無害な蠱毒のリスタート   作:超高校級の警備員

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 もっと凝ったサブタイトル思いつけるようになりたい! が、あんまり奇をてらうようなことをしても独りよがりで滑ることも十分考えられる。だからこのくらいシンプルな方がいいんじゃないかと自分を納得させてみた。


危険な英雄との激戦

 線路沿いに飛び、途中襲い掛かって来たモンスターを倒しながら二条城前の地下鉄ホームに辿り着く。

 階段を上がり外に出て、二条城の東大手門へ向かうと、他のメンバーは既に集まっていた。

 

「わりぃ、遅れた」

「いや、無事でよかったよ」

 

 木場さんが笑顔で迎える。皆の服が若干破れたりしているところを見ると、どうやら他での襲撃を受けていたみたいだ。それでも目立った怪我がないところを見るとそこまで強い刺客ではなかったようだね。

 

「アーシア無事だな」

「はい、ゼノヴィアさんとイリナさんが刺客の方から守ってくれました!」

「……ああ」

「逆に回復役がいて心強かったわ」

 

 既に戦闘服姿のゼノヴィアさんとイリナさんが言う。けど、ゼノヴィアさんの元気があきらかない。

 

「どうしたんだゼノヴィア?」

 

 一誠が訊くと、ゼノヴィアさんは黙って装飾された鞘に入ったデュランダルへ目線を落とした。

 

「……デュランダルが聖なるオーラを発しなかったの」

 

 その理由をイリナさんが答えた。

 

「マジかよ! 一体なんで? デュランダルの攻撃的なオーラを抑える術を見つけたんじゃなかったのか」

「わからん。だが、私がデュランダルを振るえないことだけは確かだ」

 

 攻撃的なオーラを抑えるどころかオーラ全てが抑えられてちゃ意味ないよね。まあ、それが直接の原因かはわからないけど。

 結局、デュランダルは僕たちの前で力を見せることなく亜空間にしまい、木場さんから聖魔剣を借りることに。

 

 ゴゴゴゴゴ……。

 

 すると、僕たちが合流したと同時に巨大な門が鈍い音を立てながら開いていく。開き放たれた門を見て、木場さんが苦笑した。

 

「あちらもお待ちしていたようだよ。演出が行き届いてるね」

「まったくだ。舐めてんな」

 

 木場さんが皮肉を言い、一誠も息を吐いた。

 全員、確認し合うと二条城の敷地へと進む。

 

 

 

 

 

 

 

「僕が倒した刺客は本丸御殿(ほんまるごてん)で曹操が待っていると倒れる間際に言っていたよ」

 

 木場さんが走りながらそう言う。

 

「なあ、誇銅」

「うん、そこら中に感じる」

 

 走りながら匙さんが皆に聞こえないように小声で言う。

 敷地内のいたるとこから妖気の残り香のようなものを感じる。さらには場所は特定できないけど複数の妖気をどこからか感じる。妖気は素人ではギリギリわからない程度に隠されているため一誠たちにはわからないだろう。

 僕達は二条城の敷地内を進み、二の丸庭園を抜けて本丸御殿に続く『櫓門(やぐらもん)』を潜くぐった。

 辿り着いたのは古い日本家屋が建ち並ぶ場所。英雄派の気配を探る一誠達に声が投げ掛けられる。

 

禁手(バランス・ブレイカー)使いの刺客を倒したか。俺達の中で下位から中堅の使い手でも、禁手使いには変わりない。それでも倒してしまうキミ達はまさに驚異的だ」

 

 庭園に曹操の姿が見え、建物の陰からも英雄派の構成員が姿を見せる。そしてそこには着物姿の綺麗な女性―――現御大将である八坂香奈もいた。しかしながら、八坂香奈の瞳は(かげ)っており、ひどく無表情だ。

 それを見て一誠が曹操を睨みつけ叫んだ。

 

「曹操! 九重のお母さんに何をした!」

「言ったじゃないか。少しばかり実験に協力してもらうと」

 

 曹操はそう言って槍で地面をトンと叩く。すると―――。

 

「う……うぅぅ、うああああああああっ!」

 

 八坂香奈は悲鳴を上る。体が光り輝き、その姿を徐々に変貌させていった。

 その姿は、巨大な金色の九尾。そのフェンリルと同じくらい、だいたい十メートルほどか? 尻尾の分フェンリルよりも大きく感じる。

 九尾の狐の獣化、初めて見た。できることは知っていたが、藻女さんも他の七災怪の人も獣化することは殆どない。なぜなら獣化することでパワーは上がるが繊細さが失われるので総合的に弱くなる。だから驚かすくらいにしか使わない。

