留美の奉仕部   作:ふたなり2

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料理イベントも雪ノ下の味見を残し進んで行き、

和やかな雰囲気の元無事幕を閉じた。

後片付けの八幡といろはの会話を聞きいろはの気持ちを

知ってしまう留美だった。




留美の奉仕部 ( いろは先輩の思い )

 

 

もう~ほんとに、ほんとに、本当に!

頭にきちゃう!八幡のバカ………。

 

そりゃさ、私も八幡にお弁当で「あ〜ん」させた事あるけど、

八幡嫌々モードだったし、ほのかの「あ〜ん」は喜んで自分から

進んでしてるみたい…ほんとに!

それにさ、皆んなの見てるとこでやる〜?

 

あの後、ただならぬ状況をやっと把握した八幡はキョドリ顔に

なって「なっ、なんだよ、ほのかっちのキンピラが美味かったからな…」

って言い訳しちゃてさ、男らしくないったら!

 

「八幡、駄目だよ!」って二の腕を軽く抓ってキンピラの試食を終わった。

ほのかは涼しい顔で「あちゃ、留美に怒られちゃった。」

ってテヘペロ顔で皆んなにキンピラの試食を進めていたし、

いろは先輩なんか両の手をプルプルさせてほのかに怒ってたよ。

 

「痛~ぇ」と小さな悲鳴を上げてブツブツ言ってた八幡だけど、

みんな知らん顔してて可笑しかった。後で八幡に

「ごめんなさい…」って謝ったけどさ。

 

抓った後の小町先輩と由比ヶ浜先輩の苦笑いが何故か印象に

残っちゃった。

 

場を和ませた名司会の小町先輩が最後に紹介したのが

雪ノ下先輩とその料理だった。

 

「平塚先生の彼氏さんにバランスのいい食事と考えたらシンプルな

和食かなと思って。」さすがは料理マスターの異名を持つ雪ノ下先輩!

 

先輩の料理はシンプルな朝食の献立で炊きたての

ご飯にあわせ味噌のあさり汁、焼きたてのアジの開きに

軽く炙った焼きのり、お新香とまるで旅館の朝食のようで

とても美味しく朝、彼氏に食べてもらうには

ベストな物だった。当然、絶賛の嵐で静先生も

ことのほか気に入ったらしく特に味噌汁の作り方を

雪ノ下先輩から指導してもらうみたい。

 

八幡?フンだ、雪ノ下先輩の炊いたご飯を「美味いぞ、美味い!」って

ガツガツ食べてた。……私の作った肉じゃがをオカズに食べてたけどね。

 

料理味見大会は滞り無く無事?終了し、イベントは幸せそうな静先生を中心に

新旧の教え子が先生の為に料理研究と言う先生に料理を一生懸命に教える講習会と

変化していた。

 

「先生?何故そんなに塩を入れるんですか?高血圧になったらどうするんですか?」

 

「へ?ダメなのか?」

 

「考えて下さい!塩分の取り過ぎは成人病の元です、将来の旦那様を病気にするつもりですか?」

 

「うぅ…すまん…。」「得意料理のカレーで、なぜ、こんなにソースを入れるんですか?」

 

「この方が味にコクが出ると思って…」「何年か前の由比ヶ浜さんと一緒の発想を…ダメです!」

 

「あ…ごめんなさい…」「ソース煮込みじゃないのですから!」

 

「………すまん。」

 

「雪ノ下、あ〜 押さえて、もっと優しく…」

 

「誰が優しくないと?キンピラ谷くん?」

 

………… メチャ怒ってる… 優しい眼差しで微笑んでるんだけど怖い…氷の女王様だ。

 

「まあまあ、ユキノン?あたしも味音痴でユキノンに教えてもらって迷惑かけたけ

どさ、今は何とか出来るようになったし何回が練習すれば美味しくなるから。」

 

「何を言ってるの由比ヶ浜さん?貴女はどれだけ私が教えたか分からない位じゃない

かしら?それでも今だに5回に一回位失敗するのだから。」

 

「わ〜!それ今言うのユキノン酷い〜!」

 

駄目だ……間に入った由比ヶ浜先輩が撃沈された、正に雪ノ下無双状態。

 

「雪乃さん?雪乃さん?あさりのお味噌汁美味しいって皆んな言ってますよ!

何か秘伝の出汁とか使ってるんですか?コツをぜひ、あたしにも教えてもらえませんか?」

 

小町先輩、貴女は天使です〜でもいつか、貴女を越えてみますよ〜!

