MacBookAirとパソコン、スマホ用メガネ買いました。見やすい。凄い。サクサクしてる。
後、何気に初めての予約投稿してみました。うまくいってるかな?
「お嬢様、ひとつだけ、ひとつだけ聞かせてください」
「ん?なあに?虚ちゃん」
「いつからこんな劇を考えていたのですか?」
「一夏君を生徒会に入れるって決めた時からよ?あ、ちなみに本音ちゃんも知ってたから」
「……本音?」
「す、ストーップー!え、えぇっと…これには理由があって…」
「…言いなさい」
「面白そうかな〜って!…ふぎゅっ!?」
ごちんっ。と、虚の拳が本音の頭を穿った。
虚の目の前のテーブルの上には、『灰被り姫(殺)』という題名の書かれた台本のような物が置いてある。以前から、一夏を生徒会に入れようという話が出ていたことを虚は知っているし、何よりそのために自分も尽力してきたつもりだった。
が、そんな虚に隠れ、楯無と本音は一夏を確実に獲得するため『観客参加型シンデレラ』という劇を企画していたのだ。
「…立案はどちらが?」
「私よ?」
「…台本は?」
「私だけど…ほとんどアドリブよ?」
「…ナレーションは?」
「私がするわ」
「…先生方への許可は?」
「お酒と交換で手に入れてるわ」
「…場所は?」
「第4アリーナよ。あ、もちろん使用許可は取ってるから」
「……はぁ」
「本音ちゃんがしたのは虚ちゃんへの話題振りだけだから」
「えへへ〜」
「…はぁ…」
楯無の手回しの早さに思わずため息が零れてしまう。自分に気づかれること無く、いつの間にそれほどの準備をしていたのか、甚だ疑問に思う。それと同時に、主人と妹の画策に気づかなかった自分を少しばかり愚かしく思ってしまう。
「…剣くんは?」
「ひぇっ…、に、睨まんといてくださいよ。俺はただなんか劇やるってことしか聞いてなかったですし、最近夜寝るの早かったり、色々してて遅かったりやから…」
「…簪お嬢様は?」
「え、えっと…その…、一夏で何かするって言うのは…」
「…分かりました。…はぁ、お嬢様、何度も言いますが、こういうのは1度私に相談してから…」
「もうっ、虚ちゃんったら。素直に言えば良いのに。一緒に遊びたいって」
「違います!それよりやっぱり一夏くんで遊ぶつもりなのですか!?」
「あら、バレちゃった」
悪びれることなく、舌をちろりと出し、小悪魔のように微笑む楯無に、今度は頭を抱える。
―これ以上仕事を増やさないでください…。それと剣くん、今も私がこうしている間にお嬢様といちゃついていますが…それ以上…甘やかさないで…。
そんな虚の苦労も露知らず、時守と楯無と簪の3人はベタベタと互いの身体を触りながらいちゃいちゃチュッチュしている。本音は本音で、いつの間にか取り出したケーキを満面の笑みで口いっぱいに頬張っていた。
「…いつから、始めるのですか?」
「もう少しよ?虚ちゃんの入場チェックの係が終わる時間とちょっと合わせてたし」
「そ、そうですか…」
何故か頬を少し赤らめた虚が、楯無から目を逸らす。ふと、少し前に入場ゲートで声を掛けてきた赤髪の青年のことを思い出した。が、彼には悪いが、今はそれどころでは無い。
「そ、それよりお嬢様。出演者はどうするのですか?さすがにアポは取って…」
「ないわよ?今から行くの」
「…ないんですね。ちなみに候補は?」
「最初は1年生専用機持ちちゃん達で、ちょっとしてから投票してくれた皆よ。一夏くんが生き残ってくれたら、それだけ投票してくれる子が増えるし、どの道私が一夏くんの同棲相手を決めるしね」
「…というと?」
「最初はね、一夏くんから王冠を取った人が、同室になれるっていうルールだったの。でもそうしちゃうと私と剣くん離れちゃうじゃない?だからね、『王冠を取った人が、織斑一夏の同棲相手を決めることができる』っていうのにしたの」
「なるほど…。で、その一夏くんが来てくれるという確信は?」
「確信も何も、連れてくるわ。一夏くんが剣くんに完敗してから、一応はコーチしてたし」
「…コーチの件もこのためだったんですね…」
あまりの周到さに、最早ため息すら出なくなってしまう。外から見ている限り、楯無の指導は、ちょくちょく一夏で遊ぶ以外は、至って真剣だった。
しかし、その裏で、一夏に『少しでも強くしてあげた』という借りを作らせ、今回の劇に必ず参加させるように仕向けていたのだ。
「まあそれ以外にもあるけどね。彼が弱かったら困るっていうのはホントのことだし」
「そう、ですね…」
「あ、せや。皆って誰学園祭に誘ったん?今更やけど」
不意に、時守からそんな質問が投げかけられる。話が少し暗くなりそうだったため、良い話題変換の機会だと思い、虚も乗ることにした。
「私達全員、両親に渡したわ。…剣くんは?」