 それにしても妙だな、なんで八坂香奈はあんな状態になってしまったのか。九尾なら術による操作なんて弾けると思うけど。

 それだけ強い洗脳か、英雄派には九尾を洗脳できるくらいの技術があるのか。―――考えたくないけど、術ではない直接的な……ロキ様のような状態とか。いや、今はそんなこと考えないでおこう。

 

「曹操! こんな疑似京都まで作って、しかも九尾の御大将まで誘拐して、何をしようとしている!?」

「京都はその存在自体が強力な気脈に包まれた大規模な術式発生装置だ。名所と呼ばれるパワースポットが霊力、妖力、魔力に富んでいる。この疑似空間にもそのパワーは流れ込んでいる。そして、九尾の狐は妖怪でも最高クラスの存在。京都と九尾は切っても切り離せな関係だ。だからこそ、ここで行うことに意味がある」

 

 一誠が問い詰めると、曹操は槍の柄を肩にトントンとしながら答えた。

 

「都市の力と九尾の狐を使い、この空間にグレートレッドを呼び寄せる。本来なら複数の龍王を使った方が呼び寄せやすいんだが、龍王を数匹拉致するのは神仏でも難儀するレベルだ。都市と九尾の力で代用することにしたのさ」

 

 そんなことの為に京都は戦場に、玉藻ちゃんの孫が誘拐され、護衛の妖怪たちは殺されたのか……。僕の胸の中に怒りの炎が生まれる。

 

「よくわからねぇ。よくはわからねぇが、おまえらがあのデカいドラゴンを捕らえたら、ロクでもない事になりそうなのは確かだな。それに九尾の御大将は返してもらう」

 

 一誠がそう言うと、ゼノヴィアさんは剣を曹操に向ける。

 

「イッセーの言う通りだ。貴様達が何をしようとしているのかは底まで見えない。だが、貴様達の思想は私達や私達の周囲に危険を及ぼす。―――ここで屠るのが適切だ」

 

 ゼノヴィアさんの宣戦布告に木場さんがうなずく。

 

「意見としてはゼノヴィアに同意だね」

「同じく!」

 

 イリナさんも応じて光の剣を作り出し、匙さんが嘆息しながら言う

 

「グレモリー眷属に関わると死線ばかりだな……。ま、学園の皆とダチの為か―――」

 

 匙さんは神器を出現させ、逆の左手の指を軽く噛んで血を流し神器の蛇へ押し付ける。すると、神器から黒い何かが匙さんの影に潜り込み、影の中から体は犬で尻尾は蛇の黒い犬が出現した。

 ライオン程の大きさの黒い犬は匙さんの傍らで曹操たちを睨む。匙さん自身も仙術を練り上げ集中力を高める。

 

「口寄せの術。黒曜(こくよう)、悪いが力を貸してもらうぜ」

『グルルルル!』

 

 そう言いながら黒い犬の頭を撫でると、返事をするように凶暴な唸り声をあげた。

 口寄せの術とは血で契約した(あやかし)、主に妖獣を呼び出す術。術自体は難しくないが、相手との契約交渉が難関となる。

 あの黒い犬はいった何だろう? 妖怪ではない。僅かにドラゴンの気配を感じる。と言うことは、匙さんの神器に封印されてる邪龍と何か関係があるのかも。

 一誠が何か言おうとした瞬間―――。

 

「―――初手だ。食らっておけッ!」

 

 ドガァァァアアアンッ!

 

 ロキ様の時のように先制攻撃を仕掛けた。今だ! ゼノヴィアさんの放った攻撃に注目している隙に、炎をできるだけ生み出し、バレないように物陰に散らばらせておく。僕の能力がバレずに炎を出せる唯一のチャンスだろう。

 先制攻撃は戦況を有利に進められる。が、これもロキ様の時と同じで。

 

「ま、初手で倒せるほどだったら苦労もないな」

「いやー、いいね♪」

 

 ダメージを与えられる攻撃力が合って成り立つ。英雄派のメンバー全員は見た目は汚れているが無傷。彼らを薄い霧が覆っていた。あの霧が聖剣の攻撃を防いだのか。

 曹操が顎に手をやりながら笑む。本気で楽しそうな一言だ。

 

「彼らはもう上級悪魔の中堅―――いや、トップクラスの上級悪魔の眷属悪魔と比べても遜色が無い。魔王の妹君は本当に良い眷属を持った。レーティングゲームに本格参戦すれば短期間で2桁台―――十数年以内にトップランカー入りかな? どちらにしても、末恐ろしい。シャルバ・ベルゼブブはよくこんな連中をバカにしたものだね。あいつ、本当にアホだったんだな」

 

 曹操の言葉に傍にいた剣を帯刀した男性が苦笑する。

 

