Monster Hunter 《children recode 》   作:Gurren-双龍

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おはこんばんちは、Gurren-双龍です。

なんか書けたので投稿しました。切り方悪い気がしますが、時間もモチベも途切れたのでご了承ください。

では、どうぞ


第3話 初めて剣/銃(ぶき)を握った日

2011年 5月27日

 

「っはー! 疲れたー!」

「んっ! 流石に座りっぱなしはキツイな」

「ハッハッハ! では、今日はこれで講義を終える! 気を付け、礼!」

『ありがとうございました』

 

 梅雨時が近い日の夕方。今日も、〈ハンター〉訓練生として課せられた講習の一つを終えた。

 今日のテーマは『ハンターの社会的立場』。〈ハンター〉は刑罰に関して、普通の人より力が強い分、傷害罪などは本来のものよりも重い罰が下り、更に真癒(まゆ)さんのような特殊な〈ハンター〉——〈龍血者(ドラグーン)〉には、全ての罪に下る罰が、普通の人の、大体1.5倍ぐらいの物になるとか。

 因みに〈龍血者〉とは、普通の〈ハンター〉のように、特殊ナノマシンによって更なる龍力を得るのではなく、〈モンスター〉の持つ特殊な部位である『天鱗』や『宝玉』から抽出された、〈天龍力(アルズマ)〉に適合した、特殊な〈ハンター〉の事だ。その力は未だ未知数で、かつて人類を救った〈原初の狩人達(プライマルズ)〉もそうだったと言われている。

 教官いわく、『〈龍血者〉が先に作られ、その廉価版として出来上がったのが今の〈ハンター〉の力』とのこと。その性質ゆえ、ある意味では〈龍血者〉も〈モンスター〉と言える。また、そんな性質なので、社会的立場も何度か変動したらしい。一時は実験動物(モルモット)並の立場になりかけた事も。現在はマトモな立場にある模様。しかし、適合率が高い人間が少ない上に、当然だが、〈ハンター〉である事が第一条件であることから、適性者も現役の数も、そんなに多くないらしい。

 今日の講義の内容はこんな感じだ。中々面白い内容だったと、個人的に思う。歴史的背景を学ぶのは結構好きなので、こういうのはもっとやりたかったりする。

 

「ねえ教官、アタシ達、いつになったら実践訓練が出来るの?」

「おい冬雪……」

 

 今回の講義を思い返していると、冬雪が教官に突っかかっていた。実はこれで四回目になる。どうにも、冬雪は何か焦っているようで、一週間前にもこんな事を尋ねていた。その時、教官は「座学講義が一通り終わったらだ」と返したが、未だ冬雪はそれに納得がいってないようだ。

 

「いい加減にしろよ、教官も前に答えたろうが」

「アンタには聞いてない!」

 

 睨まれた上に怒鳴られた。しかしその表情はこころなしか、初めて見た時より焦りが含まれてるように見えた。

 

「おいふゆ——」

「ハッハッハ! そうかっかするな。ちょうど良い、諸君にいいニュースだ!」

 

 俺が何か尋ねようとしたところで、教官が割り込んできた。いいニュース……何だろ?

 そんな俺達の疑問を他所に、教官は教壇に戻った。それに釣られて、俺達も席につく。

 

「本当は明日の朝に知らせる予定だったが、致し方ない。諸君には明日から地下三階にある『特殊訓練室』にて、実践訓練に励んでもらうことになった!」

「「!」」

「お知らせは以上だ。詳しい場所は他の人に聞くといい。時間は明日の朝に来る通知と一緒に知らされるだろう。それでは改めて、解散!」

 

 ……思ったより早かったな。あと一月は講義があるのかと思ってたが、何にせよ早くから経験を積めるのは嬉しい事だ。冬雪なんて、隣からでもわかるぐらい喜びで打ち震えてるし。

 

「よっしゃ!! 明日から頑張るわよ!」

「だな。 さーて、明日に備えて取り敢えず部屋に戻るか」

「あ、そうだ。アンタの部屋に行っていい?」

「却下する」

「即答!?」

 

 当たり前だ。明日に備える、つったろうが。休ませろ。そう返すと、なんか返答に詰まってる様子だった。……聞くだけならタダだよな。

 

