ダンまち ~黒衣と煌めく刃~   作:凸凹凹凸

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大変長らくお待たせしました。
そして、待たせたのにまた終わらせられなかったよ怪物祭。
だってここ見せ場だもんね!
主人公たちの活躍する名場面のトコだもんね!
外せないよね!

ハイ、すみません。言い訳です。




『 怪物祭 ② 』

 

 

 

 

「……~ぃ…………ル……くーんっ……!」

 

 うん? と眉間にシワを寄せた、オレンジ色の髪と黒の和装が目立つ青年。一護はある方向に視線を向けた。

 どこかで聞いたような声がしたな、と思っていると、並んで歩いていたエルフ族の美しき女性、リュー・リオンもそれに気がついた。

 

「どうしました、イチゴ?」

 

「いや、ちょっとな」

 

 この地下迷宮が存在する都市〝オラリオ〟。

 この中心にそびえ立つ摩天楼(バベル)を目印に、メインストリートという八本の大通りが存在する。中心地から放射状に八方位、街を囲う市壁まで伸びている。

 ベルが一護に『ケーキと見立てると都市の全体像が覚えやすいよ』と笑顔で教えてきたのが印象的で、一護もそれに従って覚えたようなものだった。

 ケーキを八分割にしたように。

 横でチラシ配りしている見目麗しい女性、リューは西のメインストリート沿いにある店《豊饒の女主人》で働いており、そこのお店のチラシ配りを急に任されてしまった様子だったが、一護も手伝いをしている

 

「しかし、意外にも早く店のチラシが配り終えたな」

 

「そ、そうですね」

 

 だが、一護は知らない。

 リューは一刻も早く一護と怪物祭の出店を回りたくて疾風の如く配りまくっていたことに。リューも細やかに気を配って一護の視界に入らないところで配っていたのだ。

 巧妙に仕事を終えたリューは、早くも周囲の遊びにきた冒険者や観客たちと共に出店などを物色している。

 と、そこで一護が目に入ったのは、潰した芋に衣をつけ油で揚げた通称『ジャガ丸くん』に目を向けた。

 

「ヘスティアがバイトしてたとこもジャガ丸くん売ってるトコだったな。毎晩ジャガ丸くんだった時があった」

 

「それは……胃にききそうですね」

 

「だが、懐かしいといえば懐かしいか」

 

 そう言いながら、一護はそのジャガ丸くんの屋台に向かうと、注文する。

 

「普通のジャガ丸くん二つで」

 

「あ、あのイチゴ? わ、私にも買ってくださるのですか?」

 

「あれ? もしかして苦手だったか。女子っつーとこういう油っぽいの嫌がるか? 普段ヘスティアを見てるとそういうところ狂うぜ」

 

 一護から見たリューは、戸惑っている様子だったのだが、リューは『い……一緒に同じ食べ物を食すなんて……あぁ……』と頬を赤らめているが表情は変化がない。

 きっと嫌がってんだな、と一護が思っているとジャガ丸くんは既に二個渡されてしまった。屋台のオヤジが『良いねぇ! 若いの!』と言って握り拳に親指を上げてそう言ってくる。

 何だか分からない一護だったが、お金(ヴァリス)を渡してリューに持たせてやる。

 

「まぁ、食えなかったらオレが()()()()()から一応食べてみろって」

 

「……く、食ってやる!?」

 

「どこに反応してんだ」

 

 今度はリューは表情の変化は著しく、驚愕の表情になっていたが、笑ってしまうほどの変化だった。そして、ちゃんと一護から貰った

 そうして二人でジャガ丸くんを食べていると、横から『おっちゃん! うちらにジャガ丸くんと……』『小豆クリーム味、一つ』と聞き覚えのある声に一護が反応する。

 

「ロキにアイズか」

 

「……【ロキ・ファミリア】の方々ですか」

 

「ぅあ? おわっ! そういうそっちはおチビんトコの眷族(こども)!」

 

「あっ……黒い剣の人」

 

