今聞こえているのは川の水が流れる音。
俺は何があって大丈夫なように「絶風の神域」を展開している。
「絶風の神域」は、昔オーフィスと特訓していたとき名付けたもので、アマツ状態のときに体に纏っている風を人間時に発動させたものだ。これを展開しているときは、神でもトップクラスの者でないと「絶風の神域」を破ることはできない。そして今使っているように結界を作り、結界の中に入ったらわかるようにもできる。この結界内は俺の支配下。ここでは俺に攻撃は通らないうえ、逆に入った最後、風の嵐に逢うかまたは俺に殺られるだけだ。
♢
何もないまま数分がたち、今日は帰ろうとした。
ーーーー瞬間
何かが結界に引っかかった。直後、紫色の玉が複数飛んできが、全て風で防いだ。
いや、防ぐ前に爆発した。そして、霧のように広がっていく。周りの草などが、腐って枯れていく。見てわかるように、猛毒だ。
(なるほど。こうやって殺されたのか……。)
風を使って毒霧を晴らすがまたすぐに、霧に囲まれる。
(霧を晴らすより根源を潰したほうが早いな)
決めたら即決行。
霧を発生させている奴を叩きに、走り出した。
「……見つけた」
川の近くでこっちを睨んでいる。
地面に張り付いているような格好でどっちが頭か中々わからないめんどくさい奴がいた。
…………………ギギネブラだ。
最悪だ。なんて思っていると、
ギギネブラが毒を吐いた。
瞬く間に毒が充満するが、同じように吹き飛ばす。
ギギネブラは毒が効かないことを悟ったのか、突進してきた。
まともに相手をするつもりがなかった俺はさっき言った通りここら一帯を全てを氷らせた。
《『氷結傀儡』(ザドキエル)》これは冷気を操り周りのものを氷らす天使の能力。
俺は氷っているギギネブラを粉々に粉砕した。
♢
昨日。ギギネブラを消したあと、サーゼクスに連絡し依頼が終了した。
寝不足だが学校へ向かい、教室の席に座った。俺は机に伏せ、寝ようとしたが、上機嫌で学校へ来たイッセーの話で一瞬にして目が覚めた。
イッセーの言ったことが全く理解できなかったのだ。それは松田、元浜も一緒のようで何言ってんだこいつ、気でも狂ったか?的な目で見ていた。
だってそうだろ?変態三人組とまで言われて、駒王学園の女子生徒ほとんどに避けられてるイッセーが、そんなイッセーに
……………彼女が出来た。
あり得ない。そう思っていたが、彼女の写真とメルアド、携帯番号まで見せられたら認めざるおえない。
けど、まじか!あいつに彼女!まぁ、突然言われてびっくりしたが、ここは友達として応援してやるか!
「そっか。イッセー、おめでとう。彼女と上手くやれよ」
俺の言葉にイッセーは嬉しそうに笑った。
だが、松田、元浜は目から血を流し、イッセーを睨んでいた。
「この裏切り者!|
「我らは仲間じゃなかったのか!」
と言ってイッセーを殴った。
いや〜、だけど彼女ができたのはおめでたい。だけど何故だろう、イッセーから堕天使の気配を感じる。これは何かありそうだな。
♢
日曜日。確か今日はイッセーが彼女の天野夕麻ちゃんっいう子とデートって言ってたよな。
イッセーには悪いが尾行させてもらう。
(すまんな。イッセー)
俺は心の中で謝り、すぐに家を出た。
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おっす!兵藤一誠です!
今日は夕麻ちゃんと付き合って初めてのデートの日!
前々から練っていたプランを決行する日が来た。
待ち合わせの時間までかなりあるが、前を通り過ぎるメガネっ子を百まで数えたぜ!
途中、よくわからないチラシを手渡しされた。渡されたチラシには『あなたの願い叶えます』って、魔法陣と一緒に書いてあり、何だろう?と興味を持ったが今は夕麻ちゃんのことで頭がいっぱいだからポケットにしまった。
その時ちょうど夕麻ちゃんがやって来た。
夕麻ちゃんの「待った?」て言葉をカッコよく「いや、俺も今来たとこだから」っと返してやったぜ!決まった!俺はこれをずっと言いたかったんだ!
俺たちは手を繋いで歩き出した。感動して泣きそうになった。嬉しくてしかたがない。
そのあと洋服屋に行ったり、アクセサリーなどを見たりしてデートを満喫した。
お昼はファミレスで楽しく話しながら食べた。
生きてて良かったァァア!本当に良かった!
俺を生んでくれた両親に感謝だぜ!
そしてもう夕暮れ。俺らは手を繋いだまま公園へ行った。その公園には人一人いないため今すごく緊張している。
「今日は楽しかったね」
俺は黙って頷いた。
「ねぇ、イッセーくん」
「なんだい、夕麻ちゃん」
「初デート記念で、ひとつ、私のお願い聞いてくれないかな?」
来た!俺の待っていた展開来たよ!