「古い尊厳にこだわり過ぎて下から来る者が見えなかった、と言った所でしょ。だからヴァーリにも見放され、旧魔王派は瓦解したわけさ。―――さて、どうするの? 僕、今の食らってテンションがおかしくなってるんだけど?」

「そうだな。とりあえず、実験をスタートしよう。暴走させられてるから上手く行くかどうか分からないけど」

 

 曹操が槍の石突きで地面を叩くと獣化した八坂香奈の足下が輝き出した。

 

「九尾の狐にパワースポットの力を注ぎ、グレートレッドを呼び出す準備に取り掛かる。―――ゲオルク!」

「了解」

 

 曹操の一言にローブを羽織った魔法使い風の青年が手を突き出した。ゲオルクの周囲に各種様々な紋様の魔方陣が縦横無尽に出現し、羅列された数字や魔術文字が物凄い勢いで回転する。

 九尾の足下に巨大な魔方陣が展開される。九尾が雄叫びを上げ、双眸が大きく見開いて危険な色を含み始める。全身の毛も逆立っていた。これは危ない!

 

「グレートレッドを呼ぶ魔方陣と贄の配置は良好。後はグレートレッドがこの都市のパワーに惹かれるかどうかだ。龍王と天龍が1匹ずついるのは案外幸いなのかもしれない。何かに阻害されてるのか都市のパワーが予想よりも流れてこなかったからな。曹操、悪いが自分はここを離れられない。その魔方陣を制御しなければならないんでね」

 

 ゲオルクの言葉に曹操は手を振って了承する。

 

「了解了解。さーて、どうしたものか。『魔獣創造』のレオナルドと他の構成員は外の連合軍とやり合っているし。彼らがどれだけ時間を稼げるか分からない所もある。外には堕天使の総督、魔王レヴィアタンがいる上、セラフのメンバーも来ると言う情報もあった。―――ジャンヌ、ヘラクレス」

「はいはい」

「おう!」

 

 曹操の呼び掛けに細い剣を持った金髪の女性と、巨体の男性が前に出た。

 

「彼らは英雄ジャンヌ・ダルクとヘラクレスの意志―――魂を引き継いだ者達だ。ジークフリート、お前はどれとやる?」

 

 曹操の問いにジークと呼ばれた男性は抜き放った剣の切っ先を木場さんとゼノヴィアさんに向ける。どうやら最初から決めていたようだね。

 

「じゃあ、私は天使ちゃんにしようかな。かわいい顔してるし」

「俺はそっちの邪龍だな」

 

 指名されたそれぞれが視線を交わす。木場さんとゼノヴィアさんがジークフリート、イリナさんがジャンヌ、匙さんがヘラクレス。

 

「んで、俺は赤龍帝っと。最後の戦車(ルーク)の君はどうする? 九尾の相手でもするかい?」

 

 曹操が僕に視線を送る。わかった、なら僕が抑えておこう。

 散らばらせた炎を簡単な形に形成して物陰から飛び出させる。昔遊んだゲームに出て来たマンドレイクに似た小さな生物だ。それを九尾の目の前で合体させる。スライムがキングスライムに変身するようにね。

 僕が術者と覚られないように最低限の鼻歌で素早く完成させたのは、なんとも不格好な形のゴーレム。とっさに散らばらせた分の炎なので大きさも獣化した九尾の半分以下で心もとない。だがこれでやるしかない。

 

「なんだこいつは!?」

 

 突然現れた物体が、それも目の前で合体して疑問を持たない人はいないだろう。

 

「この炎から京都内で感じた妖気を感じる。おそらくこれは妖怪のものだと思う」

 

     ―― 偽 証 ――

 

 ならば納得のいく理由を与えればいい。この場においてはむしろ妖怪の介入の方が僕が操ってるよりも真実味がある。

 真実である必要はない、相手が信じられさえすれば。特に今のように事実であることが重要視されない場面では。

 

「なるほど、妖怪共が御大将を取り戻しに来た」

 

 敵も味方も僕の説明で納得した様子。形成さえしてしまえば操作でバレることはまずない。

 しかし、ゴーレム型にしたのは本当に正解だったのだろうか。固めてゴーレムにすれば対峙することができる。だが、長時間耐えられるだけで鎮圧するのは無理だろう。

 逆にマンドレイクのままなら自爆炎上なりして獣化の妖気を燃やし尽くすことができたかもしれない。ただしこれも成功する確率は決して高くなく、失敗したときは耐えることができない。

 今更考えても仕方ない! もう分離は不可能なんだからこれでやるしかない!