 と、やはり一護が前に会ったことのあるこのオラリオにて知らぬ者などいないと言わしめるほどの知名度を誇る【ロキ・ファミリア】の主神ロキと、主力とされる《剣姫》の二つ名を持つアイズ・ヴァレンシュタインが、二人仲良く(?)屋体に顔を出していた。

 ロキは少し大袈裟に眉間にしわ寄せして、アイズは名前ではなく特徴的な武器の色合いで呼んできた。

 

「は~……アイズ。お前まだ俺の名前覚えてないのか?」

 

「ん……そんなに話さないし」

 

「まぁ、そうだけどよ」

 

 と、ちょうどその時にジャガ丸くん揚げたてのものをロキとアイズの元にやって来る。

 アイズは一護との会話もりもそっちのけでジャガ丸くんを受け取った。

 ロキは大変嬉しそうにしてる。どうやら可愛い可愛いアイズたんとの二人っきりの時間を削られることを嫌がってのことみていだったが、その後のロキとアイズのやり取りを見てもどうやら、幸せに感じているのはロキだけらしい。

 

「アイズたんにアーンしたいのが夢やったのに、すぐ拒否るってそりゃ冷たいやろー! 頼むー!」

 

「嫌です」

 

「ちょこっとだけ、なっ? ほんのちょこっとだけでええんや! 安いもんやろ?」

 

「嫌です」

 

「おっしゃわかった! ……幾らや? 幾ら欲しいん? ん?」

 

「おい止めろコラ、だんだん聞いてて不穏を感じてくる」

 

 絵面的には、美少女二人が戯れてるだけに見えるが、会話を聞いてしまうとゲンナリとしてしまう。

 ジャガ丸くんの屋台のおっちゃんも、うら若き美少女たち(片方はなんと女神)の会話をほんわかしながら聞いてたいたのに、今じゃかなり渋面となってしまっている。

 と、そこで黙って見ていたリューが、ロキとアイズの『アーン』を見て、何かを想像しているのか、顔を紅潮させて頭を揺らして落ち着かせようとしていた。

 

「……くぅ! ど、どれだけお花畑な脳にさせているのですか私は! あぁ……でも、自分が差し出した物を食べてくれるというのは、少し与える側としても中々気持ちを高揚とさせるものを感じてしまう。あぁ……想像(イメージ)しただけでこれなら、本当に危ない!」

 

「どうした!?」

 

 リューが乙女な思考に陥りそうになっている傍ら、アイズとロキの二人はいつものように漫才のようなやり取りをして騒いでいると、

 

「そんじゃアイズたん! 他の屋台も見てこ見てこ! リューちゃんもまたな♪ ……オレンジ頭は石にでもつまずいて転んでまえ」

 

「……また」

 

 アイズとロキは他の屋台にへと向かっていく。

 一護は全部食べたジャガ丸くんを咀嚼していると、リューも既に食べ終えていた。

 さて、俺たちもどうするか、とふと視線を巡らすと、

 

「《黒裂(くろさき)》イチゴか……。そのどちらの名も俺の記憶の中で何かが反芻する」

 

「なっ!?」

 

「……?……骨の兜?」

 

 ふと目に入った者は、ついこの間戦ったであろう相手だった。

 いや、戦いの域までにもいかなかった中途半端なもの。

 

「ウルキオラ……」

 

「貴様の異名(ふたつな)は少し捻りがないように思えて仕方がない。所詮は貴様だからか。愚物は愚物。変わりようがない」

 

「んだとコラァ!? 会ってそうそうテメェ!」

 

「イ、イチゴ!? 急に暴れないでください」

 

 角がある骨型の兜を被り、化粧とも思える道化(ピエロ)のような顔、どこまでも真っ白な肌。

 ダンジョンにて衝突したウルキオラ・シフォーがポッケに手を突っ込んだまま不遜に一護を見ていた。

 そして、ウルキオラが言い放つ氷のような冷たい言葉に、喧嘩腰に聞く一護がウルキオラに睨みを利かせ、眉間にシワを寄せて向かおうとするも、リューは何事か、と体を張って(喜色顔)止める。