 

「そんな、出汁は普通のを使ってるし…でも入れるタイミングとかお味噌の

溶かし方とかを。」

 

「あ〜、此方に来て教えて下さいよ!ほら、平塚先生も一緒に!」

 

「分かったわ、それじゃ先生も一緒に作って見ましょうか。」

 

「お〜そうか!ありがたい!教えてもらうとするか!」

 

機転の効く小町先輩のおかげで静先生も何とかこれで体裁がつくし、

彼氏にさんに美味しいご飯を食べさせる事が出来るといいな。

 

打って変わった笑声の絶えない楽しい講習会になり皆んな満足の中、

料理研究会はお開きとなった。

 

後片付けは各自適当に分担を決めた。八幡の洗った食器をいろは先輩が横で

受け取り布巾で拭き片付けていた。

 

「ね〜せんぱい〜こうして二人で洗っていると何かご飯食べた後の新婚さんみたい…

先輩が旦那さんであたしがお嫁さん…そう思いませんか〜せんぱい〜?」

 

「は?何言ってんのお前?頭に何か湧いてんのか?ブツブツ言ってないで早く拭けよ。」

 

「む〜ちょっと酷くないですか、先輩は愛している人と一緒に何かやっていると

幸せを感じたりしないんですか?平塚先生みたいに幸せそうになりたいと

思わないんですか?」

 

「速く帰って千葉テレビのプリキュアの再放送見ないと幸せになれないからな、

速く片付けるぞ!」

 

「はぁ?先輩はプリキュアと可愛い後輩のどちらが大事なんですか?」

 

「あ?そんなのプリキュアに決まってるだろ?」

 

「さすがにその、ひねデレはもう馴れていますが今の

扱いには抵抗があります。可愛いい後輩のいろはちゃんより

プリキュアの方がいいと?ごめんなさい、あたしの事は

諦めて下さい。」

 

 

「何で付き合ってないのに振られるの?お前に振られるの何回目だよ?」

 

「ちゃんと、お皿洗って下さいね先輩?」

 

「はいよ。こっちは俺に任せて大丈夫だから平塚先生の方を

手伝ってくれないか?家事が苦手で悪戦苦闘してるようだ。先生のプライドを

傷付けず手伝いが出来るのはお前だけだ。要領よく、片付けてやってくれ、頼む。」

 

「もう、そんな時だけ『お前だけだよ』って先輩は卑怯です。あとよく見ていて

誰にも優しいんだから…」

 

「なんだよ?」

 

「何でもありません!でも、あたしにももう少し優しくして下さいね…」

 

「分かった…たまにはな。」

 

「絶対、絶対・・・、絶対ですよ!」

 

少し、瞳を潤ませ、いろは先輩は切なそうに八幡を見つめていた。

 

いろは先輩…そんなに八幡の事を好きなんだ。今のは素だと思う・・・

この人は心の底から八幡が好きなんだ・・・

端から見ているあたしでも切なく愛おしいくなり胸がキューってなるのに、

あんなに素敵で可愛くて甘えてくる後輩の事をどう思っているんだろう…

もう何年も八幡の事が好きなんじゃ・・・

 

由比ヶ浜先輩や雪ノ下先輩は?可愛くて美人で連れて歩けば誰もが

羨ましいがる様な女の子に好かれて手も出さない…凄い人達に

思われてるのにヘタレなのかな?

 

八幡の事を好きな先輩は大勢いるのに誰とも付き合わない

何でなんだろ?何で答えを出さないのだろう?

 

プリプリ怒っていた、いろは先輩は静先生の手伝いをしに行き

先生と楽しそうに恋バナをしながら片付けを終わらせていた。

 

 

こうして楽しかった料理イベントも幕を閉じたのである。

静先生、彼氏に美味しい料理を沢山作ってあげて下さいね ♪お幸せに

奉仕部の依頼も無難に完了したのであった。

 

 

・・・・・・・

 

 

自宅に帰りお風呂へゆっくり入った後、ベッドで寛いでボォーっとしてたら

今日の出来事が蘇ってきた。

 

は〜なんか今日は色々と大変だったな……

 

八幡は誰が好きなの?

 

いろは先輩の八幡の思いは本物で私はそれを見てしまった……

 

由比ヶ浜先輩も雪ノ下先輩も八幡の事が好き……

 

ほのかも八幡の事が好きなのかも

 

私は?私は八幡に憧れてると言うか好き……やっぱり八幡の事が好き。

 

もし他の誰かが八幡の彼女になったら…?やっぱりダメ~!八幡が好き!大好き!

 

頭から八幡が離れない〜!

 

胸がドキドキする…あ〜ヤバイ、ヤバイよ!

 

急に意識しちゃって明日から顔合わす時どうしよう?

 

そりゃあさ、一年の時から八幡の事好きだったよ…だけどこんなに意識したの初めてだ。

 

眠れなくなるよ〜どうしよう〜!

 

 






自分より遥に強い恋心の先輩達をみて戸惑う留美。

受験もあるしライバル達に負けるな~!


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