 

「誇銅、アーシアを頼む」

「うん」

 

 一誠から見た僕の役割は重要な回復要因であるアーシアさんの護衛。術も技も使わないけど役目は果たすよ。

 

「なんで俺って最近ボス的存在とばかり相対してるんだろう? ま、いいか。おまえ、ヴァーリより強いのか?」

「弱くはないかな。弱っちい人間だけどね」

 

 一誠の質問に、曹操は口の端を楽しそうに吊り上げて肩をすくめた。

 

「嘘こけ。先生とやり合った奴が弱い筈ねぇだろ」

 

「ハハハハ、そりゃそうか。でもあの先生はチョー強かったけど? 俺もまだまだだと思うよ、おっぱいドラゴン」

 

 曹操と一誠が言い合いをしている間に、獣化した九尾と炎のゴーレム()の勝負が始まった。見た目はまるで大怪獣VS巨大ロボ(控えめ)だ。

 九尾は口から激しい火炎を吐き出した。相当な火力だが、一応炎で造られてるので無効にできる。

 次に九本の尻尾による攻撃が飛んでくる。すべてに対応するのは不可能なのでガード。その時の衝撃で漏れた炎が九尾のオーラに引火した。

 しっかりと形を造って固めてあるから炎の要素が少ない。だが、もともとが炎のため妖力に燃え移らないことはない。

 オーラ状の妖気に引火した炎を、同じ妖気の放出で吹き飛ばして消火した。燃え広がってくれれば妖気だけを燃焼させて安全に鎮圧できるんだが、そううまくは進まないか。

 幸いなことにこちらを阻害してる魔法陣は僕や僕の炎には効果がない。都市の力も阻害されてるようで思ったほど圧されていない。だが、単純に火力不足が否めない。足すことができない炎では九尾の妖力を燃やしきる前に燃え尽きてしまいそうだ。

 くっ、状況はやや有利なのに有利を生かせないことが歯痒い。

 再び九尾の火炎攻撃が放たれる。今度は火炎放射ではなく火炎玉。大火力の爆発場がゴーレムの前で炸裂する。爆風で周囲一帯が吹き荒れるが誰一人睨み合ったまま動かない。

 この爆風が開幕の合図となった。

 

「木場! ゼノヴィア! 少し離れて戦ってくれ! 九尾の御大将からこいつらを少しでも離したい!」

「「了解」」

 

 二人は応じて駆けだす。敵も二人を追う。金属音と共に火花を散らし戦闘が始まる。

 敵は背中から神器らしき腕を生やし、三刀流となってが木場さんとゼノヴィアさんの剣戟を最小限の動きだけで受け止め、鋭い突きを繰り出す。

 ゼノヴィアさんも戦闘中に木場さんから聖魔剣を受け取り二刀流となりスピードを上げた。それを見て敵は笑む。

 

「おもしろくなりそうだね。よし、大サービスだ」

 

 敵は大振りに剣を振るい、二人に避けさせて距離を取らせた。

 

禁手化(バランス・ブレイク)ッ!」

 

「面白くなりそうだね。よし、大サービスだ!―――禁手化バランス・ブレイクッ!」

 

 ズヌッ!

 

 ジークの背中から新しく三本の銀色の腕が生えてきた。新しい腕は帯剣してあった残りの剣を抜き放ち、三刀流から六刀流へと戦闘スタイルを変えた。

 

「魔剣のディルヴィングとダインスレイヴ。それに悪魔対策に光の剣もあるんだよ。これでも元教会の戦士だったからさ。これが僕の『阿修羅と魔龍の宴(カオスエッジ・アスラ・レヴィッジ)』。『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』の亜種たる神器は禁手もまた亜種だったわけだ。能力は単純だよ。―――腕の分だけ力が倍加するだけさ。技量と魔剣だけで戦える僕には充分過ぎる能力だ。さて、キミ達は何処まで戦えるかな?」

 

 敵の禁手が解放されピンチに陥る二人。そんな中でイリナさんがジャンヌと言う名の英雄派メンバーと戦を繰り広げていた。

 

「光よ! はっ!」

 

 イリナさんは純白の翼を羽ばたかせて上空から光の矢でジャンヌ目掛けて幾重にも放った。鋭さや太さから見ても、その一撃一撃は人間や並の悪魔を殺すには十分な力があるだろう。

 だがジャンヌはそれを軽々と避けていく。スピードに決定的な差がある。普通なら殆ど視認できない程の動きの敵相手にイリナさんの攻撃速度は遅い。攻撃も単純だし。

 

「いいね! 天使ちゃんは攻撃も素直でお姉さん感激!」

 

 敵の言う通り攻撃が素直。さらにジャンヌはレイピアで攻撃を弾いて見せた。

 

「じゃあ、これなら!」

 

 イリナさんは空中を滑空し一気に詰め寄って斬りかかる。ジャンヌもそれを真正面から受けて立つ。

 金属音を打ち鳴らし二人はつりばせ合う。その時、ジャンヌは不敵に笑んだ。

 