「因みに、理由は?」

「お姉ちゃんの所まで案内してよ」

「帰って寝るわ」

「ちょっ、なんか奢るから!」

「いらんわ!」

 

 ホントに何なんだ。何故俺なんだ。

 

「ケチねアンタ!」

「はぁ……分かったよ。んで、何で真癒さんとこ行きたいんだ?」

「実は……今思い付いた事なんだけどね、お姉ちゃんに明日の訓練見て欲しいな〜、って」

「だからそれを頼むために会いに行きたい。しかしどこにいるか知らないから誰かに頼もう。そして一番近くにいたのが俺、と」

「そういうことよ。お願い! この通り!」

 

 わざわざ両手を合わせて頭まで下げてきた。……仕方ない。流石にここまでやられては無視出来ない。

 

「分かったよ、来い」

「ありがと!」

 

 何はともあれ、部屋に戻るか。真癒さんの所にはそれからだ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「ちょっと待ってろ、着替えるから」

「分かったわ」

 

 冬雪を一旦部屋の外で待たせ、取り敢えず荷物を机に置いておき、クローゼットから服を出して着替えた。

 

「いよいしょ……っと、ふぅ……」

 

 着替え終えたので、取り敢えず部屋の外に出て冬雪を呼ぶか。

 

「おーい、終わったから行くぞ」

「あ、上田。……あのね、頼んどいてアレなんだけど……やっぱいいや」

「は? 何でだよ」

 

 どこかバツが悪そうに、頭を指先でかいていた。しかも明後日の方を向いて。

 

「さっきね……お姉ちゃんがここを通ったの。その時に教えてもらったから、もう案内はいいわ!」

「そのふんぞり返った態度さえなければ、許してやるつもりでいたんだが、ムカつくのでお前をしばく」

「そう易々とやられないわよー!」

「逃がすかコラァ!」

 

 追いかけっこがスタート。後で聞いたことだが、真癒さんは来れるそうだ。俄然やる気が湧いてきた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

5月28日

 

「あ、ポストになんか入ってる」

 

 午前八時ちょうど。着替えを済ませ、これから食堂に行こうと思っていたら、ドアに付いているポストに、プリントが入っているのが目に入った。昨日教官が言っていた、実践訓練の通知だった。場所は言われた通り『特殊訓練室』、時間は午前十時。各自、武装用のコンパクトデバイスを装着すること、とのこと。

 コンパクトデバイスって確か……初日に渡された、量子化された装備が入れられたデバイスか。〈ハンター〉の武装は、基本的に龍力が含まれた金属や、〈モンスター〉の体の一部を使ったものがほとんど。しかし、死んだ〈モンスター〉は段々と形を崩し、そのまま原子レベルまで散り散りになる。そして再び、何かしらの影響で龍力が集合し、一つの〈モンスター〉に生まれ変わる。らしい。

 そんな、放っておくとバラバラになってしまう物を、どうやって素材にしているかと言うと、龍力物質そのものを構成する特殊粒子——〈龍子〉を使い、細胞を繋ぐように固着させてるとの事。これで崩壊を防ぎ、そのまま素材にしているとのこと。

 因みに、固定した龍子はそのまま〈モンスター〉の死骸と融合し、龍子の性質を持った素材になる。龍子は量子化出来るため、専用デバイスに収納して持ち運びが可能。だから一々、各支部に戻る必要が無い。

 講義では、大体そんな風に言ってたはずだ。要は、使い回せるホイ〇〇カプセルのような物、って訳だ。

 

「確か……引き出しにしまってたかな……あったあった」

 

 俺のは腕時計型。因みに白と黒のモノクロ。デザインは自分で決めていいというのは、一つのファッションに出来るため、このシステムは結構好評だ、って真癒さんが言ってた。

 

「そう言えば、装備何にしてたかな……」

 

 このデバイス、ポ〇モンのゲーム版のように、専用の装置と接続すると、武具の内容を見ることが出来る。また、登録した装備内容を編集することも出来る。アイテムに関しても同様との事。しかしこいつ単体では、装備の着脱とGPS機能しか出来ないので、そこは忘れないようにしないといけない。

 

「取り敢えず食堂いくか」

 

 確か、食堂にも装置はあったはず。飯の後にでも確認しようか。

 

