに繋げ反撃に出るだろう。

 しかし、肝心のドラゴンは既に墓地だ。準備は整っても本命がいない。

 

「ユート、これがデュエルの可能性だ。どんなに絶望的な状況でも、たった一枚のカードで変えられる。俺はこの力で、皆を笑顔にしてみせる。

 スタンダード次元の皆は勿論、シンクロ次元も、エクシーズ次元も……そして、融合次元もだ」

「融合次元も、だと?」

「そうだ。俺はランサーズの一員としてオベリスク・フォースと戦う。だけど、それは殲滅するためじゃない。争いを止めるために……皆を笑顔にするために、俺は戦うんだ」

「……お前は、本気でそう思っているのか? ジャック・アトラスと戦ったお前なら気づいているはずだ。そんなこと、できるはずがないと」

 

 皆を笑顔にすることなど、できるはずがない。

 仮に融合次元が侵略を止め、四つの次元が平和になったとしても、やはり恨みは残る。

 恨みは更なる恨みを作り、やがて争いへ発展する。これを収めても、残された恨みが再び争いを作る。

 絶対に終わらない無限地獄。争いの根絶は不可能なのだ。それはジャック・アトラスとて同じ。表に出てこないだけで、彼を恨む人間は山のようにいる。

 

 つまるところ――誰かを笑顔にしたいのなら、取捨選択は逃れられない。

 

「……分かってる。そんなことは」

「なんだと――?」

 

 遊矢は、胸を張ってユートを――その奥にいる()()を見据えた。

 

「……どうしてそこまで笑顔にこだわる。どうしてそこまで誰かを救おうとする」

「別に、大した理由じゃない。

 ……俺は昔、父さんのことで苛められててさ。その度にイヤってほど泣かされて――その度に、色んな人に助けられたんだ。だから、俺もそうしたいだけ。

 誰かの涙を拭くことができる。それって、凄くカッコイイと思わないか?」

『――笑わせる。独善的にも程がある。誰かを笑顔にする自分が可愛い。遊矢、お前はそう言ってるんだぞ』

「そうだな、大体合ってるよ。けど、それって悪いことじゃないだろ?

 皆幸せそうに笑っていて、それ以上に俺が一番笑う。それこそが、俺が目指すエンターテイメントだ。

 ――だから失せろ。もう二度と、お前に身体は渡さない」

『何っ――!?』

 

 ユートに乗り移った“誰か”が後ずさりした。

 その様子を見て遊矢は確信する。目の前にいるこの少年は、ユート本人ではないことを。

 

『貴様……』

「ミエルが言ってたよ。俺の中には、ユートの他にもう一人誰かがいるって。

 ……ユートに何したんだ。あいつは普段、ここまで怒りを露わにしない」

『そこまで大層なことはしていない。オベリスク・フォースを見て燻り始めた“怒り”に薪を入れただけだ』

「ユートを操ってデュエルさせて、俺の身体を乗っ取ろうとしたのか」

『操る? 違うな。この怒り自体はこの男のもの。我は背中を押しただけに過ぎん』

「なんでもいいよ。とにかくユートから離れてくれ。俺はお前に身体を渡す気はない」

『それは断る。まだデュエルは終わっていない。我を剥がしたいのならば、それだけの力を示してみろ』

「そうか……ならこのデュエルで、俺がお前を追い払ってやる! ターンエンドだ!」

「――俺の、ターン!」

 

 ドローフェイズ。ユートの引いたカードが漆黒に染まった。

 憎しみや怒り。そういった負の感情から生まれた暴力の結晶。ユートのデッキに元から入っていたのか、それとも乗り移った“誰か”に仕組まれたカードなのかは不明だ。

 だが、それが如何に凶悪なモノか、相対する遊矢は感じることができた。

 

「俺は《RUM(ランクアップマジック)-リベリオン・フォース》を発動! 自分フィールドのモンスターを素材に、墓地から最もランクが高いエクシーズモンスターを、エクシーズ召喚扱いとして特殊召喚する!」

「墓地からエクシーズ召喚だって!?」

「俺は、レベル4となったダスティローブと、サイレントブーツでオーバーレイ!

 漆黒の闇より、愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今降臨せよ!

 ――エクシーズ召喚! 復活せよ、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

 

 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》

 ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

 

 墓場より逆鱗の竜が蘇生する。

 だが、《RUM(ランクアップマジック)-リベリオン・フォース》の真の力はここからである。

 ――オーバーレイネットワークの再構築。上空に暗い渦が現れ、召喚されたダーク・リベリオンがその中心へ向かう。

 

「なんだ……!?」

「リベリオン・フォースの効果発動! この効果で特殊召喚したエクシーズモンスターを、さらにランクが三つ高いエクシーズモンスターへとランクアップさせる!

