やはり俺の社会人生活も間違っている。   作:若輩者のTakko

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そろそろ終わりも近くなってきた

最後までお付き合いください~~


約束三日目~part3~

一色が布団を敷き終わったのは昼の2時。

 

一色の押しの強さも相まって寝泊りは確定した。

 

それどころか現在は昼寝と称して同じ部屋で寝ている。

 

救いなのは寝る布団が違うという事だけだ。

 

いろは「せんぱーい、起きてますかー?」

 

八幡「…なんだよ」

 

いろは「そっち行っていいですか?」

 

八幡「んじゃ、俺そっち行くけど。」

 

いろは「それじゃ意味なくないですか?」

 

…。露骨だな…。一緒の布団で寝るってことだろ…。俺にそんな甲斐性ないんだが…。

 

八幡「いや、いろいろあるだろ、そうだ、一緒に寝たら風邪うつるし」

 

いろは「もう、咳出てないのでへーきですよ!」

 

もう…この子どうしてこんなに強引なのかしら。僕には手に負えません!

 

八幡「あのなあ、一色。そういうことは付き合ってからするべきだと思うんだよな」

 

いろは「そーいえば先輩、まだ返事決まりました?」

 

八幡「…一つ聞いていいか?お前俺のどこが好きなんだ?」

 

いろは「な・・・何ですか藪から棒に!」

 

八幡「いいから。それによって答えが決まるかもしれん」

 

いろは「それは、その、なんだかんだで優しいところとか、面倒見がいいところとか色々です!」

 

八幡「優しいところね…。」

 

優しさとは何か。俺は特に一色に優しくしていたつもりはない。

 

あれを優しさと言うのならば俺はほかの人にも同じように接している。

 

俺自身は一色を特別扱いしているわけじゃない。

 

つまり何が言いたいか。

 

一色から見た俺の優しさと言うのは、俺にとって皆にしていることで愛情などではない。

 

逆に一色の優しさは俺にだけ向けられている節がある。

 

この優しさの違い。

 

1人のための優しさか、否か。この差は小さいようできっと大きい。

 

だからそれを正す必要がある。

 

八幡「俺の優しさはな、一色にだけに見せてるものじゃねえよ。一色も会社の皆も扱いは変えてない。お前が特別ってわけじゃない。」

 

いろは「知ってますよ。何を今さら!私にだけ優しくしている先輩なんて気持ち悪いです!」

 

あれえ。シリアス展開な思考を巡らせていたのに一蹴されてしまった。

 

八幡「なんだよ、知ってて俺を…その好きになったの?」

 

いろは「別に優しいところだけじゃないですし!その無駄に現実的な思考とか、雰囲気とか。」

 

思った以上にポンポンだされて気恥ずかしくなる。

 

八幡「わかった、わかった。」

 

これ以上何か言われるとほんとに勢いで付き合ってしまいそうなので心を引き締めなおす。

 

いろは「ねえ先輩。私、先輩と再会できた日に何を思ったか、わかりますか?」

 

一色の思考など分からないので首を横に振る。

 

いろは「また会えた!!ですよ。我ながら呆れてしまいます。」

 

そうだったのか。俺は逆だったな。出会ってしまったという感じだった気がする。

 

いろは「先輩のこと、たまに思い出しては元気かなーなんて。」

 

一色は照れながらそう言っているが、聞いてる俺のほうが恥ずかしいのではないだろうか。

 

八幡「…俺もいろいろ考えた時期があったな。お前生徒会うまく回してるかなとか」

 

いろは「仕事の事ですか…ていうかほんと昔ですね。」

 

それ以外でも一色のことを考えたことがあったが、恥ずかしいのでそれは心にしまっておく。

 

いろは「次は先輩の番ですよ」

 

八幡「え?何が?」

 

いろは「私だけ好きなところ言うってフェアじゃないじゃないですか!」

 

絶対に嫌だと布団にくるまって現実逃避をする。

 

すると一色はもぞもぞと俺の寝ている布団に横になった。

 

いろは「言わないなら強行突破です!」

 

