IS 西の男性操縦者   作:チャリ丸

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デート編早く終わらせたいんだ。…惨めになるからね!


デート 刀奈編

 

 

 

 

 

「全くもう…」

 

私、更識刀奈はIS学園の最寄り駅前で剣くんを待っていた。

私がここを待ち合わせ場所に設定したのには理由がある。

1つは尾行している人物がいないか確認するため。もちろん、親しい人物には尾行しないように、と釘を刺しておいたけど…みんな物分かりが良くて助かったわ。薫子ちゃん…顔青くしてたけどどうしたのかしらね。

もう一つは今日剣くんとIS学園で少しでも一緒に居ると我慢できなくなるから。

昨日、一昨日と剣くんはセシリアちゃん、簪ちゃんといちゃいちゃしていた。

 

 

 

 

私の部屋で。

 

 

 

 

そう、私の部屋で。剣くんの部屋は私の部屋。同室。大事なことだから4回ぐらい言っておくわ。

セシリアちゃんと簪ちゃん、2人とも剣くんと同じベッドで寝ながら愛を囁きあっていたけど…隣のベッドで私が寝てるの忘れてないかしら?

そりゃあシャルロットちゃんも合わせて四人で将来剣くんのお嫁さんになって、剣くんを囲う予定だけど…。流石に酷いと思うの、私が甘えに行ってもキスとか甘噛みとかソフトタッチとかで終わるのって。

セシリアちゃんと簪ちゃんには激しくしたのに私にはしてくれないなんて……。

別に愛してくれていない、なんてことは思っていない。むしろ愛されてると思う。セシリアちゃんとのデートが終わってから、剣くんの雰囲気…というか顔がまた変わった。

 

最初に会ったときのは『目標を見つけた顔』。

そして今は『守るもの、そして居場所を見つけた顔』。

 

前者は何かを追い求めるような、獣のような雰囲気だった……まあ一緒に特訓してた私や織斑先生ぐらいしか知らないでしょうけど。

後者は静かな闘志を秘めた、それこそ守る者の雰囲気。約2回の臨死体験を経て、周りの自分に対する評価や向けられている目、そして自分の想いに気がついたから…だと思う。

 

さらっと言ったけど…剣くん無人機の時とVTシステムの時と…2回ぐらい死にかけてるのよね…。自爆の時は衝撃でISの絶対防御が普通に働いてしまうレベルのダメージ。VTシステムの時は肉体への単純なダメージが重なりすぎたから。…よく生きて戻ってきてくれたわ。

 

 

んんっ!話が反れたわね。

 

 

昨日、一昨日は夜、私には構ってくれなかったけど、今日は私の番♪

だから、だからものすご〜く楽しみにしてたの。

…でも……どうしてかしらね?

 

 

どうしてこういう時ってナンパされるのかしら。

 

 

 

「なあなあお姉ちゃん、俺らと遊ぼうや」

 

嫌よ。

 

「そうだよ?ため息ばっかだと幸せ逃げるよ?」

 

少なくとも少し前まではあれこれ妄想してたりして幸せだったんだけど。

 

「ほら、俺たちがイイことしてあげるからさ」

 

もう4人まとめてしてもらいました!!

 

 

 

 

 

 

 

はぁ…剣くん、遅いなぁ…。こんなチンピラ、軽くやっちゃおうかしら…

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 

待ち合わせ場所である駅前に着いたら刀奈がアホみたいな3人組に絡まれてた。

 

 

「う、……浮気…?嘘やろ…まだ一週間も経ってへんぞ…」

 

 

4股してる奴が言っていいセリフちゃうと思うけど……なんかめっちゃ腹立ってきた。

今日もデートやし、しかも簪と夜遅くまでいちゃいちゃしてたのに朝ちっふー先生に『訓練だ』とか言われて叩き起こされたからな。木刀フルパワーで。……よし、ストレス発散や。よくよくみたらカナ嫌そうな顔してるし。多分俺の嫁に手を出そうとする愚か者やな。

 

 

 

「刀奈…!」

 

 

 

とりあえず……走ってからの〜…

 

 

「…刀奈から……!」

 

 

2mぐらい手前でジャンプして〜…

 

 

 

「離れろやボケェ!!」

 

 

 

ドロップキックのお見舞いや。

 

 

 

 

 

「離れろやボケェ!!」

「ぐふぅ!?」

 

 

チンピラ1号が身体を横に『くの字』に曲げて吹き飛んだ。吹き飛ばしたのは私の彼氏であり、将来の旦那さんである…彼だ。

 