 

◇◆◇◆◇

「ごちそうさま……と」

 

 和食定食、完食。鮭の塩焼きが良い味してた。味噌汁卵焼きも美味しかった。間違いなく食堂のおばちゃんは、おふくろの味を理解している人間だ。

さて、朝ごはんも満足に取れたし、装備確認するか。

 見つけた装置──ゲームのアーケード台そのもの──から伸びているコードを、コンパクトデバイスに接続。設定しておいたパスコードを入力するとメニュー画面に入った。その中にある、『装備選択』の項を押した。タッチパネル式なのは、凄くやりやすい。しかも横からは見えにくくなっているので、覗かれる心配も無い。

 ローディングが済んだのか、まるでゲームの画面のようなものが出てきた。そこには、今装備可能な武具が記されていた。

 

「えっと……何々? 武器は片手剣の『ハンターナイフ』、防具は『ハンターシリーズ』か」

 

 ハンターシリーズ。最初期に作られた防具であり、新人が選べる物の中で最も安定しているという一品だ。

 他にも剣士──近接系武器の使い手全般──向けの『エッジシリーズ』や、ガンナー向けの『ブレットシリーズ』、支援系向けの『バックシリーズ』などがある。エッジは剣士用のみで、ブレットはガンナーのみ。ハンターとバックには剣士とガンナーの両方が存在する。

 

「……最初だし、ハンターでいいか。武器は……双剣の『ツインダガー』にしようか」

 

 ハンターかエッジかで迷い、結局ハンターにした。まずは防具を着ている感覚に慣れることから始めていく、って教官が講義で言ってたし。

 武器に関しては、単純に俺の好み、かつ、見た中で最もしっくり来た武器種を選んだ。

 

「取り敢えず、おさらいでもしとくか」

 

 訓練の時間がまだあるし、部屋に戻って講義の内容を纏めたノートでも読んでおくか。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「ふむ! 二人共集まったようだな!」

「「今日は、よろしくお願いします!!」」

「フッハッハッハ! いい返事だ、吾輩も嬉しい!!」

 

 今日も元気にやかましいこの人こそ、我らが教官だ。隣には私服姿の真癒さんと誠也さんが立っている。

 

「さて諸君! 今日から実践訓練に移るわけだが、質問はあるかね!?」

「はい!」

「真治君、何かね!」

「何でこんなに遅いんですか!」

 

 ま た そ  れ  か。

 流石に鬱陶しい。しかし教官は鋼のメンタルでも持っているのか、鬱陶しがることもなくいつも通り答える。

 

「ハッハッハ! それか! ならばハッキリ言ってやろう、君のせいだ、真治君!」

「そっかそっかアタシのせいか……ん? あ、アタシ!?」

 

 プギャー、とか言ってやりたいが、また五月蝿くなるので黙ってよう。

 

「ぶっちゃけてしまうと、半月前には始められる計算だったのだ。しかし君の理解力があまりにもアレなせいで、予定より時間がかかってしまい、今のようになってしまったのだ」

「う、嘘でしょ!?」

「マジよ、マジ」

(わり)いけどマジだ」

「……ザマァ(ボソッ)」

「聞こえてるわよアンタ!」

「お前には言ってない」

「言ってるじゃない!」

 

 ハハハまさか、ソンナコトナイヨー。しかし傑作だなこりゃ。実践訓練が遅いことにイライラしてたけど、その原因が自分とか、お笑い芸人かよ。いや、お笑い芸人でもここまでじゃない。

 

「ふ、ふん! もう、笑いたければ笑えばいいじゃない!思いっ切り!」

「もう笑わねえよ」

「笑えばいいじゃない、って言ってるじゃない!」

「ハハッ! ザマァないぜ!」

「言ったわねこんちくしょう!」

 

 いつぞや、こいつのことを面倒臭いクレーマー、そう評したが訂正しよう。訂正して、面倒臭いお笑い芸人、だ。時々面白いし。講義でもかなりの珍回答があったが、思い出すと吹きそうなので後にしよう。

 

「まあまあこの辺にしよう。ね、真治?」

「う、そ、そうよね! こんなの気にするようじゃお姉ちゃんみたいな〈ハンター〉になれないし!」

「『ねえ教官、アタシ達、いつ実践訓練出来るの?』」

「ぶっふぉ!」

「あ、アニキまで! くっ~! アンタらー!!!」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「さて、まずは武具の展開からやってみるか」

