考えていた設定を少し修正して最新話と共に新たに投稿しました。
勝手な作者でごめんなさい。
目的地に向かう間、皆無言だったが青年は気になることがあった。
青年「・・・・聞いていいか?」
ピアスの男「・・?」
青年「そのプルプルした奴は何者だ?」
青い物体「私ですか!?」
然程重要でもない事だった。
突然の質問にも拘わらず、訊かれた本人(?)は自己紹介をした。
一応走りながら。
青い物体「私はグリフォン加藤といいます。グリフと呼んでください。こちらはプルー様です。」
小動物「プーン!」
ピアスの男「俺はムジカだ。盗賊団
青年「(盗賊団・・?)あと、広場に急いでいた理由を聞いてもいいか?」
ムジカは短く急いでいた理由を話した。
曰く、
博物館で別れたエリーという少女を探しているとムジカの子分の一人が駅前広場で男と抱き合っているのを見たというのだ。
その男の特徴を聞いた途端、ハルという少年が駆け出したらしい。
残されたムジカ達も駅前広場を探していたところ、占い師の老婆に会い、ハルがエリーに刃を突き立てる光景が水晶に映し出されたのを見て焦った。
急いで駅前広場に向かうが、道が入り組んだ場所に出てしまい焦燥感に駆られ苛立ってしまう。
青年はそこに偶然居合わせたようだ。
ムジカ「二人共無事でいてくれよ・・・・!!」
プルー「プーン・・・・!!」
青年「・・・・」
暫く走ると駅前広場が見えてきた。
しかし、そこに居たのは青い長髪の男と、緑のウェーブの髪の女だけだった。
男女の前には大きな黒い球体がある。
二人以外には誰もおらず、ムジカ達の探しているハルとエリーらしき人影も見えない。
ムジカ「青いロン毛に右頬に紋章のある色男・・・・エリーが会っていた男ってのはアイツだな」
グリフ「女の方は何者なんでしょう・・?」
青年「・・あの二人が何者であれ、あまりいい感じはしないな」
気取られないように近づき、影から様子を窺う。
女「ねぇジーク・・もう戦いは終わった?」
男=ジーク「レイナ 何しにきた」
ジーク「・・・・!?」
レイナ「裏切り者を生かしておくほど甘くないのよ。ウチの組織はね」
ジークの体をレイナの持つナイフが貫いた。
周囲に鮮血が飛び散る。
次の瞬間、青年とムジカは駆け出していた。
ムジカ「内輪もめはそれくらいにしておけ」
レイナ「誰!?」
青年「アンタ大丈夫か!?」
ジーク「っ・・・・」
ムジカはレイナの両手を後ろで縛り、拘束する。
青年はジークの元に駆け寄り、刺し傷を診た。
青年「(致命傷は避けている。これなら持っている薬でなんとか・・・・)」
ムジカ「おいハルとエリーはどうした?」
レイナ「フン・・二人なら
ジーク「・・・・!!」
レイナのその言葉にジークが過剰に反応した。
ジーク「なんだと!!女もあの中に入ったのか!!?」
青年「(何を慌てているんだ・・・・?)落ち着け!傷口に障るぞ」
レイナ「丁度良かったじゃない。邪魔な二人をまとめて始末できて」
ジーク「あの二人を近付けてはならない!!
会話から推測すると、ハルという少年がレイヴの使い手「レイヴ
そのハルは今エリーと共に黒い球体の中。
球体の正体は分からないが、兎に角二人を救出しなければならない。
ジークの応急手当を終え、球体に近付こうとすると・・・・
ナハト「ぐっ・・・・!?」
ムジカ「な・・なんだこれは!!」
ジーク「
突然球体が割れ、凄まじい衝撃波が周囲に広がる。
それと同時に割れた球体から銀髪の少年が飛ばされてきた。
ムジカ「ハル!大丈夫か!!」
少年=ハル「俺は大丈夫!エリーが・・レイヴが光った途端エリーが!!」
球体のあった場所を見ると、栗毛の少女が宙に浮かび上がっている。
彼女がエリーらしい。
エリーから衝撃波が発せられているようだが、エリーは気を失っているようだ。
青年「何がどうなっている!?」
ジーク「
エリーを中心に大地が震え、亀裂が奔る。
レイナ「何なのよ!この女!!ムカつくわね!!」
ムジカ「な・・いつの間に・・・・」
ムジカ達の方を見ると、何故かレイナがムジカの拘束から逃れていた。
レイナ「殺してやるわ!!」
ムジカ「エリーに近付くんじゃねぇよ!」
レイナはエリーを殺そうと駆け寄る。
ムジカもそれを阻止すべく、後を追う。
だが、エリーから発せられる衝撃波が強くなり、二人共吹き飛ばされてしまう。
青年も耐えるので精いっぱいだ。
レイナ「きゃっ」
ムジカ「すげぇ衝撃波だ」
レイナ「ちょっとジーク!何なのコレ!近付けないじゃない!!なんとかしなさいよ!!」
ジーク「・・この圧倒的な魔力の前では俺の力など無に等しい・・・・この場にいる者よ・・よく聞くがいい。世界が終わる最後の時だ」
ジークはハルの方へ振り返り語り掛ける。
ジーク「さあ、どうする レイヴ
ジークの問いにハルは答えない。
迷いのない顔で一歩ずつゆっくりと前に進み、
剣を構えた。
ジーク「・・ははははははは」
ムジカ「何が可笑しい!?」
ジーク「それでいい、迷うなハル!女を殺せば世界を救える可能性がある。世界を平和に導く者としては当然の選択!」