「―――聖剣よ!」

 

 ジャンヌがそう叫ぶと足下から聖剣が幾重にも生えてくる。イリナさんは驚きながらもそれを身をよじって何とか避けた。そこへ鋭い突きのおいうちを仕掛けられるが、翼を羽ばたかせて上空へ退避した。

 空で息を切らせるイリナさん。その様子を見てジャンヌがおかしそうに笑った。

 

「やるやる! へぇ、見くびってたな。さすが天使ちゃん」

「こ、これでも天使長ミカエルさまのA(エース)なんだから! 舐めないで!」

「そっかー。ミカエルさんのねー。わかった。お姉さんもジークくんみたいに大サービスで見せちゃう。お姉さんの能力は『聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)』。そっちの聖魔剣の人が持つ神器の聖剣バージョン。どんな属性の聖剣でも創れるのよ? でも、このままじゃ、本場の聖魔剣には勝てないわ。けれど、例外ってあると思わない? ―――禁手化(バランス・ブレイク)♪」

 

 可愛く笑むジャンヌの足下から聖剣が大量に生み出され重なっていく。そうしてジャンヌの背後に聖剣で創られた巨大なドラゴンが誕生した。

 

「この子は私の禁手。『断罪の聖龍(ステイク・ビクティム・ドラグーン)』。ジークン同様、亜種よ」

 

 微笑むジャンヌ。イリナさんは厳しい表情をしている。

 

「聖ジャンヌ・ダルク……。聖人の魂を引き継ぐ人と戦うなんて、天使としては複雑よね。けど、これもミカエルさまとみんなのため! 平和が一番!」

 

 平和が一番なのは同意できるが、平和の方法については異論が残るな。

 

 ドゴォンッ! ドオオンッ!

 

 炸裂音が何度も響く戦闘を繰り広げているのは匙さんと巨漢のヘラクレス。

 匙さんが気配を消して闇の中から姿を現すと、ヘラクレスもその瞬間だけは匙さんの気配を捕らえ拳を振り寄せ付けない。

 ヘラクレスは拳を付きだす度にその場を炸裂させる。まるで爆弾攻撃のようだ。

 口寄せされた黒い犬が黒い炎を吐き出しヘラクレスの拳と大爆発を引き起こす。

 

「ちっ、黒曜(こくよう)の火炎を受けてもモノともしないか」

 

 仙術を使い体内へダメージを与えてはいるものの、効果を発揮するにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 

「ハッハッハーッ! 無駄無駄! そんなへなちょこ攻撃じゃ俺は倒せねぇよ!」

 

 陰の特性上攻撃力に乏しいのは仕方ない。普通は攻撃できない弱い部分を攻撃する属性なのだからね。

 小さなダメージも内部に積み重ねれば致命的なダメージに繋がる。まるで遅効性の毒が体中に回るように。だがあの火炎で殆どダメージを受けないタフネスでは相当時間がかかるだろう。効果が表れるまでにあの爆発にやられないことが重要そうだ。

 

「俺の神器(セイクリッド・ギア)は攻撃と同時に相手を爆破させる『巨人の悪戯(バリアント・デトネイション)』ッ! このまま、爆破ショーをしてもいいんだけどよォ。どいつもこいつも禁手(バランス・ブレイカー)になったら、流れ的に俺もやっとかないとおあとでうるさそうでな! 悪いが、一気に禁手になって吹っ飛ばさせてもらうぜ! おりゃああああああああッ! 禁手化(バランス・ブレイク)ゥゥゥゥッ!」

 

男が叫ぶと同時にその巨体が光り輝き出す。光が腕、足、背中で肉厚の物を形成し無数の突起物と化した。それはまるでミサイルのようにも見える。

 

「これが俺の禁手ッ! 『超人による悪意の波動(デトネイション・マイティ・コメット)』だァァァァァァアアッ!」

 

 姿が見えぬ匙さんに照準を合わせることなどできるハズもない。あれが予想通りのものなら相手がすることは―――周りを一掃する無差別攻撃!

 匙さんは闇の中から姿を現し、走って距離を取る。

 

「当たらねえなら無差別ってわけかよ!」

 

 どうやら本丸御殿から少しでも遠くへ移動しようとしているみたいだ。僕たちが爆破に巻き込まれないようにするために。黒い犬も匙さんと同じようについていく。

 

「ハッハッー! 仲間を爆破に巻き込まないように俺の気を逸らそうってか! いいぜ! 乗ってやるよォォォッ!」

 

 ヘラクレスは嬉々として高笑いし、全身から生えたミサイルが発射態勢となって撃ち出されていく。

 一誠がヘラクレスのほうに左腕を突き出し、ドラゴンショットで迎撃しようとしたが、曹操に槍で手を弾かれてあらぬ方向に飛んで行ってしまった。

 

 ドッゴォォオオオオオオオオオオオンッ!