 

「なんでお前がここに、いや祭りに来る事態別に良いんだけどよ」

 

「貴様に答える義理などない」

 

 ウルキオラから話しかけらてきたのだが、一方的に打ち切られて人が沢山並び長蛇の行列にへとその姿を消して行ってしまった。

 

「……只者ではありませんでしたね」

 

「何か感じたか?」

 

 そこで、リューの美しい顔が冷や汗を垂らしていたことに一護は初めて気付いた。きっとウルキオラと出会った瞬間からそうだったのだろう。

 生気が灯っていない瞳に、顔色という人間が当たり前に持っているであろう感情的雰囲気さえも微塵に感じさせないあの感覚。

 エルフであるリューからしてみれば、他の種族たちと比べてもウルキオラは別格の『生き物』に見えていた。

 

(……感じたことがある、覚えている。脳髄の奥深くまでずっしりと、重く刻み込まれたこの感覚……。一刻も早く忘れたかった。あの感覚を)

 

 いつも凛々しい真面目な顔つきが当たり前だったリューは、一護とは別に、怖気と吐き気に見舞われる。

 それを必死に一護に知られないよう配慮しながらも、答える。

 

「……すみません、これは私個人の思った印象です」

 

「あぁ……」

 

「……あの方は……、いいえ、あの者は……『化物』ですか?」

 

 一護は己の耳を疑った。

 リューからそんな言葉を聞くなんて、と。

 リューは基本、失礼な態度をせず、しっかりとした礼節を弁えた者に対し、相応にきちんとした対応をする。

 それは言葉も然りで、初対面に近い者に対して『化物』なんて言葉を叩きつける女性ではないことくらい、鈍感な一護でも分かっていた。

 同時に理解もする。

 ウルキオラ・シフォーと対面した者たちは、少なからず、彼を『人間』のカテゴリーには入れない。

 アレは違う、と本能が告げている。

 リューはよく彼とは話せたものだと自ら感心してしまう。

 例えるならば、息がとてもし辛いのだ。海水の中にでも居るような、砂漠の砂浜に埋もれたような、息継ぎを出来ない。

 リューはどことなく気まずそうに目線を一護に向けるも、

 

「あいつは好意なんて自ら求めるような奴なんじゃないんだろうな」

 

「そう……なのですか?」

 

「あぁ……」

 

 何かを思う一護にリューは視線をそらさずに見ていた。

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 それは大きな歓声と共に始まった。

 ぶわりと土煙が舞い、鎖から解き放たれた一匹のモンスター『バトルボア』の体当たりを、たった一人で待ち構えていた彼女は、その短い髪をなびかせながらすんでのところで(かわ)してみせた。

 重なり合い響き渡る大音声。熱気の渦が五万人もの数を収容出来る観客席を包み込む。

 都市の東部に存在する円形闘技場(アンフィテアトルム)

 夥しい数の観衆に見守られる中、本日のメインイベント、怪物祭(モンスターフィリア)は幕を切っておとされた。

 中央のフィールドではこの日の為に捕獲されたモンスターがその狂暴性を解放し、一匹の獲物に向かってひたすら四足を漕ぐ。岩も容易く粉砕する文字通りの猪突を、【ガネーシャ・ファミリア】の調教師(テイマー)は軽やかに回避、巻き起こる周囲の声援を一手に浴びる。

 それを見る者が見れば闘牛(ブルファイト)を彷彿させたかもしれない。派手な衣装に身に包んだ麗人が、鞭とマントを持って暴れ狂うモンスターと何度も交錯していく。

 ここ怪物祭(モンスターフィリア)にて彼女に課せられた使命は、モンスターの撃破ではなくあくまで調教。己を殺しにくる怪物を命懸けで手懐けにかかるその姿は、市民に畏敬と尊崇(そんすう)、そして興奮を覚えさせる。予断を許さない状況の連続は彼等に何度も手を握らせた。