「俺もおかんかおとんに渡そ思てんけどな、あの2人今沖縄でサーフィンにはまってるらしいから要らんって言われてん。んで、結局友達に渡した」
「け、剣くんの?」
「おう。中学の友達。カナと簪も前会ったやろ?」
楯無や簪、本音らも乗った結果、自分達の知らない所で学園祭が荒れていることを、その名を聞いてなんとなく知ることとなる。
「健くんや。あの健くん」
自分達が今まで出会った中で、最高クラスのキャラの濃さを持つ、その人物が来ていることを。
◇
「エロス!」
「死ねこの変態っ!!というより、なぜお前がここにいる!」
「剣ちゃんに招待券もらってん。昨日このへんであった練習試合でボコってきたとこやし、タイミング良かったなーって」
「…はぁ」
時守と、彼を追って出ていったシャルロットとセシリアが出ていった後、1年1組のご奉仕喫茶は少しの間、落ち着いていた。が、とある人物の来店により、数分前までの勢いが少しばかりぶり返してきた。
「で、だ。注文はなんだ?」
「お、ま、え♡」
「一夏、木刀を取ってきてくれないか?」
「嘘嘘嘘!!もぅ、箒ちゃんったらー。剣道日本一同士のノリやないのー」
「…はぁ。…注文は?」
「『メイドにご褒美セット』と『メイドのご奉仕セット』で」
「あぁ、了解…し…た…っ!?ふ、2つともか!?」
「せやでー。何回も注文するよりまとめてした方がええやろ?」
「ぇ、あ、…わ、私が…?」
「おう」
颯爽と現れた謎のイケメン、神藤健を見に来た人に時守の知り合いということがバレ、さらに人を呼ぶというループが発生したのだ。
「ぐぬぬ…、し、仕方ない。い、今は一応、客だからな。仕方なくだが従ってやる!感謝しろ!ご主人様!」
「お、おおお…っ!」
「な、なんだその顔は…」
「い、いや。何もない…」
「ふんっ!変なやつめ…」
知らず知らずのうちに見事なツンデレを見せた箒が厨房に料理を取りに行く。箒がそうしている内にも、健はラウラや一夏に声をかけては時守の話で盛り上がっている。
「ね、ねぇ篠ノ之さん?」
「なんだ?」
料理が出来上がるまで、少しばかり厨房のそばに立っていた箒に、理子が話しかける。まるで恐ろしいモノを見ているかのような表情で、箒の顔色を伺っている。
「も、もしかしてさ…健と付き合ってる?」
「………は?な、なななななな何を言っている!!」
「な、なんかやたらと仲良さそうにしてたし…剣道日本一同士だし?」
「あ、ありえるはずないだろう!アレだぞ!?」
「あ、今の聞いて安心したわ。ま、大変だと思うけど、接客頑張って!はい、お待ちどお!」
「あ、あぁ…」
引き攣る頬をなんとか抑え、箒は健の元へと向かう。厨房から出た箒の目に止まったのは―
「………は?」
―まさに異様な光景だった。
「いらっしゃーせー!」
「ど、ドレスだと!?私も着れるのか!?」
「えぇ、もちろん。あ、一夏君には拒否権無いからね」
「はぁ!?な、なん…。はぁ、分かりましたよ。なんでって言っても連れていかれるんですよね?」
「正解。鋭いわね、一夏くん」
「楯無さんに振り回されていたら分かりますよ!!」
なぜか執事服を着た
調理班やその他の1組の女子が緊急処置として接客に当たっている中、お前達は何をしているのか、と、問いただしたかった箒だが、どうしても聞きたいことがあった。
―ドレスとはどういうことだ!!!!
ずん、ずんと大股で一直線に進んでいく。器用にも、スカートの裾を一切踏むこと無く、目的地である楯無の元へとたどり着いた。
「私もラウラもドレスを着ますから行きましょう楯無さん行くぞ一夏」
「え、ちょ、箒?今なんて言ったんだ?1度に言われても…」
「さっすが箒ちゃん。即決即答ね。ほらー、一夏くんもさっさと決めなさい?男の子でしょ?」
「…はぁ。はいはい、分かりましたよ」
「「はいは一回!」」
「……はい」
「どうした?嫁。ずいぶんと暗い顔をしているが、何か変な物でも食べたか?」
「…何でもねぇよ、ラウラ。……ありがとうな」
「な、なぁ…!?」
4人が教室を出る間際、げんなりとした一夏の不意の一言がラウラをときめかせ、箒に危機感を覚えさせ、楯無に黒い笑みを浮かばせるという、まさにIS学園ならではの出来事があったが、あれよあれよという間に出ていった。
「いってらー。…お、いらっしゃーせー!かわいいお嬢様ー!!」
なぜか男性操縦者でもない関西人に見送られながら…。
◆
「あれ?弾?」
「お、まだここにいたのかよ、鈴」
関東の男性操縦者、織斑一夏の親友である五反田弾は、再び1年2組の中華料理訪れていた。
「今度は1人なの?」
「あぁ。…ぶっちゃけ、一夏といると女子がな…」
「あー。ま、まぁ分かる気はするけど…」
あんたはあんたで、結構人気みたいよ?
