やはり俺の社会人生活も間違っている。   作:若輩者のTakko

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ストックなくなった!

ごめんね!



約束初日~part1~

土曜朝。セットした目覚ましの時間より早く目覚めた。

 

時刻は8時。ゆっくりしてられそうだ。

 

普段着に着替えて朝食を採る。

 

ガチャ、

 

小町「お兄ちゃん、おはよー…」

 

八幡「おう」

 

小町「え、その格好で行くの?」

 

八幡「そうだが?」

 

コイツはダメだ。みたいな目で見るのやめてくれませんかね?

 

別にいいだろ。

 

小町「はぁ・・・(ゴミカス)。」

 

小町ちゃんの心の声が読めるぞー。ゴミカスを見る目だ。

 

まぁいまさら着替えるのも面倒なのでそのままテレビを見始める。

 

ブチッ

 

八幡「ちょっと?小町ちゃん?人がテレビ見てるのに突然切るなんて酷くない?」

 

恨めしい気持ちを込めて小町を見ると、小町はもっと恐ろしい雰囲気をまとった笑顔をしていた。

 

ひいいい。

 

小町「お兄ちゃん。着替えてきて。」

 

怖いけども。。。ここで引くような兄ではない。

 

八幡「なんでだよ。いいジャンコレ」

 

だめだまともな反論できなかった…。

 

小町「I LOVE 千葉 の半そででデート行く人なんていないよ!!まったく。」

 

え?いないの?こういうのお揃いで着てるカップルとかいない?

 

八幡「そういわれてもまともな服そのものがないような…」

 

小町「あそこのタンスに入ってる服にして!」

 

八幡「長袖だし嫌なんだが」

 

小町「はぁ、お兄ちゃん。女性に恥をかかせるの?」

 

え?コイツさりげなく酷いこと言ってない?この服着てない俺は常に女性に恥をかかせてるってことになるぞ。

 

そうか…。そんなにダサいか。ちょっとショック。

 

まぁ結局は着替えることになる未来は見えてるのでおとなしく服を着る。

 

八幡「なんかしっくりこないんだが…。」

 

小町「そう?全然似合うと思うけど。」

 

俺が着たのはシンプルにチノパンと薄い青のシャツ。

 

暑い…。

 

小町「腕まくりも結構カッコいいよ。ほら」

 

そういって俺の袖をくるくる巻き始める。まぁこれならいいか。

 

ここまでの時間で9時。

 

一色の家はすぐ近くだから10分前に出れば間に合う。

 

あとはゆっくりするか。

 

50分。何しようかなー。

 

テレビをつけるとちょうどテレビアニメのオープニングが流れていた。

 

暇だし見る物ないし見るか。

 

バトルもののファンタジーアニメだった。結構面白かった。

 

30分の時間をつぶしたがあと20分暇だ。

 

もう一色の家行こうかな…。

 

一色に会うまでの憂鬱も会ってしまえばそれまで。諦めがついて気持ちが切り替わるかもしれない。

 

そろそろ出るか。

 

八幡「小町、そろそろ行ってくるわ」

 

そうして一色の家に向かった。

 

今日は晴れ晴れしていて蝉がジージー鳴いている。うるさい、暑いのダブルパンチ!

 

心の中でもう私のライフはゼロよ!なんてどうでもいいことを考えて歩いてると一色の家も見えてきた。

 

インターホンを押すと一色がすぐに出てきた。

 

いろは「先輩ですか?ちょっと上がっててもらえますか?」

 

そういわれたら上がるしかないな。暑いし。

 

おとなしく玄関で待ってると一色が廊下の端からひょいと顔を見せた。

 

いろは「じゃーん!どうですか?」

 

一色は可愛らしいワンピースを着てくるくると回る。

 

あざとい…。けど可愛いな。てか一色の足綺麗だな。うおっといかんいかん。

 

鋼の精神でこらえなければ。

 

いろは「せんぱい?」

 

八幡「いや、その、いいんじゃないか。かわい…似合ってると思うぞ。」

 

いろは「そこは言い直さなくてもいいんじゃないですかねー?まぁ本当にそう思ってくれてる感があっていいですけど!」

 

おう・・・いやなんかほんとにどきどきするわ。普段とは違う雰囲気をまとった一色はいつものあざとさも素に見えてきてしまう。

 

八幡「行くぞ、ほら」

 

一色の支度も終わったところで目的地に向かう。

 

一色「せんぱいも似合ってますよその服」

 

何だこいつ、俺の動揺を誘ってるのか?何か欲しいものでもあるのか!?