 モンスターが上げる雄叫び、魔石製品の拡声器によって轟く司会者の口上、波打つ観衆の叫喚。会場のボルテージはとどまることを知らない。

 

「いやぁ~始まったね」

 

「あの~」

 

 会場の盛況ぶりにエイナは目の前の人物に困り果てながら、ぽつりと細い声をあげる。

 闘技場の外に待機していた彼女は、内部からびりびりと伝わってくる音と振動を肌で感じながら、背を向けていた建物に振り返る。

 現在、エイナ達ギルド職員は闘技場の至る場所に動員されていた。主に観客の入場や誘導、そして【ガネーシャ・ファミリア】のサポートを行うためだ。

 

「僕ァね。最初この【怪物祭(モンスターフィリア)】って、神々の酔狂から始まったもんだと思ってたんだけどねぇ。ヒック……違ったみたいだねぇ」

 

「は、はい……」

 

「ギルドが協力を約束している【ガネーシャ・ファミリア】が主だって進行させているけど、企画そのものはギルドが最初なんだよねぇ~ヒック!」

 

(ひー! もうこの人もう! 汗腺から始まって全てのところからお酒臭いこの上ないよこの人もうー!)

 

 ぶはぁ~! と満足気に未だ酒瓶を片手に酔っぱらうおじさん相手に、エイナは鬱々としながらも丁寧に対応していく。ギルド職員の鏡ような女性である。

 だがこの酔っぱらいおじさんが言っていることはあながち酔ったことによる空言ではない。

 怪物祭の開催はギルドの上層部の意向だ。組織の末端であるエイナが口出しできることではないが、腑に落ちないものを抱いてしまうのは頷ける。

 都市レベルの危険はないとはいえ、ダンジョンからモンスターを地上に上げる行為は本来行われるべきものではない筈。少なくともエイナには抵抗がある。迷宮都市(オラリオ)の管理、ひいては都市の平和を謳うならば、大事だろうが小事だろうがその芽を摘んでおくべきではないだろうか。

 魔物(モンスター)とは、怖いものだ。

 死の淵に立つ生物。魔を帯びる生物。

 まさかこのフィリア祭を通してモンスターとの友好など強調したいわけではないだろう。

 娯楽を追求するあまり、危険の中にへと片足を突っ込むのは本末転倒───そう、少なくともギルドとしては───だと、エイナは思った。

 

「エイナー? その酔っぱらいおじさん誰?」

 

「さぁ、いつのまにかここに居てね、相手してあげてるの」

 

「エイナは美人さんだからなぁ」

 

 同僚が酔っぱらいに絡まれてると思って尋ねてきてくれたが、エイナは苦笑しながら『大丈夫だよ』と答える。

 オラリオはその都市柄、多くの【ファミリア】、多くの冒険者を抱えている。聞こえはいいが冒険者とはすなわち荒れくれ者、無法者達が大半を占める。彼等のマナーの悪さが時折一般市民との軋轢(あつれき)を生み、治安への不満を募らせるのもまた事実だ。

 ダンジョンから生まれる魔石(りえき)を効率良く回収したいギルドとしては、迷宮探索に繰り出す冒険者達を擁護しなければいけない存在である。故に客観的に見れば、怪物祭(モンスターフィリア)は都市の運営に目を瞑らせる、市民へのガス抜きと捉えられてしまっても仕方がなかった。

 それこそ、先日バベルの中で誹謗され、エイナ自身それを耳にしてしまうくらいには。

 

(ともあれ、何も起きてくれなければ、それでいいんだけど……)

 

 怪物祭が開かれるこの時期だけはいつもハラハラしてしまう。祭りが終わるその時まで、神経質になってしまうのだ。それとも、自分の考えが固すぎるのだろうか。

 自分も見に行きたいなぁ、とすぐ側でこぼしている友人の同僚を見ながら、エイナはうーんと額に指を当てて少し悩んでしまった。

 

「ここにもいない……」

 

「やっぱり、闘技場に入ってるんじゃないかい?」

 

(……ん?)

