「・・・」
意識が覚めていき、ゆっくりと目を開けてみると最初に見えたのは見知らぬ木製の天井、そして・・・
「あっ、おきた!」
バッと横から俺の視線にいきなり入って来た一人の少女だった
「まっててね!すぐお母さんよんでくるから」
勢いよく立ち上がって部屋を出た・・・元気だな
また視線を天井に移した後、体を起こすとふらつく様な感覚があり右手で頭をおさえた
ここは一体どこだ?俺は確かに・・・死んだはず。あの女兵士が助けた?いや、体に銀が入った時点で俺はもう助からない
仮に助かったとしても生かす意味が無い。そう考えていた時、一つの異変に気づく
意識もだいぶ覚めてぼんやりしていた景色がはっきり見えるようになり周りを見渡してみると、何故かこの部屋にあるものが異様に大きく見えるのだ
俺はそっと自分の体を見てみた
体が縮んでる・・・と言うより、幼くなっている?
自分でも訳のわからないことを言っている気がするが、確かに体が子供の様になっているのだ
何故こうなったのか考えていると二つの気配が近づいて来た。一人は先程の少女でもう一人は知らないが確実に強い気配を放っていた
「お、本当に起きてたな」
最初に部屋に入ってきたのは、先程から感じていたもっとも気配が強かった人物、しかも女性だった。その後にも先程の少女も入ってきた
「さて、起きてすぐで悪いんだが君に聞かなければならないことがある妖怪くん」
・・・この女、俺が人間ではないことに気づいているようだ。しかし、妖怪とはな
これも少佐から聞いた話だが、日本と言う国には妖怪と言う俺たちの様な化物が存在するらしい
「じゃあまずは互いに自己紹介からだ。私は博麗霊香(ハクレイ レイカ)、この博麗神社の巫女だ。この子は娘の霊夢(レイム)血は繋がっていないがな」
「よろしくね!」
「・・・」コクッ
前に出てきて元気に挨拶してきたのでとりあえず頷いておいた
「霊夢、おしゃべりしたい気持ちは分かるが少しだけ我慢だ」
「はーい」
「じゃあ、次は君の名前を教えてくれないか」
名前・・・ミレニアムに居た頃からそうだが俺には名前が無い。大尉と呼ばれていたがあれはただの階級だ、名前とは言えない
「・・・」フルフル
俺はとりあえず顔を左右に振ってみた
「名前を教えられないのか?それとも名前が無いのか?」
「・・・」
やはり、行動だけで示すのは限度があるようだ。別に喋れない訳では無いがあの頃は特に俺が口を出す事など無くただ少佐の命令を遂行するだけだったのでずっと喋らなかった。故に皆からは無口な奴だと思われていたな
流石にこれ以上は無理がある。俺はゆっくりと口を開き話した
「名前は・・・無い」
「ん?喋れないかと思ったらちゃんと喋れるんだな」
喋れる事に少しだけ驚いたがその後も質問が来た
Q.どこから来たか
A.ロンドン
Q.ここが何処か知っているか
A.知らない
Q.君は白狼天狗か
A.なにそれ?
「質問を質問で返さない」
「・・・違う、人狼だ」
Q.帰る場所はあるか
A.無い
名前の質問を入れて全部で5回の問いに答えた
「・・・霊夢、お母さんは少し知り合いの所に行ってくる。この子が勝手をしないように見ててくれる?」
「はーい」
「と言う訳だ。私は出掛けるが勝手にここから出ることはするな、わかったな」
「・・・」コクッ
頷いたのち、霊香は部屋を後にし気配が徐々に遠くなった
とりあえず俺はもう一度横になり、これからどうするかを考える事にしたが
「ねえねえ、つぎはわたしとおはなししよー」
・・・この子の相手をするのが先のようだ