無害な蠱毒のリスタート   作:超高校級の警備員

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 大変長らくお待たせしました! ポケモンSMの方も概ね厳選が終わり、霊統一でシングルに潜っております。戦績はそんなに良くないけど(笑)
 図鑑も完成させたし、今度はダブルパだ! ……と、言いたいところですが、そろそろこっちも投稿しないとね。ゆっくりと愉快なキャラクターたちを組み立てます。
 これからボチボチ執筆を再開します。


襲撃な機兵隊の介入

 正体不明の相手に近づいてる最中も敵からの攻撃は度々(たびたび)飛んでくる。

 避けやすいように、流れ弾でロキと戦闘中の誰かが事故死しないように少し回り込んでジグザグに走っていく。

 強く勇敢なヴィロットさんは例え運悪く真正面から銃弾が飛んできても(おく)することなく前へ進みながら避ける。殺意が籠った弾丸は僕が知覚(ちかく)できるので危険はほぼないと言っていい。

 しかし、脅威を感じると言うことはジグザグに走る僕たちが真正面になるタイミングを計られているということ。がむしゃらな流れ弾には殺意がないから感じ取ることができないからね。

 他愛(たあい)もない攻撃を避け進んでいくと、異質な気配の持ち主の姿を拝める位置まで辿り着いた。

 

「神秘と魔法の世界にこんなのが介入してくるなんてね」

 

 そこにいたのは、大柄で黒い服を着た……ロボットだった。

 大柄と言っても人間でもありえそうな巨体。ガスマスクのような顔面にあからさまな機械の手足。申し訳程度に黒い服で重装備の大柄の人間に見えないこともないが、生き物の気配では明らかない。

 そのロボットに向かってヴィロットさんが言う。

 

「一体何者? なぜ私たちを狙ったのかしら?」

 

 ロボットに問いただすヴィロットさん。

 

「ピギ、ピギギギ……初弾の狙撃を避け高性能ステルスを施した偵察機の存在に感づくとは、聖書や北欧ごときの所属としては大金星だ。敵ながら素直に賞賛を送ろう」

 

 ロボットから電波音が鳴った後、若い男性の声がそう言う。

 

「そりゃどうも」

「だがな……これはどうだ?」

 

 そう言ってロボットは親指を下に向けた。だがそれだけでロボットは何もしてこない。

 ヴィロットさんはロボットが変な動きをしないか睨み付け、ロボットは何も答えない無言の空間が生まれる。すると……。

 

 ビクッ!

 

「上!?」

「!?」

 

 僕は上から無機質な殺気を感じ取りとっさに声を出した! 僕の声に反応してヴィロットさんが僕を背負って大きくバックステップする。すると、さっきまで僕たちがいた地点に大量の銃弾が放たれ地面に大量の銃痕ができた。

 イマイチ確信が持てなかったけど、ヴィロットさんが気づけないものに素早く気づくのが僕の役目だから少しでも危険を察知したらすぐに伝えないとね。

 機械の殺気は生物の殺気に近い部分はあるけど、やっぱり根本的に生物とは違う部分が大きい。自然を相手にした修行で生物の殺意だけでなく、危険そのものにある程度体が敏感に感じ取れるようになってなかったらと思うとゾッとするよ。

 

「ふぅ、危ない危ない」

 

 ヴィロットさんの声のトーンは変わってないが、背中から伝わる心音(しんおん)から本当に危ないと感じたことが読み取れる。

 銃弾が飛んで来た方向から目の前のロボットと同じ機体が三体も、両足から火を噴かせ降りて来た。そのロボットは最初にいたロボットを守るように前に降り立つ。

 

「当たれば神だろうが二天龍の鎧だろうが貫通する弾丸だ、よく避けたな。と言っても、兵力差が開いたのには変わりないが。我々は禍の団(カオス・ブリゲード)の馬鹿共と違って()めてかかることはしない」

 

 ロボットの男は余裕そうに言う。

 しかし、余裕そうにしているのはロボット側だけではない。

 

「そのロボット四機で私たちを倒そうと言うわけ?」

 

 ヴィロットさんがそう言うと、一番前のロボットが足のブーストを噴かせこちらに突進して来る。それに対してヴィロットさんは動かずに両手の手袋を外す。

 食事の時もずっと外さなかった両手の手袋を外した手は、両手の真ん中にぽっかりと大きな風穴が開いていた。

 その手の左手の中指にはめられた指輪が光り輝く。すると指輪は、ゼノヴィアさんのデュランダルくらいの大きさのシンプルな大剣へと姿を変えた。これは――――聖剣!?

 大剣の刃に聖なる力が纏われる。

 

 ザバァン!

