俺の意識が戻ったとき、まず、目に入ったのが赤と白のドラゴンだった。
そして、その二匹のドラゴンを、純白の翼をもち、頭の上に輪っかを浮かした者、純白とは真逆の真っ黒な翼を持った者、コウモリに似た翼を持った者が囲んでいた。
(んー。これはあの二匹のドラゴンを倒そうとしているのか?)
二匹のドラゴンを囲っているものは皆、あのドラゴンに向かって攻撃をしている。ので、間違い無いだろう。
だが、俺はあそこにいる者達では、倒すことは出来ても相当苦労するだろうと思っている。
なんでそんな事がわかるのかって?
そんなの…………なんとなくだよ。
なんとなく分かるんだよ。
ホントだぞ!嘘じゃないからな!
多分、アマツになったことが原因だろう。
アマツになったことで自分の力が桁違いに上がり、相手の実力や、自分との力の差などが測れるようになった。そういう事だろう。
話は戻るが、あいつらだけでは、あの二匹のドラゴンを倒すのは苦労する。だから、俺が手伝ってやろうと思う。
まぁ、手伝うとか言ったが、実のところ今の自分がどのくらいやれるか試したいと思ったからだ。
あ、言うの忘れてたが、俺は今、アマツマガツチの姿で浮いている。もちろん常に風も纏っている。だが、ただ浮いているだけなのに周りの被害がハンパない。俺は大体地上から約1キロは離れている。にもかかわらず、下にあった森と大きな山が、吹き飛んでいた。
風の被害は、何も自然だけでなく、下にいた者達にも被害が及んでいた。
「なっ、なんだっ!」
「おいおい、さっきまであった森や山は一体どこへいったっ!?」
「っというよりなんなんだこの風はっ!まともに飛ぶこともできないっ!」
襲い来る未知の風にただ、騒ぎ始めた。そこで、1人の男が震える指でこちらを差してきた。
「…………お、おいっ!あ、あれっ!」
男の声を聞き、皆が指をさしている方へ向いた。さっきまで戦っていたはずのドラゴンすらもこちらへ向いていた。
そこにいたのは、今までに見たこともないドラゴン。
赤と白のドラゴンの倍近くはある大きさ、全身は真っ白で、頭には大きな角がある。そしてなにより、一番目につくのは、体全体を覆っている凄まじい風だった。
「あんなドラゴン見たことねーぞっ!」
「そんなことよりあいつ、次元の狭間から出てこなかったか!?」
「ほ、ホントだ!あいつの後ろに入り口があるぞ!」
『次元の狭間』の出現により、一層騒ぎが大きくなったが、それを遮るものがいた。
「貴様っ!我らの戦いの邪魔をするかっ!」
「邪魔立てするのなら貴様から葬ってやろう!」
赤と白のドラゴンだった。
そして、その二匹のドラゴンが、俺へ襲い掛かってきた。全速力で飛んでくる二匹だが、俺の元へたどり着く前に、吹き飛ばされた。
理由は簡単。俺が纏っている風に吹き飛ばさた。
ただ、それだけだ。
吹き飛ばされたドラゴンは、体制を整え、直ぐに赤いドラゴンは、口に炎をためて、攻撃態勢に入っていて、俺へ炎を吐き出した。
赤ドラ(もう、めんどいからこれからは赤ドラで、白い方は白ドラで)が吐いた炎は、威力が馬鹿げていた。
(この威力……。日本で吐いたら近畿地方の半分ぐらいは消し飛ばせんじゃね?)
そう思うほどの威力だったが、それですら俺に届くことはなかった。
「なっ!今の威力でも、あの風を突破できないのかっ!」
赤ドラは、相当ショックだったのか唖然として、動きが完全に止まっていた。それは白ドラも同じで、自分のライバルである赤ドラの強力な一撃を受けて無傷だったことに驚きを隠せなかった。
そんなことは知らない俺は、止まっている今がチャンスと思い二匹のドラゴンの頭上で嵐を起こし叩き落とした。
凄まじい轟音が響き渡る。
また起き上がって攻撃されるのは鬱陶しいのでトドメにブレスをお見舞いした。
するとーーーーーーーーー
ドゴオオオオオオオン!!!!!!
‥…………は?思わず間抜けな声がでた。
いや、だって、これは仕方ないでしょ!
トドメと言ってもしばらく動けないぐらいにするはずだったのに、今の下手すりゃ死んでるよ!?
適当にブレス吐いただけでこの威力!?もう地形すら変わっている。
滅茶苦茶おっきなクレーター作っちゃったよ!
ほら!今の戦いを見てた翼を持った人たちなんて全員が口を開けてポカンとしてるよ!…………ハハハ。
これあの二匹のドラゴン大丈夫かな?
俺のブレスが当たる直前に、『Divite(ディバイド)』
て聞こえたし、どっちかが何かしたのだろう。だってブレスの威力が半分近く削られたからね。
…………いや〜、半分削られてあの威力か……。
もし、威力が削られてなかったら、俺を除いたここにいた者達は全員死んでいただろうなぁ〜。
巨大なクレーターの真ん中にはボロボロの格好で赤白のドラゴンが倒れていた。
よかった〜、どうやら生きているようだ。
これ以上面倒ごとはごめんなので、俺は『次元の狭間』?の入り口に入っていった。
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「…………何だったんだ?あいつは…」
「……あの二天龍がたったの一撃?」
「……ば、馬鹿げてる……」
謎のドラゴンが去った後、残された者達は、困惑していた。それも当たり前だ。敵であるはずの奴らと手を組んで、最大戦力で倒しにかかっても、倒すことが出来なかった二天龍を、突然現れた謎のドラゴンが一撃で倒したのだ。困惑しないほうがおかしい。
「おい!お前ら!今のうちに二天龍を封じるぞ!」
黒い翼のリーダーらしき人物が、真っ先に我に返り、そう叫んだ。
「確かに今がチャンスですね」
「あぁ、あいつらがまた目覚める前に終わらせるぞ!」
「「「「「「おう!!!!!」」」」」
その場にいたものが全員やっと、我に返った。
そして、二天龍は、神器(セイクリッドてギア)に封じ込められたのだった。
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「ふぅー」
俺は次元の狭間へ入った後はただただ浮きながら愚痴を漏らしていた。
そらもそうだーーーー
「戦争のど真ん中に転生させるか?普通ぅ〜」
こう愚痴りたくなるのは仕方ないと思う。
転生場所が、争っているところだぞ?なんで転生初めにあんなのに巻き込まれなきゃいけないんだ!
まぁ、今の自分がどれくらいなのかある程度わかったからいいけどさぁー。
けど…………これからどうしよ?