 俺は《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》で、再びオーバーレイ!」

 

 ランクアップ。それはエクシーズ召喚の第二ステージ。黒竜は姿を変え、逆鱗の牙はさらに研ぎ澄まされる。

 

「二色の眼の龍よ! その黒き逆鱗を震わせ、刃向かう敵を殲滅せよ!

 ランクアップ、エクシーズチェンジ! いでよ、ランク7! 怒りの(まなこ)輝けし龍! 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》!」

 

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》

 ランク7/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

 

 機械的な八つの翼。下顎から伸びる一対の牙。そして二色の眼――オッドアイ。

 ダーク・リベリオンよりも一回り、二回りも大きい黒竜が、ユートの元に降り立った。

 

「覇王、黒竜――」

 

 肌を刺す圧力が遊矢を襲う。

 かつては従えた怒りの竜。それが今は敵としてそびえ立ち、遊矢の全てを奪おうとしている。

 

「オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンの効果発動! エクシーズモンスターを素材として召喚した時、相手フィールドのレベル7以下のモンスターを全て破壊し、一体につき1000ポイントのダメージを与える!

 全てを壊せ! “オーバーロード・ハウリング”!」

「くっ――カウンター(トラップ)発動、《ダメージ・ポラリライザー》! ダメージを与える効果が発動した時、その発動と効果を無効にする!」

 

 黒龍が咆哮し、揺らいでいたハートランドの景色がかき消される。

 遊矢とスライハンド・マジシャンの周囲に(トラップ)のバリアに張られ、衝撃波を防ぎ切った。

 ――そして、残されたのは闇。足場さえ不確かな暗黒の世界だった。

 

「……《ダメージ・ポラリライザー》の効果で、互いのプレイヤーは一枚ドローする」

「凌いだか。だが、その手品師には消えてもらう。

 行け、《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》! 《EM(エンタメイト)スライハンド・マジシャン》を攻撃! “反旗の逆鱗――ストライク・ディスオベイ”!!」

 

 地面を抉りながら突進し、逆鱗がスライハンド・マジシャンを刺し貫いた。

 その巨体に押され、遊矢は再び吹き飛ばされる。不確かな地面を激しく転がり、そして沈んでいく。

 

 遊矢

 LP:700 → LP:200

 

「ターンエンド。

 ……諦めろ。ここでお前を消すのは、()もまた本意ではない。目障りではあるが、今は大切な器でもあるのだからな」

「――――だ」

「何?」

 

 暴力の一撃を受け、傷つき、追い込まれた。

 ――それでも、遊矢は立つ。

 ふらつきながらも、手を付きながらも、無様に立ち上がろうとする。

 

「……まだだ。まだ、デュエルは終わっていない」

「終わっている。今のお前に勝利はない。初めから分かっていたことだ」

「分からないさ。だってこれは、デュエルなんだから」

 

 最後の一息。歯を食いしばり、腹に力を入れて、地面を踏みしめて――長い時間をかけて、ようやく立ち上がった。

 体力も精神も既に限界だ。それでも立つのは遊矢の意地。自分が信じるデュエルを貫くためだ。

 

「……俺の、ターン」

 

 遊矢はデッキの上に指を置く。

 フィールドにカードはなく、手札は残り一枚――《ダメージ・ポラリライザー》でドローしたペンデュラムモンスター、《EM(エンタメイト)ギタートル》。

 スケール6、レベル1の弱小モンスター。とても覇王黒竜には太刀打ちできない。

 

降参(サレンダー)するなら今のうちだ。その場合は身体を貰うが……魂は、この中に残しておく」

「しない。降参(サレンダー)はしない。

 ……見てろ。このドローで、俺の劣勢を変えてやる」

「ならば仕方がない。お前を一度ここで倒し、その後は心の奥底で眠りについてもらう。明日からは、俺が榊遊矢を演じよう」

「それはどうかな……お楽しみは、これからだ。

 俺のターン、ドロー!」

 

 ――引いたカードは《EM(エンタメイト)オッドアイズ・ユニコーン》。

 こちらもレベル1だが、スケールは8。これで遊矢はもう一度チャンスを得た。

 

「俺は、スケール6の《EM(エンタメイト)ギタートル》と、スケール8の《EM(エンタメイト)オッドアイズ・ユニコーン》で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

 左にはギターと(タートル)を掛けた楽器のEM(エンタメイト)

 右には二色の眼を持つ小さな幻獣。

 その中心にはペンデュラムの光。光はまるで太陽のように、闇に覆われた世界を照らし出す。

 

「これで、レベル7のモンスターが同時に召喚可能!」

「だが、今のお前の手札はゼロ。エクストラデッキにはレベル3、レベル5の《魔術師》のみ。条件は揃っても、召喚できるモンスターはいない!」

「いや! ここでギタートルのペンデュラム効果を発動! 対となるペンデュラムゾーンに《EM(エンタメイト)》を発動した時、カードを一枚ドローできる!

