錆の希望的生存理論   作:時雨オオカミ

98 / 138
誇張は誰が為にあるのか

《 第4章 真・証拠一覧 》

 

 ついに起こってしまったコロシアイ。

 それに巻き込まれたのはいつも事件を食い止めようとしていた十神白夜と、別の方法で事件を未然に防いでいた狛枝凪だった。

 リーダーがいなくなり、生き残った狛枝はなにかを隠している…… ? 日向はその全てを暴くことができるのか。

 

 様子のおかしな狛枝。

 困惑する日向。

 青ざめる罪木。

 三者三様の学級裁判。

 終わりで繋がる物語。

 

 それが今、始まった――

 

 

「そう、それは……」

 

 

 それは、命がけの〝 信頼 〟

 私たちの渇望した〝 未来 〟

 私たちの動機は、私が一緒に持っていく。

 

 私の仕掛けた大きな大きな謀。

 黒兎の仕掛けた大きな大きな詐欺。

 この世界が夢だと知っている人にしか実行できない、命懸けの真実。

 

 まるで胡蝶の夢。

 胡蝶が死んだら、その夢を見ていた人はどうなるのかな?

 死んでしまうのだろうか、それとも変わらず続いていくのだろうか。

 そんな、憶測だらけの賭け事。

 

 知られたらお終いの学級裁判。

 さあ、勝負だよ…… 日向クン。

 今度は本物の、命を賭けた勝負だ。

 

 モノクマなんて関係ない。

 私たちは私たちで楽しくやろうじゃないか!

 

 

 

《コトダマ一覧》

 

 

・現場写真

 狛枝が起きる前の状況。

 十神は仰向けに倒れており、その下に狛枝が倒れている。

 狛枝の右手は十神の背に潰され、左手は喉を掻き毟るようにしていた。そばには錠剤の入ったビン。そして入り口付近には血塗れの鉄パイプが落ちていた。

 

・真 モノクマファイル1

 被害者は十神白夜、狛枝凪の両名

 現場はドッキリハウス内のマスカットタワー

 事件発生時刻は不明

 十神白夜の傷跡は心臓部を貫通し、反対側まで突き出ている。

それ以外の外傷はなし

 狛枝凪の負傷は同じく心臓部付近の刺傷だが、心臓には到達しておらず、傷はそれほど深くはないようだ。

 また、熱中症による脱水症状が見られていた。

 

・熱中症だった狛枝

 長時間室温が高い場所にいたために熱中症になっていた。

 脱水症状まで出ていて、狛枝は瀕死の状況になっていた。

 

 

・不自然な血溜まり

 血液は十神の背面から流れ出ていて、刺されたと思われる正面はあまり血に濡れていなかった。

 

・異様に暑いタワー内

 日向たちがタワー内に入ったとき、異常な程の暑さだった。

 

・苦しんだ十神

 即死したはずだがどことなく青ざめて苦しんでいるようにも見える。

 

・襟元のシミ

 十神の襟に黄色っぽく、甘い匂いのするシミがついていた。

 普段の彼ならこんなシミは作らないし、そもそもあること自体を無視できないだろう。

 

・呼び出し状

 十神が所持していた。

 「12時にマスカットタワーにて」 と書かれている。

 

・血痕のついたヤスリ

 血痕が僅かについたヤスリ。

 倒れた十神に潰され、隠されていたのを破壊神暗黒四天王が見つけた。

 

・狛枝の証言

 鉄パイプは護身用に持っていたが、十神に突然突き飛ばされて落としてしまった。

 その後は十神が目の前を覆っていて、彼と一緒に刺されてしまった。

 十神を刺した人物は見ることができなかった。

 

・血塗れの鉄パイプ

 狛枝がいつも護身用に持ち歩いている鉄パイプ。伸縮式で、いつもは半分の15㎝の状態で太もものホルダーにつけている。

 何故かパイプの内側だけに血がこびりついているようだ。

 

・モノクマ特製睡眠薬

 〝 安らかな眠りをアナタに 〟

 

 概要

 ・ 1粒でぐっすりとよく眠れます。

 ・ 2粒で寝付きの悪い人も安心です。

 ・ 4粒で誰にも邪魔されず10時間ほどずっと眠れます。

 ・ 8粒で昏倒するほどの驚くべき効き目になります。

 ・ 永遠におやすみしたい方は10粒ほど一気に飲み込みましょう。

 

   とてもよく眠れます。

   永遠に眠れます。

 