 

「剣くん!」

「悪い。ちょいちっふー先生に絡まれてた」

 

 

あー、確かにこんなチンピラ達よりも厄介よね。あの人は。

 

 

「な、…なんだてめぇ!!いきなり何しやがる!!」

「そりゃこっちのセリフじゃ。…おい…人の彼女に何してくれとんねんお前ら」

「ひっ…」

 

 

あ、『激オコスティックファイナリアリティ剣くんドリーム』だ。

ドスの効いた声で発せられる関西弁。これは剣くんが本当にキレた状態。最近は……ミルクだと思って買ったチョコがビターだった時になってたわね。あの時は確か…『工場燃やしたろかカス』…だったかしら?

後は遊ぶ時に一夏君が持ってきたのが『ポテチうすしお味』じゃなくて『ポテチコンソメパンチ味』だった時ね。あの時は…『目ん玉に塩ブチ込むぞごら』だったわね。想像した一夏くんと鈴音ちゃんが震えてたわ。

 

 

「ぶっ殺すぞごら…」

「ふ、ふざけんなよてめぇ!こっちは3人なんだ!やっちまえ!!」

「あ゛?死なすぞゴミが、口開くな。臭いんじゃ」

 

うわぁ…だいぶ織斑先生にしごかれたのね、剣くん。声と顔からして不機嫌そのものだし…とりあえず…チンピラ三人衆、ご愁傷様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、もしもし警察?うん、そうそう。IS学園の最寄り駅前な?はいはーい、んじゃよろしくー。はよ来てな?俺今からデートするから」

「づ…づえぇよごいづ…」

「なんなんだよ……ボゴボゴにざれだじゃねぇが…」

「い、いでぇ…」

 

 

チンピラトリオは一瞬で鎮圧された。…まあ普段織斑先生と組み手してるんだし…ねぇ?

 

 

「おい」

「「「は、はいぃ!!」」」

「二度と俺の前に面出すなよ」

「「「分かりましたぁ!!」」」

「じゃあじっとしとけ。…動いたら…な?」

「「「はい!分かりました!!」」」

 

 

―その後チンピラトリオは警察に連行された。…剣くんどこに麻縄なんて持ってたんだろう?拡張領域に入れてたのかしら?

 

 

 

 

 

「んじゃ、行こか」

「うん、今日はよろしくね♪」

「……おぅ…」

 

 

剣くんの腕に抱きついて、その力を強める。

んふふ〜、焦ってるわね?…まあこういう反応が見たくて今日は結構露出多めの服装にしたんだし。大成功ってとこかしら。

最近剣くんに良いようにされてきたから、今日ぐらいは…ね?

 

 

「む、なによその反応。…不満?」

「い、いや…そういうことやなくてやな…。目のやり場に困るっていうか何ていうか…」

「もぅ。もっといろいろ見てるんだし、今更でしょ?それに、夏には挨拶に来てもらう予定なんだから」

「…………ゑ?」

「簪ちゃんと私と剣くんの3人で、よ?」

「…マジ?」

「マジよ」

 

 

……お父さん…めちゃくちゃ荒れてたけど…

 

「…じゃあフランスとイギリスにも行かなあかんな」

「そうなるわね。…ま、今は…ね?」

「あぁ」

 

 

 

 

そう、今は…ううん、今日は私だけを見てくれる日。

 

 

 

 

 

「あっつ…」

「…………」

 

 

なんで日曜の朝やのに電車まあまあ混んでんねん。ほら、カナも汗かいて服が……ふ、服が……ぴったりと…。あ、あかん…その…身体のラインが結構はっきりと出てるし…自然と見てしまう。

 

 

「…なに?剣くん」

「え、い、いや?別になんもないけど…、どないした?ちょっと機嫌悪そうやけど……」

「…ふんっ」

 

 

えっ…いやマジで俺何した?…あ。

 

 

「わ、悪い…さっきからジロジロ…」

「剣くんならいいの」

 

 

『なら』?……あー、なるほど。

俺は隣に立つカナの耳元に口を近づけ、そっと囁く。

 

 

「…関係を周りに見せつけたい…ってことか?」

 

あ、顔が赤くなった。ふふふ…もっと責めてやろう。

 

「せやな…俺もカナを取られたくないし…何より周りの男どもの視線が気に入らん」

 

 

おー、また赤くなった。可愛いなぁ」

 

 

「こ、声に出てるわよ剣くん!」

「事実を口にして何が悪いんや〜?」

「っ!もうっ!ほんとに知らない!」

「……ほんまに?」

 

 

なんか今のカナはめちゃくちゃいじめたい衝動に駆られる。…俺Sちゃう…のに…、ちゃうよな?