ムジカ「そ、そんな・・まさか・・・・」
ムジカ達の脳裏に占い師の老婆の言う『
ジーク「しかし、これでお前の信念は崩れ落ちる。平和に犠牲はつきものなのだ。そのために女を殺せ」
ムジカ「こんな事あり得ねぇだろ!!ハル!!」
青年「本当にやる気なのか・・!?」
ハルは魔力が暴走しているエリーの元へ辿り着き、剣を頭上高く掲げる。
ジーク「最後に一つ言っておこう。その女を殺しても
ムジカ「ハル!!聞くな!!コイツの言う事を聞くんじゃねぇ!!」
そしてハルの剣は
ムジカ「やめろォ!!」
勢いよく振り下ろされ、
ハル「エリー・・・・レイヴを信じろ!!」
広場は閃光と爆風に包まれた。
光が消え、周囲に発せられていた魔力が消える。
ハルはエリーを貫いている剣を引き抜いた。
辺りが静まり返り、最初に声を出したのは、
エリー「・・・・あれ?あたし・・・・どうしたの?」
ジーク「な・・・・どういう事だ!!」
ムジカ「た・・確かに刺したハズだ」
青年「ああ、俺もこの目で見た」
普通なら死んでもおかしくない状況だったハズだ。
だが、エリーの体には剣を刺した痕がない。
疑問に思っているとハルがその種を明かした。
ハル「そうか・・この剣を見るのは初めてか・・
ハルは剣を自らの腕に当て振り下ろすが、腕は斬れずにそのままだ。
ジーク「俺が知りたいのはそこじゃない‼
ハル「封印した、この剣でな」
青年「そういうことか・・・・」
ジーク「封印だと・・?そんなことが・・」
ハル「確かに賭けだったよ・・・・でもこの剣・・
ジーク「そ・・そんな答えがあったとは・・・・これがレイヴ
ジークの言葉にハルは笑みを浮かべて答えた。
ハル「いや信じる力だ。それこそが俺達の全てなんだ」
ジーク「・・・・俺の負けか」
そう言ってジークは倒れ伏した。
これで終わりかと思われたが・・・・
レイナ「さてと・・裏切り者のジークの代わりに私が少し遊んであげようかしら、レイヴ
ここでレイナが前に出てきた。
ハル「なんだよおまえ。
ムジカ「チッ・・厄介な・・!」
ハルは剣を構え直す。
青年やムジカも臨戦態勢を取った。
その時、辺りが暗さを増した。
青年「暗くなった・・?」
ハル「アイツの技か」
ムジカ「いや・・違う・・」
ムジカは上を見て言った。
全員が上を見ると巨大な何かが飛んでいた。
その正体は・・・・
ハル「ドラゴン!!」
青年「だけじゃない・・・・人も乗ってる」
大剣を携えた金髪の男が黒いドラゴンの上に乗っている。
そしてドラゴンはレイナの近くにゆっくりと降り立った。
レイナ「ジェガン!!何しに来たの!?邪魔する気!?」
ジェガンはレイナに対し、言葉も掛けずドラゴンに乗るよう促す。
レイナ「嫌よ!これからが面白いところなんだから」
ジェガン「キングの命令を無視するのか」
ジェガンの行動に逆らうレイナだったが、ジェガンの一言で態度を一変させた。
その言葉に強気だったレイナは初めて怯えを見せた。
レイナ「・・・・わかったわ、帰るわよ」
軽く舌打ちをし、レイナはドラゴンに乗った。
そして、ドラゴンは翼を広げて飛び立つ。
レイナ「また会いましょハルくん。それまでにはもう少し強くなっといてね」
そんな言葉を残し、レイナとジェガンは去っていった。
ハル「行っちまった。くそ、逃げやがって」
ジーク「いや・・・・寧ろ助かったというべきだろうな」
横からの声に振り向くとジークが起き上がっていた。
ジーク「あの女とドラゴンの男・・あいつらは
ハル「
ジーク「お前はその内の一人シュダを倒したらしいが残りの五人はあまく見るな・・五人とも俺と同格かそれ以上の強さ・・」
青年「(既に一人倒していたのか)」
ジーク「さらにそいつらを束ねている者こそ
ジークからの情報を聞き、ハルは驚きを隠せなかった。
ハル「レイヴ・・・・!!お前、レイヴある場所知ってるのか!?」
ムジカ「ハル・・何でもかんでも信じるんじゃねぇ」
ハル「けど・・・・」
ジーク「
そう言ってジークは踵を返す。
ハル「お前・・・・」
ジーク「勘違いするな」
ハル「・・また、今度エリーを虐めに来たらその時は許さねえ、必ず倒してやる」
ジーク「フン・・・・」
その言葉を最後にジークは立ち去って行った。
時計塔から流れる鐘の音を聞きながら。
プルー「プーン!!」
グリフ「エリーさ〜ん!」
エリー「プルー!グリフ!」
離れた所にいたプルーとグリフが駆け寄ってきた。
エリーの胸目掛けて飛び込んだ二人(?)を優しく抱きしめる。
グリフ「エリーさんがご無事でよかったです~!」
エリー「心配かけてごめんね。ムジカも・・・・」
顔をプルーとグリフからムジカの方に向け、そして更に視線を隣に移す。
青年と視線が合い、ハルとエリーは首を傾げた。
ハル・エリー「「・・・・誰?」」
ムジカ「そういや俺も、こっちは名乗ったが、アンタの名前は聞いてなかったな」
そう言えばそうだったな、と思いながら青年は自己紹介をすることにした。
青年「そうだったな。俺はナハト。ナハト・レスタニク。しがない旅人さ」