 

()め過ぎよ」

 

 突っ込んで来たロボットは縦に真っ二つになり、僕たちの真横を素通りししばらくして爆発した。

 あの大剣を片手で軽々と振り回しつ素早く正確に切る力にも驚いたが、大剣に込められた聖なるオーラにも驚いたよ。

 木場さんの聖魔剣なんか比べ物にならない。かと言ってアスカロンとも比較にならない程のパワーを感じる。ディオドラ戦でゼノヴィアさんが見せた二本の聖剣の力? いや、あんなに荒々しくないが、かと言って全く劣るわけではない。

 一番近いのは……ディオドラ戦でフリードが見せた凝縮された聖剣のオーラ、あれが一番近い。あのオーラの凝縮率でゼノヴィアさんのあの時のオーラがまとめられたかのようだ。

 キッチリと収められ整ったオーラは噴き出すだけの見掛け倒しとも言えるオーラとは比べ物にならない程の安定性と威力を生む。大量の妖力で生み出した台風の如き暴風も、比べるもなく少量の整った妖力が込められた素手の一振りで散らされる。昔玉藻ちゃんと蘭さんの妖術の練習風景で見た。

 

「こんなものじゃ大した足止めにもならないわ」

「ああ、俺もそう思う」

「斜め上です!」

「!?」

 

 キン! キン! キン! キン!

 

 危険を感じ僕が叫ぶと、ヴィロットさんは大剣でガードした。金属が弾かれる音が四回鳴った。

 音が途切れると、ガードを下げて急いで岩陰に移動する。そこで僕は弾丸が飛んで来た方向を見てみる。が、やっぱり目視できる位置には敵らしき影はない。なので魔力を部分的に、目の部分に集中させて視力を一時的に上げる。

 本来は妖術で隠されたものを見破る技術だが、特異体質の僕は単純に視力を上げるために使ってる。そうして見通しのいい空の向こう側をもう一度凝視してみた。

 だいぶ奥の方に目の前のロボットとよく似たロボットが四体。細々とした違いはあるけど、決定的な違いは右手が完全に大きなライフルの形をしていることくらい。

 

「右手が完全遠距離射撃装備。あっちが歩兵タイプならあれは狙撃兵タイプってとこね」

 

 ヴィロットさんが人間には決して視認できない位置にいるロボットの特徴を言い当てた! 驚いてヴィロットさんの顔を覗くと、目のあたりにオーラが集まってる! 僕と同じように目にオーラを集めたのか?! ……違う、よく見るとオーラはメガネに集まってる。それでメガネに望遠鏡と同じ役割をさせているんだ!

 

「さて、そろそろ始めますか」

「「キュウィン!」」

 

 司令塔のロボットを除く二機のロボットが動き出す。

 両手の指先をこちらに向けこちらへ歩いてくる。両手のゴツイ手の指先は筒状に、おそらく銃口だろう。それをまっすぐこちらに向けている。

 

「私の背中にしっかり掴まってなさい」

 

 ヴィロットさんは僕にそう言うと、隣の岩陰に向かって走り出した!

 

 ズバババババババババババババ!

 

 走る僕たち目掛けて銃を放つ。指一つ一つからマシンガンのように高速で連続して弾が弾き出される。

 銃声と外れた弾が当たった地面からその威力が並ではないことがうかがえる。そもそも銃弾一発一発も普通よりも大きい。

 

「んっ!」

 

 向こう側の岩陰に無事辿り着くと、岩陰に隠れずにその岩を思いっきり蹴って元の岩陰の近くまでジャンプした。そして、銃口がこちらに向く前に一気に駆け出す!

 こちらを追いつめるために相手が近づいて来ていたのでヴィロットさんのスピードなら銃口がこちらに向き直るまでに倒せそうだ。

 生身ではないロボットだからこその油断とも言えるかもしれないね。

 飛んで来た狙撃も大剣を盾にして突っ込む。どうやら狙撃の方は前方のロボットと違って連射はできないみたいだ。その分点の威力は高いが、聖剣の大剣の防御力を突破するほどではないらしい。ヴィロットさんもそのことを見越して突撃したのだろう。

 そしてついに大剣の間合いまで接近することに成功した! ロボットの銃口もまだこちらに向ききってない。遅く見積もっても構え発射する前に振り切れる!

 

「ふん!」

 

 大剣でロボットを()ぎ払う。これで残るは指揮官ロボットと狙撃兵タイプが四機のみ! しかし―――。

 

 バチン!

 

 ロボットは銃口をこっちに向けず、お互いの逆の腕をクロスさせた。すると、前方に電磁バリアのようなものが発生しヴィロットさんの大剣を防いでしまった!

 防がれた反動を受けるヴィロットさん。予想外の出来事に体勢を崩してしまった隙に狙撃兵タイプの銃弾が再び飛んで来る! この体勢では大剣でガードしてしまうと歩兵タイプの餌食になってしまう!