 

 無数のミサイルは匙さんのいる場所へ直撃した瞬間、巨大な爆発を引き起こした。激しい爆発が一帯を襲う。

 爆炎の中見えてくる影は一つ……そこそこのダメージを負った様子の黒い犬だけ。

 

「匙―――ッ!」

 

 姿のない匙さんの名前を叫ぶ一誠。

 

「はっ! ヴリトラの方は吹き飛んじまったようだな! 残るはペットだけか」

 

 匙さんの姿がないということは今の爆発で遺体も残さず吹き飛んでしまったから。あれだけの威力の爆発だ、そうなっても仕方ない。―――もしもまともに当たっていれば。

 

「誰が吹き飛んだって?」

「うおっ!?」

「あとな、黒曜はペットじゃねぇ、猟犬だ」

 

 ヘラクレスの背後から強烈な拳を打ち込む匙さんの姿が。吹き飛ばされたのは闇で作られた分身だ。爆破で消える瞬間に気づいた。

 神器のラインを自分の腕に繋げて腕の力を底上げさせていた。油断したところへ底上げされた拳の不意打ちはさすがに効いたようだね。

 

「さっきのは囮だったか! けど、いつまでも俺の攻撃から逃げ切れるとは思うなよ!」

「ああ、わかってるさ。あんなもん何度もできるもんじゃない。邪気も溜まって来たしよ! 隠遁『闇投薬』!」

 

 匙さんは自分のラインを体の四肢へ数本繋げる。あれは、国木田先輩が使っていた筋肉を騙す隠遁。いや、あれは騙すと言うより直接邪気を送り込んでのドーピング。

 どうやら隠れきれないとわかり本格的に攻撃に打って出るつもりみたいだ。

 ヘラクレスは匙さんから放たれる威圧が目に見えて膨らむのを楽しみそうに眺めている。この人も質の悪い戦闘狂ってやつか。ヘラクレスはその場から駆け出し、匙さんの方へ向かって行った。

 

「……クソッタレ、どいつもこいつも禁手かよ!」

「良いだろ? 禁手のバーゲンセールってやつは。人間もこれぐらいインフレしないと超常の存在相手に戦えないんでね」

 

 一誠がそう言うと、曹操は愉快そうに笑いながら言う。

 槍を回して一誠からゆっくりと距離を取る。明らかに隙を見せてのカウンター狙い。一誠も警戒して誘いには乗らない。

 

「お前も奴らみたいにここで禁手になるのか?」

 

 一誠がそう訊くと曹操は首を横に振った。

 

「いやいや。そこまでしなくてもキミ達は倒せる。だが、今日は充分に赤龍帝を堪能するつもりだよ」

「……こいつはまた舐められたもんだ。でも、俺達をバカにしているようには思えないな」

「ああ、どうやればキミ達の力を引き出して戦いを満足出来るか考えているところだ。1つ、仲間が赤龍帝を倒せるある説を唱えた。時間を早める神器で攻撃する。禁手の制限時間がどんどん早まっていき、満足に戦えないまま鎧は解除されてしまう。仲間が持つ能力にそう言う制限時間のある者に効果がある神器があるのさ。時間の経過を一気に加速させて、浪費させる事が出来る。ただ、それだけの能力だ。直接的な攻撃力も特異な効果も無い。ただただ、制限時間を操作出来るだけだ。しかし、時間制限のあるキミには決定的な打撃となる。―――だが、恐らくこれでは赤龍帝を倒せない。キミは神器を深く知ろうとしている。もし、自ら禁手を解除して10秒毎に倍加していく禁手前の能力にそれを付加しようとしたら……? 瞬時に倍加していく厄介な存在と化すだろうな。勿論、禁手状態で食らった攻撃が禁手前の神器にそう言う影響を及ぼすかどうか不透明だ。けれど、神器の深奥に潜る赤龍帝なら、その可能性を叶えそうでね」

「何が言いたい?」

 

 一誠が訊くと、曹操は肩をすくめて答えた。

 

「案外、姑息な手よりもストレートな攻撃の方がキミを無理なく倒せるんじゃないかって話さ。―――キミはテクニックタイプを注意深く警戒していて、そのタイプでは逆にやりづらいんじゃないかなってね」

 

 その答えが案外普通でちょっと肩透かしだ。だが、一誠たちと真正面から戦える力があるならそれは正解と言えるだろう。

 一誠の力と能力が上級悪魔に匹敵するものだとしても、それを最大限に発揮するには一誠自身の技量が追い付いていない。なのでその単純な力を上回られるか、それを封じられれば一誠に勝つのはさほど難しくない。まあ、逆にその単純な力が厄介であるんだけれど。