「な、なにかな?」
「死んでくれないかな」
…………。
……は?え?いま、死んでくれないかなって?
俺は混乱していた。だって、いきなり彼女に死んでくれないかななんて言われたんだから……。
冗談か聞こうとした瞬間ーー。
夕麻ちゃんの背中から黒い翼が生えた。
そしてーーーーーー
「ばいばい、イッセーくん」
夕麻ちゃんの右手に光の槍が生まれ、それが俺の腹を貫いた。
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俺は家を出たあとイッセーの気配をたどり、あいつの尾行を開始した。その途中町にいたほとんどの人が俺を見て顔を赤くしてたけど何でなんだ?
っと、そんな事よりイッセーのデートだ。
イッセーは上手くやっている。初めてのデートで、ガチガチになってアホなことするかと思っていたがそれはなさそうだ。
♢
そしてもう夕暮れ。そろそろデートも終わりだ。何もなかったことに俺は安心した。
だが、それがいけなかった。
俺が安心した瞬間、天野夕麻に黒い翼が生え、光の槍を構えていた。
っ!しまった!
俺はイッセーを助けようとしたが、一足遅かった。
堕天使の光の槍がイッセーを貫いた。
「イッセーッ‼︎」
俺は慌てて駆け寄っり、イッセーの傷を見た。それに堕天使が気がつき、
「あれ?人払いの結界を張っていたのになんでいるのかな?まぁ、見られたからにはあなたにも死んでもらうけど」
堕天使は、そう言って俺に光の槍を投げてきたが俺はそれを片手で掴み、握り潰した。
「なっ!あり得ない!人間ごときが、私の槍を片手で潰すなんて………っ!」
俺は殺気を堕天使にぶつけた。
それだけで相手は怯え、ガタガタ震えが止まらなくなった。
下級堕天使如きじゃ、今や白龍神皇と呼ばれている俺に勝てるわけがない。
俺は殺気を放ったまま、静かに言い放つ。
「今逃げるなら見逃してやる。だが、まだイッセーを狙うなら容赦はしない」
「クッ!」
堕天使は、涙目になりながら首を縦に振り、すぐに飛んで逃げた。
俺はすぐにイッセーの傷を治すため、治癒をかけようとしたが、後ろに、グレモリーの魔法陣が現れた。
多分サーゼクスの妹、リアス•グレモリーだろう。今グレモリーと会うと面倒なことになりそうなので、俺はすぐにここを離れた。
イッセーのことはグレモリーが何とかするだろう。
♢
次の日、イッセーが俺に詰め寄ってきた。
「なぁ!龍夜は覚えてるか?俺の彼女の夕麻ちゃん!何故か松田、元浜は夕麻ちゃんのこと全く覚えてないんだ!」
「あ、あぁ。覚えてるぞ。天野夕麻ちゃんだろ?」
「だよな!覚えてるよな!じゃあ、なんであいつらは忘れてんだ?」
そう言うイッセーから悪魔の気配が感じられた。…………そっか、イッセーは悪魔になったのか。
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俺、兵藤一誠は学校が終わると、松田の家でエロDVD鑑賞会をしていたが、どうしても気分が良くなくて途中で帰ることにした。
頭の中を回るのは天野夕麻ちゃんのことばかりだ。そのまま歩き続けていると昨日の公園へたどり着いた。
「……ここで、確かに夕麻ちゃんと……」
「おや?貴様はレイナーレが殺したはずだが……そうか、悪魔になったか。誰の眷属かは知らんが、死んでもらおう」
知らないオッさんに話しかけられたと思ったらいきなり俺に向かって光の槍を投げてきた。
俺はギリギリそれを避け、全速力で駆け出した。
予想以上の速度に自分もビックリだ。
これが火事場の馬鹿力ってやつなのか?
必死に逃げていたが、向こうは夕麻ちゃんと同じ黒い翼を生やし追いかけてきている。
何なんだよ!何で俺だけこんな目に遭わなくちゃならないんだよ!
無我夢中で走っていると、光の槍が俺の脇腹をかすった。かすっただけなのに激痛が走る。
「ぐ……あああ……」
痛い!まじで痛い!
俺は蹲った。
そして、もう一本の光の槍が俺の心臓の部分に向かって飛んできた。俺は死を覚悟し、目をつぶった。だが、来るはずの痛みがいつまでたってもこないそこで目を開けるとーーーー
「り、龍夜!」
そこには、友達の龍夜が光の槍を掴み立っていた。
今回、《氷結傀儡》「ザドキエル」の能力が出てきました。
ただ、能力が出ただけで「ザドキエル」は顕現させていません。
顕現させるまでのない相手ですからね。