 

「くぅっ!」

 

 絶体絶命のなかヴィロットさんは大剣を何もない所に向かって大きく振るった。すると、僕たちは大剣が振るわれた方向に強制的に引っ張られる。

 踏ん張りを一切せずに巨大で重い大剣を振るい、遠心力で無理やり体を飛ばしたのだ。ナイス機転です、ヴィロットさん!

 回避と同時にできるだけ距離を取った僕たちは、態勢を立て直すべく再び岩陰に隠れた。僕たちはと言っても、僕は振り落とされないようにヴィロットさんの背中にしがみついてるだけだけどね。

 

「一昔前の戦争で使われたかのような古ぼけた機体のクセに」

 

 ロボットの厄介さに悪態(あくたい)をつくヴィロットさん。その表情からどれだけメンドクサイと思ってるのかが簡単にうかがえる。

 確かに古い出で立ちだが、その装備と性能からは古さなんて微塵も感じさせない。外見を変えればまるで最新式の軍事ロボットのようだ。そんな機体が近距離二、遠距離四、指揮官付きでいれば厄介なのは容易に想像できる。

 もう想像と言うか、実際に体験してるけれども。

 

「まずは歩兵タイプをどうにかしないとね。あの連射性能で挟み撃ちにでもされたらヤバイわ。背中は任せる、狙撃兵タイプが回り込んできたら教えてちょうだい」

「はい!」

 

 岩陰からチラチラと歩兵タイプの動きの様子をうかがうヴィロットさん。狙撃兵タイプの動きも見ているがそっちはあんまり見ていない。遠距離の狙撃兵タイプの動きをうかがうのは僕の役目だ。

 どうやらヴィロットさんは戦闘しながらメガネにオーラを集めることはできないらしい。視力を上げるのと道具を使って遠くを見るのではやはり勝手が違うからだ。

 今はメガネを望遠鏡にして見れるが、戦闘を再開するとヴィロットさんは狙撃に気づきにくくなってしまう。戦闘中は僕が狙撃兵の動きに注意しなくては。今のところ狙撃兵タイプも最初の定置からそれ程動いていない。

 

「ッ!」

 

 ヴィロットさんが目で合図した後、何も言わずに再び岩陰から飛び出した。すると再び銃弾の嵐に晒される僕たち。だがそんなもので怯むヴィロットさんではない。

 先ほどと同じように向こう側の岩陰に向かって走る。しかし、今度は少し斜め前を走っている。このまま進めば岩を蹴るには少し遠すぎる位置についてしまう。

 僕の予想通り岩陰の前に辿り着く。もしかして歩兵タイプの後ろに大きく回り込むつもり? でもそんなことをしたら狙撃兵タイプに挟み撃ちにされる!

 そんなことを思っていると、ヴィロットさんは何もないハズの空中を壁のように蹴って上空へジャンプした! さらにまるで空中に天井があるかのように不自然に、見えない壁を蹴って再びロボットの後ろに回り込もうとする! その間に狙撃を受けないように大剣で体を隠す。

 ヴィロットさんが今まさに勢いをつけて見えない壁を蹴ろうとした時、敵の銃弾がヴィロットさんの靴底をかすめる。撃ったのは司令塔のロボットだった。

 大剣でギリギリ隠れきれなかった甘い箇所、だけどそれくらいなら支障はない……普通なら。

 ヴィロットさんは急に踏み外したように空中でバランスを崩して地に落ちる。それを何とか地面に激突する前に空中で一本足で着地した。

 一本足で空中に立ち、敵から狙われる前に一本足で急いで地面へ飛ぶ。地面に降りると今度はしっかりと二本足で近くの岩陰に身を隠す。

 

「チッ、靴底の魔法陣が」

 

 ヴィロットさんは岩陰で破損した片方の靴底を見ながら苦しそうにつぶやく。

 岩陰にいる僕たちに向かって司令塔のロボットが言う。

 

「おおよそ検討はついていた、その靴に仕掛けがある事はな。おまえの使う浮遊術は北欧だけでなく、他の人外共と比べても違いすぎる」

 

 確かに僕自身もヴィロットさんの飛行のしかたには疑問を感じていた。悪魔や天使は翼を使って飛んでいるし、ロキも空中をしっかりと浮遊し、オーディン様も魔法陣に乗って空中を移動していた。悪魔も天使も神も共通して浮遊している。

 スレイプニルやフェンリルはまた別問題で、人型の今まで見た人外たちはみんな空中に立つことはできず浮遊する形で空中を移動していた。

 しかし、ヴィロットさんは大地に立つように空中に立っていた。そういう術があるのは知っていたからそこまで気にはしなかったが、冷静に考えると違和感がある。

 

「空中を歩くための魔道具か、珍しい。飛べないおまえの為にオーディンがわざわざ作ったのか?」

「だったらどうしたって言うの」

「いや、別に何もないさ。ただ愚な判断をした神話体系にしては意外な着眼点だと思っただけだ」

 

