久々の更新です。
「ふぅ、何とか屋敷に入れたな……さて」
俺はイッセーが中に入ったのを見届けると、意識を二体のドラゴンへ戻した。
二体のドラゴンは、氷った状態から自力で脱し、今は空高く飛んでいる。だが、俺も翼はないけどドラゴンだ。飛ぶことはできる。いや、飛ぶと言うより浮くの方が正確だろうが。
リオレイアへたどり着くまでに五発ほどのブレスが来たが、全て真っ二つ。そして、リオレイアへ向かい、【叢雲】を振るう。
何かに気づいたのかリオレイアはすぐに回避行動に出たが、尻尾が根っこから斬られた。
「チッ!今ので真っ二つにしてリオレイアは終わりと思ったのにな………少しはやるな………ッ!」
リオレイアの姿が見えないと思っていたら、助走をつけて頭突きしてきた。それをギリギリで気づき、【叢雲】で何とか受け止める。
だが、相当なスピードがあったため俺は吹っ飛ばされた。
ドカァン!
「いつつ……まさか吹っ飛ばされるとは……ってやば!」
俺はすぐに立ち上がり、その場を離れた。直後、その場にブレスが直撃する。
あぶねぇ〜。あと少し遅かったら今のくらってたな……。まさか、連携されるとここまで厄介なやつだなんて思いもしなかった。
「さて、どうしたものか……」
俺は【叢雲】を構えながら、考える。
が、相手はそんな時間など与えてくれない。
特にレイアは、尻尾を斬られたことで当然のごとく怒っている。連続でブレスを吐いたと思ったら、すでに飛行に入っていて、回避しようとすると、次はレウスがそれを止める。
あー、本当に面倒くさい。
俺は一旦距離を置くために自分の周りに風を発生させ、それを大きく広げる。すると、俺の周りのものは全て押し返されていく。
そして、俺は体に風を纏いレイアへ一瞬にして近づく、レイアは鉤爪で俺を切り裂こうとしたが、それを難なく上に避け、右手をレイアの背中へ向ける。
「おら!」
ドオォォォォオオオオオンンッ!
レイアは強力な風で地面に叩きつけられた。
悲鳴をあげるレイア。俺はとどめを刺すために、レイアに近づこうとするとレイアを守るようにレウスが前に降り立ってくる。
「もう面倒くさいなー。終わらせるか」
俺はは地面に足をつき、《鏖殺公》を顕現させようとしたが止めた。
「最近《鏖殺公》ばっかり使ってるからなー。それに、俺が全力で相手できる敵がいないから身体が鈍っちゃうし。………今回は武器に頼らず素手で倒すか」
そう決めると、俺は一気に地を蹴り加速する。
そして、両腕に圧縮した風を纏わせる。
「オラッ!」
ドンッ!!
と、殴った箇所から思いっきり鈍器で殴った音がした。いや、実際に殴ったのだが……。
「もういっちょう!」
ドンッ!!!
俺の右ストレートが立て続けにレイアの腹に突き刺さる。
「ギャオオオオオオン!」
レイアから悲鳴の声が上がる。
「どうした?レイアにとって陸とは得意な場所じゃないのか?」
倒れているレイアを見て、俺はそう呟いた。確か、レイアは「陸の女王」とか呼ばれていたような気がする。レウスは「空の王者」。
「いつまで倒れてるんだよっ!」
倒れているレイアの尻尾を掴み、上空にいるレウスに向かって投げる。
「ギッ……!」
二匹が上空でぶつかり合う。その隙に、俺も上空へと移動し、重なるようにして二匹めがけて、さっき以上の威力で地面へと殴りつけた。
轟音を響かせながら森へと叩き落された二匹は、絶命していないだろうが当分は目を覚ますことはないだろう。
んー、リオレウス、リオレイヤといえどこんなもんかな?
俺は二匹仲良く地面に倒れている姿を見てそう思った。
「あーーー。最近、全然力を出せる相手がいない……」
ドラゴンだからなのか、弱い相手と戦っていると、心の底から強者と戦いたいという気持ちが高まっていく一方だ。超越者と呼ばれるサーゼクスやアジュカと戦ってみたいが、そう簡単にはできないからなー。
まじで、強者カモーン!