その一言を、鈴はあえて飲み込んだ。理由は簡単、面白そうだったからだ。実際に、今も弾目当てで他クラスから見に来ている女子もいるし、クラス内の接客担当の女子も、先ほどからちらちらと彼を見ている者が多い。
「入場ん時に良いなって思った人とうまく話繋げられなかったし…やっぱ俺女子と喋んの向いてねぇのかもなぁ…」
「じゃああたしは何なのよ」
「鈴は…友達?ってか最早親友クラスだな」
「…何よ。あたしを女として見てないの?」
「……見てるって言ったらキモいとか言うんだろ?」
「当たり前よ。弾だもん」
「酷くねお前!?」
ショックを受けている弾を尻目に、鈴は微笑む。回りくどい言い方だが、自分に女としての魅力があると伝えてくれたのが少しだけ、照れくさかったのだ。
「だあぁぁぁあ!!高校3年間彼女無しとかマジで嫌だ!周りが周りだしな!」
「剣に一夏…、か、可哀想なほどにあんたに目が行かないわね…」
「だろ!?…刺激的とか要らねぇからさぁ…もっと、こう…。お淑やかっていうか、優しいっていうか、普通のお付き合いが楽しめるような人と出会いてぇんだよ!」
「……なんでか分かんないけど共感できたわ」
思わず、思案にふける。自分達が何をしていたのか。
―斬り、打ち、撃ち、飛び、忍び、騙し、欺き…―
そんな駆け引きなど日常では当たり前。さらにISでは。
―転校、テロ、転校×2、暴走、テロ―
よくよく考えたらあたし達の一学期おかしくない?という疑問が浮かぶ鈴だったが、ふと気になったことを弾に尋ねてみた。
「ねぇ弾。そう言えばさ、なんであんたまたここに来たの?さっき食べたとこなのにまた来るのもおかしいわよね?」
「あ、忘れてたわ。なんか一夏が女子に連れられてどっか行ってたのを見たんだよ」
「……聞かせて」
「ひっ…。あ、あのな。1人は剣の彼女だ。水色のはねた髪の…確か、楯無…さん?だったな。後は、銀髪のちっちゃい子と、一夏のファースト幼馴染みの篠ノ之箒。両方とも目がキリッてしてる。んで、なんか劇がどうやらー、とか、ドレスがなんたらー、みたいな話してたぜ?」
「……そう」
両手の人差し指で目尻を上げ、2人の目元の真似をする弾に、鈴は、声色こそそうは聞こえないが、心の中では今までに無いほどに感謝をしていた。
「ありがと、弾。あんた、絶対モテるから、頑張んなさい」
「え、お、お、おう?…も、モテる?…って、どこ行くんだ?お前」
「ちょっとバトってくるわ」
「そ、そうか…。が、がんばれよー」
互いに激励の言葉を送り、鈴は店の外へ、弾は店の中に残った。
「…嘘ーん」
ここでも1組同様、客が残り、店員が居なくなるという珍事が発生した。
◇
「剣くん、着替えた?」
「え、俺ってこの服装で良くね?」
「まあそうなんだけどね。一夏くんは?」
「いやあの、着替えたんですけど…なんですか?これ」
第4アリーナの更衣室、そこに一夏と剣、そして楯無は居た。服装は順に、楯無が用意した王子の衣装、店の執事服、中にISスーツを着た制服、となかなかのミスマッチである。
「それが一夏くんの衣装よ。題目はシンデレラで、台本は無し。後10秒ぐらいで始まるから早く準備してねー」
「え、あ、後10秒!?や、やべえ!」
「俺はちょい後かららしいからがんばー」
「お、おう!」
何がなんだかよく分からないまま、一夏はアリーナに作られたステージに登った。―――否。
「むかーしむかし、あるところに、シンデレラという1人のお嬢様が居ました―」
(良かった…。普通出だしっぽいぞ―)
―登ってしまった。
「と、思われがちですが、シンデレラが1人?そんなのは、ここIS学園においては全くの嘘っ!!英、独、仏、日、中!各国から集った6人の精鋭が王冠に隠れる機密文書を狙う!はたして、王子と執事は無事、その王冠を守ることが出来るのか!」
「……は?」
「6人の姫、灰被り姫と執事と王子の舞踏会!今宵はどのような舞いを見せてくれるのだろうか!」
「もらったぁぁ!!!」
「伏せろやアホがぁぁ!!」
楯無のナレーションの終了と共に、一夏の頭上で、鈴と時守が交錯した――。
R-18だが、30人ハーレムだと言ったな。あれは嘘だ。
…もう少し、拡大(ここ重要)します。お楽しみに。