 

「だが、そんな兵藤一誠にも決定的な弱点が2つある。―――龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)と光だ。ドラゴン、悪魔、2つの特性を有するキミは凶悪な分、自然と弱点も多くなってしまうわけだ。俺はこの弱点ってのに注目していてね。この世に無敵の存在なんていないと言う証明をしてみたいと感じてもいる。ま、この話はここまで。―――さて、やろうか」

 

 曹操は槍の切っ先を一誠に向けた。

 

「アーシア! 『女王(クイーン)』にプロモーションだ!」

「はい!」

 

 一誠はアーシアからの同意を得て『女王』となる。ドラゴンの翼を展開して背中のブーストを勢い良く噴出させた。

 拳を突き出したまま猛スピードで曹操に一撃を繰り出そうと突貫していくが、曹操は槍を器用に回しながら当たる寸前で身を軽やかに躱した。

 一誠はその場でブーストの軌道を変えて、曹操が避けた方向に二度目の突貫をする。それど同時に両手に魔力を集めていた。おそらく追撃用のドラゴンショットだろう。

 曹操は一誠の右手を蹴り上げ、槍で左手を横に払い弾く。予想通り集めた魔力はドラゴンショットのためであり、弾かれあらぬ方向に撃ちだされた。

 一誠が悔しそうな顔をしている間に、曹操の槍が一誠の腹に深々と刺さる。

 

「ごふっ!」

 

 一誠は大量の血を口から吐き出した。

 

「弱くはないんだけどね。真っ正面からの戦いだとまだ隙が多いな。それに仲間を気遣い過ぎる」

「悪かったな!」

 

 曹操が槍を一誠の腹から抜くと、傷口を中心に一誠の体のあちこちから煙が上がり始めた。悪魔が聖なる攻撃を受けた時の症状だ。

 

「イッセーさんっ!」

 

 アーシアさんから放たれた緑色のオーラが一誠を包み込む。一誠の気が穏やかになっていくのがわかる。あのままだったら一誠は意識を失ってそのまま消滅しかねなかった。

 だが傷口はまだ塞がりきってないし、煙もまだ少し上がってる。むしろ傷口が今にも開いてしまいそうだ。それだけ曹操や槍の聖なるオーラが強いということか。

 一誠が懐のフェニックスの涙を傷口にかけることによって、やっと傷口が完全に塞がった。

 

「今死にかけたのが分かったかい? 聖槍に貫かれて、キミは消滅しかけたんだ。案外、すんなりと逝くだろう?」

 

 軽く笑いながら言う曹操。

 消滅しかけた―――その言葉に一誠は確実に体を震わせた。死に恐怖しない生物は存在しない。特に目の前まで迫った死の恐怖、それがどれだけ恐ろしいか僕は知っている。

 

「よく覚えておくと良い。今のが聖槍だ。キミ達がどんなに強くなってもこの攻撃だけは克服出来ない。―――悪魔だからね。たとえヴァーリであろうとも悪魔である限り聖槍のダメージは絶対だ」

 

 だけど戦闘中なのもあってか恐怖が麻痺しているのか、一誠は思いのほか恐怖に囚われはしなかった。

 曹操は一誠の反応を見てきょとんとしている。

 

「あらら、ビビんないな。もっと怖がっておもしろい様を見せてくれると想像していたんだが……」

「あ? 怖いに決まってんだろう? だけどよ、ビビってもいられなくてさ。おまえの顔に一発入れないとあとで皆に怒られそうだよ。赤龍帝やってんのもけっこうキツいんだぞ」

 

 死んでしまうより強い恐怖を見つけたのか、それとも一誠にはまだ死が目の前まで迫っていなかったのか。どちらにせよ怯えて動けなくなるよりはいい。

 だけど事態が悪化していないだけで圧倒的な劣勢には変わりない。

 

「アハハハハッ! いいな、それ。ヴァーリがキミを気に入る理由が少しわかった気がする。なるほど、これはいい。ヴァーリ、いいのを見つけたなぁ」

 

 突然大笑いしだした曹操は、笑い涙を指で拭うと槍の先端を開かせて光の刃を作り出した。

 

「―――やろう」

 

 曹操からのプレッシャーが少しだけ増した。

 一誠は右手を突き出し、特大のドラゴンショットを曹操に放つ。

 

「そいつを生身にもらうのはマズいか」

 

 曹操がドラゴンショットを弾こうとすると、一誠はそれを予想していたとばかりに、撃ちだした瞬間に背中のブーストを噴出させて飛び出す。

 曹操は槍で勢いよく特大のドラゴンショットを両断した。槍を振るったところに一誠は拳を一閃。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

 威力を増大させた拳で曹操に殴りかかった。

 

「パワーのなかのパワーを感じるよ!」

 

 曹操は嬉々としながら槍を素早く戻して一誠の腕を払おうとする。―――だが、その拳は一誠のフェイントだった。右の拳を直前で止め、曹操の払いが空を切る。

 次に一誠は左の拳を突き出した。同時に籠手の中へ力を譲渡する。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

『Transfer!!』

 

 籠手の中からアスカロンの刃が出現し、一誠はその場から飛び退いた。飛び退き様にアスカロンから波動が繰り出される。

 

 バシュッ!