♢
レウス、レイアを倒した後、俺も屋敷へ入り、今みんながいるであろうパーティ広場へと向かっていた。
また何かが襲ってきたときのために【叢雲】は握っている。
歩いて行くと、鎧を着た悪魔たちがいっぱい倒れていた。多分イッセーが倒していったんだろう。そして、今もライザーと戦っている。さっきからライザーの魔力とドラゴンの気配がバンバンするからな。
歩くこと数分。やっとパーティの会場に着いた。っていうか、この屋敷広すぎ!さすがグレモリーとフェニクスだろうけど……
扉が開いたままだった。扉の向こうにはたくさんの貴族悪魔と、部長、ライザーの眷属が揃っていた。だが全員、ひとつの画面に目を向けている。俺も、その画面に見てみると、写っていたのはイッセーと、ライザーだ。そしてちょうどイッセーが、ライザーを倒したところだった。上級悪魔のライザー・フェニクスが、いくら赤龍帝だからといって。たかが下級悪魔に負けるなんて思ってもいなかっただろう。その証拠に、貴族の方々は皆口をポカン、と開いたまま塞がらない様子だった。
こっそり中へ入ろうとしたが、それを一人の男の言葉によりできなかった。
「おや?今来たのかい?龍夜くん」
ーーーーーーーサーゼクスだ。
サーゼクスの言葉に全員が画面から入り口にいる俺へと向けられる。 貴族の方々は俺を見て固まっていた。顔を赤くしている男性も多い。だが、我に返ったのか、一人の男性が俺を指差して言う
「何で人間なんかが冥界の、しかもグレモリーとフェニクッスの婚約会場にいる!」
「おい!誰かあいつを摘み出せ!」
「ここは人間みたいな下等種族がいていい場所ではない!」
男貴族が、警備兵に指示を出す。そして、俺を取り押さえようとするが、
「まちたまえ。彼は私が呼んだ大事な客人だ」
サーゼクスのこの一言に会場は騒然とする。
「サーゼクスさま、何故人間などを呼んだのですか!」
一人の男性貴族が聞く。
「彼は私の友人であり、そして今冥界の英雄でもある「大剣の守護者」ですよ」
「「「「「「えっ!!」」」」」」
部活のみんなは俺が「大剣の守護者」だとは知っていても、サーゼクスと友人だったことは知らなかったため、みんなと同じようにかなり驚かれた。
「あんな人間の少女みたいな少年ががあの英雄さまなのか!?」
「でも、確かに聞いた通りじゃない?」
「あの方が本当に「大剣の守護者」さま!?」
「きゃぁあああ!まさかあの「大剣の守護者」さまを生で見られるなんて!」
俺は貴族たちが騒いでいる中、サーゼクスの元へ歩いて行く。
「おい、サーゼクス。なんで転移場所がここから離れたあんな場所なんだ?」
【叢雲】をサーゼクスの首筋に当て少し怒気を孕んだ声で言う。
「い、いや、簡単にここまでたどり着いても面白くないと思ってね……。お姫様を助けるのに、困難な道のりの方が燃えるだろう?」
サーゼクスは少し気圧された感じになる。
「はぁ、やっぱりそんな理由かよ………ま、確かにこうでもしないと俺が来る必要がないからな」
俺はそう言いながら【叢雲】をしまう。
「良かったな、イッセーが勝って。お前も嬉しいだろ?」
俺はサーゼクスにだけ、聞こえる音量で言う。
俺の問いにサーゼクスはただ笑うだけだった。
こうして、パーティは終わりはしたが、あの後貴族の、特に女性の貴族の方々からサインをくれと、迫られたのはまた別の話。
いつの間にかお気に入りが1000を超えていてびっくりです!
それと同時に嬉しいです!
今日から他の作品と平行して更新していくので、これからもこの作品をよろしくお願いします!