東方人狼行軍   作:BATTU

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22話

紅魔館を後にし、次は妖怪の山へと向かう小夜

 

魔理沙は箒を没収された挙句、簀巻状態にされ小夜に担がれる形で連行されていた

 

 

「なぁ、もう逃げないからさ〜せめて簀巻だけは止めてくれだぜ」

 

「だめ」

 

「即答かよ〜」

 

 

魔理沙の要望を即座に却下される始末

こんな格好で始めていく妖怪の山でどんな第一印象を持たれるか不安にもなるだろうが魔理沙が今よりもっと恐れているのは霖之助だけでなく霊香からまで説教されるのではないかという心配だ

 

 

「・・・着いた」

 

 

山の入口付近にまでたどり着き、魔理沙を降ろして簀巻状態からは開放した

 

 

「いやー、もしかしたらあのままの状態で山の中に入って行くんじゃないのかとも思ったが安心したんだぜ」

 

「・・・じゃあ、行こ」

 

「おう!って訳で箒返してくれないか?ほら、私はいつも箒に乗ってi「箒は返さない、お前も歩いて行く」・・・マジか」

 

 

仮に箒を渡して逃げ出されたら追跡は可能だが追いかけるのに自分の速さでは逃げ切れる可能性が高いと見ている

獣化すれば話は別なのかも知れないが悪さをして逃げて行く奴を追いかけるだけに体力を消費する獣化をそんなポンポン使ってられない

 

入口から動き出し、歩を進める小夜と魔理沙

すぐにバテるんじゃないかと思ったがやはり霊夢と同じ異変解決に挑んでいるだけはあって体力はそこそこはある様だ

 

 

「なぁ、そう言えば妖怪の山って人間が踏み込むのって禁止されてるんだよな?今更だけど登ってていいのか私?」

 

「・・・博麗の者だけは天魔の命によって許可はされているし、同行者も特別に許される。俺は烏天狗の領域である頂上付近まで行かねば特に問題はないし、同行者も心配はない」

 

「ふーん。そう言えばさ、人狼と白狼天狗って違うのか?小夜の兄ちゃんは肌こそ褐色だけど狼時はまさに白狼って感じだけど仲間って言うか同種族なんじゃないのか?呼び方が違うってだけで」

 

「知らん。匂いはともかくとして疑問が一つだけある」

 

「それは?」

 

「・・・俺は彼らの獣化を見た事がない。しないだけなのか、出来ないのか、分からない」

 

「・・・あぁ」

 

 

阿求が書いている幻想郷縁起で白狼天狗を知ったが、本には彼らの獣化については何も書かれてはいなかった

ちなみに影狼は満月時に毛が伸びる位しかなく狼になれる様な話は聞いたことは無い

 

俺が生きていた頃から同種族とは誰1人とも会った事がない

その為に何が人狼の当たり前なのかはあまり知らない、自分というものさしでしか見る事が出来ない

獣化出来るか出来ないかで仲間かどうかなんて決まらないが・・・

 

 

「・・・っ」

 

「どうした?」

 

「この匂いは「小夜!」ぬっ」

 

「うおっ!?何かが小夜の兄ちゃんに飛びついた!」

 

「・・・椛か」

 

 

抱きついてきた人物の名を口に出す小夜

名を呼ばれた人物はハッ!と我に返り、離れて服装の乱れを整えてからもう一度こちらに振り向く

 

 

「ゴホンッ、久しぶりですね小夜。元気にしていましたか?」

 

「・・・」コクッ

 

「大きくなりましたね、時の流れというは早いものです。そちらは貴方の知人ですか?」

 

「・・・義妹」

 

「まぁ、単に幼い頃から世話になってるから兄ちゃんって呼んでるんだけどな。私は霧雨魔理沙ってんだよろしくな」

 

「私は白狼天狗の犬走椛と申します。小夜とは1日だけですが妖怪の山に来た時に世話をしていました」

 

「じゃあ、あんたが文の部下って奴か」

 

「先輩に会ったのですか?確か赤い霧の異変について博麗神社へ取材に行くと言ってましたが」

 