 ロボットの声は皮肉ったらしく言う。

 そう言った後もまだ言葉を続けた。

 

「飛行機は飛行能力のない人間が空に憧れたから生まれた。もしも魔法が既に表世界で当たり前になっていたら、浮遊魔法ばかりが浸透し飛行機は生まれなかっただろう。少なくても今のように誰でも当たり前に使える科学技術なんて発展するはずもなかった。だからこそおかしい、いくら空中で戦えない北欧最強の為とはいえそんなものを北欧が開発できることが」

 

 ロボットの声は訝し気にヴィロットさんに問いかける。銃口はこちらに向けたままとは言えロボットたちの動きを止めてまで、こちらに体勢を整えさせる時間を与えてまで。

 

「一体どこの何者だ? その強さ、その装備、その思考、すべてがあの老害がトップに居座り続けている北欧神話で生まれるハズのないものだ」

 

 突如オーディン様のことを老害と言い始めた! 確かにヴィロットさんの話を聞いた限りでは北欧神話のトップとしては良いとは言い難い人っぽかったけども。

 流石に自分のところの主神を老害と言われればヴィロットさんもいい気分にはならないだろうな。……と、思っていたけれど、そんなことはまるで気にしてる様子はなくむしろ次はどうやって攻めようか考えてる様子だ。

 自分のところの神を馬鹿にされていいのかとも思うが、まあ本人がそれでいいなら別にいいかな? 特にヴィロットさん自身無礼(ぶれい)な行為をしてるわけでもないし。

 

「答える理由がある?」

「特にないな」

 

 相手がそう言った瞬間、再び岩陰から飛び出し戦闘態勢に入るヴィロットさん。今度は向こう側へ走らずに大剣を盾に歩兵タイプへ突っ込んで行く。

 敵の銃弾などお構いなしに前方も見えず突き進む。だが僕の感覚からして真っすぐ進めている。銃弾は曲射などできるわけもないので撃たれる感覚で前方の敵の位置を把握してるのかもしれない。

 かなり接近したところで銃声が途絶えた。代わりにヴィロットさんの斬撃を防いだ電磁バリアが展開された時の音が聞こえてくる。

 しかしヴィロットさんは、大剣を盾に構えて体当たりで無理やり相手の体勢を崩した!

 なるほど、防御同士のあいこで強制的に仕切り直しさせたのか! しかもあたり勝ちしたこちら側が圧倒的有利。だけど、大のロボット二機の防御に当たり勝ちするヴィロットさんのパワーって凄まじい!

 体勢を崩しバリアが意味を為さなくなった隙に持ち手を変えてロボットを二機同時に一刀両断するつもりだ!

 これで歩兵タイプを二機処理できる、そう僕は確信した。しかし、指揮官タイプのロボットが言う。

 

「その程度で崩されるようでは戦争では使えない」

 

 ロボットの体の中心から強い力を感じる! 僕はそれをヴィロットさんに伝えようとしたが、僕が伝えるまでもなくヴィロットさんは攻撃を中止して防御態勢に変更していた。

 

 キュゥゥ……バゴ――――――――ンッ!

 

 敵の腹部から太い光線が放たれる! ヴィロットさんは右手で大剣を盾に構え、左手で僕が落っこちないように後ろに手をまわしてくれた。

 受け止めるではなく、逸らせるように受けたので僕たちは回転しながら吹き飛ばされる。

 光線を真正面からでなく受け流す感じで受けたのでそれ程吹き飛ばされはしなかったが、それでもそこそこの距離をかなりの回転速度で吹き飛ばされてしまった。綺麗に地面には着地したが、激しい回転で少し目が回ってしまったよ。

 人間サイズのロボットに搭載されてる程度の光線であの威力を出すために攻撃範囲を犠牲にしているのだろう。ヴィロットさんの大剣の間合いから完全に放されてしまったが、周りの遮蔽物(しゃへいぶつ)は無事だ。これでまた隠れながら慎重な戦いを続けられる。

 それにしても危ないところだった。もしもヴィロットさんが間に合うと踏んで攻撃を続けていれば最悪攻撃前にあの攻撃を受ける、良くて相手を破壊しての痛み分けだっただろう。フェンリルの牙を受けて平然としていたヴィロットさんでも、あの攻撃を至近距離の生身で受けては致命傷になりかねない。それ程の確かな脅威をあの攻撃からは感じ取れた。

 

「本当に、見た目に似合わず高性能な装備を積んでるわね」

 

 僕たちはすぐさま岩陰に隠れて敵の様子を伺う。遠くの狙撃兵タイプもまだ動きはない。

 

「……ッ!?」

 

 岩陰に隠れて前方の様子を伺っていると、背後から別の殺気を感じた! この感じは無機物ではない、生物で間違いない!