 

 エイナの視界に見知った人物が入り込んだ。ベルだ。

 闘技場の外周部に当たるこの場所で、まるで誰かを探しているかのようにあちこち振り向いている。

 彼のすぐ側にいるのは【ファミリア】の主神だろうか。

 エイナ背後の持ち場で固まっている職員達に軽く一瞥した後、少しの間なら問題ないだろうお判断し、酔っ払った和装のおじさんを友人の同僚に任せ、自分の担当冒険者である少年のもとに歩み寄った。

 

「ベル君」

 

「あれ、エイナさん?」

 

「誰だいベル君、このハーフエルフ君は?」

 

 きょとんとするベルに苦笑してから、エイナはまず彼の隣にいるヘスティアに会釈をした。

 

「わたくし、ベル・クラネル氏の迷宮探索アドバイザーを務めさせてもらっているギルド事務部所属、エイナ・チュールです。初めまして、神ヘスティア」

 

「ああ、そういうことか。いつもベル君がお世話になってるね」

 

 自己紹介を済ますとヘスティアは納得するように手を振った。エイナが恐縮ですと再び頭を下げると、ベルが頃合いを窺って質問する。

 

「どうしてエイナさんがここに?」

 

「フィリア祭にはギルドも一枚噛んでるから、環境整備を手伝っているの。で、私はお客さんの誘導係。ベル君はやっぱりこの催しを見に来たの?」

 

「いえ、僕は人を探しているんですけど……あの、ウエイトレスの格好……は流石にしてないか。こう、お金に困ってそうなヒューマンの女の子、見ませんでした?か」

 

「うーん、ちょっと分からないなぁ」

 

 挙げられた変な具体例にエイナは苦笑を隠せない。ベルも『ですよね』と言いながら少し困ったように頭をかく。

 闘技場に入るには僅かばかりの入場料を取るので、財布を持っていないらしいベルの探し人は会場の中にいる可能性は低い。その旨を告げるとベルは『確かにそうですね。分かりました』と頷いた。

 

「それじゃあ僕、もうちょっとこの辺りを回ってみます。もしかしたらい行き違いになったかもしれないので」

 

「うん。もし見かけたらここで待ってるよう呼び止めておくから、見つからなかったらまたおいで」

 

 ありがとうございます、と頭を下げてベルは立ち去ろうとしたが、連れ添いであるヘスティアがエイナのことを見つめてその場から動こうとしない。

 エイナは小首を傾げていると、彼女はおもむろに口を開いた。

 

「時にアドバイザー君」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「君は自分のた立場を利用して、ベル君に色目を使うなんてこと……してないだろうね?」

 

 最初に何を言われたのかわからず、エイナはぽかんとした顔をしてしまう。

 じーと見上げ続けてくるヘスティアが本気で尋ねているのだと分かると、彼女は静かに口元を引きつらせた。

 

「こ、公私の区別はつけているつもりですが……」

 

「うん、君のその言葉、信じたよ」

 

 厳かに頷くヘスティアに、ぽんぽん、と腕を軽く叩かれる。

 彼女はそれから怪訝そうな顔をしたベルを引き連れて離れていった。

 自分は釘を刺されたのだろうか、エイナは二人の後ろ姿を見送りながら汗を流す。

 軽い頭痛を錯覚しながら、エイナは酔っ払ったおじさんに相手してもらっていた同僚の元に戻ろうと振り替えると、

 

「遅かったじゃないか! 《灰狼(オオカミ)》くん!」

 

「あんたなぁ。呼び名(ソレ)止めてくれって言ってるだろぅさ。他の狼人(ウェアウルフ)が聞いたらどうすんのよ」

 

「そしたら君の可愛いリリちゃんが助けてくれ……」

 

「酔っぱらいオヤジズは黙って帰れ」

 

「……最近の若い子はキツイねぇ。いやキツイねぇ~」

 

 なんだか一人や二人増えていた。




感想やコメントお待ちしております。

またダンまちがアニメ化するみたいですな。
楽しみですな。

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