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結果から言えば『レーティングゲーム』は引き分けに終わった。
どちらも王がやられたため、部長は再試合を望んだが、ライザーはそれを認めず、先にリタイヤした部長を負けと言い張った。話し合いは平行線で、最終はライザーと部長の一騎討ちで話がついた。そして、部長はその戦いに敗れ、婚約を認めるしかなくなった。
そして、イッセーだが、傷が酷くゲームが終わって二日が過ぎても目覚める様子はない。
まあ、あれだけ派手にやられればしょうがないっちゃあ、しょうがないが……。
イッセーのやつ、この結果に納得できるか?いや、絶対無理だろう。あいつの事だ、会場に乗り込んでまで助けに行くかもしれない。どうするかはイッセー次第。だけど、グレイフィアさんが言うには、式に邪魔が入らないようモンスターが生息する森の中にある城で婚約を行うとのこと。イッセーでは、絶対にたどり着けない。だが、もしあいつが助けに行くなら俺も手伝うつもりだ。助けに行かないなら…………それまでだな。
俺はベットに寝転びながらそう考えていた。ちなみに子猫ちゃんは今家にいない。今は、部長とライザーの婚約パーティに主席している。俺も呼ばれたが、辞退した。俺は一応人間ということで話が通っている。人間が悪魔のパーティに混ざるのは相手側からして気分のいいものではないだろうしな。
突然俺の部屋に魔法陣が浮かび上がった。
グレモリーの紋章………グレイフィアさんか。
「お久しぶりです、龍夜さま」
「お久しぶり、って程ではないですが……それで、どうしたんですか?」
「はい。イッセーさまが目を覚ましました」
お!イッセーのやつ目を覚ましたか。
「イッセーさまは、婚約パーティに乗り込むつもりです。真正面からリアス・グレモリーを取り返しに。ですが、婚約パーティの屋敷の周りには強力なモンスターがいます。万全なグレモリー眷属でも全く歯が立たないでしょう」
「いや、ちょっと待ってください。それなら転移場所を屋敷内にしたらいいじゃないですか。何でわざわざ屋敷の外なんですか」
「いえ、それは出来ません。屋敷には、モンスターが入ってこないよう強力な結界が張られています。そのため、転移では屋敷内に入ることは不可能です。ですから、あなたがイッセーさまを導いてあげて下さい。では」
そう言い残し、グレイフィアさんは帰っていった。
「強力な結界ねぇ……」
考えても仕方ないか、とりあえずイッセーのところに行くか。
俺はイッセーに携帯で「今からそっち行く」とだけ送り、久しぶりに戦闘服の真っ白なコートを羽織り、家を出た。
♢
「イッセー、準備は出来たか?」
アーシアと何やら話があったらしく、俺は部屋の前で待っていた。
「ああ、こっちも準備OKだ」
準備が整ったイッセーはグレイフィアさんに渡された紙を出した。
「それじゃ、部長を取り返しに行くか」
「おう!絶対部長を助けるんだ!」
俺らは魔法陣で冥界へととんだ。
♢
「ちっ!なんだよここ!屋敷前に転送するって言ってたのに結構離れてるじゃんか!」
「おい!龍夜!早くしないと手遅れになっちまうぞ!」
「わかってるよ!」
俺たちは冥界へ来た。来たのだが、目標の屋敷まで少し遠い。
「くそッ!もういい!イッセー!俺にしっかり捕まっとけよ。一気に行くぞ!」
俺は戸惑っているイッセーを無視し森を駆け抜けた。途中、モンスターが結構出たが、俺が走り去ったあと、跡形もなく消えている。
そして、屋敷の近くまで行きこのまま一気に屋敷内突入しようとしたその時ーーー
「「ギャオオオオオオンッッ!!」」
空から二体のドラゴンが降りてくる。
ここでこいつらか……確かに今のグレモリー眷属じゃ、勝つのは無理だな。
俺たちの目の前に現れたのは、
一体は緑の色をしたドラゴン。もう一体は赤の色をしたドラゴン。
リオレウスとリオレイアだった。
♢
「ど、どどどど……ドラゴン!?ちょ、ちょう、龍夜!これどうするんだ!ドラゴン二匹なんて俺じゃ絶対勝てないぞ!」
うん、そうだな。お前が戦っても瞬殺だろうし、ってかまず、相手にすらされないだろう。
リオレウスとリオレイアは一旦地面に降りたがすぐに空中へいき、空からブレスを連発してくる。
ビビっているイッセーの襟元を掴みブレスを交わす。何とかかわし続けた。すると二体のブレスがやんだ。今がチャンスと抜けようとするが、それを阻むようにリオレイアが、俺とイッセーを捕食しようと突っ込んでくる。
リオレイアの攻撃を避けると、すぐにリオレイアの攻撃が来る。
(こいつら仲よすぎだろ!何でこんなに連携攻撃できんだよ!)
このままでは全てが終わってしまう。ならここはイッセーには体を張って我慢してもらうしかないな。
「おい、イッセー。このままじゃ、間に合わない。だから俺がこいつら二体を相手するからお前は屋敷へ行って、部長を取り戻してこい」
「ちょっと待て!お前一人でこいつらを相手する気か?無茶だぞ!それにこいつらもいるし、結界もあるしで俺じゃあ屋敷に入れねーだろ!」
「いや、入れるさ……。イッセー、あの二体に隙を作る。その瞬間お前をあそこまでぶん投げる。それだけだ。シンプルだろ?だから、そこからは自分でなんとかしろ…っよ!」
リオレイアが空中から地面に急降下する。そして、リオレイアが、地面に足をつける瞬間を狙って、足を氷らせた。そしてーーー
「イッセー。行ってこぉぉぉおおおい!!」
「ぎゃあぁぁぁぁあああっ!!」
イッセーに強力な風を纏わせ、ロケットのように綺麗に飛ばし、そのまま屋敷の結界、扉を破り、中に侵入した。
いくら強力な結界といっても、この森にいる強いモンスターはリオレウス、リオレイヤ程度。それならあの風さへあれば十分だ。
「あとはお前次第だぞ、イッセー」
俺は空を飛ぶ二匹を見据え、そう小さく呟いた。