 

八幡「褒めたってなんも出ないぞ」

 

一色「その先輩の困った照れ隠し見れただけで満足ですよ~」

 

さいですか…。

 

そうして電車に乗ってどうでもいい話をして水族館についた。

 

そういえば今さらだけど先週のこと謝っておくか。メールだけの謝罪は社会人になってから通用しない。

 

八幡「なぁ一色。先週は悪かったな。」

 

いろは「ほんとですよ」

 

そういいながらも話はここまで!といった感じで歩き始める。

 

案外心が広いな。一色さん。

 

いろは「そうだ。今日一日は一色じゃなくて、いろはって呼んでくださいよ!」

 

八幡「それはなんか恥ずかしいし。」

 

いろは「八幡って呼びますよ」(^^)

 

八幡「分かった。なんかお前に下で呼ばれると気持ち悪い。」

 

いろは「お前じゃないです!やり直し!」

 

お・・・おう。

 

八幡「まぁ次から気を付ける。」

 

そういって水族館内部に入る。

 

いろいろ回っていると思うことがある。

 

結構広いな。深海コーナーとか雰囲気がいい。

 

このカニでけぇな。とかこのエビでけぇな。とか心の中でコメントして楽しんでいる。

 

これはウツボか。けっこうでけねぇな。

 

確かコイツ噛みつくんだっけか?指持ってかれることもあるらしい。

 

今度材木座で試してみたい。

 

それはそうと、となりでひょこひょこ動く物体が鬱陶しい。

 

何だよ…と思い見ると一色だった。

 

八幡「うおぉ、びっくりした。」

 

いろは「ずっと隣にいたんですけど…」

 

あぁコイツだったのか、すっかり忘れてたぜ、テヘペロ★

 

八幡「別に一緒に見て回らんくてもいいぞ~」

 

いろは「‥‥なんで一緒に来たかわからないんですか?」

 

八幡「?一色が謝罪代わりにとか言ってなかったか?」

 

いろは「…もういいです。」

 

それきり一色は黙りこくってしまった。

 

なんでそんなに悲しそうな顔するんですか…。

 

どうしたもんかと頭を掻いていると一色が下を向いて唸り始めた。

 

うぅぅぅ!!

 

え?え?

 

八幡「おい・・・どうした・・・?」

 

いろは「私がこんなにアピールしてるのに、なんで…なんで見向きもしてくれないんですか…名前も呼んでくれませんし」

 

八幡「なんでって・・・」

 

いろは「私先輩のこといいなって思うから、遊びたいなって…一緒にご飯食べたいな…って

 

どうでもいい人と遊びに行ったりしません…少なくとも二人では。多分私、先輩が好きなんだと思います」

 

・・・

 

何となく察してはいた。酒に酔った一色が好きかもと言ってくれた日に。

 

でも実際そう思っていても、勘違だったりして、距離をおかれて、話すこともなくなって…。

 

そういうことが過去に何度もあったのだ。人の好意を受けるのも、その逆も俺にはトラウマの一つだ。

 

八幡「その…なんだ。気持ちは嬉しい、でも、お前の求めるいい人ってのは多分別にいて、俺はただ身近にいるからそう思うだけだと思う…だから」

 

途中まで言いかけて一色の声がそれ遮る。

 

いろは「違います、絶対に…。身近にいるから好きになったわけじゃなく、好きだから身近にいるんです…」

 

一色は一つ一つの言葉を発する。それはしっかりと耳に届く声だった。

 

こういうときなんといえばいいのだろう。

 

人を信じるには、その人に裏切られる覚悟も同時にしなければならないのだ。

 

一色は信じれるか?俺は再三自分に問うたが答えはわからない。

 

だからこそ俺の答えは決まった。

 

何度も間違ってその結果考え行きついた答え。

 

八幡「お前の気持ちにどう返して分からん。けど…約束はあと3回ある。」

 

そう、あと三回あるのだ。こいつを信じるために必要な時間。少し短い気もするが一日中話して時間を共有すれば俺の気持ちも変わるかもしれない。

 

いろは「…?」

 

八幡「だから、その三回で俺の気持ちも変わるかもしれないだろ。」

 

いろは「…」

 

八幡「だからさ、待ってくれないか?」

 

いろは「ちゃんと考えてくれるんですか?」

 

八幡「あぁ。俺に興味を持ってくれる奴もお前くらいだしな。」

 

いろは「そうですか」

 

それだけ言って一色は歩き始める。

 

俺も歩き出そうとしたとき一色は振り返り言った。

 

いろは「私にかかれば先輩なんて余裕ですよ!だから覚悟してくださいね!」

 

そう、これが一色だ。いつでも前向きで、まっすぐ向かってくる。

 

葉山に振られたことすら、布石と言ってのけたあいつの性格は今も昔も変わっていないみたいだ。

 

違うのは好意の対象が俺になったというだけ。

 

もしかしたらあのころから俺を好いてくれてたんじゃないだろうか?と、思ったが

 

さすがにそれは勘違いだろうな。

 

今の一色にできること。

 

それはきっとあいつの気持ちに正面からぶつかってあげることぐらいだろう。

 

むしろそれくらいしかできない。

 

八幡「肝に銘じておくよ」

 

いろは「さっそくですけど、イルカショーの時間が近づいてきましたよ!行きましょう!」

 

こうして一色との約束初日は後半を迎える。

 

 

 




次回は楽しげに書こうと思います!

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