 目に魔力を集めて遠近幅広く見れるようにし後ろを振り返る。が、遠くにも近くにも敵らしい姿は一切ない。しかし強い殺気だけは変わらず熱烈に伝わってくる。

 あと何かわからないけど、景色に微妙な違和感を感じるのはなぜだろう?

 

「グルル……」

 

 小さくだが何かの(うな)り声が確かに聞こえた。なに、一体何が近づいて来ているの!?

 

「ヴィロットさん、後ろからも……!」

 

 後ろからも何か殺気を感じると言おうとした時、体が突然反応した! 全く意識しないまま僕は何もない所を魔力を()めた右足で蹴っていた。 すると―———。

 

「ギャゥン!」

 

 何かを蹴った感触と共に犬のような鳴き声が聞こえた!

 僕が何かを蹴りそれが鳴き声を上げると、それに反応したヴィロットさんは大剣を構えたまま後ろへ薙ぎ払った。そのおかげで僕が蹴った相手と強制的に距離を取ることができる。

 とっさにだったのでカウンターでも怯ませる程度の魔力を籠めることしかできなかったので助かりました。

 ヴィロットさんの大剣で薙ぎ払われたことでその生物が姿を現した。

 僕たちに襲い掛かって来たものの姿は狼のような生物だった。狼のような生物と言ったのは、それが狼とは似て非なるものだったから。

 大きさも姿も狼なのだが、明らかに狼ではありえない余計な部位が付いている。

 フェンリル並みに鋭い爪や牙を備えているが毛は一切なく、爬虫類のような皮膚に退化したような蝙蝠の羽が付いている。一応ベースは狼なんだろうとわかる姿をしてはいるが誰が見てもこれは狼ではない。

 

「ガグゥ!」

「グルルルル!」

「ガウガウゥゥ!」

「ガァーウ!」

 

 それも一匹だけではない、全部で十三匹もいる。全員が殺意むき出しで唸り声を上げこちらを狙っている。

 その瞳は血に飢えた獣と言うよりは、僕たちを殺すことしか頭にないようなある種機械的な瞳に僕は見えた。

 

「チッ、邪魔しやがって」

 

 指揮官のロボットが忌々しそうにつぶやいた。

 どういう関係かはわからないが、このロボットはこの狼たちを知っている。忌々しそうに言ったあたりから良好な関係でない可能性が高いがそんなのは今はどうでもいい。どちらにせよロボットと狼、両方から狙われているのは変わりない。

 

 ギュィィィ

 

 ロボットたちが再び動き出す。幸いなことにあのロボットは歩みは見た目通り鈍いのでこの距離ならまだ安心できる。だけどあまり時間をかけてしまうと事態は悪化するばかりだ。まさしく前門の虎、後門の狼だ。

 その後門の狼たちも厄介な動きを見せる。

 

「ガグァァッ!」

 

 目の前の狼たちの姿が徐々に景色と同化して見えなくなっていく。

 魔力やオーラなどの(たぐい)は一切感じない、これは一体……!?

 

「なるほど、カメレオンみたいに周りの景色と同化できるのね。でも、動物がこんな完璧な光学迷彩を使うなんて」

 

 ヴィロットさんが目の前の現象を考察する。なるほど、それで僕でも見ることができなかったのか。

 術を使ってるわけではないので僕の違和感を見る目は完全には発揮されず、代わりに景色に見えない異物が混じっているのが違和感となって感じ取れたのだろう。

 あの日から自分自身の変化について理解できないことが多々あるが、これでまた一つ自分のことが理解できた。

 この目は正常でないものは異能なら見破り、科学的なものでも違和感として感じ取ることができるんだ。

 

「グゥゥ、グガァウッ!」

 

 ヴィロットさんは襲い来る見えない狼を大剣で撃退していく。見えない相手だが注意深く観察すれば小さな唸り声や足音で何とか対処できないこともない。ヴィロットさんの持つ大剣の攻撃範囲の広さがあればある程度大雑把な防御でも対処は可能だ。

 防ぎながらも地道にだが反撃にも打って出ている。判断が付きやすい攻撃に対しては攻撃に攻撃を合わせたり、攻撃に失敗した狼に対して軽く追い打ちをかけたり。

 生身の獣の皮膚を切り裂くくらいなら軽い反撃でも十分こなせる。それも積もれば確実にダメージとなる。だが、狼たちは攻めの手を一向に緩めない。

 実はヴィロットさんの薙ぎ払い攻撃の時点で数匹の狼は深手(ふかで)を負っている。下顎に傷を負っているのや顔面に傷を負っているのもいれば、鼻先が完全に潰れてしまってるのや腹部から大量の血を流してるのもいる。

 それでも狼たちは一切の弱みも苦痛も見せず、まるで殺意以外の感情がないかのように僕たちを狙い続けている。そんな狼が多少深手を負ったから怯むはずがない。おそらく足をもがれてもこちらに噛みつこうとするだろう。

 

 キュゥゥ……。

 

 背後から嫌な音が聞こえてくる。しまった、もたもたし過ぎた!