 

「ごめんて…ほら、今日は…刀奈だけやろ?」

 

 

ギュッ

 

 

その言葉に反応したのか、刀奈は俺の胸元に顔を埋めるように抱きついてきた。

 

 

「…馬鹿。来るの遅いし、周りの人達がジロジロ見ても何の反応もないんだもん…」

「…じゃ、見せつけたろか」

 

 

優しく刀奈を抱きしめる。すると刀奈は俺の胸で顔をグリグリと擦り付ける。

 

 

「えへへ〜、剣くんの匂い…」

「刀奈も…柔らかいな」

「むっ…剣くんのえっち」

「うぐっ…ま、まあソコもあるけど…なんか、全身が…な?」

「ふふっ、じゃあもっと…んっ」

 

 

 

 

ギュッ

 

 

 

 

―そんなこんなで俺たちの電車移動は終始お互い抱きしめあって終わった。

 

 

 

 

 

 

 

「「涼しい…」」

 

 

『レゾナンス』に入った俺たちはとりあえずどこの店にも入らず、ベンチに腰掛けて涼んでいた。

 

 

「…涼んだらどこ行く?」

「うーん………ゲーセンに行ってみたい…かな?」

「ははっ、そっかそっか」

「?どうしたの?」

「いやぁ…姉妹揃って行きたいとこ一緒やとは思わんかったわ」

「簪ちゃんも?」

「おう、なかなか楽しかったで。…そのあとは?」

「…新しい水着が見たい…のと、後はまたそこから色々…」

「ははは!そこまで一緒やとはな」

 

 

姉妹…というより双子レベルやろこれ。

 

 

「まあ私としては簪ちゃんと考えが一緒、ってことで嬉しいんだけど…」

「そんな顔すんなよ…別に俺はええで?ゲーセンにも色んな筐体あるし」

「そう?…剣くんがいいなら…」

 

 

そう言うとカナは右手をもじもじさせながら俺の方に差し出した。…こういう所も可愛いなぁ…。ってかまた簪と似てるし。

 

 

「エスコート、させてもらうわ」

 

 

 

俺は彼女の右手をしっかりと握った。

 

 

 

 

 

 

「ふっふーん」

「まさかあそこでサンダー出るとは…」

 

 

ゲーセンを出た俺らは昼食をとるためにレストランに入っていた。

 

 

「初めてやったけど面白かったわ!あのカートゲーム!」

「喜んでもらえて何より、や。また後で寄ろか。UFOキャッチャーとかどうや?」

「あっ!やってみたいわ!」

「りょーかい」

 

 

こういう少女チックな所も、刀奈の魅力の1つ…やな。

そんなことを考えていると対面に座る刀奈がフォークにスパゲティを絡ませてこちらに向けていた。

 

 

「はい、あーん」

「あーん」

 

 

美味し。…そういやスパゲティとパスタって何がちゃうんやろ。うちの定食屋じゃ出してなかったしな。よう分からんわ。

 

 

「んじゃ、はい、あーん」

「あーん」

 

 

俺も自分のドリアを刀奈にあげる。

俺と嫁たち四人の食事は大体いつもこんなかんじや。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ剣くん」

「お、来たか。全然待ってへんけど…なんで一人で?」

 

 

昼食を終えた後、俺は水着売り場の外でカナを待っていた。

 

 

「こういうのって、本番のお楽しみにしておいた方がいいじゃない?」

「まぁ…そういうのも一理ある…か」

「そ♪ほら、行きましょ?」

 

 

そういうと今までとは違い、カナが俺の腕を引き、目的地であるゲーセンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、大量大量♪」

「ぬいぐるみとか結構取ったな」

「これモフモフしてて気持ちいいんだもん、いっぱい取っちゃった」

 

 

UFOキャッチャーでぬいぐるみやらクッションやらを取った俺たちは、少し早めだが、IS学園に帰るために『レゾナンス』を出ていた。

 

 

「しっかしまあ…あんだけ使ってもまだ有り余ってるとはな…」

「ま、まあ…皆家が家だから…ね?」

 

 

更識家、オルコット家、デュノア家、そして国連代表である俺。……本気出したら企業からIS買えるんちゃう…?……あ。

 

 

「そういや俺の名字ってどないなるん?」

「……あー…」

 

 

カナは返事を探しているのか微妙な顔をしている。

シャルはそんなこだわらんと思うけど…セシリーとカナと簪は、ほら、跡継ぎとかあるやん?