「文は・・・良い奴、では無かったけど今頃は焼き鳥になってんじゃないかな」

 

「何があったかはだいたいは察しました」

 

 

魔理沙の言葉に呆れる様な表情で返す椛

小夜はとりあえず目的の人物に会えたので話を進める

 

 

「椛に話があって今日は来た」

 

「私にですか?此処で立ち話もなんだし私の家で聞こう」

 

「・・・」コクッ

 

 

別に今日は急いでいる訳でも無いので椛の提案に乗ることにした

妖怪の山に住んでいる妖怪たちは身分制度をひいており、山の頂上近くは烏天狗が山の根本当たりには白狼天狗やその他の妖怪たちが住んでいる

 

まぁ、俺は白狼天狗では無い。彼らの制度など知った事ではないが面倒ないざこざになっても困るため烏天狗の領地に近づかないし、行こうとも思わない

 

白狼天狗達の住処にたどり着いた3人

 

 

「隊長、お疲れ様です」

 

「お疲れ様。私は少し休憩に入る」

 

「はい。ところで後の方々は?1人は人間のようですが」

 

「彼は博麗小夜、博麗神社の関係者でもう1人はその知人だ」

 

「・・・」ペコッ

 

「おっす」

 

「博麗の関係者でしたか。どうぞお入り下さい」

 

 

頭を下げ、3人を通す若い白狼天狗の女性

椛と同じ武具を持っている所を見るに哨戒白狼天狗のようだ。立ち姿からまだ入隊して間もないように見える

 

椛と魔理沙が行き、俺も中へと入って行く

 

 

「あ、あの小夜さま」

 

「・・・?」

 

 

先程の新米に声を掛けられ立ち止まると顔は赤く、オドオドしながらこちらを見ている

何だろう、体調でも崩したのだろうか?

 

 

「あ、あの、ああ、握手をお願い出来ますか!」

 

「・・・」コクッ

 

 

何だ、そんな事かと思い右手を差し出すと両手で自分の手を掴む

尾は嬉しそうに振り、耳も僅かにぴこぴこと動いていた

 

 

「光栄です!小夜さまは私の憧れです!で、では仕事がありますのでこれで!」

 

「・・・」

 

 

元気がいいな。あれほど元気があれば警備の仕事など簡単なものだろう

 

さて、待たせる訳にはいかないっと思っていたのだが

 

 

「小夜さんですよね!!貴方の幼少時の模擬戦を見ていた者ですが自分は感動しました!どのような鍛錬をすればあの頃から強くなれたのですか!?」

 

「わ、私にも是非ご教授をお願いします!」

 

「あの模擬戦の時より貴方に魅入られました!私とも戦ってはもらえないでしょうか!」

 

「どうか弟子にしてください!」

 

 

男女構わず小夜に言い寄ってくる様は凄まじく、どうしたらいいか混乱する小夜

 

 

「うわぁ〜・・・兄ちゃんスゲェ人気だな〜」

 

「幼少時の模擬戦時に成人の白狼天狗を倒してしまった、なんて人狼は小夜が初めてで烏天狗の新聞記事にも大きく記載されましたからね。彼らは成人したばかりの見習いたち、つまりあの頃の小夜と同年代か少し下くらいの者達ばかりよ」

 

「へぇ、こう見ると白狼天狗って男性少ないな」

 

「まぁ、やはり女性が多いというのはありますね・・・さて、助け舟を出しましょう」

 

 

椛は見習い達の下に行き、手を叩いてこちらに注目させるようにする

 

 

「はいはい皆さん、思う事はありますが博麗の者の邪魔をしてはいけません。各々の持ち場に戻りなさい」

 

 

見習い達は『はい』っと返事をし、小夜から離れ、それぞれ持ち場に戻っていった

 

 

「・・・ありがとう」

 

「迷惑を掛けてごめんなさい」

 

「大丈夫、少し驚いただけ・・・迷惑では無い」

 

「そうですか?ならいいのですが、では行きましょう」

 

 

とりあえずなんとか解放され、椛の家に向かう事にした




これ、次の異変まであと何ページ掛かるかな?

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