『はいっ!』

 

 教官と真癒さんの周りには、たんこぶを作った俺と冬雪と誠也さん。ガッツリ叱られ、今は訓練を再開するところだ。

 武具の展開には、体内にある龍力をデバイスに集中させ、そして自分がその武具を装備している様子をイメージする。というのが初心者向けのやり方だと、講義で習った。

 えっと……頭用(ヘルム)胴体用(メイル)腕用(アーム)腰用(フォールド)脚用(グリーブ)をそれぞれの箇所に……取り敢えず両手に双剣(ツインダガー)を……と。

 集中するために瞑った目を、一気に見開いた。デバイスから武具を解放するような感じがあった。

 

「ど、どうだ!」

 

 全身を見渡すと、そこには見事に防具を纏った俺の体があった。……成功、かな。

 

「ふむ、良く出来ている! 剣が両手に持たれてるのも驚いたが、まさかいきなり双剣とはな!」

「いやまあ、一番しっくり来たのがこれなんで」

「うむ! 周りに流されず、自分が一番納得出来る物を選ぶその心!忘れぬように!」

「はい!」

「さて、真治君はどうかな……?」

 

 教官に釣られて冬雪の方を見てみると——

 

「なんで変化の術みたいに煙が出てんだよ」

「そこは吾輩も分からん! 多分、真治君がイメージしたのかもしれん!」

 

 やっぱりあいつはお笑い芸人だな。誠也さんは「うおっ!? スッゲェ!」と驚き、真癒さんは静かに微笑んでいた。

 

「フッフッフ! 出来たわよ!」

「どれどれ……って、なんでお前『ブレットシリーズ』なんだよ」

「さっさと実践レベルに慣れたいのよ!」

「防具を着るのに慣れることから始めろ、って、ことでまずは『ハンターシリーズ』だと教官が言ってたろうが」

「うっ! そ、それは……」

 

 やっぱり忘れてやがったか。……もう、こいつだけ座学講義に戻して良くないか?

 

「まあ、着てしまったものは仕方が無い! 本日はこのままやろうではないか!」

「まあ、しょうがないよね。でも真治。あとで復習ね」

「う、は、はぁい……」

 

 項垂れながら、冬雪は武装を解いた。それに釣られて俺も武装を解除する。そして冬雪には、あとで真癒さんからの特別授業が決定。明日会った時、あいつの顔はかなりゲッソリしているだろうな。

 

「二人はそれぞれ、ハンタータイプが違うようなので、二手に別れようではないか。雄也には真癒君が、真治君には吾輩と誠也が付こうか!」

「はい!」

「なんでお姉ちゃんがそっちなのよー!」

「双剣使い同士なのでな、何分都合が良いだろうと思ってな! 何、我々がしっかり教えてやる!」

「熱苦しいに決まってるわよこんなのー!」

 

 不満を叫びながら、冬雪は誠也さんに首根っこを掴まれたまま、連行された。哀れだが仕方ない。

 

「アレ、放っといて大丈夫ですか?」

「終わったあと少し落ち込むだけだから大丈夫」

「にしても重度のシスコンだなアイツは……」

 

 真癒さんも思わず苦笑いとは、相当だよアイツ。

 

「それじゃ、行こうか。私達はこっち」

「誠也さんたちが行ったのは?」

「特殊訓練室区画内にある射撃場。一応弓使いも使用出来るよ」

「俺達が行くのは?」

「近接系武装練習場。いろんなモンスターの形をした練習用ダミーがあるよ」

「なるほど」

 

 一体どんな風に扱うのか、骨の髄まで染み込むほど教えてもらいたいものだ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「まず双剣ってのはね。軽い武器を両手に持つことで機動力を確保し、その高い機動性で〈モンスター〉と戦う武器なの」

「はい」

「機動性特化だから、ガードには向いてないの。私は龍力を込めて刀身を強化して防ぐけどね」

「それ〈龍血者〉にしか出来ないヤツじゃないですかね……」

 