そういって布団の上から俺の体をツンツン、ぺしぺし、し始める。

 

鬱陶しい…。諦めて布団から顔をだし振り返ると思った以上に一色の顔が近くにあり固まってしまった。

 

八幡「…」

 

いろは「…なんですか、あんまり見つめないで下さいよ///」

 

八幡「す…すまん」

 

声をかけられてハッとした後急いで向きを変える。

 

バクバク、バクバクと心臓の音が荒ぶる。

 

いろは「それで、私のどこが好きなんですかー?」

 

背中を指でなぞりながらそう言ってくる。

 

くすぐったいからやめろおお!つーかあざとい!これに関してはホントあざとい!

 

なぜ真昼間からこんなに乳繰り合わなければならないのか。

 

そう、こんな甘い雰囲気だから深夜だと思うだろ?残念午後3時です。

 

八幡「暑いからくっつくなよ…」

 

いろは「先輩が言うまでべたべたしちゃいます」

 

八幡「一色の好きなところ…?あざといとこ」

 

いろは「それ好きなところなんですか‥‥違いますよお。ほらもっとありますよね?」

 

うーん。どこが好きなんだろうな。後輩だから?うーん違うな。

 

顔…?は失礼だよな。

 

しばらく考えていると一色はむー。と唸り本当にないんですか?としょげた顔をする。

 

どうしたもんかと悩んでるとどこかで聞いた名言が頭をよぎった。

 

八幡「ほら言うだろ。好きになるのに理由なんていらないって。」

 

いろは「なんかそれっぽいこと言って誤魔化そうとしてませんか?もういいですけど」

 

あらまあ。一色の機嫌を損ねてしまったかな…。と一色のほうに向きなおるとどうやらそうでもないらしい。

 

気味悪い顔をしていたので「なんだよ」と口にする。

 

いろは「いやー。今思ったら好きと言われたの初めてな気がしまして…。なんかジーンと。」

 

そうだったかなあ?っと首をかしげると一色はにやける。

 

いろは「即否定はしないんですね?なーんか答え聞くまでもないと思うんですけど。」ニコニコ

 

ん?どういう意味だ?と考える。

 

即否定とは【初めて好きと言われた気がする】に対しての事だろう。

 

つまり俺が首をかしげたという事は一色からみると「二回目だった?」という意味になる。

 

答え聞くまでもない。これは・・・?何の答えを待っていたか。

 

一色の好きなところ?それは違う。となると告白の答え…?

 

俺の特に考えず首を傾げた行為によって一色の思考はここまでたどり着いたというのか。なんという妄想少女・・・・

 

まあ今さらなんだよなあ…。

 

確かに一色と付き合わなければ一生彼女出来ないフラグ立っちゃうし。

 

別に嫌いじゃないし。むしろ付き合わなかったとき一色との関係とか小町の追及とかひどいことになりそうだし…。

 

そして俺は覚悟を決めた。

 

八幡「なあ。一色。答えなんだがな、別に今言ってもいいぞ。」

 

いろは「どうしたんですか急に…」

 

八幡「今更引くにも引けないとこまで来ちゃったしな。俺」

 

いろは「…まあ添い寝までしてますしね」

 

全部一色が発端だけどな!

 

八幡「んで、聞くか?」

 

いろは「もちろんですよ。」

 

八幡「まあ、その、なんだ。俺もたぶん一色が好きだ。雰囲気とかさ、案外気使ってくれてるとことか、謎に家庭的なところとか。だから付き合ってくれ。」

 

いろは「今…好きなところ言うんですね…。先輩もあざといですよ…。」

 

まあなと自嘲気味に笑うと一色も何故か笑い始めた。

 

二人してクスクスしていると一色が真面目な顔になる。

 

いろは「勿論、お付き合いさせて貰います!よろしくお願いします。」

 

こうして比企谷と一色は正式に付き合うことになった。

 

その日の夜、一色の猛アタックに屈した俺は初めての口づけキスをしたのであった。




やっと付き合いましたね。

次回は恋人になったのちのデートになります。


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