 

 これには曹操も予想外だったらしく、避ける挙動を見せない。

 

 ズシュッ!

 

 鈍い音を立てて、曹操の左腕がアスカロンのオーラに切り落とされた。一誠の作戦勝ちだ。

 曹操は槍を地面に刺し、宙を舞う左腕を右手でキャッチした。無表情のまま左腕を小脇に抱えると、懐から見たことのある小瓶―――フェニックスの涙を取り出した。

 

「な、なんでおまえがそれを!」

「裏のルートで手に入れた。ルートを確保し、金さえ払えば手に入る物さ。フェニックス家の者はこれが俺達に回っているなんてつゆ程も思ってないだろうけど」

 

 貴重なアイテムだとしても原産地の冥界ではいまだに内部で反乱が起こっているくらいだ。盗まれたり横流しも十分考えられる。認知度も高く、もともと売買されていたものっぽいし余計にね。まあ、それが実際に横流しされテロリストの手に渡ることは大問題なのだけども。

 

「……怒りでオーラが増した、か。感情でオーラが上下するのは時と場合では破滅を生むぞ? キミの場合はそれで一度『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』になっているんだから」

 

 曹操がそう言うと、一誠の鎧が崩れていく。

 

「キミが飛び退くとき、いくつか斬った。少し時間差が生じたようだが、ちょっとした槍の攻撃でも赤龍帝の鎧は壊せるようだ。だがいい攻撃だった。強い強い。こちらもギアをもう少し上げないとダメか」

 

 一誠の攻撃力なら生身の曹操を一撃で死に至らしめられる。だが、逆に一誠もあの槍で一撃で殺される可能性がある。鎧の防御力がある分一誠が有利だが、一誠の方が敗色濃厚だ。それに相手はまだ禁手を隠し持っている。

 一誠が曹操の槍に苦慮していると。

 

「イリナさん!」

 

 アーシアさんの悲鳴まじりの叫び声に一誠が反応する。

 

「あら? こちらはまだやってるんだ?」

 

 女性の声へ視線を送ると、ジャンヌが血まみれのイリナさんを抱えていた。

 

「ま、赤龍帝だからさ。彼らよりはやるんじゃないの?」

 

 今度はジークが六本の腕で同じく血まみれの木場さんとゼノヴィアさんを。

 

『グオオオオオッ!』

 

 獣化した九尾の猛攻を受けて炎のゴーレムもボロボロになり、今にも崩れてしまいそうだ。九本の尾に縛られ、満足に動くこともできず活動限界は近い。―――そろそろ頃合いかもね。

 イリナさんと木場さんとゼノヴィアさんがやられ、一誠も勝ち目は薄い。残る匙さんは爆炎の中でヘラクレスといい感じに戦えているが、それでどうこうなる問題ではない。

 曹操は肩に槍をトントンとして言った。

 

「悪いな、赤龍帝。どうやら、フィナーレだ。強い。強いよ、キミたちは。悪魔の中でもなかなかのものだ。けど、まだその力では英雄の力を持つ俺たちに勝てない。それにな、悪魔や堕天使、ドラゴン、妖怪、人間の敵同士が協力したら怖いだろう? 人間にとって脅威と感じてしまうだろう? なら立ち上がらないとさ。―――人間が魔王やドラゴンを倒すのはごく自然なことだ。それが俺たち英雄派の基本的な行動原理さ。ま、俺やここにいるメンバーにとってみればそれは目的のひとつだけど。―――さて、ゲオルク。魔法陣はどうだ?」

 

 曹操の問いかけに霧使いがうなずく。

 

「もう少しだな。しかし、これでグレートレッドがくるかどうか。予定より都市の力の集まりも悪い」

「来ないなら来ないというデータを得られる。他の方法を試すだけだ」

「そうはいうが、これをするのにも大がかりなことをしたんだ。自分としては成功させたい」

 

 曹操たちの意識はすでに実験へと移っていた。

 ジャンヌもジークも倒れたグレモリー眷属をその場に置き去りにし、匙さんたちの戦いが終わるのを待ちながら話し始めた。




 キリも文字数もいいからここまで。おそらく次回で英雄騒動解決、勢いが良ければそのまま京都編完結まで。

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