 

 

「更識・オルコット・剣?」

「どこの国の人よ…。まあそこまで細かく気にしなくてもいいんじゃない?」

「…そうやな。愛に名前とか関係ない…か」

「…うん♪」

 

 

『愛』という俺の言葉にカナは小さく反応し、俺の右腕を抱きしめている力をほんの少しだけ強めた。

 

 

 

 

 

 

「んふふ〜、ねぇ剣くん。もう一回言って?」

「…なんでここで」

 

 

電車なうやぞ?

 

 

「いいじゃない、減るもんじゃないし」

「いや、多分何かが減るで?…それに、そういうのは部屋に戻ってからの方がええやろ?」

「そうね…ふふっ」

 

 

隣に座りながら、刀奈は俺の肩に頭を乗せた。

 

 

 

 

 

俺の隣に座る刀奈は、終始上機嫌だった。

 

 

 

 

 

 

「うふふ」

「…」

 

 

あぁ…ここまで…ここまでやりにくい告白があるだろうか。

今から何を言われるか、そしてされるか分かっている彼女…まあカナが返す言葉も大体分かってんねんけど…

 

 

「さ、剣くん」

「あぁ…」

 

 

 

ここまでムードもへったくれも無い告白とかあるか?

むむむ…このままなんも無いままっていうのもなんか嫌やし。…今のこの余裕綽々なカナをちょっとびっくりさせたい…

 

 

 

「どうしたの?剣くん、愛の告白、してくれるんでしょ?」

「し、したろやないかい…」

 

 

出来るかアホ!!

 

 

よ、よし。ここでもっかい状況整理や。

晩飯は?食った。風呂は?入った。カーテンは?閉めた。電気は?付けてある。……付けてある…これや!!

 

 

「んじゃ」

「……えっ!?」

 

パチンッ

 

 

部屋の電気を一番暗い豆球にする。…まあアレや。あのぼんやり明るいって感じの明るさ。

 

 

ベッドに腰掛けている刀奈の隣に座り、両肩を持ち、こちらを向かせる。

 

 

「刀奈…」

「剣くん…」

 

 

お互いの顔が近づき、唇が重なりそうな雰囲気だが、ここはしない。そう、あえてね。

 

 

「ほら、ムードも…あんまり作れへんかったから…」

「わ、私も…剣くんと一緒に居られてちょっとテンション上がっちゃったから…」

 

 

えへへ、と笑うカナ。…そうか、やからか。やから今日はやたらと積極的やったんか…

 

 

「じゃあこれからも一緒に居てくれるか?」

「…!うんっ!」

 

 

 

 

彼女の首に指輪付きのネックレスを付ける。

 

 

 

 

「ん。…ふふ、ねぇ剣くん?」

「ん?」

「……必ず、帰ってきてね?」

 

 

薄暗い部屋、そして告白したこのタイミングで色々とボカしたこの刀奈の発言…恐らく、これからIS学園で俺やワンサマのせいでいろんな事件が起こる。そして俺はその事件に間違いなく首を突っ込むだろう。…愛する人達が、ここにいるのだから、この場所は守る。俺の帰ってくる場所だから。そう…だからこそ。

 

 

 

「あぁ、約束する。…いや、お前たち4人に誓う」

「言葉だけじゃ…足りないわ」

 

 

 

物寂しそうにこちらを見る刀奈に、もう俺の理性は半分程無くなったのだろう。彼女の唇を乱暴に奪い、口の中を互いに蹂躙する。

 

 

 

「んくっ……ちゅ、んむぅ…んっ…ちゅぷ…」

 

 

どちらかと言うと刀奈の方が積極的、に。

 

 

 

「…っぷは…」

「はぁ…はぁ…」

 

 

 

 

――――そして

 

 

 

 

「剣くん……あのね…」

 

 

 

 

――――俺の残り半分の理性は

 

 

 

 

「初めては…私たちが……その……した、から…」

 

 

 

 

――――刀奈の発言で

 

 

 

 

「今日は、剣くんが好きに…シて?……もっと、深く、刻んで?」

 

 

 

 

――――いとも簡単に崩壊した。




こらそこ!刀奈編だけやたら長いとか言わない!推しなんだから仕方ないだろ!←開き直った。


デートなんて書けないんだよ!(半ギレ)
トイレって…アイデアの宝庫だと思うんだよね。
デート回をトイレの中で書いてるんだよ!!

キスシーンは他作者様のR-18を参考にさせてもらいました。

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