 幸い、あの砲撃は威力は高くても()めが必要なので音が聞こえた時点でもまだ猶予はある。チャージ音はヴィロットさんの耳にもしっかりと入っていたようですぐに回避行動に移る。

 

 バゴ――――――――ンッ!

 ズバババババババババババババ!

 

 僕たちのいた背後一直線に光線が障害物を消滅させながら伸びていく。それに加えて銃撃も飛んで来た。片方が砲撃でもう片方が銃撃を行ったのか。

 僕たちはそのどちらも無傷で躱すことができたが、光線の砲撃と銃撃に巻き込まれ狼たちの三分の一ほどが倒れ動かなくなっている。砲撃で完全消滅してる部位もあるので正確な数はわからないが、銃撃に巻き込まれ原型が完璧に残っているのが三分の一なので確実に半分は減ってるだろう。

 

「獣共を相手にしながらもこの攻撃も凌いだか。北欧神話なんかにはもったいない程の兵士だ。だからこそ残念だ、君が女であることが」

 

 指揮官タイプが二体のロボットの後ろから本当に残念そうに言った。

 

「その勇猛さはむしろ後ろの男にこそもってもらいたいものだ。まあ、彼はあっちの二天龍の力程度でいい気になってる悪魔たちよりもずっと見どころはあるがね」

 

 さらに僕のことを言ったかと思えば向こうの一誠たちを(けな)し始める。

 

「弱者に従って行くよりも、強者に引っ張って行ってもらいたい。大衆とはそのように怠惰で無責任な存在である。ただ感知能力が優れてるだけの弱者の彼が、君のような強者に引っ張ってもらいたいと思うのは至極当然なことだ」

「グァル!」

 

 悠長にお話ししてる間に狼の方が唸り声を上げた。姿は見えないが、僅かな足音からこちらに近づいてくるのがわかる。

 

 チュン! チュン!

 

 僕たちの後ろの地面に二発の弾痕が生まれた。それにより狼の足音が少し遠ざかる。僕たちを助けてくれた?

 ヴィロットさんもその弾痕を横目でチラッと見て、すぐに目の前のロボットたちに目を戻す。

 

「だが悲しいかな、君は女性だ」

「何か問題でも?」

「もちろんさ。女性は神聖な存在だ。価値ある血統の血を紡ぎ、繁栄させることができる唯一の存在。特に君のような強く美しい高潔な血が戦いで傷つき失われることは何よりの損害だ」

 

 男の声はヴィロットさんを()めちぎる。しかしヴィロットさんの心は全く乱れない。ただ後ろの狼も遠方のロボットも目前のロボットも等しく同じように警戒している。

 それでも変わらず男の声は言い続ける。

 

「君が誇り高き意思を持つことはよくわかった。そしてその誇りを全うする心身の強さも。人種は違えど、私は君のような勇気ある者に敬意を表す。優れた人間は生き残るべきだ」

 

 ロボットの体を動かして言葉と動きで訴えかける男の声。信用できるわけではないが、妙に説得力を感じてしまう。

 

「私が目指す世界には君のような優れた人間が生き残らなくてはならない」

「貴方が目指す世界? その力で世界の支配者にでもなろうってわけ?」

 

 今まで自分を認め褒めちぎった相手に対しても敵意が籠った言葉を投げかける。僕に言われた言葉でもないのに僕は心を揺さぶられてるのに、当の本人であるヴィロットさんは揺さぶられることなく言葉の裏を探っている。

 冷静に考えてみれば、相手は僕たちを監視し狙撃までしてきた相手。さらについさっきまで命のやり取りをしていた。狼から少しばかり救ってもらい説得力を感じさせられたからって精神を乱していい相手じゃない。僕もまだまだ甘さが抜けていない! もっと精進しなければ!

 ヴィロットさんの敵意の問いに男の声は真剣な声色で答えた。

 

「もし私が黄金の馬車に乗れば国民は私のことを信頼しなくなるだろう。私の目標は、世界の指導者となることだ」

 

 世界の指導者? 結果的に支配者とあまり変わらないような気もするが、やっぱり言葉を変えてるからか今までの支配を主張する相手とは違うように感じる。

 男の声はさらに言葉を続けた。

 

「今世の中は間違っている。聖書の勢力が弱き人間たちを食い物にし、他の神話勢力もそれを間違いと思わずに黙認! 明らかに歓迎されるべきでない聖書の害悪共が良きものとして扱われる世界の(みょう)! 身勝手な平和を(うた)い、聞こえのいい言葉を並べる。それにより他の神話勢力が聖書勢力同様に嬉々として腐敗と混沌へと足を踏み入れる。君ならわかるだろう? 無能な主神が耄碌した考えで間違った平和へと進もうとしているのが! それでいいのか? いいや違う! だからこそ、私がこの手で間違いを正さねばならない!」