 真癒さんから双剣の扱いについて説明を受けているが、少なくとも常人——ここではあくまで普通の〈ハンター〉を指す——では出来ない事を言われてもどうしようもないと言いたい。

 

「こほん、それじゃあ基礎から改めて話すね」

「待ってました」

 

 俺と向き合った真癒さんは、白と黒の剣で構成された、一対の双剣を展開した。

 

「この子達は、私の相棒にして半身。名前は『双龍神(そうりゅうじん)黒天白夜(こくてんびゃくや)】』。私は白い方を『白夜』、黒い方を『黒天』って呼んでる」

「黒天白夜……」

「ちょっと見てて」

 

 真癒さんはそれらを俺の前で、まるで己の身体の一部のように滑かに振るった。……正直、言葉を失った挙句見入っていた。それほどまでに、綺麗な剣捌きだった。

 

「とまあ、慣れればこれぐらいは動かせるかな。取り敢えず、まずは振り方から覚えないと……って、聞いてる?」

「ハッ! き、聞いてますよ!」

「ちょっと怪しいけど……ま、いいか」

 

 見蕩れてた。そう言ってもいいのだが、真癒さんは照れ性なのか、以前、全力で褒めちぎったら、途中で顔を真っ赤にして走り去ってしまったこともある。そういう前科がある以上、ここでは飲み込もう。訓練どころではなくなる可能性がある。

 

「まずは基本の構えからだね。双剣を……っと、防具も一緒に出しておいて」

「はい!」

 

 先ほどと同じ要領で、ハンターシリーズとツインダガーを装備する。

 

「ん、さっきより早いね。もうコツ掴んだ?」

「そうだと……思います」

「曖昧だね……」

 

 こればっかりはしょうがない。だってまだ二回目だ。感覚を掴んだ確信を持つは、あとかなりの回数を重ねなければならないのか、見当がついてないのだ。

 

「まあ、続けてれば感覚は掴んでいけるだろうから、今はこれでいいかな。じゃあまず、足を肩幅より一歩広めに開いて」

「はい」

「そう。そのまま利き手とは逆側の足……君なら左足を、半歩前に出して」

「こうですか?」

「うん、そうそう。それで腕は……利き手とは逆の腕、君で言う左腕を、少し曲げて前に出して」

「はい」

「それそれ。今度は利き手側の腕を、左腕より少し後ろ目に置いて、自分から見て、二本の剣が垂直に重なってるように見えたら、取り敢えず基本の型は完成」

 

 ふむ……割と苦しくない。むしろどんな動きでも出来そうだ。

 

「うん、上手く形になってる。うまく伝わったみたいで私も嬉しいよ」

「真癒さんの説明、結構分かりやすかったんで」

「そっかそっか……それなら、私も教えがいがあるね。じゃあ、次は基本的な動きから。まずは……」

 

 終わった頃には、既に日が傾いていた。というか昼飯を食べ損ねてるし。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「目標をセンターに入れてトリガーを……っと」

「「……」」

 

 パンッ、パンッ、とまた1発。ライトボウガンの通常弾Lv.1が、訓練用ターゲットの()()()()に刺さる。

 真治の特訓に入り、早速持ち方などを教えた俺と教官だが、早くもやる事が消えた。何故なら真治の奴が、用意した訓練用ターゲットの全てを、()()()()でぶち抜いているからだ。

 試しに動くタイプ(試作品らしい)も用意したが、それらも全部やられた。

 

「ふう……他愛ないわね。やっぱり私は、勉強するより体動かす方が性に合ってるわ」

「みてえだな」

「全くもってその通りのようだな」

 

 俺も教官も、マジで言うことない、正真正銘本物の射撃の腕だった。

 

「さてと、まだある?」

「まだあるとも。存分にやりたまえ」

 

 内心、結構バカにしていたが、『勉強はダメだが運動は凄い』ってのは、こういう場合バカに出来ない、ってのを思い知らされた。

 

「まだまだ行くわよ。お姉ちゃんは私が守るんだから!」

 

 ……真癒の姐御、どうやら、こっちは心配なさそうだぜ。あとは本番。そこでどこまでやれるかだな。雄也も、期待してるぜ。




ハンターシリーズ以外の防具は、オリジナルです。だって作品ごとに最初の防具違うですし……。

まだ受験が終わらないので、次の更新も不明です。

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