 ……俺は、このドローに全てをかける!」

「レベル7のモンスター……あのドラゴンを引き当てるつもりか」

「ああ。お前だけには、絶対に負けるわけにはいかない」

 

 覇王黒竜の力は、ほかならぬ遊矢自身が生み出した力だ。

 だからこそ誰よりも、彼自身がそれを否定する。

 

「ッ……ドロー!」

 

 祈りと想いを込めて、遊矢はカードを引く。

 

 ――それは、もしかしたら必然だったのかもしれない。

 

「揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け光のアーク!」

 

 振り子が揺れる。

 光の軌道は楕円を描き、召喚ゲートを穿つ。

 

「ペンデュラム召喚! いでよ、雄々しくも美しく輝く二色の眼! 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!」

 

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》

 星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

 

 天空より一体の竜が現れる。

 赤と緑のオッドアイ。赤い体色。覇王黒竜と違って翼はなく、空も飛べない。

 それでも榊遊矢にとってこれ以上ない味方であり、長い間共に戦ってきた相棒だった。

 

「やはりエースモンスターを引き当てたか……!」

「ここで、墓地から(トラップ)カード《スキル・サクセサー》を発動! このカードを除外することで、自分のモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで800アップさせる!」

「何!?

 ……そうか、あの時の――!」

 

 数ターン前の光景がフラッシュバックする。手札を一枚墓地に送り、ダーク・リベリオンを破壊したあの瞬間を。

 

「そうだ。これはスライハンド・マジシャンの効果で墓地に送ったカード。これでオッドアイズの攻撃力は、覇王黒竜を上回る!」

 

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》

 攻2500 → 攻3300

 

「くっ……遊矢ァ――!」

「よく聞けユート! いや、もう一人の俺。確かにユートが抱える憎しみは大きい。

 だが同時に、それらは脆い! そんなものいくら束ねたって、この俺を倒すことはできない! それを覚えておけ!」

 

 竜の瞳が標的を定める。

 打破すべきは心の闇。かつては呑まれた負の化身を、今度は真っ向から立ち向かう――!

 

「行け、オッドアイズ! 怒りの化身、覇王黒竜を打ち破れ!

 “螺旋のストライク・バースト”ォ――!!」

 

 オッドアイズが渾身のブレスを放つ。

 螺旋を描く紅のブレスは巨大な胴を貫き、覇王黒竜を見事撃破した――

 

 ――その景色を最後に、遊矢の意識は暗転した。

 

 

 ◆

 

 

 次に彼が目を覚ましたのは、自分に与えられた選手用の控え室だった。

 榊遊矢はジャック・アトラスとのエキシビション・マッチのために呼ばれた特別な選手だ。その待遇に見合った豪華な部屋があらかじめ用意されている。

 一人で使うには大きすぎるベッド。遊矢が横になっているその隣で、柚子は不安げに彼の顔を覗き込んでいた。

 

「遊矢。大丈夫?」

「柚子……なんでここに」

「覚えてない? 昨日、遊矢がこの部屋に誘ったんだよ。一人で使うには広いからって」

「……そう、だっけ」

 

 目眩を覚えつつ、遊矢は起き上がる。

 

「っ――」

 

 吐き気と頭痛。

 強烈な疲労が遊矢の全身を襲った。よく見ると全身汗まみれで、顔色も悪い。体調は絶不調と言っていいだろう。

 

「大丈夫? 遊矢、寝てる時すごくうなされてたよ。それにブレスレットも光りだして……私、少し怖かった」

「ああ……いや、心配ないよ。ちょっと夢を見てただけだから」

 

 遊矢はもう一度ベッドに倒れこむ。

 まだ時間は早い。もう少し眠りについても許されるだろう。

 

「遊矢?」

 

 柚子にとって、そんな遊矢の表情が不思議でならなかった。

 見るからに疲労困憊……けれど、少しだけ笑っていた。

 

「少し疲れた。俺はもう一回寝るよ、柚子。今度はいい夢が見れそうだ」

「……そっか。おやすみ、遊矢」

 




「汗まみれ(意味深)」とか一瞬でも考えた奴をデュエルで拘束せよ!


※2016.03.10
……実はユートが本気なら3ターン目で遊矢負けてるんだよね(後で気づいた)

1.ブレイクソードの効果でブレイクソード自身とヘルプリンセスを破壊。
2.ブレイクソードの効果でファントムナイツ二体召喚、二体を素材にダベリオンX召喚。ロングフォーン・ブルにトリーズン・ディスチャージ。
3.ダベリオンでロングフォーン・ブル攻撃(2500)、クラックヘルムでダイレクトアタック(1500)でジャスト4000。

……実はこれ、もう一人の遊矢(仮)がユートを完全に操りきれてなくて、ついプレイングが雑になってしまったのだ(後付け)

2016.03.11.デュエル修正。

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