 

 男の声は、ロボットの体で身振り手振りで演説を始めた。その内容はとても共感できる。聖書のトップたちがどれほど身勝手なことをしているか、その一端しか知らない僕でさえそう思ってしまうほどに。

 確かに三大勢力は平和を唱え、今までの悪い習慣を改善しようとしてるのは知っている。だが、自分たちが現在行ってる悪行を改善しようとしてる姿勢は全く見られない。悪い習慣の改善も自分たちにとって害になるものだけに見える。

 天照様自身昔はよい神様とは言えないことをやって来た。なので良くない行いをした相手も改善しようとする姿勢と努力が見られれば強く責めることができず容赦する。

 しかし天照様は三大勢力に対して一切の容赦は見られなかった。つまり、最低でも日本で起こってる三大勢力による弊害が改善されてるように見えないと言うこと。

 天照様の口から出る三大勢力に対しての愚痴は古いものから割と新しいものまであった。これは改善されるどころか被害を増やしてることの証拠だ。

 

「こんな世の中で自らの正義を貫き通す君にはその力がある。剣を収め、我々に協力してほしい。平和で正しい世界を共に取り戻そう」

 

 ヴィロットさんは男の声のロボットをじっと見る。指揮官タイプのロボットも二体のロボットの後ろの隙間からこちらを見ている。

 先ほどまで銃口を向けていたロボットは両手の銃口を下げて攻撃の意思がないことを示す。

 説得を受けたヴィロットさんは剣のガードを下げて言った。

 

「信じてみようと思えたわ」

「ならばその証拠として剣をこちらに渡してくれ」

「信じていいんだな?」

「ああ、もちろんだ。君たちの安全は保障しよう」

「だが断る」 

 

 ヴィロットさんはハッキリとした声で男の声の説得を断ると宣言した。そして剣を持ったまま両手の風穴の空いた両手が相手に見えるように向けた。

 

「私も明確な意思をもって剣を持った。この両手の傷跡はその覚悟の証。私にも私が目指す正義がある。世界平和を目指すもの同士互いに争わないと言う提案には賛成だけど、私はあなたの正義に乗っかるつもりはない」

 

 争いは止めるが仲間にはならない、そうヴィロットさんは言った。

 どうやってそんな傷をつけたかはわからないが、そこまでの傷を負うほどの覚悟の正義、そう簡単に他人に任せることはできないと言うことか。

 

「あなたたちの目指すものが真の平和なら、いつの日か道は交わり手を取り合える日が来るでしょう。その日が来るのを私は心より願うわ」

 

 厳しい口調で否定したが、最後は優しい口調で言った。ついさっきまで(あら)ぶっていたヴィロットさんの気配も優しい落ち着きに変わっている。

 そう言われたロボットの方はどうだろうか? 外見は無生物の機会なので様子から反応は全く分からないが、それを操作し会話していたのは紛れもない人間。

 ヴィロットさんの返しに対して男の声は――――。

 

「危険な思想だ。我が障害は完璧に排除する、完全にすべての手段を使ってな」

 

 冷たい声でそう言い放った。

 その言葉と同時にロボットたちの銃口が一斉にこちらに向く。

 

「結局そうなるか」

 

 ヴィロットさんはため息交じりにそう言いながら再び剣のガードを上げた。

 銃撃の音と共に静止していた狼たちも動き出す。中断されていた戦闘が再び再開された。

 まず敵に挟まれている状況を脱出するべく真横に向かって走る。二つの攻撃が一方に集中してしまうが、挟まれるよりはマシだ。しかし、狼たちの足音から動く僕たちに合わせて後ろを取っているのがわかってしまう。

 同じ獲物を相手にしてるとは言え狼たちは敵の敵であるはずのロボットに撃たれた。なので僕たちを盾にしているのかもしれない。それとも単純に背後を取ってるだけかもしれないが、どちらにせよマズイ状況には変わりない。

 隙をうかがって遠距離タイプからの攻撃も加わる。

 後ろに気を取られ過ぎてガードが(おそそ)かになれば歩兵タイプに撃ち抜かれ、前に集中すれば後ろが危なく、前と後ろだけに気を配れば遠距離射撃、走りを止めれば狼に襲われ、しかし走りながらでは体力を減らすジリ貧状態。ずっと不利な位置取りを強いられている。

 

「防戦一方だな、後ろの荷物を捨てればまだ戦いらしい戦いになるんじゃないか?」

 