・罪木の検死結果

 致命傷は腹に空いた刺傷痕で間違いなく、即死である。

凶器は傷口からして直径5㎝から8㎝程度で、長さは30㎝程度の槍や杭のような形状のもの。

 十神の巨体を貫通しているので普通の力では犯行が難しい。

 罪木は倒れた時に貫通したことも視野に入れているようだ。

 

・多すぎる血の量

 罪木の見立てでは2人分の血液量にしては多すぎる。

 2人共に失血死していてもおかしくないほどの量がその場にあるようだ。

 

・罪木の証言

 血液凝固の状態が明らかに不自然である。

 床の血溜まりよりも新鮮な血が存在する傷口の方が早くに固まっているのはなんらかの原因があるのかもしれない。

 血の混在による凝固の可能性もあるようだが、より拒絶反応が起きやすい狛枝の傷口はそれほど強く拒絶反応を示していなかった。

 2人の血液型は通信簿により、狛枝はO型。十神がB型だと判明している。

 

 

《テンノコエ》

 

 

 血液型と輸血したときの拒絶反応については、私からご説明させていただきます。

 まず、O型の血液はどの血液に輸血しても拒絶反応がそれほど起こりません。

 これはA、B、AB型内には同名の抗原があるものの、O型にはこの抗原がないからです。この抗原は赤血球に含まれています。

 また、この赤血球の抗原に反応する抗体が血清には存在し、A型にはB抗原に反応する抗B、B型には抗A、O型にはその両方がありますがAB型にはどちらも存在しません。

 故にA型とB型を混ぜると拒絶反応が起こり、O型を別の血液に混ぜるのは拒絶されませんが、O型にA型、B型の血液を混ぜると重大な拒絶反応が起こるのです。

 この場合、2人の血が傷口で混ざっていたとすると強い拒絶反応が起こりうるのは狛枝凪様のほうなのです。

 だからこそ、ご学友は疑問に思われたのでしょう。

 以上が補足説明でした。

 

 

・電源盤

 暖房の設定温度は35℃となっており、稼働時間は7時間。日向たちが発見した時には既に暖房の稼働はしていなかった。

 

・お椀状に固まった粘土質の塊

 直径10㎝にも満たないだろう塊。一見ゴミにしか見えないが、椀の中となる側に血がこびりついている。

 十神の襟とはまた違った独特な甘い香りを漂わせていた。

 血のついた冷蔵庫の中にももう1つ同じものが存在していた。

 

・冷蔵庫の血痕

 保管庫と書かれた冷蔵庫。

 その上部にはビンが並べられ、下部には粘土質の塊と血痕が残っていた。

 冷蔵庫の中はマイナス20℃に設定され、そのせいか血痕も薬も全て凍りついていた。

 ここに入っていた毒薬は使い物にならなくなっている。

 

・減っているクロロホルム

 クロロホルムとラベルが貼られた薬瓶の中身が減っている。

 無色透明の液体だが、どことなく甘い香りがする。

 

・凍結する毒薬

 モノクマ特製毒薬

〝 アイスコーヒーのお供に 〟

 

 ・自殺、殺人共に使える毒薬です。

 ・凍結しやすいので冷凍室ではなく、冷蔵庫に保存してください。

 ・沈殿性なのでお間違えの無いようにご利用ください。

 ・使う分だけ凍らせてください。1日凍結していると毒の成分は薄まって翌日には消えてしまいます。1日以内ならば溶けても毒薬として機能します。

 

 さっそく憎いアイツの飲み物に氷としてぶち込んでやろう!

 ご利用は計画的に!

 

・空の輸血パック

 A、B、O、ABの全ての型の輸血パックが開けられ、使用されている。

 大量に空いたパックは全てゴミ箱に詰め込まれていた。

 

・ドッキリハウスの秘密

 ドッキリハウスはタワーを中心とした横方向の建物ではなく、縦方向に伸びる6階建ての建物である。

 

・希望ヶ峰学園プロフィール

 そこには日向が予備学科であることも載っており、さらに十神白夜はクラスに存在せず、代わりに〝 超高校級の詐欺師 〟の存在が書かれている。

 

・クローバーの手帳

 現在持っているもの。

 予想通り、とあるページを鉛筆で塗りつぶすと言葉が浮かび上がった。

 

 

 

 




クローバーの手帳に疑問を持った方は是非、〝 絶望病の十神のためにコテージに行った回 〟をもう一度ご覧になってみてください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。