東方人狼行軍   作:BATTU

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書く事ないから本編へ

「おいぃ!?」


67話

「魔理沙とフランが現代入り・・・ですって?」

 

「つまり、魔理沙とフランは幻想郷の外に行ってしまったと言うのですか賢者殿?!」

 

「・・・予想外の事故とはいえ、そうなるわね」

 

 

立つのもやっとという表情をしながら霊夢に椅子まで誘導してもらい席についた紫はふぅ、と息を吐く

 

 

「スキマ妖怪!今すぐ私を外に連れていきなさい!」

 

「お嬢様!お気持ちは分かりますがさすがにそれは危険です!」

 

「放っておけばフランが一番危険なのよ!幻想郷とは違って外の世界に霊夢の結界は存在しない、もし日を直に浴びたらあの子は死んでしまう!」

 

「・・・残念だけどレミリア、それは出来ないわ」

 

「どうしてよ!あなたの能力なら結界を越えてすぐ行けるんでしょう?!」

 

「・・・問題が二つ残っているのよ。一つは私がこのざまで妖力もほぼ無いに等しく、上手くスキマを動かせないのよ」

 

「なら、霊夢!」

 

「待ってレミリア。紫、もう一つは?」

 

「もう一つが一番の問題よ。彼らが行った場所は確かに幻想郷の外の世界だけど、スキマの暴走で開いた場所はその外の世界の歴史とは少し異なった道を進んだ世界・・・いわば平行世界(パラレルワールド)とも言えるわ」

 

 

紫の言葉に皆が絶句する

 

 

「平行世界はいわば無数の可能性、もしくは違う選択が形になった世界。その数は私たちでさえ計り知れないもの、私はそういった世界をスキマで覗き込み、その世界の物語を見るのが一つの趣味なの・・・あの番犬、ヴェアヴォルフの大尉、そしてシュレディンガーもその別の歴史を歩んだ世界からやってきたのよ、この幻想郷にね」

 

「別の歴史を歩んだ世界・・・」

 

「へぇ〜そんな事があるんだ〜」

 

「何だか頭が痛くなる話だな。まぁ、簡潔に言うならそんな大量の世界の中から二人を見つけるのはとても困難って事か」

 

「えぇ、今の状態ではね。全快なら探すだけなら容易なんだけれど」

 

「・・・」

 

 

レミリアは崩れる用に椅子に座り込む

 

自分の家族、しかも血の繋がった妹が外の世界に投げ出されてしまい、しかも助けに行ける方法もほぼ無くなってしまったのだ

 

ショックを受けていて普通であろう

 

 

「ところで霊夢、あなたはどうしてここに?博麗神社を覗いても居なかったから他の場所も覗いてようやく見つけて来たけど」

 

「今は妖怪の山での異変解決のために仲間を集めてるって感じよ」

 

「妖怪の山、最近幻想入りして来たっていう神がいるとは聞いたけど・・・どうやら面倒事を起こしたようね」

 

「えぇ、博麗結界の要である博麗神社を譲って欲しいって行ってきたわ。うちを分社にして信仰を集めるってのが魂胆らしいわ。そのために妖怪の山に住まう妖怪たちを皆自分所の神を信仰させて協力を得ているみたい」

 

「・・・ところであの戦争犬は「小夜兄さん」・・・ヴェアヴォルフはどうし「小・夜・兄・さ・ん」・・・小夜はどうしたの?一緒ではないのかしら?」

 

 

名前で呼ばない紫に対して霊夢は徐々に圧を掛けながら紫に詰め寄っていく

 

さすがに面倒を避けるために紫は折れた

 

 

「大尉はレティって雪女に頼まれて妖怪の山へ調査に行ったら天狗共に捕まったらしいんですよね〜」

 

「・・・まぁ、それはしょうがないわね。妖怪の山には山の妖怪を束ねる天魔、それに付き従う大天狗たちもいるわ、いくらあのヴェアヴォルフでもそれらを相手するのはたまらないでしょうね」

 

「とりあえずこの異変は私が解決するつもりよ。母さんもいま永遠亭にいるなら頼る事は出来ないわ」

 

「気をつけなさい霊夢。天魔たちは鬼や西行妖とは違った意味で面倒だから」

 

「えぇ、紫はゆっくり休んで早く魔理沙とフランを探せるようにしときなさいよ・・・じゃあレミリア、私たちは行くから」

 

「お邪魔しました〜」

 

 

霊夢はレミリアに別れを告げた後、シュレディンガーを連れ紅魔館をあとにする

 

 

「さて、じゃあ私も一旦もどるわ。言われた通り早めに妖気を取り戻さないとね」

 

 

霊夢に続き紫もスキマを開いて紅魔館を出た

慧音と妹紅も今の自分たちに出来る事はないと悟り、彼女たちも人里へと戻って行った

 

 

「・・・」

 

「お嬢様・・・なにかお持ち致しましょうか?」

 

「・・・いいえ咲夜、今は気分じゃないわ。少し1人にさせて」

 

「・・・かしこまりました」

 

 

咲夜はレミリアの指示に従い部屋を出た

 

外はまだ明るいがレミリアの部屋はいつもより暗く静寂だけが残った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

妖怪の山 麓 

 

哨戒白狼天狗の拠点 土牢

 

 

「・・・」

 

 

牢の中で特に喋ることなく縛られている小夜

 

その静けさは逆に死んでいるんじゃないかと思われる程だ

 

 

「申し訳ありません大天狗様、この様な牢に入れる事をお許しください」

 

「構わん、お主は仕事を全うしとるだけじゃ。それに幼子の命を無駄にはできんからのぅ」

 

 

遠くから声が聞こえ、徐々に歩いて来る音が近づいてくる

 

匂いは四人、三人は白狼天狗一人は烏天狗

 

妖気の大きさからして一人は子供、鴉天狗はあの楓と同じ感じだ。だとすれば大天狗だが、なぜ大天狗がこんな牢につれて来られるんだ?