 銃声の中男の声が言う。仲間を見捨てろと悪魔の(ささや)きのような言葉だが、確かにその通りだ。

 ヴィロットさんは後ろの僕を気にして必要以上に消極的な動きを強いられている。もしも僕がいなければ現状を打破するべく攻めに転じれるはず。それができないのは他でもない、僕が後ろにいるからだ。

 僕一人でも自分の身を守る自信はある。それにヴィロットさんがそんな人ではないことも短い付き合いながらわかってる。が、見捨てられることを考えると恐ろしく怖い。

 見捨てられ、死んでしまったあの日の記憶が蘇ってくる。想像すると自然と体が震えてくる。

 離れてもいいと思う反面、離されるのが嫌だと思ってる自分がここに居る。

 そんな僕にヴィロットさんは言ってくれた。

 

「安心して、絶対に見捨てないから」

 

 背中で震えていた僕にそう言って安心させてくれた。

 前と後ろと遠方に気を配りながら僕を抱えて一人で戦ってるのに、背中で怯えていた僕にまで気をまわしてくれるなんて……。

 

「あまり無理をするな、二人とも死んでしまっては意味がないぞ」

「私はこの子に二度も命を救われた! 命の恩人を、心優しき善人を、この命に代えても絶対に死なせるもんかッ!」

 

 背中越しにヴィロットさんの熱い覚悟が伝わってくる。その想いが僕の中を走り抜け、僕の心に突き刺さった。それにより僕の震えがピタリと止まる。

 

「馬鹿々々しい考え方だな。並外れた天才は凡才に対して配慮する必要はない」

 

 男の声はそんなヴィロットさんの覚悟を嘲笑(あざわら)うように言い放った。

 腹の立つ言われ方をされたけど不思議と怒りがこみ上げてこない。むしろ「ああ、この人にはわからないんだろうな」と思うだけ。自分の正義を馬鹿にされて怒らないヴィロットさんも同じような気持ちなのだろうか。

 ヴィロットさんが体を張って覚悟を証明したのに僕はどうだろうか? 戦える力があるクセにバレたくないからと非力を装って戦わないのはいかがなものだろうか? 

 僕は何のために強くなった? リアスさんたちを見返すため? 強くなるのがただ楽しかったから? 日本の為に戦うため? 否、僕を認めてくれた大好きな人たちの力になりたいと思って強くなったんだ! 

 ヴィロットさんは僕を認め命がけで守ってくれた大好きな人だ! そんな大好きな人の為に力を使わなくていつ使う? 僕は炎の大きな手を創り出し、前方のロボットの銃撃を防ぎながら相手を押し倒した。そして、手の炎を分解させ縄状にし二体のロボットを拘束する。

 ヴィロットさんはその炎の出所である僕を見て驚いた顔をした。

 

「すいません、ヴィロットさん。実は僕、見た目より弱くはないんです。横に並んで戦える程強くはないですけど、自分の身は自分で守れるくらいの力ならあります」

 

 できるのにやらなかった僕はヴィロットさんに大きな負担を強いてしまった。だけど今なら間に合う! ここなら人目を気にする必要なんて一切ない!

 

「ヴィロットさんは目の前のロボットにだけ集中してください! 後ろの狼たちは僕が相手をします!」

 

 僕がそう言うと、ヴィロットさんは大剣にオーラを溜めて後方を薙ぎ払った。そして足にもオーラを溜めてすぐ近くの岩陰に身を隠す。その時、僕の炎の拘束が岩陰に隠れる際に引きちぎられてしまったのが見えた。

 だけどこれで一時的に狼たちを後方に下げさせて距離を取り、前方の銃撃を防ぐことができる。だがこんな方法が通じるのはせいぜい最初の一回だけだろう。

 そこで僕を降ろして僕の顔をじっと見て――――。

 

「―――背中は任せたわよ」

 

 そう言って僕に背中を向けた。

 ただ後ろに注意するだけでなく、本当の意味で僕に背中を預けてくれると言われたのを確信した。まるで尊敬する大人から一人前と認められた子供のような嬉しさが込み上げてくる。

 実際のところ僕はまだまだ半人前もいいところだ。攻めにうまく転じれないし、得意な防御にもまだまだ穴がある。それでもそんな言い訳を今するわけにはいかなくなった。

 今だけは一人前の男として、プロとしてのプライドを持って! 半人前だからなんて甘えは通じない、本気の全力で持てる力すべてを使って成し遂げる!

 

「行くわよ!」

「はい!」

 

 僕たちはさっさと岩陰を出るとお互い背を向けた。ヴィロットさんはロボット側、僕は狼側へ。

 手の中で形成した炎を僕とヴィロットさんの境目に線状に伸ばす。そして、その炎の線から炎の壁を出現させた。長く、そして分厚く。

 これでロボットの銃撃は僕へは届かず、狼たちはヴィロットさんの方へは行くことができない。

 

「さあ、反撃開始だ!」




 思った以上に長くなったのでここでいったん切ります。

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