やはり俺の社会人生活も間違っている。   作:若輩者のTakko

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もう疲れた


約束三日目~part4~

目が覚めると一色は隣にいた。

 

昨夜の事を思い出すとどうにも気が落ち着かない。

 

リア充など興味ないと思っていたがああにもドキドキするものだったとは。

 

隣で相変わらず寝息を立てている一色を起こさぬよう帰りの支度をする。

 

泊りの予定なんてなかった俺は普段着で布団に入っていたのでどうにも汗っぽい。

 

早く風呂に入りたい…。

 

一色には風呂を使っていいと言われたが、着替えがないとなれば風呂には入りずらかった。

 

しばらくして一色はごそごそと目をこすり周りを見渡した

 

いろは「あ、先輩。おはようございます!」

 

八幡「ん」

 

いろは「朝ご飯は食べましたか?」

 

八幡「いや、もう帰るし」

 

いろは「朝ごはんだけでも食べて行ってくださいよ。作りますし」

 

特に断る予定もなく自宅に帰っても朝ごはんが用意されてないことを考えて、ありがたくいただくことにした。

 

八幡「なら、食ってから出るわ。なんか買ってくるか?」

 

いろは「まあ冷蔵庫にある物で結構できそうなんで大丈夫ですよ。」

 

普通にやり取りをしていて忘れてたが一色の風邪はどうやら完治したらしかった。

 

八幡「そうか、じゃあ待ってるよ」

 

そういってリビングに足を運びテレビを見ていると一色はエプロンをつけて朝食を作り始めた。

 

寝間着エプロンと言う斬新な姿に目を奪われていると一色が不意に口を開いた。

 

いろは「なんか新婚さんみたいですね」

 

一色は妖艶な笑みを浮かべ俺の反応を窺っている。

 

八幡「んまあ、確かに新婚さんみたいだな」

 

いろは「え!っとそのこれは~冗談?ってやつですよね?」

 

あまり考えずに発言したのだが一色は随分驚いたらしくしどろもどろといった感じで返答する

 

八幡「いや、割と真剣に考えてるぞ。付き合い始めたわけだし。」

 

らしくない事を言っている自覚はあるがまあ勢いのなせる技だろう。

 

ふと一色を見ると下を向きプルプル震えている。

 

いろは「ふふふふ」

 

…なぜ笑っているのだこいつは。失礼な奴だ。

 

まあ指摘してもしかたなし、早く朝ごはんできないかなーと考えつつテレビに視線を戻す。

 

 

 

~一色いろは~

 

先輩はたまに私をドキドキさせようとして言っているんじゃないかと思う発言をすることがある。

 

今回ほど直接に言われたのは初めてだけど。

 

随分似合わないセリフだったので笑ってしまったが、素直にうれしかった。

 

先輩が私のものになったこともそうだが、私が先輩のものになれたのが嬉しい

 

さて、今日の朝食は気合を入れよう。

 

そうして出来上がったのはTHE・和食だった。

 

 

~~

 

一色がならべた朝食は白飯・味噌汁・鮭・漬物・ピーマンの肉詰めだった。

 

朝ということを考えると少し多い気もしたがおいかったのでぺろりと平らげることが出来た。

 

八幡「ごちそうさま」

 

いろは「じゃあそろそろ帰りますか?」

 

八幡「ああ」

 

いろは「じゃあ家まで送りますよ」

 

八幡「いやいらんから・・・」

 

一色の謎提案を断り自宅に帰るため部屋を後にすると後ろから「また今度」というつぶやきが聞こえた。

 

それを目で返すと一色はバチン★というウインクをして俺を玄関まで見送る。

 

八幡「んじゃ、またな体調管理はしっかりしとけよ。」

 

いろは「はーい。あ、そういえば先輩。」

 

あん?と目を向けると一色は優しげな微笑みを向ける。

 

いろは「お付き合いしたことですし、約束はもういいですよ。」

 

八幡「ん?なんのこと?」

 

一色の言っている意味が理解できず聞き返す。

 

いろは「ほら、土曜日の約束です。日曜日まで延期してしまいましたし。」

 

ほお、こいつなりに気を使っているのだろうか。

 

だがな、約束を途中で投げ出すような性格はしていない。

 

八幡「その件なら気にするな。今度の土曜日行くところは決めてある。」

 

一色は目を見開くと意外そうな顔で見つめてくる。

 

八幡「俺なりに考えたんだが、卓球しよう。高校の時みたいに。」

 

いろは「思い出の場所ってやつですか…。先輩らしいですね。じゃあ楽しみにしてます」

 

もう話すことは特にないと背を向け扉に手をかける。

 

最後にもうひと押しと言った感じで一色が「ありがとうございました!また明日!」と言っている。

 

最近慣れた一色との出社も明日からは少し違ったものになるのだろうか。

 

恋人になったという感覚がどうにも理解できないまま、それでも何か発展したのだと自分に言い聞かせ家路に向かう。

 

八幡「風邪、ぶり返さなきゃいいな…」

 

風邪を引いていた一色とのキスを思い出し一人つぶやくのであった。




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