 

 

「む、先客がおったか。失礼するぞ」

 

 

老人くさい喋り方にしては随分若々しい声だ。音の距離からして近くに座り込んだようだ

 

 

「申し訳ありません捷さま、ぐすっ、わ、私が迷惑を掛けてしまったばかりに・・・」

 

「よいよい。ほれ、泣くでない童よ可愛らしい顔が台無しじゃよ」

 

 

目隠しをされているため、誰がそこにいるかは分からないが声からして子供が一人に"若い男"だろうか?しかし、話し方は"歳を取った老人"のようでもある

 

 

「そこの若いの。手酷くやられたな、まぁ、命を落とさなかっただけ儲けものではあろうがな」

 

「・・・縄を切ってくれるか?じっとし過ぎて体が岩にでもなりそうだ」

 

「まぁ、今は同じ牢にはいってる者同士よ。ほれっ」

 

 

男は人差し指を上から下に払うように動かす

 

 

スパッ

 

 

小夜の両腕両脚の縄、おまけに目隠しの布さえ切れた

 

 

「・・・すまない」

 

 

ゆっくりと目を開けるとそこには立ち尽くしたまま両手で必死に涙を拭う小さい女の子と黒髪と白髪が入り交じったような見た目そのまま青年のような男が胡座をかいてこっちを見る

 

子供は白狼天狗だが、男はどうやら烏天狗、大天狗の類だと思われる

 

何故妖怪の山の頂点の妖怪がこんな麓の牢に?

 

 

「なに、礼には及ばん。儂は射命丸捷という、こっちは儂の使いの者の一人でな、ほれ挨拶をせい」

 

「え、えっと、しおんっていいます。はじめまして」

 

「・・・」ペコッ

 

 

射命丸捷としおんと名乗った二人

 

この捷という男は射命丸と言っていたがまさか文の家族だろうか?

 

 

「それでお主は何者だ?白狼天狗たちとは似ているようで違った妖気だが」

 

「・・・ヴェアヴォルフ、博麗小夜だ」

 

「なんと博麗・・・うーむ、どうやら犬走の娘に伝えるのが少々遅すぎたか」

 

「・・・椛をしってるのか?」

 

「まぁ、知っとるというか椛の母親から聞いてはいたからの」

 

「母親・・・楓か」

 

 

九天の滝で戦ったあの白狼天狗の女性

 

あの時はまさか椛の母親だったとは思いもしなかった

 

 

「ほー会ったのか?」

 

「挑んだが負けた・・・」

 

 

一瞬だった。たった1つの行動で俺はやられかけた

 

その後の記憶は覚えてはいないが

 

 

「楓は白狼天狗ではあるがその生まれ持った強い妖気、そして慢心することなく肉体的に精神的にも己を鍛え抜き遂には並の鴉天狗程度では相手にならず、儂とも互角にやり会えた女よ。その功績から天魔様から大天狗の称号を与えられたたった1人の白狼天狗」

 

「椛の母親は・・・強いんだな」

 

「あぁ、強いぞ。しかしあの男子もよくあんな堅物を嫁に出来た者よ。儂はどちらかと言うとその男子の方が肝が据わっとると思ったわ」

 

「・・・椛の父親?」

 

「あぁ、楓の夫であり椛の父親なのだがそやつはまだ哨戒白狼天狗の一番隊隊長であった楓によく突っかかっては九天の滝から落ちていた姿が目撃されたものよ」

 

「弱かったのか・・・?」

 

「まぁ、白狼天狗の中では多少はやれるが楓と比べたらの。しかしその父親もな娘の椛が哨戒白狼天狗になった時にな行方をくらましたのだ」

 

「・・・死んだのか?」

 

「それも定かでは無い。死んだと言うものも居れば、二人を捨てた言う者もいる」

 

「・・・」

 

 

まさか、椛にもそんな過去が・・・だからあまり両親の事は話さなかったのか?

 

 

「して、お主は何故妖怪の山に来たのだ?警告はされたのならそのまま去れば良かったものを」

 

「・・・知り合いが妖怪の山近くに住んでいたんだが、最近騒がしいから様子を見て欲しいと頼まれた」

 

「なるほどな・・・ふう、こうなることを未然に防ごうと文と椛に話したがまぁいい。これも何かの縁じゃお主にも話しておこう、この妖怪の山で何が起こっておるのかをな」

 

 

射命丸捷は小夜に今妖怪の山に起きている事の顛末を全て話した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

「ふう・・・よし」

 

 

体に巻かれた包帯を取り除き、赤い巫女服を身に纏う女性

 

 

「ほんとに大丈夫なの?永琳もかなりやばげだったって言ってたのに。もう少し回復してからがいいんじゃない?」

 

「ふ、月の姫さんにそこまで心配されるとはな。だが安心しろ、この程度なら慣れたものさ」

 

「まぁ、止めたところで勝手に行くだろうしね・・・異変終わったら宴会呼びなさいよ、最近全然誘われて無かったし」

 

「誘っても来ないのはどこのアホ姫だとおもってるんだか。まぁ、無事に終わったらな」

 

 

両手に新しい包帯を巻きつけ、良しと相槌をうってから彼女はその場を後にする

 

 

「霊夢と小夜、また無茶振りしてなきゃいいがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、せっかく初登場したのに見送るだけ?」




「遂に大尉にも妖怪の山事件を知ることになりましたね。大尉はどうするんでしょうか」

それも次回を待てば良いのだ

「ならさっさと書けよバカ主」

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